超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第32話 吉野山小学校

1回戦を無事に勝ち上がった石連寺小は、2回戦以降も怜の出番が来ることはなく副将戦までで試合が終わる。昨年とは違い、副将に座る倉智知恵は控室からより具体的な指示を受け取れるようになっていた。

 

……つまり、やろうと思えば怜が未来視を使い、それを倉智多恵が倉智知恵に伝えるなんて芸当も出来る。出来るのだが……基本的には、盤面全体を見て多恵が知恵に入れ知恵をしている。というのも、深く繋がらないと正確な言葉では伝わり辛いからだ。一々指示を聞くために繋がりを切るよりかは、繋がりっぱなしの方が効率は良い。

 

(まあうちが打つのと変わらんようになるのはちょっとな……)

『やろうと思えば怜が3人いる団体戦になるんよな』

(トリプル……!3人怜や……!)

『言うと思ったわ。しかしまあ、控室からモニター画面共有出来るのは強いな』

 

怜が介在しない理由は、介在しなくても明らかに強いからだ。深く多恵と知恵が繋がるためには控室にいる側がモニター画面を凝視しながら意識を飛ばす必要があり……深く繋がるようになると、対局室にいながらモニターを見ているような感覚に陥り、盤面4人の手牌が丸見えとなる。

 

この牌は他家が1枚ずつ抱えているから捨てよう、この牌は対面で暗刻になっているから待つのはやめよう、などという相談を片手間で行える。

 

当然振り込むことはなく、聴牌速度は上がり、並の小学生では太刀打ちできない存在となる。山に多ければリーチを行い、逆に山に少なければリーチをせず打ち回す。この1年で怜に鍛えられた結果、実力もついて来た倉智姉妹は、オカルトがあれば普通に全国上位クラスの選手である。

 

なお、個人の力というのは両方が個人戦には出ないことから察せられる程度の実力である。少なくとも野上には勝てず、進士相手に勝ったり負けたりを繰り返すレベルだ。

 

(これもしかしてうちに出番ない?)

『ないな。全国大会まで試合はお預けや』

(……うーん、一回も対局せずに負けるのはまだええんやけど、勝つ方はもやもやするで)

『うちらがいるおかげで、無理に石連寺小を狙って崩れる子も多いから役には立ってるで。大将戦まで行ったら負け確は辛そうや』

 

ついには決勝戦すら、中堅までのストレートで勝ってしまった石連寺小は2年連続の全国大会出場を果たす。昨年度とは違い、個人で勝ち切る力を持つ3人目の存在。成長した倉智姉妹に、相手がビビれば大体勝てる進士。

 

少なくとも、昨年みたいに全国大会1回戦で負けることは無さそうやと怜は安心しながら、部長となった竜華のインタビューを見守る。当然怜も記者に囲まれ、全国大会への意気込みを話した。

 

そして他の地区予選の結果を確認すると……奈良から、吉野山小学校が出場するという情報を掴む。面子は原作阿知賀編の阿知賀女子学院高等部そのままである。

 

(おお……実質阿知賀編始まったな!)

『阿知賀のレジェンドが去年から麻雀教室やってるのはハルエニッキから知ってたけど……これ松実姉妹出てるよなあ』

(面白そうやし葉子と玄ちゃんのドラ待ち対決みたいわ)

『完全に観戦気分じゃん。というか葉子ちゃん勝てるか……?

……先鋒松実玄、次鋒松実宥、中堅高鴨穏乃、副将新子憧、大将鷺森灼ね。もう5人揃ってるやんけ』

 

奈良大会は吉野山小学校が全試合でストレート勝ちを果たしており、特に昨年の全国個人戦決勝卓メンバーの松実玄と、その松実玄を押し退けて今年の個人戦奈良代表の座を掴み取った松実宥。このWエースの活躍が凄まじく、この2人は全試合で対戦相手を飛ばしているため、関西どころか全国にまでその名が轟いた。

 

『各地区予選の日程は結構違うけど、奈良は1週間前にやったんか。

……奈良の個人戦決勝、宥姉が玄ちゃんから赤ドラ奪っとるな』

(支配力合戦は大体玄ちゃんが勝ってるんやけど、大事な場面で奪われてるから……いやこれほぼ互角やな)

『というか赤い牌が集まりやすいとかシンプルに強い。清一色と混一色の率が異常や……。んー、萬子の赤ドラやったらギリ奪えるっぽいな。

あと阿知賀のレジェンドが引率してるのなんでえ?大学生じゃなかった?』

(これ来年は宥姉が消えるけど代わりに長野のおっぱいお化けが入るから……たぶん来年は全国制覇しとるで)

『今年優勝する石連寺小は全員小6やからな。来年はおらん。あとのどっちの転校タイミング小6やから、再来年やろ?』

(あれそやった?何か年数がズレてるような……?

まあ来年以降、うちらはインターミドルやから関係あらへんか)

 

阿知賀のレジェンドこと赤土晴絵は大学に進学した直後に麻雀教室を開いており、この麻雀教室を開くタイミングが原作よりも2年早い。……このバタフライエフェクトは、小鍛治プロを怜が小学4年生の時に倒したことで起こった。当時高校3年生だった赤土は、この事を知って麻雀に再度向き合い始めた。

 

その結果、阿知賀編は6年早く始まる。赤土は麻雀教室を開く傍ら、インカレへの出場も決め……この事は彼女らの運命を、大きく変えた。

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