しずく照らす光   作:シベ・リア

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みなさんこんばんは!休日いかがお過ごしでしたか?
いよいよ合同演劇会を迎えます!そして今回は前編ということで、本来は1話にまとめてたものを長くなるので分けさせて頂きました!
それでは、どうぞ!!




第2話「たったひとつの思い〜前編〜」

 

 

━━━この胸の奥には、ずっと"変わらない想い"があった。

それはたったひとつの想いであり、願いでもある。

 

 

━━━この想いに向き合うことは少し怖い気持ちもある。

だからその心も"幼馴染"という名前の仮面で隠していた。

でも、もう偽りたくないんだ。

 

 

━━━輝くん。

 

 

━━━しずちゃん。

 

 

━━━私は……

 

 

━━━僕は……

 

 

━━━あなたのことがずっと好きでした。

 

 

 

『しずく照らす光』

 

第2話「たったひとつの思い〜前編〜」

 

 

 

━━━━━紅葉家。

 

━━━━━レッスンルーム。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー………」

 

合同演劇会の本番の日が刻一刻と近づく中、しずくと輝林は紅葉家にあるレッスンルームで、そこの壁一面に嵌め込まれている大きな鏡で動きを確認しながら、しずくがゆっくりと口に出すカウントに合わせてダンス練習をしていた。

今回の演目では舞踏会で主演を任されることになった2人がステージ中央で踊るシーンがあった。スクールアイドルでダンスの経験が豊富なしずくは早い段階で慣れていたが、輝林に関してはその才能を持ってしても中々完璧な習得には至っていなかった。

 

「あ、ごめん……」

「うん、大丈夫だよ。ここもう1回やってみよう」

「うん、わかった」

 

輝林が足を出す位置を間違えてしまい、そこのミスを克服するために2人はそこの少し前からまた練習を再開した。

しずくは演劇のことならばミスを殆どしない輝林が汗を垂らしながら真剣な表情でミスを無くそうと必死に練習している姿が珍しく感じ、内心嬉しい気持ちを感じており、さらにそんな輝林の姿に惚れ惚れとしていた。

 

 

しばらく経った後、しずくの声が静かに響くレッスンルームに扉が開く音がして、2人は出入り口の方に視線を向けた。

 

「2人とも、お疲れ様」

「あ、瞳さん……!」

「お母さん、どうしたの?」

 

入ってきたのは輝林の母である紅葉 瞳(あかば ひとみ)。現在も活躍する演劇役者であり、しずくが憧れる人物の1人でもある。

 

「晩ご飯が出来たから食べるかなって思って。よかったらしずくちゃんもどう?」

「いいんですか!?」

「もちのろんよ。涼ちゃんには私から伝えておくから、早くいらっしゃい」

「ありがとうございます……!」

 

瞳が言った"涼ちゃん"というのはしずくの母である桜坂 涼(おうさか すず)のことである。

瞳と涼も仲が良く、瞳が休みの日には2人でお茶をしたりする程親密な関係なのである。

 

瞳がそう言い残してレッスンルームを去ると、2人はタオルなどの荷物をまとめて食卓へと向かった。

 

 

 

━━━1時間後。

 

 

「ご馳走様でした」

「お粗末さま。しずくちゃん、美味しかった?」

「はい!いつ食べても瞳さんの料理は美味しいです!」

「あらあら、ありがとう。こんなに喜んでくれるとおばさんも嬉しいわ」

「瞳さんの料理は世界一だからな!」

「も、もう……!楓さん、2人が見てるわよ」

「ははは、ごめんごめん」

 

瞳は隣に座っていた夫、つまり輝林の父である紅葉 楓(あかば かえで)の肩を軽く叩きながら、赤く染めた頬に片手を当てていた。

 

「あのさ……子供の前でイチャつくのは辞めてくれない?しずくもいるんだからさ」

「ふふっ、はーい」

 

輝林はそんな両親を見てため息を吐いてそう言うと瞳は笑顔で返事をして、楓は誤魔化すように軽く喉を鳴らした。それを目撃したしずくは頬を少し赤く染めて下を向いていた。

 

