インターミドル団体戦、千里山中学は2回戦からのシードであり、なおかつ優勝候補である大生院女子中学とは反対の山に入ったため、ベストな位置と言える。シードのため、1回戦の様子をゆっくりと見ることが出来るのだが、怜は案外1回戦はレベルが低いと感じた。
(……大阪府大会の準決勝や決勝の方が強かったな?)
『まあ人口考えたら1県1チームの時点で大阪は激戦区やろ。インターハイやと南北に分かれるしな』
(何で二分割されてる都道府県が北海道だけやねん)
『広いからや。北海道は南北で分けても集まるのが大変やろ』
インターミドルは1回戦から2位以上が勝ち抜けであり、48校、32校、16校と減っていく。千里山中学としては、4回勝てば優勝である。怜は竜華の部屋に入り浸っており、そのままインターミドルの観戦を始めた。
『生立ヶ里中学って見たことあるな』
(リザベーションのところやで。
白水哩、1年生の時からエースやってるんやな)
『あー、確かこの人中学時代は2年生から部長やってたらしいしそりゃ1年生エースやろな』
(この人自身には何のオカルトもないのがびっくりやけどな。
……いやまあ基本的に配牌とツモはええんやけど、それはそれとして防御が上手いわ)
1回戦を1位で突破した1年生エース白水哩が率いる生立ヶ里中学と2回戦で当たることが確定したが、怜としては先鋒の白水哩以外、そこまで強そうには見えなかった。まだリザベーションを受け取る相手である鶴田姫子はおらず、特異な打ち手が存在しないからだ。
「明日から2回戦で、要注意な戒能さんがいる大生院女子中学は1試合目やな。
怜は何度も戦っとるけど……怜と何度も戦ってるってことはめっちゃ強いやんな?」
「めっちゃ強いで。神様憑依させてるし」
「……獅子原さんみたいな感じ?」
「あれよりヤバいから、決勝は葉子とうちを交代させるのもありやと思っとる」
団体戦の1回戦と2回戦が別日のため、インターミドルは小学生の大会よりも優遇されており、インターハイよりかは軽視されている。2回戦にもなると一気に試合開始とはならず、順番に試合をしていくが、2回戦は合計で8試合あり、1日で実施するのはその半分の4試合だ。
『テレビやと、1組目と2組目が別のテレビ局で放送しとるから観戦も楽やな』
(全小は一気に試合しとったからなあ……。
……インターハイは、1日1試合やからかなり時間かけてるんやな)
『半荘1回と2回の差は大きいで。
……龍門渕中学が来年出てくるなら、山の最初の方へ行くことを願っておこか』
(くじを引くの、たぶん運が良い透華やからなあ……)
「怜は今日の晩御飯何食べたい?」
「うーん……イタリアンのとこ?
部長達はたぶんバイキングやんな?」
「たぶんやけどな。
あ、イタリアンのとこ葉子とセーラも来るって」
「じゃあ準備しよか」
インターミドルの開催期間中は宿泊費の他に滞在費が出されており、食事についてはホテルに併設されているレストランや近くの飲食店で食べることが出来る。基本的には併設されているレストランが、バイキング形式で美味しい食事を提供しているが、ホテル暮らしが長くなってくると外食する選手は多い。
1回戦の観戦が終わり、1年生4人組でホテルのすぐそばにあるイタリアンレストランへ行く怜達は道中、小鍛冶プロと遭遇した。
「げっ」
「げって、なんで毎回私を見るなり嫌そうな顔するかなぁ!?」
「いや天敵ですし。あと圧かけてくるのやめて下さい」
「……んー。後ろの3人、世界ジュニアに興味ある?」
「その話を今するのは早くないですか?」
元々インターミドルの解説役として呼ばれた小鍛治プロだが、10月に行われる世界ジュニア選手権。そのメンバーを発掘することも仕事に入っている。そのため、小鍛治プロは怜達を威圧し……怜は受け流し、竜華は耐え、セーラは仰け反り、葉子は震えた。
(ああ……セーラと葉子の顔が咲を見かけた時の阿知賀面子とそっくりや)
『竜華と葉子はまだ耐えとる方やな。あと街中でいきなり威圧してくるの怖いわ、戦闘民族過ぎるやろ』
(まあでも強者か否かを見分けるのはこれが一番手っ取り早いし……尖ってる頃のすこやん本当に怖いわ)
『今は解説も結構怖い方なんやけど、あと数年で慣れてふくすこコンビを……組むのかな?もう何か原作通りに行ってる方が珍しくなって来たし分からん』
「今ので疲れたのでなんか奢って下さい」
「インミドの選手は食事券あるでしょ?」
「……そやったインハイ出てたんやったこの人」
「幼い頃から思ってたんだけど怜ちゃん私にだけ辛辣じゃない!?」
何だかんだで対局数が多いこの2人。昨年度は欧州選手権の準々決勝でぶつかり、怜が負けている。一見和やかな雰囲気で仲良さそうに喋ってはいるが、互いの背中からどす黒いオーラが漏れているような光景を幻視した他3人は素直にこの2人のことを怖いと感じた。