ホテル近くのイタリアンレストランで鉢合わせした怜達と小鍛治プロだったが、軽く談笑した後は別々に店内に入り別々の席へと移動する。
「怜って小鍛治プロと仲悪いん……?」
「うちが嫌っとるだけや。
……竜華もいつか同卓するかもしれへんけど、竜華は相性ええかもな」
(竜華のサーモグラフィーは流石にパクれる能力ちゃうやろ)
『いや、あの化け物は奪うやろ。そういう能力やし初見はまず防げへんわ』
インターミドルはインターハイと比べれば扱いが落ちるが、選手への配慮は手厚い。例の食事券でこのレストランではメイン料理&ドリンク&サラダのセットが食べられるため、怜と竜華はパスタを、セーラはピザを、葉子はパエリアを注文し、互いにシェアし合った。
「……あれ?パエリアってスペイン料理やんな?」
「せやな。
うちらの注文したパスタもスペイン産の生ハムを使用したパスタやし……」
「俺の注文したピザもスペイン産イベリコ豚を使用したピザやな」
「スペインに乗っ取られていますわね」
怜達4人は注文後に改めてメニュー表を確認し、このイタリアンレストランがスペイン料理の店だと認識したところで来た料理を美味しく食べ始めるが、その途中で先ほどの世界ジュニア選手権の話になる。
「そもそもうちらって世界ジュニア選手権に出られるん?」
「一応13歳とかで出ている子もいるし、うちが世界選手権の方に出えへんのやったら世界ジュニア選手権の方にはねじ込まれてたやろな」
「……怜から見て、俺らが世界ジュニア選手権に出て今勝てる可能性ってどれぐらいや?」
「んー……竜華でも1位で対局が終わることはあんまりないやろな。
弱い国の代表相手にはまあ勝てるやろうけど、ヨーロッパの国は最低でもころたんや玄ちゃんクラスが出てくるで」
『誇張抜きで玄ちゃんクラスが最低ラインやからな』
(衣は満月の夜やったらかなり勝てるやろうし、優勝も視野に入るけど……調子の波が激しいからなあ)
世界ジュニア選手権は19歳以下が条件であるため、竜華達も代表メンバーに選ばれれば出場することはできる。ただし、基本的にはインターハイで活躍した選手が選ばれるため、怜にも世界ジュニア選手権の話は来たことがない。
「世界ジュニア選手権は毎年だけど、世界選手権って4年に1度だし世界選手権に出る年以外は世界ジュニアってことは出来ひんのか?」
「世界ジュニア選手権に出た後に世界選手権に出るんやったら分かるんやけど、うちの場合来年の世界選手権に出た後に世界ジュニア選手権に出ることなるからなあ……あんまり良い目では見られへんやろな」
「あれ?今年の世界ジュニアは?」
「全米オープン出るから無理や。
ジュニアの方と全米オープンは日程被ってるねん」
セーラや竜華の質問に答えつつ食事を進める怜は、思っていた以上に量があることに気付き、そっとセーラのピザをセーラの方へと押し返す。……サラダだけでもそれなりにボリュームがあるこの店、メイン料理は大きな皿に載っており、パエリアやパスタだけで満腹になる怜達は消化し切れないことを悟る。
「……まあ選手たちに腹いっぱい食べてもらいたかったんやろな。竜華はまだ食べれる?」
「うちも無理や。ありがたいことやけどお腹壊してもアレやし、持ち帰ろか」
「最後に一切れだけ食べるからちょっと待ってや」
「注文した責任感じんでええねん!?持って帰って夜食にでもしたらええやん」
結局夜食用にピザを持ち帰る選択をした怜達は最後に店を出る際、再度小鍛治プロから声をかけられ……明日からの試合を頑張るようにと応援された。
『……インターミドルでの活躍次第で、竜華達が世界ジュニア選手権にワンチャン招待って感じやな』
(呼ばれるとしたらオカルト強度が強くなってる葉子が一番可能性あるんとちゃうか?竜華は地力が強いし全牌把握もあるから間違いなくインターミドルでも全国最上位クラスやけど……国際大会で活躍できるのはまだ怪しいで)
『でもそろそろ未来視出来そうなんやろ?』
(まだ0.8ライザやからあともうちょいちゃうか)
『あの太もものお肉がニーハイにのってるレベルのむっちむちな太ももが必要なんか!?』
怜はこの言葉で、インターミドルの結果次第では竜華達が世界ジュニアに出る可能性があるということを認識し……現段階では竜華よりも、葉子の方が必要とされる可能性もあると考える。まだ中学1年生、竜華も伸び盛りであることを考えれば、インターミドル期間中に急成長する可能性もあるため竜華やセーラが選ばれることもあり得るだろう。
そして怜は、そろそろ竜華の太ももに怜ちゃんパワーなるものが溜まり始めていることを感じており、竜華側も最近は毎日怜を膝枕しているため、怜を膝枕していない時でも「太ももに怜を感じるようになった」と言い始めた。
中学1年生。元から発育の良かった竜華も成長期に入り、日々太ももは大きくなっている。そろそろ竜華の傍へ、幽体離脱出来そうな感覚も掴んでいた。