「僕、しずく送ってくるから。ごちそうさま!しずく、行こう」

「う、うん!楓さん、瞳さん、お邪魔しました」

「はーい。気をつけてね〜」

「しずくちゃん、またいらっしゃい」

「は、はい!ありがとうございます」

 

輝林は立ち上がって食器を洗面台に運ぶとしずくを家に送り届けるために玄関へと向かった。

しずくは楓と瞳に礼をしてから輝林の後を追うように荷物を持って玄関へと向かった。

 

 

 

「しずちゃんごめんね……」

「ううん、全然気にしてないよ!………寧ろ羨ましいというか……」

「ん?」

「う、ううん!何でもない!」

 

しずくの家までの道中、その会話の中でしずくは小声で言ったことを誤魔化した。

そのしずくの言った"羨ましい"というのは、自分の両親が仲が悪いわけではなく、好きな人同士でそうやっていれることへの羨ましさであった。そしていつか輝林と"そういう関係"になれればいいのになと心の底から願っており、その願いをさらに心の奥に秘めていた。

 

「でもやっぱりダンス難しいね……全然上手くいかないや」

「でもどんどん上手くなってると思うよ。流石輝くんだね」

「ありがとう。しずちゃんも流石スクールアイドルだね。この演劇会の後もダンス教えて欲しいぐらいだよ」

「私でよければいつでも教えるよ」

 

しずくは輝林が持つ演劇の才能に憧れており、それと同じように輝林もまたしずくの演劇とスクールアイドルで鍛えられたダンスの才能に憧れていた。

 

「輝くん、送ってくれてありがとう」

「ううん。僕の方こそ、練習に付き合ってくれてありがとう」

「演劇会成功させたいもん、当然だよ」

「そうだね……!じゃあ、また明日」

「うん、また明日。おやすみなさい」

「おやすみ……しずちゃん」

 

2人はしずくの家の前で挨拶を交わして、輝林はしずくが家に入るまでその姿を見送ってから来た道を戻って行った。

 

 

━━━さぁ、家に帰ったら今日の復習しよう。

 

 

輝林は星空を見上げながらそう思いながら、星々に演劇会の成功を願って足早に帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

━━━━━桜坂家。

 

━━━━━しずくの自室。

 

 

「ふぅ………」

 

帰宅してから入浴を終えたしずくは椅子に座ってひと息をつき、寝る前に復習をしようと思って鞄から台本取り出して読み始めた。

台詞の横にはぎっしりとメモ書きがされていて、しずくがどれだけ練習を重ねているのかがわかり、それは他の人から見ても一目瞭然だろう。

 

しかし、台本を読み進めているとしずくの視界がぼんやりと揺らいできて、余程疲れが溜まっていたのだろうか、そのまま睡魔に身を任せる様に机に突っ伏してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宝石と星が輝く夜に』

 

 

━━━この物語はある国のお姫様と大臣の息子の恋物語。

 

 

リリー王国の王女ラピスとその国の大臣の長男アルタイルは、父親同士が主君と家臣の関係のため幼い頃からよく遊んでおり仲が良かった。そして2人は密かに恋人関係になっていて、夜な夜なメイド達の協力の元密会を重ねていた。

 

「アルタイル……(わたくし)は貴方と結婚したいわ」

「私も同じ気持ちだよラピス。私も貴女とずっと一緒にいたい」

 

アルタイルの父であるベテルギウスは、前王の計らいで他の大臣の娘と政略結婚をされられていたため、自身とは違い子供が好きな人と結婚すること、そして王との関係がより親密になることを望んでいたため、2人が恋仲になれば良いと思っていた。

しかし、国王であるアレキサンドはラピスは他国の王子と結婚させたいと考えており、ラピスとアルタイルが恋人関係であることに勘づいていた彼は、そのことをよく思っていなかった。

 

そんなある日、アレキサンドはついに行動を起こす。

城の庭園でラピスとアルタイルの密会を目撃したところを叱責、そして大臣一家諸共国外追放を命じ、ラピスとそれに協力していたメイド達にも処分を下した。

 

「これは一体どういうことだ?!配下の身に関わらず我が娘ラピスをたぶらかすとは言語道断!」

「違うわお父様!これは……!」

「ええいうるさいわ!一族諸共国外追放じゃ!ラピスもメイドらも暫くは部屋で大人しくしとれ!」

 

