「瑞原プロは欧州選手権のチケット貰ったらどないするんですか?」
「んー、3人の中で一番健闘した人に上げようかなあって思ってるよ?
あ、駄目なの?それならお母さんにプレゼントかなあ……」
「白築プロの応援とか行かないんでしょうか?幼馴染だとお伺いしましたが」
「今年は私も欧州選手権に挑戦するから、その前の全仏オープンに出場する予定だよ。
……世界ランク足りないから、ここで挑戦権得られないなら応援になっちゃうし、そうなったら使うかも」
「あー、じゃあ瑞原プロはリオデジャネイロ東風フリースタイルには出ないんですね。時期被りますし」
「正確には被らないけど時差がねー……。決勝戦の翌日が予選1日目とかになっちゃうし。
というか怜ちゃん東風フリースタイル出るって聞いてびっくりしたよ!?小鍛治プロに誘われたって」
「まー、オープンリーチありだと確定で3翻やし。リーチ」
「確定で3翻とか言っちゃうのこわいわー……鳴けないし待ちわっかんねー」
エキシビションマッチは談笑しながらの戦いとなるが、その中で瑞原が欧州選手権に出るために全仏オープンへ出場することを話す。欧州選手権は世界ランクの高い順に招待状が配られるが、一部の大会で好成績を残すと出場権が得られる。全仏オープンはその中の1つであり、他の全英オープンや全米オープンと比較すると参加者のレベルが高いことから、難易度の高い選択肢になる。
そんな話をしながら、東1局でリーチを行い他3人の顔を引きつらせる怜。当然のように1発ツモであり、起家のため親の倍満となった。
「リーチ一発ツモ一盃口中ドラ3。8000オール」
「……その手、裏が乗るから六筒残した?」
「そやけど……チャンタ作るより裏2乗せる方が楽なんで」
「三色狙わなかったんだ?」
「三色作ってたら瑞原プロが上がってましたし」
わいわい雑談しながらの麻雀であるが、取り巻きの記者やカメラマン達は結論ありきで話す怜に頭を捻らせていた。対局は途中、瑞原の連続和了や戒能による怜の未来視封じなど、各選手に見せ場があったが……。
「ロン。悪いねっ、お姉さん。今回もちょっとこっちにツキがあったみたい。
そんでもって、リベンジ終了だよ」
『……改変あかんかったな』
(配牌字一色一向聴はあかんって。結局3巡目で上がられたし)
オーラスで瑞原が役満に振り込み、見事に最下位となり決着。1位は来年からプロとなる三尋木が勝ち取る。怜は逆転され2位となり……3年ぶりの敗北となった。
(ここまでの順位、2位2位1位1位2位で2勝3敗やからやっぱプロは強いなあ)
『ぶっちゃけ1年生2年生の時に白築プロやすこやんと当たってよく飛ばなかったと今の活躍見てたら思う』
(ただまあ今年は勝てた試合やったな。……ラストはオカルトやなくて純然なツキやろか?)
『そう思って思考停止したいとこやけどたぶんオカルトやな。条件は分からん』
自身の配牌はある程度操れるようになったが、他人の配牌までは操れない。……ある程度は自身の得られる手牌の未来から想像は出来るのだが、サイコロの数字を大きくすると分からなくなる。自身に良い配牌を選ぶと、相手も良くなるパターンがあるということだ。
安定を取っていれば役満事故は防げたので、ミスとまでは言えないが怜が油断していた部分も大きい。……ちなみに怜はサイコロの出目を操るために、自動卓の牌を流し入れるタイミングで調整している。ここまでして勝てないのが、原作強キャラ達である。
「……一緒に行く?」
「ノーサンキューです。私は私でお金を貯めて白築プロ追いかけますので」
「うちも今度の東風フリースタイルで2週間ぐらい学校休むし、その後で欧州選手権はたぶん行けへんわ……」
一緒に行く?と誘う三尋木だったが、あっさり2人に断られて「お前ら2人のことなんか嫌いだよ!」と言いながら報酬のチケットを受け取る。怒ってはいるが、身長のせいで少し微笑ましい光景となった。
(三尋木さんってやっぱり身長低いよなあ)
『竜華がこの前143センチで、それと同じぐらいやから……ほんまにこの人高校3年生なんか!?』
エキシビションマッチが終わり、夏休みも終わったため再び学校へと通い始める怜。麻雀部の活動自体は週2回で変わらないが、暇さえあれば竜華の家や怜の家で集まり、麻雀を打つ。
「ブラジルって遠いんやろ?飛行機で何時間なん?」
「30時間やで。丸1日以上飛行機や」
「30時間!?めっちゃかかるやん!?」
「まあ招待された側やからビジネスクラスに乗れるしそんなにしんどい移動じゃないと思うで。……往復60時間って考えたら長いなあ」
このリオデジャネイロ東風フリースタイル、日本の人気は高い方だが、日本人選手からの人気はあまりない。基本的に30時間以上飛行機に拘束される上に、時差は12時間。同時期に欧州選手権の出場権を得られる大会がフランスやイギリスであるため、出場するのは既に欧州選手権への出場が決まっている世界ランクの高い選手や、北米南米出身のプロ選手達。
学校側とも相談した結果、怜はブラジルの地に1週間ほど滞在となる。この内、大会に出場するのは予選だけだと3日間。決勝含めれば4日間だ。
離れるの嫌やついて行くと喚く竜華を宥めて、怜はブラジルの地へと旅立った。