1位抜けをした怜の初戦の相手は予選8位の松実宥に、9位の愛宕洋榎。16位の寺崎遊月という面子。見事に全員中学1年生であり、怜達の世代が如何におかしいか証明しているような組み合わせとなった。
(……えー、寺崎さんそれなりにオカルト強いんやけど原作キャラ?)
『阿知賀編に出て来た……かな?
形式聴牌したら上がれるってなんやねんそれ』
(役が無い状態で聴牌した時点で他家を絶対に上がらせない支配力&嶺上開花や海底撈月で上がれるオカルトで、流局させることも結構あるみたいやな)
『細かく稼ぐタイプやけど形式聴牌以降の支配力はまあまあ頭おかしいで』
本来であれば、高校2年生の時にインターハイで15位に食い込む寺崎は、比較的珍しいオカルトを保有しており、牌譜を見れば異常性は一目瞭然だった。役無し聴牌をすれば、数巡後までには必ず上がれる。槍槓や加槓での嶺上開花、海底撈月や河底撈魚での上がりが異様に多い。
なおその能力の都合上、火力がある方ではないが、ドラだけ抱え込んで聴牌すれば上がれるため、いざとなれば火力も出せるタイプである。萬子が偏る松実宥に、予選から振り込んだことが一切ない愛宕洋榎。怜はこの中では鳴きの多い寺崎を操りやすそうだと考える。
『役無しでも聴牌さえしてしまえば良いっていうのは中々に面白いんやけど……能力過信し過ぎやな』
(次巡に六筒を加槓して嶺上開花やけど……槍槓や)
槍槓で寺崎から上がった怜は、その後の親番で松実宥を狙い撃ちし、寺崎の勝ち上がりを狙って愛宕洋榎の順位を落とそうとするが愛宕洋榎は振り込まない。まるで怜の手牌が視えているかのような打ち回しで、放銃を回避し続ける。
『あー……ツモ上がりし続けて寺崎さんに融資する方が良かったかあ……』
(そんでもってこの局は上がられるし、2位の調整は無理やな。準々決勝から順位調整が無理になるとは思わんかったで)
『……竜華の方は、竜華と葉子が勝ち上がって来たみたいやし全員大阪面子や』
(なんなら全員大阪の中学1年生やで。……やっぱおかしいやろこの世代)
2位調整を諦めた怜は、未来視を全力で使って上がりを続ける。小学生の大会から、中学生の大会となり、鼻歌を歌いながら勝ち抜けることが難しくなったことを実感した怜は、準決勝で全力を出し……東2局が来る前に対局を終わらせた。竜華、葉子、洋榎の3人を相手に、配牌ガチャで良い配牌を引き続け、他家の上がりを邪魔しながら最短での上がりを繰り返す。
「……最初のうちの上がりを見て、絶対リーチしないって決めたんか」
「リー棒1本で負けるのは嫌やしな。
……止められる気がせえへんかったわ」
(竜華は流石にうちのこと信用しとるな)
『信用した上で……竜華自身は温存を選択した。
まさか準決勝で一切力を使わへんとはな』
(決勝、しんどそうやな)
『結局予選のトップ4が集まっとるやんけ』
準決勝で、最下位だったのは葉子だった。怜の妨害を潜り抜けながら、2回ドラ待ちの聴牌をし、2回ドラ待ちリーチを行った。怜の未来視を、書き換える可能性のある葉子のドラ待ちリーチ。しかしながら、リーチ後に上がることは出来なかった。
同様に、洋榎も1度リーチした。「どうせ聴牌を未来視で見破られるなら、リーチした方が点数が高くなるからお得やろ」という思考であり、実際上がれるのであればその理論は正しい。しかしながら、リーチ後に上がることは出来なかった。
……竜華は起家の怜が本気になったことを察し、であればこの面子で、この対局に東二局はないと悟った。故にリーチをせず、結局怜は全てツモ上がりで上がり続けたため、リー棒1本の差で勝ち上がった。
決勝戦の面子は、園城寺怜と宮永照と戒能良子と清水谷竜華。この対局の勝者がインターミドルチャンピオンであり、最強の中学生を名乗れる。照と怜は初めての対戦となるが、照側は衣から怜のことをよく聞いており、怜は照のことを原作でよく知っている。開幕は、超集中モードになった竜華の倍満から始まった。
『竜華が倍満の一向聴、戒能さんが跳満の二向聴、照が安手の二向聴。笑えることに、配牌の時点でこれだった上、全員聴牌まで行ってたわ』
(……才能あると配牌が良くなる世界のインターミドル決勝、それも全員オカルト持ちやからしゃーないんやけどこれ欧州選手権の時よりキツイで)
『欧州選手権は準々決勝までしかいけへんかったしな。
……この親番で稼がんときつそうや。サイコロは11で』
(11は……このタイミングや。うわ、照魔鏡!?)
東1局が終わった時点で、照は照魔鏡を使い相手の力を把握する。しかしながら戒能は初手テスカトリポカで回避しており、怜の姿はブレて見えた。故に東1局で見に回ったのにも関わらず、しっかりと力を把握できたのは竜華だけとなる。
しかしながらその竜華の力の本質を見た照は、衣の言う通り化け物の1人であることを再確認する。……温度の違いを視覚で把握できるような人は何人か見たことがあった照だが、まさか麻雀牌を全て熱量だけで見分けられるような存在が実在するとは思わなかったためだ。