超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第56話 ドラ待ち

葉子と玄の対決は、葉子のドラ単騎待ちリーチから始まった。……つまり葉子は玄からドラを奪い、手牌に抱え込んでいる。そのことに玄も気付いており、玄は必死に自分の元へドラが集うよう願っていた。

 

『玄ちゃんたぶん葉子に苦手意識持っとるな』

(ドラ全てが、全部手牌に入るのが玄ちゃんのオカルトなんやけど……こういうオカルトってオカルト同士の戦いになるとオカルトの強度の戦いになるしなあ)

『例えば、天和確定時のハーベストタイムの時にあわあわが絶対安全圏を発動したらどうなるか。

……たぶん、ハーベストタイムが勝つ?』

(勝つやろな。……ラス親で天和確定したら連荘で100%負けは超怖いわ)

 

能力同士がぶつかった際に、勝つのはオカルトがより強い方だ。怜が例として考えた天和ハーベストタイムも、例えば南4局でリザベーションが成功していた場合、そちらの方に軍配は上がる可能性が高い。

 

1年前の団体戦決勝、葉子の手牌にドラが来ることはなかった。玄よりも能力の強度が低かったためであり、得意であるドラ単騎待ちリーチが出来ていなかったのだ。しかしながら今年、葉子はドラを1つだけだが保持出来るようになり、ドラ単騎待ちリーチで上がることも出来た。今千里山中学で、一番成長しているのは葉子である。

 

「ドラがいっぱい来るとかええなあ」

「いやセーラも普通よりドラ来る確率高いから偏ってるんやで?葉子や玄ちゃんほどじゃないけど、セーラも十分おかしい側や」

「そうか?」

「そうや」

 

セーラと怜は、葉子がリードし始めた対局を観戦しながら雑談をする。試合はその後、竜華が玄の手牌から溢れる牌を狙い撃ち、2位に浮上したところでオーラスに入った。そして怜達の後ろに、怜達へ圧を放つ存在が到着する。この合宿を企画した1人である龍門渕透華と、天江衣だ。

 

「随分と奇幻な手合いが多いではないか。透華よ、来た甲斐があったな」

「ころたんおひさ。

今日は玄ちゃんと打ったらあかんからな?」

「……むー」

「衣は今玄さんと打ったらルール違反になってしまいますわよ。

……野上さんと玄さん、表からでも2人の気配を感じました」

 

この世界の麻雀の打ち手の中には、遠くからでも麻雀が強い人間を察知することが出来る者がいる。葉子も玄も、透華が冷や汗を流すぐらいの強者になったんかと思いながら観戦していた怜は、とんでもない光景を目の当たりにする。

 

『あっ……これは部長がヤバい』

(……葉子の方へ行こうとするドラを玄ちゃんが捻じ曲げて部長に渡したけど、部長はリーチ中やからそれを切るしかないわけで)

「ロンや!」

「ロンなのです!」

「ロンです!」

(……トリロンがないインターミドルのルールで良かったな!)

『全員倍満以上で草』

 

葉子がドラ単騎待ちリーチを行い、ドラを手元へと呼び寄せるが、それを玄が捻じ曲げて葉子にドラを渡さないよう妨害する。結果、曽根崎に来たドラを、曽根崎は打牌するしかなく……竜華、玄、葉子の3人からロンという声が発せられた。

 

もしもインターミドルのルールがトリプルロンありだった場合、曽根崎はこれで飛んでいたがインターミドルにトリプルロンはない。頭跳ねもなく流局扱いのため、曽根崎は命拾いし……その後、葉子の手によって飛ばされた。

 

「さっきのトリプルロン、竜華は部長にドラが入ることが分かってたん?」

「んー、葉子ちゃんへ向かうドラを玄ちゃんが捻じ曲げる気がしたから一応ドラでも上がれる形にしたって感じやな」

『……竜華、未来予知してへん?』

(いや、あくまでも想像での未来予知やからちゃんとした能力やないで。どちらかというと技術なんやけど精度がおかしいわ……)

 

竜華は超集中モードを縛っていてもしれっと2位を確保し、玄は3位。点数としては僅かな差だったとはいえ、超集中モードを縛っている状態で2位を確保したのは地力の高さを示しており……先ほどまで玄に飛ばされまくっていた千里山の上級生達は、改めて竜華と葉子が強いことを再認識した。

 

この対局の後、玄と葉子は5回面子を変えながら打ったが順位で考えれば葉子の4勝2敗であり、総合収支では玄の方が上だった。そしてセーラは竜華、怜、衣という化け物卓に放り込まれ、ひたすらサンドバックとなっていた。

 

(……ボッコボコにされる度に不敵に笑うセーラはちょっと格好良いわ)

『衣の支配下でもたまに聴牌出来とるし、成長出来てる実感あるんやろうな。

……っと、竜華も聴牌ということは4人聴牌やな。

海底の牌がずっと視えへんということは……上がるのは衣か』

(うげ、回避出来なくなってから海底牌が視えるようになったけど簡単に倍満を上がるなや)

 

夕食の時間まで、面子を変えながら麻雀を打ち続けた怜達は、松実館の温泉に入って休息を取る。……その時、怜はあまりにも成長し過ぎている竜華の双丘を間近で見て、その圧倒的な差に絶望した。

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