超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第30話 能力開発

冬休みは怜が竜華のおばあちゃんの家に行く機会が多く、三麻をしたり未来予知逸脱ゲームをしたりして時を過ごす。今は竜華と怜の2人の間に、紙コップが5つ並んでおり、その紙コップ達を竜華は真剣に見つめている。

 

「……これや!」

「残念。これが空や」

「……何でうちが選ぶ紙コップが分かるん?」

「未来視てるからやでー」

 

怜の未来予知は、打ち破ったり書き換えたり捻じ曲げる存在がいる。竜華をそのような存在にするため……怜は未来を確認してから紙コップの中に100円玉を入れる。

 

紙コップの数は5個。100円玉を入れる紙コップは4個。竜華は1回だけ紙コップを選択出来て、中に100円玉があれば回収出来るという遊び。怜は「当てたら100円持っていって良いで」と言うが、ケチな怜は未来視をフル活用して今のところ全勝している。世界一無駄に未来予知を消費している図である。

 

「……これ、勝てるん?」

「竜華がこの前の衣より強くなったらワンチャンあるでー」

「今は無理ってことやん。

……これ!」

「外れやで」

 

この日は20回ほどこのゲームを行い、竜華は時には真剣に、時には適当に5個ある紙コップの内の1つを選び続けるが、空を選び続ける。怜の未来視からの逸脱はかなり難しいことであり、気軽に怜は竜華で試しているが、素の力でこれが出来れば日本代表クラスである。

 

「……こんな力があっても、負けることもあるんやな」

「やから麻雀は面白いねん。衣にも1回負けたしな」

「ちょうど深夜やっけ?なんか衣ちゃんが光ってたような気もするんやけど……」

「最初から光ってたで。満月がてっぺんに来てたからか支配力えぐかったわ」

 

竜華は始め、このゲームに勝てる気がせず、やる気も起きなかったが……年末まで毎日やって毎日20連敗していると、流石に1本ぐらいは取りたくなってくる。その様子を見て、心が折れる心配をしていた怜は安堵した。

 

(超集中モード、麻雀以外でも出来るようになったな)

『この硬貨当てゲームだけやけどな。……一歩前進や』

「これ以外全部」

「……温度を視たんやな。正解やで」

 

そしてとうとう、竜華も麻雀以外に力を使用した。空の紙コップ以外を全てひっくり返し、400円を手にする竜華。この未来自体は既に視ていたため、怜自身に驚きはない。ここから怜はなるべく竜華が麻雀以外にも能力を使うよう誘導する。

 

「うーん……能力って言っても温度を感じ取れるだけやで?」

「強い打ち手の麻雀牌は熱を帯びることもあるやろ。実際衣と打っている時、竜華がぶっ倒れる前に視たんやろ?前局の熱が残ってる牌を」

「少しだけやし、そんな細かな温度変化は……」

「視れる。視れるようになる。……そうなれば、どこにどの牌があるか分かるようになるんちゃう?」

 

竜華の温度変化を捉えることが出来る力は、サーモグラフィーとほぼ同一である。故に前局の牌の温度を把握出来ていれば、どこに何があるか分かるようになるだろうという推測である。

 

(実際、白築プロの親友が似たような芸当出来るらしいしな)

『牌と牌が当たる音でどこに何の牌があるか全部分かるってやつか

すこやんが負けたらしいから気になるけど全然麻雀の大会出えへんからなあ』

(……そのうち、嗅覚特化とか出てくるんやろか?)

『まだ牌と牌が当たる音で判別よりかは匂いで判別できる方が現実的やな。……現実的ってなんや?』

 

もちろん、今はまだそんな芸当出来ない。というか出来てたまるかという芸当だが、竜華が今後能力を研ぎ澄ませていけば、数年後には実現し得ると怜は考える。

 

「1、5、4、2の順番」

「……こわいわー。細かい温度変化自体は分かるやん」

「あ、あってたん?」

「集中解けるの早すぎやでー」

 

超集中モードに入った竜華に対し、硬貨をどの順番で紙コップの中に置いたか怜が聞くと、正しく順番に指差ししていく竜華。僅かな時間差をも感知できる時点で、怜は人間やめてるなと思った。

 

「この調子なら、前局で手牌に入ってた牌の把握ぐらいはすぐに出来そうやな」

「……出来ても頭が追いつかへんって」

「集中してたら追いつきそうやけど?」

「んー……追いつくかなあ」

(未来視も2人がかりでようやく把握できているし、能力で分かっても情報を咀嚼する力は別やから大変やな)

『ネット麻雀漬けの生活がなかったら正直今でも咀嚼出来る力はなかったと思う。

……でも竜華は頭もええから本当になんとかなってしまいそうやなあ』

(竜華側が衣に「あの時はまだ……ヒトの土俵に立ってたわ」とか言い出しそうや)

『……ころたんや玄ちゃんが来年も出てきそうやし、夏までにもっと魔改造するでー』

 

意識的に能力使うんやでーと言われた竜華は、怜に追いつくために日常的にサーモグラフィーを発動していく。元より意図的に超集中モードに入れるようになっていた竜華は、この日常生活の変化によって更なる進化を遂げることになる。

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