超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第37話 ドラゴンロード

「カン!」

「なっ!?」

(……うわあ。これキツイなあ)

『ドラで暗槓を当たり前のようにやるな。というか葉子ちゃん声出したらあかんで』

(いや全員ドラ待ちリーチってことぐらい把握しとるやろ)

『……葉子ちゃんは対策されやすいのが欠点やな』

 

小学生麻雀大会全国大会決勝中堅戦。葉子と玄の試合は、葉子の先制リーチから始まり……葉子の待ちであるドラの四萬で、玄は槓を行った。

 

暗槓であり、槍槓が出来ないためこの時点で葉子は完全にただの振り込みマシーンと化した。しかも新しい槓ドラも四萬であり、ドラ8が確定しているため現時点で玄の手は倍満確定である。ちなみに数え役満まで一向聴である。

 

このままだと、葉子が玄に振り込んでしまう可能性は極めて高い。しかしながら唯一の救いは、ここが全国大会の決勝の場、それもエースや強い人を置くチームが多い中堅戦ということ。端的に言えば、葉子と玄以外の人間も強かった。

 

当然、玄のドラ8を見て危険性をよく理解している他2人は早上がりに向かい、振り込みマシーンと化した葉子から1000点を上がる。そして次の対局で、葉子はまたドラ待ちの聴牌となるが、リーチをかけなかった。

 

(あー。リーチかけてたら上がってたのに)

『いつも強気やのに、変に弱気になってもうたな。まあドラ待ちしたらそのドラで暗槓されて槓ドラモロ乗りとかトラウマもんやけど』

(……玄ちゃん強いなやっぱ)

『タンヤオドラ5で跳満は酷い』

 

葉子が聴牌してから3巡後。玄がタンヤオドラ5で跳満を上がる。葉子はその手牌を見て、ドラが暗刻になっていることを確認し……全てのドラが集まると言っても、常にドラが全て手牌にあるわけではないことに気付く。

 

「これ相性めっちゃ悪いやんな?」

「悪いで。あのドラゴンロードからドラを奪わな葉子は上がられへんしな」

「……それなら何で葉子と竜華を入れ替えたんだよ。向こうが変えてくるの分かってて変えたって言ってたけど」

「しんちゃんそんな怖い顔せんでも大丈夫や。葉子も葉子で、化け物になりかけてるんや。その手助けぐらいはさせてーな」

 

控え室では対局の様子を見て葉子を玄に当てたことに進士から突っ込みが入るが、葉子は既に怜の通常の未来視を捻じ曲げている。具体的には、調子が良い状態でドラ待ちのリーチをかけると次順のツモ牌が本来ツモる牌からドラへと変わる。

 

『現実改変系の能力は意外と少ないんやけど……支配力合戦、決して葉子ちゃんは玄ちゃんに負けてないはずなんや』

(玄ちゃんも配牌時に未来捻じ曲げて他家にドラが入らないように、自分だけにドラが入るようにしとるけどな。無意識的に。でも山に残ってるドラを持ってくる一点だけは葉子でも勝てる……はず!)

 

東3局は玄が先ほど早上がりした人に放銃し、迎えた東4局。野上は親番で北を鳴く。ドラ表示牌は、八筒。

 

「一萬でチーってことはもう九筒で上がるしかないやん」

「チャンタドラ1で1300オールの上がりやな。

……玄ちゃんの驚く顔が見れるでえ」

 

一萬で鳴いたことに竜華が言及し、手牌に七筒八筒がある状況。上がるにはドラの九筒を持ってくるしかない。……こういう片上がりの際に、強くなるのが葉子である。

 

聴牌した1巡後には、玄の支配下を抜け出し九筒を自模る葉子。玄はその上がりを見て、目を見開く。ドラが自然と集まるようになってから、他家にドラが渡るようなことは自身がドラを捨てないと起こった試しがないからだ。

 

親の連荘に入って1本場。一番の得意であるドラ単騎待ちこそ玄のせいで出来ないものの、東1局の時のように葉子はドラのカンチャン待ちリーチを行う。

 

(……葉子が、勝てるんか)

『別にドラ切ってないけどドラへの支配力弱まってそうやな。やっぱ麻雀で精神攻撃は重要や』

(宥姉にいじめっ子)

『掘り返さんでもええやん……ほんまにたまたまやったし』

 

「リーチ一発ツモ白ドラ1!4100オール」

 

この局でも、ドラでのツモ上がりを見せた葉子。しかしながら、葉子が良かったのはここまでだった。二本場は他家の早上がりで流され、迎えた南1局。玄がタンヤオ三色ドラ6の倍満をここまで焼き鳥だった他家から上がり、見事に飛ばして中堅戦を1位で終わらせた。

 

『相変わらず火力が鬼や』

(葉子は結局2位やな。……これ総合得点追いつかれるんとちゃう?)

『知恵を信じるんや……この時期のあこちゃーそんなに強くないやろ。非オカルト組やし』

(……タコス神と姿が似ているってだけでめっちゃ不安や)

 

テレパシーを使う知恵は副将戦、振り込まずに手堅く稼げる局で稼いだが鳴いて速攻を仕掛けるスタイルの新子憧とは相性が悪く、対面だったために鳴けないよう牌を絞ることも難しかったため、吉野山小に1位を許してしまう。もしも次鋒戦で吉野山小が1位だった場合、怜に出番が来ることはなく副将戦の時点で吉野山小が3勝し優勝していた。

 

しかしながら大将戦を迎えた時点で吉野山小は2勝。総合得点もまだ1位の石連寺小と2位の吉野山小で3万点差開いているため、怜が負けない限りは石連寺小が優勝する。そして怜は席決めの際から未来視を使用し……吉野山小の大将、鷺森灼の対面へと座った。

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