インターミドルの団体戦で千里山中学があっさりと優勝を決めたため、怜としては物足りなさを感じると共に、来年葉子の抜ける穴は大きそうやと戦々恐々とする。優勝後のインタビュー等は葉子に集い、また悪い意味でインタビュー慣れしている怜と竜華は上手く部長の曽根崎に擦り付けて個人戦の準備を行う。
『照対策のお時間』
(準々決勝、準決勝、決勝は同日にやるから、個人戦は牌の書き換えをいつ切るかやな。
……照相手に準決勝とかでやるなら確実にその場で照は蹴落とさんと辛いわ)
『……でも荒川憩のあのオカルトで原作照相手に殴り返せてるし、原作の怜も上手く牌を掴ませることは出来てた。未来改変してこないレベルやったら何とでもやりようはあるんとちゃう?』
(フラグ建てんといて……)
今年のインターミドルの個人戦は3日間に分かれており、予選の1日目と2日目で半荘を合計20局戦い、上位16名が決勝トーナメントへと進出する。形式としてはリオデジャネイロ東風フリースタイルと近いが、今回重要なのはオカ・ウマがないこと。
大阪府大会ではあったオカがなくなったことで、1局毎の順位に拘る必要性がなくなった。オーラスに無理をする必要がなくなり、僅差の試合は僅差のまま集計がされる。
「インターハイの個人戦は予選で3日間やるのになぁ」
「インターミドルも数年前までは午前数局、午後決勝卓って形やったからだいぶ恵まれてるんやで」
「午前数局ってことは……順位最優先なん!?」
「そやで。
まあルールはわりと変わるもんやし、少なくとも2日間戦えるのは幸せなことや」
2日目終了時点で決勝トーナメントに進む16人が発表されるため、2日目終了後に対戦相手のことをしっかりと調べる時間さえある。怜が小学生の頃よりも、さらに麻雀がメジャー化しているなと思いながら、竜華と分かれて怜は対局室へと向かった。
『全国から集まった256名の猛者。そこから半荘20回で上位16人が決勝トーナメントってなると結構稼がんとあかんやろな』
(大阪府大会の時のように舐めプをして、決勝トーナメント行けませんでしたは格好悪すぎやしな。
……この方式って、たぶん照が1位なるんとちゃう?)
『いや、竜華も葉子も相当点数は稼ぐようになったし、セーラもこの形式なら通過してくるんとちゃうか?
……戒能さんとか藤白さんとかもいるから相当稼がなあかんで』
1日目は怜が警戒していた相手と当たることなく、無事に全対局で1位をキープする。ただし相手もそれなりのオカルトを持っていたり、純粋に強い人などもいたため、全対局で対戦相手を飛ばしたわけではない。
1位 園城寺怜 +376
2位 宮永照 +331
3位 清水谷竜華 +300
4位 戒能良子 +279
5位 野上葉子 +255
6位 江口セーラ +246
7位 藤白七実 +232
8位 藤原利仙 +221
9位 松実宥 +209
10位 愛宕洋榎 +189
トップ10位までの成績を見たところで、怜は気づく。1年生が多いことと、結局千里山中学の1年生4人組がトップ10に入っていること。怜はこの調子であれば、照や戒能と準々決勝で当たることはないと安心した。
(上位同士でぶつかったところとかもあるし、戒能さんとセーラと葉子が同卓してたとかその卓に入ってた残りの1人が可哀そうやで)
『……地味に大阪勢は12人中7人も決勝トーナメント進出圏内やしやっぱ魔境や』
(原作からして北大阪代表も南大阪代表も準決勝まで勝ち上がっとるし……)
『阿知賀と清澄がいなかったら両方決勝行ってた可能性大やしな……』
そして予選2日目で、怜は藤白とぶつかる。地味に戦いたかった相手であり、本気でぶつかってくる場合、藤白がどういうトラッシュトークをかまして来るか怜は楽しみにしていた。
なお「そんなズルして楽しいか?」「お前のせいで麻雀やめた奴何人いるんだろうな」「単純に性格悪いわ」と的確に怜へボディブローを叩き込んだ藤白は、怜にひたすらロンされ続けて飛んだ。
怜も怜で「弱いから口で誤魔化すことしか出来ひんのか」「何でその牌切れるんやろなあ?」「お前みたいな弱いやつがリーチかけたら振り込みマシーンやで」などと煽り返しており、どっちもどっちである。その後、藤白は調子を崩すが決勝トーナメント進出枠を逃すことはなく、怜も特に調子は変わらず1位を確保し続けた。
『……一番疲れたのは藤白との対局やったな。あれ出禁ならへんのやろか?』
(宮永照を疲れさせた女は伊達じゃないで。うちの能力の阻害が無理っぽかったから口撃路線へ変更したんやろうけど……地味に辛いわ)
『まあ決勝トーナメントでは準々決勝で藤白と宮永照と当たってくれるし、わりと良い位置に行ったな?』
(最後戒能さんが竜華を捲って3位に浮上したしな。
……ということは、準決勝で竜華と戦うんやな)
決勝トーナメントは4で割った時の余りが1、2、3、0の順位同士で準々決勝が行われ、1位がいる卓と4位がいる卓は山の右側、2位のいる卓と3位のいる卓が山の左側となりそれぞれの勝ち上がりが準決勝、決勝で戦う形となる。