インターミドルの団体戦決勝は、怜が他家から3900点のロン上がりをしたところから始まった。怜は本気だが、全力ではない。出来れば個人戦に向けて、余力を持って勝とうとしている。
『まあ互いにこの後、個人戦もあるし……事故でも起きん限り個人戦決勝でも戦うんや。出し惜しみする場面もあるやろな』
(それで出し惜しみして団体戦優勝出来ひんかったら意味ないやろ。
……にしてもこれ、何の神様を降ろしとるんや?)
『戒能さんの配牌は結構バラバラだったし、ツモも普通やった。
もしかして、降ろしてないとかそんなわけあらへんよな?』
(あ、未来が見えんくなったから変な神降ろしたわ)
『ちょいと起動に時間かかってたな。
こりゃ何か来るで』
東二局。戒能の親番で怜は未来視が使えなくなったため、妨害系のオカルトを受けていると認識する。似たようなことは獅子原にホヤウカムイを受けた時に体験しており、何ならその後のエキシビションマッチで戒能からは同じオカルトを受けている。
世界大会を含めれば、未来視が使えなくなった回数はかなり多い。こうなった時、怜は甘んじてそれを受け入れるか、無理やり打破するか。今回は、後者を選択した。
(神様か何か知らんけど、未来視させて貰うで)
『消耗めっちゃキツイんやけど。流れるプールで逆らうくらいキツイ』
(それなら楽勝やん。
あー、視えて1巡先かいな。ちょっと改変は難しそうや)
『1巡先でもアドバンテージとしてはかなり大きいんやけど……げ、戒能さんが清老頭やん』
(回避は……無理か。バケモンやないかい)
無理やり未来を視た結果、1巡先を把握できるようになるが、それで怜は戒能の役満上がりを視る。改変は間に合わず、結果的に戒能は親の役満を上がり、一気に他家と6万点以上の差を付けた。
そのまま連荘するかと思われた東二局1本場は、戒能が再度鳴いて清老頭を狙いに行くが、一向聴の時点から怜が全力で妨害し、結果怜が鳴き混一色で8000点を戒能から上がる。その時、怜は戒能がかなりしんどそうにしていることに気付いた。
『あー……神様2人降ろしてますわこの人』
(妨害しながら清老頭2連続はおかしいやんと思ったけど、相当無理してそうやな。
……個人戦もあるのに全力全開やん。誰や出し惜しみするかもとか言った奴は)
『いや出し惜しみはするかもしれへんかったし……じゃあこう、思いっきり圧かけられない?あと次は親番やし未来改変する?』
(能力抑えられてる状況で改変出来るかは分からへんけど……やってみよか)
東3局の怜の親番で、怜は牌の書き換えを行う。幸い配牌は最初から良く、4牌を書き換えるだけで七対子が完成した。そしてこの書き換え中に、戒能は吐きかけた。怜の力を抑え込むことに失敗したからだ。
「……天和、役満や」
戒能が役満を上がった後に、怜も役満を上がったことで他家の2人は絶望顔となる。すでに怜と戒能相手に、6万点以上の差が出来ているからだ。もしもこれが団体戦でなければ、2人は既に飛んでいる。……そしてこの大きな差は、更に開くこととなる。東3局1本場で、怜はダブルリーチからの一発ツモを披露。裏ドラが乗り、倍満となった。
(はー、天和連荘は無理やったわ。めっちゃ疲れたし普通の未来視にもモザイクかかっとるで)
『天和が出来てたら戒能さんも絶望しとったんやろうけど、戒能さんに防がれた形やな。本来ならあともう一牌は書き換えられたのに』
(まあダブルリーチしたらそのまま一発ツモやったし、無理せんでも良い場面やったな)
『現状、戒能さんは相当消耗しとるで。最初から飛ばし過ぎや』
将来的には、日本代表クラスのプロ雀士となる戒能。しかし今はまだ中学生の上、0歳児からオカルトを鍛え上げている怜のオカルト強度は世界トップレベルであり、簡単に抑えられるものではない。二つの力を使おうとした結果、どちらも中途半端となり、怜を抑えるための力は簡単に突破されてしまった。
そこから先は、単純な殴り合いだった。怜と戒能が高い手でツモ上がりを続けた結果、怜はこの半荘で8万点を、戒能は4万点を稼ぎ……残りの2校は、5万点を下回る結果となった。
『よし、これで部長さえ大失点しなければ……』
(フラグ建てるのやめえや!?)
『いやまあ次鋒にオカルト持ち居らんかったし最悪でも-3万程度やろ』
(-3万か。たとえオカルトがなくても全国決勝となるとみんな配牌やツモがおかしいもんな……)
次鋒戦は怜の予想通り、曽根崎が失点を重ねていき、しかしながら、-20500で済み1位をキープ。以降はセーラ、竜華、葉子と盤石な体制の千里山中学は、インターミドルの決勝で大いに稼ぎ、無事に優勝を果たした。
なお団体戦のMVPは決勝戦の先鋒で活躍した怜よりも、出場した全ての試合で結果を残し、準決勝までは先鋒として他校のエースを蹴散らし、決勝戦も最後に他家を飛ばして決めた葉子が選ばれた。