超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

2 / 69
第1話 3巡先

園城寺怜には、生まれた時からその身体に同居人がいる。前世では24歳という若さで死に、後悔してもし切れずに朽ち果てた魂が、一時的に身体を乗っ取っていた。

 

しかし未来予知という能力を多用した結果、どんどんと精神力や魂を削られ、次第に身体は本来の持ち主が動かすようになる。されど男の魂も消えず、何故か今は能力の代償の肩代わり役を担っていた。

 

(明日から小学校楽しみやなー。友達たくさん出来るやろか)

『未来視たろか?ていうか校区的に石連寺小学校⇒千里山中学かあ……』

(んで高校が千里山女子やろ?進路がもう決まってるって何か複雑やわ……。

その清水谷竜華って人、小学校は同じなんかな?)

『スピンオフのスピンオフとか読んでへんから分からんわ……』

 

頭の中にお友達がいる。そんな感覚の怜は特に自分が異常だとは思わずに今日も今日とてネット麻雀を打つ。パソコンの中のアカウントは、現在レーティング1位であり、怜の自慢であった。

 

(小学生になったら麻雀の大会出て優勝するでー!)

『大阪府大会ぐらいは勝ち抜きたいな。でも3巡先を視る程度じゃなぁ……。

カン!カン!カン!カン!ツモ!四槓子です!とかやってくる小学生がいるかもしれへん』

(流石にそのレベルは全国なるまで出てこーへんやろ……あーもう!その原作って奴のゲーム映像思い浮かべんでええって!積み込み発生するの嫌というほど見たわ!)

『……怜ちゃん最近また精神年齢上がってない?幼稚園児と話してるとは思えないんやけど?』

(お兄さんの知識の中に精神年齢は知識によって引き上げられるってのがあったでー)

 

頭の中で会話したり、未来を視ながらネット麻雀に打ち込む6歳児。病弱なために外で遊べないのは仕方ないにしても、その麻雀への熱中ぶりを見て怜の母親は頭を抱えた。

 

そんな怜は小学1年生になり、吹田こども麻雀大会に参加する。この大会は全国小学生麻雀大会の予選であり、勝ち抜けると全国大会に出場することとなる。

 

『吹田市⇒大阪府大会⇒全国大会かと思ったら吹田市⇒全国って違和感あるなあ』

(それやと大阪府大会の人数少なくなるんと違う?……それにしても、凄い数の子供達やなあ)

『怜も子供やろ。というかこの中から1人しか全国行けないとか道のりが遠い』

(せやなー。っと、最初はM卓みたいやで)

『……小学生の地区大会で液晶付いてる時計を配布されるのなんか凄いわ』

 

小学生の地区大会でも大きな会場で、注目の試合は中継されると知り、お兄さんの前世とは偉い違いやなあと思いながら、怜はその大きなスクリーンに映る大会ルールを確認する。今回の吹田こども麻雀大会のルールは以下の通り。

 

『食いタン・後付け あり

ダブルロン・トリプルロン なし

裏ドラ・赤ドラ あり

カンドラ・カン裏ドラ あり

流し満貫 なし

一発 あり

役満の複合 なし

責任払い なし』

 

責任払いないんやなー、せやなーと脳内で会話をした後、配布された腕時計に表示された『M』と同じマークの部屋に入り、卓につく怜は後から入って来る3人に対してペコリとお辞儀をする。この世界は小学生の頃から麻雀をする人間が多いが、流石に小学1年生で大会に出ようとする人は少ない。

 

初めてリアルの人間と対面して麻雀を行うことが出来ることに、怜はとても喜び……あっという間に、1試合目が終わった。

 

「ツモ!リーチ一発ツモ三暗刻ドラ2、裏が乗って8000オール!」

「ツモ!嶺上開花中ドラ3。4100オール!」

「ロン!清一色一通ドラ2で16300。……トビやな」

 

1巡先どころか、常に3巡先を見ている麻雀は裏目になることが極めて少なく、特に手元に槓材がある場合は槓した時の嶺上牌が分かったり、リーチして一発ツモが出来るタイミングというものも把握出来る。出来てしまう。

 

……お兄さんの知識に引っ張られ、オカルトを警戒しまくっていた怜だが、残念なことに怜の相手となるようなオカルト持ちはおらず、1試合目で東1局で対面を飛ばすと、2試合目も3試合目も怜の親番で対戦相手を複数飛ばした。

 

振り込みをしないどころか、他者の上がる未来が視えた途端にそれを邪魔する動きが出来る怜。能力を鍛え続けた結果、少なくとも1巡は手配の14牌分、最大14通りの未来が視える。

 

(なあこれ……あかんのとちゃう?)

『全国行ったらたぶん強い子沢山出て来るから……流石に地区大会レベルで天江衣や宮永姉妹レベルはいなかったな』

 

スイス式トーナメントの予選を圧倒的1位で勝ち抜いた怜は、そのままベスト16から始まるトーナメント戦でも連続して対戦相手を飛ばし、あっという間に大阪府代表として全国大会出場を決める。

 

(小学生の全国大会って……こんなもんなんか……)

『戒能さん普通に強かったのにこんなもん扱いしたら失礼やで!

……まあでも、せっかくオクタプルまで使えるようになったのにトリプルで大体事足りたのは物足りひんかったな』

 

全国なら、とても強い人がいる。そう思って挑んだ全国大会で、怜は優勝を決めた。小学1年生での優勝は初めてのことであり、また全試合で対戦相手を飛ばしての優勝も初めてのことだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。