超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第17話 ドラ

(セーラって前に出会った時は何か啖呵切っとった気がするんやけど……2回戦負けかー)

『まあインターハイの時点でも高校生ベスト16に入ってくるかと問われたら微妙なところもある。分かりやすく強い点は高火力ってところやけど……その分わりと遅いで?』

(誰かさんが全国大会の王者を続けているせいで速攻が主流になっとるしな)

『誰かさんが高い手では絶対上がらせへんからとちゃう?』

 

2回戦が終わり、準々決勝。ここからは上位2人が勝ち抜けていく形となり、怜はこれから、一番扱いやすい人と一緒に勝ち上がっていく。

 

(よく鳴いてくれる人、鳴かせてくれる人。思考が単調なほど扱いやすいし……今年はこの子にしよか)

『聴牌即リーしかしない子だしねこの子。よく準々決勝まで勝ち上がれたよ』

(まあ聴牌即リーは基本らしいし最低限知識もあるから扱いやすいで)

 

怜は未来を視れる分、狙い撃ちをしやすい。特に他家がリーチをしてくれると、心の中で感謝するぐらいだ。上手く点数と順位を調整し、扱いやすい子を2位で決着するよう山越しも多用する。

 

「ダブルリーチ!」

『うげ、これ一発ツモを変えられへんのか』

(リーチは凡夫を天才に変えるからなあ。……リーチ後は、凡人も天才も変わらん。なら凡人はリーチするべきって考え好きやで)

『にしてもダブリー一発はどうしようもあらへんな。他家が鳴いてくれる牌は無かったし。……オーラスなんやから積極的に仕掛けんかい』

 

オーラスにその扱いやすい子に上がられ、地味に1位が危うくなった怜だったが、流石に上がり止めをしたため、怜は1位で準々決勝を通過。準決勝も同様に勝ち抜き、5年連続となる決勝卓に着く。

 

……その決勝卓に、竜華の姿はなかった。そのことを怜は、ある程度予想していた。江口も竜華も、同じ小学生を相手にして負けている。それも、2人より年下の小学4年生相手に。

 

(準決勝、惜しかったんやけどな)

『たった一本、リー棒を出しただけで負けたのは悔やみたくても悔やみきれへん奴やな。

……東1局で役満振り込むパターンって、準々決勝以降やと席順で勝ち抜けが決まるパターンもあるし地獄やな』

 

準決勝では、数え役満が出た。竜華の上家に座る人間が、下家に座る人間に振り込み、東1局で飛んだ。竜華はリーチをかけてしまっていたため、1000点差で3位。決着後、気丈に振る舞う竜華だったが、目には涙が浮かんでいた。

 

(竜華も油断しとったんやろうけど……ただ、初見でコイツは事故や)

『奈良代表の松実玄。名前だけ見て嫌な予感はしとったけど……まあ本物やな。

昨年のアレが効いたんやろか?』

(わからんけど、お待ちかねの原作強キャラや。本来よりも5年以上早い邂逅やけど……楽しもか)

 

決勝卓で、怜の対面に座るのは奈良代表の松実玄。阿知賀編の実質主役であり、インターハイの準々決勝、準決勝、決勝とそれぞれで見せ場を沢山作った。

 

この松実玄の唯一にして強力なオカルトは全てのドラが集まること。簡単にタンヤオドラ8で倍満を上がって来る他、他家にドラを渡さないことで相手の火力を下げる効果もある。

 

今回の準決勝では、ドラで暗槓を行い、槓ドラを集めて対々和混一色ドラ9の数え役満を上がった。怜は当然、玄の警戒を行うが……。

 

(……どんな未来選んでも配牌でドラが入らへんってどないなっとるん)

『仮親でのサイコロで何を出してもドラは渡さないってえげつない能力しとるわあ……未来が捻じ曲がってる奴やでこれ。もう起家じゃなくてええか』

(あー……北家ならダブリー出来る配牌だったからヨシとするわ)

『それでダブリーしても一発付かへんから手代わり期待やな』

 

玄の能力は強力なものであり、怜は一切ドラを奪える気がしなかった。仕方なくドラ無しで火力を求めて行くこととなり……7巡目でツモ切りリーチを行う。

 

「ロン!リーチ一発タンヤオ裏裏で8000や」

「は、はいぃ」

(威圧したらなんか可愛い声出たな玄ちゃん)

『ドラは一切切れないって結構辛いよね。しかしまあ、裏ドラは乗るのか。

……積極的に槓もしてあげようか』

(きちんと未来視てからやけどな。

……やっぱ赤ない方が強いなこれ)

『特定の世界大会のルールでは無双しそうだよねえ』

 

玄から溢れる牌を狙い撃ちしたリーチにより、玄が1人沈むが、ドラ爆麻雀で怖いのは火力が高い点だ。あっという間に次局、玄は三色ドラ8を聴牌する。

 

「リーチ!」

 

ツモって裏が乗れば数え役満まで見える手牌。玄は盤面のドラが全て手牌にあることから、安心してリーチをかけた。かけてしまった。

 

「それポン!」

 

まず怜は、玄の切った牌を鳴いてツモ順をズラす。これで一発ツモを防ぎ、さらに次巡で大明槓を行った。

 

「それカン!

……新しい槓ドラは八萬やな?」

 

親のリーチに対し、槓を行う怜。槓ドラを増やし、リーチしている者に対しては裏ドラを増やす行為。下手をすれば相手に塩を送るだけの行為だが……今回の場合は、その槓ドラを増やすことが目的だ。

 

……新しく増えた槓ドラは、玄の上がり牌ではない。しかしながら、全てのドラは玄に集まる。集まってしまう。

 

次順。怜が視ていた本来のツモからはズレ、槓ドラである八萬を持って来てしまった玄は、そのまま打牌するしかない。その瞬間、玄の纏っていたオーラは霧散する。全てのドラを集める強者から、何の能力も持たないどころか、ドラが全く来なくなるマイナスの能力を持った弱者へと変貌した。

 

その様子を見て、制約のある能力は大変やなあと思いながら、怜はロンと発声する。混一色ドラ1で5200点の上がりである。これで直接的に怜は玄のドラを奪ったことになり……玄は、震える手で点棒を怜に渡した。

 

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