『んー、1位の北野中とは8万点差ってかなりキツイで』
(竜華がとれだけ稼げるかやけど……宥姉いるしどこも区大会は勝ち抜いて1回戦を勝ち抜いている所やから他2人も弱くはない感じや)
『……副将までで飛び決着だけは避けて欲しいな』
(竜華と宥姉が暴れたらワンチャン天満西は飛ぶやろ)
先鋒戦のオーラス。セーラの配牌は赤五筒があり、ドラが五筒のため最低限の火力が保証されている状態。配牌はかなり良く、高い手も狙えそうだったが、北野中の藤白が2巡目にリーチをする。藤白のリーチから、圧を感じたセーラは……このリーチの待ちが、それほど良くないことを察した。
「そのリーチ、待ち良くないやろ」
「あ?」
「俺の友達がよう言うとるんや。
リーチかけたらただの振り込みマシンってな」
「お前……今の点差分かって言ってんのか?」
「どんだけ点棒失っても、高い手で上がったら全部ちゃらや」
「……そういうことは一度でも高い手で上がってから言え」
藤白の早いリーチに対して、城坂と菅原はベタ下りを選択。一方のセーラは、これまで通り危険牌でも構わずに切っていった。そうこうしているうちにドラの五筒が重なり、一盃口もつく。安い手の可能性を切ることで、高い手になっていく姿は、本来のセーラの麻雀そのものだった。
「今のセーラの言葉……何の根拠もないやんな?」
「いや、一応あると思うで。
藤白さんは早い巡目でリーチすることが多いんやけど、待ちが悪いことも多い。
そういう時藤白さんは、圧をかけるんや。相手に下りを選択させるためにな」
『そういう駆け引きが上手いからしんちゃんレベル100なんよなあ。
……しんちゃんもバスケ部行かんと麻雀続けたら良かったのに』
(しんちゃんああ見えて優しいから藤白みたいに口撃は出来ひんやろ。……おお!?セーラがツモ切りリーチするで!?)
聴牌してからリーチをかけていなかったセーラは、怜のようにツモ切りリーチを行う。……怜のように、未来が視えているわけではない。ただ漠然と、セーラの中で「こうした方が高い手で上がれる」という感覚があっただけだ。その感覚に従い、ツモ切りリーチをすることで、セーラは一発ツモを呼び込む。
「ツモ!
リーチ、一発、ツモ、混一色、一盃口、北、中、ドラ3……裏2。数え役満や。8000・16000」
役満を上がる未来を視た怜は、ホッと一息つき、セーラの役満和了に合わせて竜華と抱き合って喜ぶ。これでセーラは原点近くまで点を戻し、1位との差を大きく縮めた。と言っても、順位は3位。桜花女子は東1局での貯金が多く、またオリを選択するようになってからは直撃の被害を免れていたため、役満を上がった千里山中よりも順位が上である。
北野中学校 136300点
桜花女子中学校 115900点
千里山中学校 93300点
天満西中学校 54500点
この時点で、1位との点差は4万3000点。あまり点差をつけることが出来なかった事に藤白は舌打ちし、セーラも結局リベンジを果たせず原点まで持ち直せなかったことを悔やむ。次いで次鋒戦は千里山の室戸が桜花女子に大きく振り込むシーンもあったが、1位の北野中から直撃を奪うなど奮闘し総合収支はマイナスだったものの、1位との点差は若干縮まった。
中堅戦が始まった時点で、天満西の点棒は4万点を下回っていた。ここから先、万が一親の役満や3倍満が直撃した場合、そこで試合終了となる。そこで竜華は、天満西にわざと振り込みを続けることで融資を行った。満貫に、親の跳満に振り込んでまで融資をする竜華を見て、控え室では先輩達も心配の声を出し始める。
『……宥姉に先制パンチ食らって天満西から役満を上がっても逆転は無理になってしまったから融資は分かるんだけど、与えすぎやない?』
(ここから巻き返すのが竜華やろ。……何で宥姉また萬子だらけの手を作ってるの?)
『あったかい牌率今のところ100%ちゃうか?たまに索子が来ても七索や赤五索やからな。
能力を最初からフルスロットルで使っとるやろこれ』
(……あ、北野中終わった。何でそこで六萬切るねん。うわ裏3乗ったたっか!?)
中堅戦の中盤で、北野中が桜花女子に三倍満を振り込み、そこで桜花女子が1位となる。南場に入って竜華は超集中モードに入り……配牌やツモ運が良くなって跳満や倍満を上がり始めるが、速度で宥に差し込まれ思い通りには稼げなかった。
「……あいつやっぱし強いな」
「まあ全小6位やし。あの松実玄の姉やし。
鳴き混一色の速度が早いわ。萬子の混一色が見え見えやから誰も振り込まへんけど、ツモってくるしな」
桜花女子中学校 146600点
千里山中学校 130600点
北野中学校 79500点
天満西中学校 43300点
中堅戦終了時点で1位を取れなかったものの、点差は1位と16000点差まで詰め寄る。絶望的な差ではなく、前向きに1位を取ってくるわと意気込んで出ていく間枝を見て、怜は天満西が桜花女子に飛ばされないことを祈った。