超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第36話 超集中

昨年の年末から竜華は色んな場面でサーモグラフィーを発動していたが、その結果として原作で集中モードは1局から長くても3局という制限のあったものが、4局続くようになり、東場か南場のどちらかはずっと続くという状態になった。そして東場で発動すれば、大抵の相手は飛ぶ。

 

(……竜華って相当な化け物やんな)

『梅田の地区大会、全対局で南場に行かせなかった化け物やぞ。

満月のころたんの支配下から逃げ出せる時点でわりとおかしい』

 

意識的なオカルトの使用がまだ出来ていないどころか自身のオカルトの正確な把握すらまだな高鴨は、竜華の上がりを止めることが出来なかった。高い手を、早く仕上げる。サーモグラフィーによりある程度牌の位置の把握も出来るようになった竜華は「あの牌で上がりやったのに」みたいなことを怜との練習試合の時でも言うようになった。

 

……玄へのリベンジの機会も失われた結果、吉野山小を徹底的に狙い撃ちすると決めた竜華は他家から出た九蓮宝燈の上がり牌である九萬を見逃し、高鴨から出た三萬で倍満を上がる。本来であれば、役満の上がりで即終了していた先鋒戦。スルーして高鴨を狙い撃ちしたことから高鴨は竜華が吉野山小を殺しに来たと把握した。

 

『えげつないな。役満スルー&狙い撃ちの次は点数をわざと減らして満貫にするか』

(倍満の後に跳満上がったら飛ばせるけど、マイナス点が少ないからな。

……ええ)

『まーた役満聴牌って緑一色ツモ上がりするんかい。

……石連寺小97000点、吉野山小-15000点って総合得点での差は10万点以上あるで』

(総合得点ならほぼ勝ち確……と言いたいところやけど玄ちゃんおるからなあ)

『……リーチドラ12の数え役満直撃とかで96000点差がひっくり返ると考えたらドラ爆ヤバイわ』

 

迎えた東3局、竜華の親番で竜華は緑一色をツモ上がりし、吉野山小を飛ばす。ここまで全て6巡目以内の決着であり、山の深いところまで行くことすらなかった高鴨は失意の中、吉野山小の控え室に戻る。

 

「勝って来たでー。

……吉野山小の狙い撃ち、あそこまでする必要なかった?」

「可能なら狙ってって言うたけどあそこまで完璧にやるとは思わんかった……。

……後ろの松実姉妹はかなりオカルト強いし、点差は幾らあってもええから問題ないで」

(実際玄ちゃん抑えて全国大会出場決めてるってなんか宥姉にバフ入っとるやろ。

あの姉妹が稼ぎに稼ぐなら10万点差はひっくり返るかもな)

『ひっくり返ってもまたひっくり返すけど。

……インハイ時点で、阿知賀の面子は散るんとちゃうか?小学生の全国大会で松実姉妹は暴れまわっとるし、有名所の中学や高校からスカウトかかるやろ』

 

間違いなく後に引きずる負け方をして、重たい足取りで控え室へ向かう高鴨をチラ見して、阿知賀編は間違いなくぶっ壊れたなあとちょっとだけ残念に思う怜は次鋒戦、吉野山小の流れにさせないよう頑張れーと進士へ声をかける。

 

「あの玄ちゃんに勝って奈良の個人戦代表になった松実宥。

勝てないにしても、ええ機会やしやれるだけのことはやってみて欲しいわ」

「ブラフ、三味線、睨みつけるの3本柱でどう勝つん?」

「……まあ麻雀はやってみな分からんところもあるし」

「あれ?しんちゃんの睨み効いていません?

松実姉妹の姉の方、身体が震えているような……」

「……怖いの苦手やっけ?あ、いじめっ子」

(いくら勝ちたいからって原作知識を利用していじめの想起を引き起こすのはちょっとクズ過ぎるで)

『いや偶然や……偶然なんや……うわ手牌はめっちゃあったかいのに寒い牌引きまくってる』

 

そして案外、進士は善戦した。宥は配牌時から手牌が萬子で染まっているのに、進士の睨みにビビってから自模る牌は筒子ばかり。冷房が効いているとはいえ、夏場に過剰な暖房着で身を包んでいる宥は身体を震わせており……前半は比較的進士のペースで対局は進むが、1位には届かず。後半、宥が進士を睨み返して巻き返すが次鋒戦は石連寺小も吉野山小も1位にはなれなかった。

 

「周りみんな強い人ばかりだから内心冷や冷やしたわ」

「おつかれー。全国決勝でラスにならなかっただけしんちゃん偉いでー。

松実宥に1位取らせなかったのも大きいしな」

「あれなー。最初はビビってたのに最後の方は睨み返してきていたからたぶん強い子や。オーラスでまくられたし」

「あの振り込みは反省点やけど、それでもようやったで。ほんまに」

 

進士の順位は3位で、原点よりかは少しマイナス。しかしながら、何よりも大きいのは宥を1位にさせなかった点。これで吉野山小が3連勝するには、怜と戦って勝つしかなく、総合得点での勝負へと移行せざるを得ない。

 

総合得点ではまだ2位以下を大きく離して1位である石連寺小の中堅は『ドラを待つ者』と言われ始めるようになった葉子。一方吉野山小の中堅は『ドラを統べる者』と既に呼ばれている松実玄。これより先、長きに渡ってドラを奪い合うようになる2人の、第一ラウンドである。

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