超強化怜(贋)   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第57話 予告

合宿は2日目に入り、衣と玄が同じ卓にならないように順番に千里山中学の面子が勝負を挑んでは散っていく。部長の曽根崎や副部長の間枝は、怜達が異常すぎるだけだと思っていたが、これが全国クラスの打ち手かと自分たちの実力のなさを痛感した。

 

「……全国大会に行けば、松実さんや天江さんと同クラスの人間がゴロゴロいる、と?」

「いや玄ちゃんもころたんも全国最上位クラスやから、ここまでの人はそんなにおらんやろ……と思いたいけど、インターミドルはうちも初めてやからなあ」

『少なくとも戒能さんは衣や玄と同クラスというかちょっと上やろ』

(原作で宮永照を負かせた女は伊達じゃないで。一昨年、去年とインターミドルチャンピオンやしな。

……あー、その宮永照も出てくるから結局上位陣は化け物揃いやろなあ)

 

曽根崎は怜に声をかけ、このクラスがゴロゴロいるのかと問うが、流石にこのクラスの化け物がゴロゴロ出てくることはないだろうと願望を口に出す怜。……少なくとも戒能が率いる大生院女子中学と当たることはほぼ確定しており、個人戦では宮永照が勝ち上がってくる予想を立てる。……怜に、絶対に勝てるという自信はなかった。

 

沢山麻雀を打った合宿はその後、麻雀に関係のない卓球大会や花火大会へと移行し……そこで怜は、数多に分岐する世界線を視て、葉子が竜華に告白する場面を垣間視た。視てしまった。

 

告白と言っても、愛の告白ではない。……葉子が、また東京へ引っ越すということを竜華に告げる場面だった。現時点で既にほぼ決まっていることのようで、葉子は言い出そうか悩んでいたのだ。

 

(……えっ?)

『あー、元々東京からこっちに転校して来たのも父親の仕事の関係やし……。

……2学期が終わった段階でもう東京引っ越すんか。辛いなあ』

(うそ、やろ……?)

『あほ今泣くなや葉子にも勘付かれるやろ!?

あと一番辛いの葉子やろこれ』

 

「怜、どうしたん!?どっか怪我したんか!?」

「……怜さん、もしかして視ました?」

「みたって何を」

「葉子は、2学期が終わったら、引っ越すん?」

「……ええ。まだ正式に決まったわけではないみたいですけど、少なくとも千里山中学で2年生になることはないとのことです」

 

怜がポロポロ涙を流し始めると、慌てる竜華に、怜に察せられたことを察する葉子。取り乱す怜を見て逆に落ち着いたのか、葉子ははっきりとした声で、転校することを告げた。

 

「大阪に来たばかりの頃は帰りたい帰りたいって毎日言っていたのですが……その時から『数年で東京に帰るから』とは言われていました」

「……残ることは、出来ひんわな」

 

怜に残ることが出来るか問われ、首を振る葉子。空気が沈むが、既に一度転校を経験している葉子は、努めて明るく振る舞う。

 

「転校先は東京ですし、怜さんや竜華ならこれから何度も東京に来ますよね?もう二度と会えないわけではないですよ」

「よーこひゃん……」

「たとえ離れ離れになっても、ずっと友達ですよ」

 

怜に釣られて竜華も泣き出し、既に別れの挨拶のようになっているが、少なくとも今年のインターミドルは葉子も千里山中学から出場する。総当たり戦の結果次第では葉子が団体戦メンバーから外れる可能性もあるが……個人戦では既にインターミドルへ出ることが確定しており、玄に競り勝った葉子であれば、まず間違いなく総当たり戦も5位以内だ。

 

『……勝手に千里山女子まで葉子ちゃんがついてくるとか思ってたけど、そんなことあらへんかったな』

(東京ってことは……もしかして葉子が白糸台へ行くルートもあるんやろか?一応照が来る前もそれなりには強豪校やし……)

『それ以上に臨海の監督が目を付ける可能性。というか麻雀が強かったら全国から誘いがあるからなあ』

(まあ選択肢は幾らでもあるやろ。それこそ千里山女子は寮もあるし、もしかしたら……ああああああああ!何で葉子が引っ越さなあかんねん!)

『……引っ越さないように未来改変出来る?』

(無理や。というかもしそれが出来るならうちは人をやめとるやろ)

 

葉子の引っ越しの話題はセーラにも伝わり、セーラは単純に強い面子が1人いなくなることに悲しんだ。来年以降は、葉子がいなくなる前提でレギュラーを組む必要がある。

 

『……一部の2年生の先輩達はやる気出したかもな。葉子がいなくなったらレギュラー枠が1つ空く。今までやったら残り1枠やったのが、2枠になったのは大きいで』

(どう足掻いても葉子の穴は埋まらへんけどな。

いや葉子が居なくても全国には行けたんやけど、全国勝ち抜くなら必要やで。

というかうちより竜華の方がショック受けてへん!?)

『いや怜と同程度だと思うぞ。

怜の方が最初は取り乱してたし』

(……しゃーないやん、まさか引っ越すとは思わへんかったし)

 

合宿2日目の夜は葉子を囲むように、怜と竜華が葉子と同じ布団に入ってくっついて寝た。なお、あまりの暑さで飛び起きた葉子は「気を遣ってもらわなくても寂しくなんてないです!」と言い、その後の合宿3日目も気丈に振る舞った。

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