翌日、アルタイルは家族共々リリー王国を去り、ラピスはその様子を自室の窓から深く悲しみながら見送った。アルタイルも馬車から城が見えなくなるまで見つめ続け深く悲しんだが、ベテルギウス達と共に処分が国外追放で済んだことに少し安堵していた。

 

「アルタイル……どうして貴方はアルタイルなのでしょう……」

「ラピス……貴女は何故ラピスなのだ……」

 

その数週間後、ラピスを使い早めに他国とより深い関係を築きたかったアレキサンドは、他国の王族を招き舞踏会を開いてラピスの結婚相手を探そうと考えた。

 

「ラピス姫、どうか私と」

「いいえ、どうかこの私と」

「申し訳ございません。気分が優れませんので外の空気を吸ってまりいます」

 

ラピスはこの日に部屋から出ることを許可されたが、例の一件から落ち込んだ日々を過ごしていた。

アレキサンドはラピスの気持ちなど考えておらず、事は順調に進んでいる………そう思っていた。しかし彼には大きな誤算があった。

 

アレキサンドは舞踏会が行われる数週間前、アルタイルらが国外追放されてから数日後に、ラピスの監視や城での仕事に従事してもらうためにメイド達の謹慎処分を解除していた。

しかしメイド達は密かに話し合っており、その計画通りにラピスを幼い頃からお世話していたメイドであるリリスを、アルタイル達が国外追放されたローズ王国へと向かわせていた。

 

「はい……!?って、貴女はリリスさん!?こんな雨の中にどうして!?早く中へ……!」

「アルタイル様!どうか……っ!どうかラピス姫をお救いください!!」

「えっ……?!」

 

リリスにより、ラピスを無理矢理結婚させる為にアレキサンドが舞踏会を開くことを聞いたアルタイル達はそこへ侵入する計画を立て、前々から王の圧政やその他の言動に不満を抱いていたペテルギウスはクーデターをその同日に起こすことを決意した。

 

そんな経緯があり、アルタイルはローズ王国の人やメイド達などの協力の元、国外追放先であるローズ王国の王族と正体を偽り、素顔を仮面で隠してその舞踏会に参加していた。

そしてラピスが外へ出て行ったことを見ていたアルタイルはその元へと向かった。

 

「はぁ……アルタイル……貴方は今どうしているのでしょうか……」

「ラピス姫。どうか私と踊ってくださいませんか?」

「……申し訳ございません。今はその様な気分では━━」

「━━ラピス、一緒に踊ろう」

「っ……その声は……!?」

 

戸惑うラピスの手を取って大広間へ入って行った変装したアルタイルは、ざわめく人達を他所にラピスと共に中央に向かって歩いて行った。

 

「ラピス姫、私と踊っていただけますか?」

「…………えぇ、喜んで」

 

「ん?あの男は……?」

「あの方はローズ王国の王子かと」

「そうかローズの……良いではないか」

 

アレキサンドはメイドから教えてもらったことを信じ、その男がまさかアルタイルだとは全く疑うこともなく、これでリリー王国に並ぶ大国であるローズ王国との関係が強固になること喜んでいた。

その一方ラピスは先程の声、そして共に踊っているこの感覚、その男の雰囲気から彼がアルタイルであると気付いていた。

 

「……貴方、本当に━━」

「━━シッ。周りの方に聞こえてしまいます」

「あっ、そうよね……」

「姫、ずっと会いたかった」

「私もよ。ずっと会いたかったわ」

 

2人は周りに聞こえない様に再会を心から喜び言葉を交わしながら踊り続けた。

 

「姫……私は貴女のことを心の底から愛しております。ずっと貴女のことが頭から離れないほど、貴女のことが好きなのです」

「私も同じ気持ちです。ア……えっと………王子」

 

するとアルタイルはグッとラピスを抱き寄せて、マントで互いの顔が見えない様に隠した。

そうするとアルタイルはラピスの唇に自らの唇を優しく重ね、ラピスもまたそれを受け入れた。

 

それを見ていたアレキサンドの口角が上がった━━━その瞬間、勢いよく大広間の扉が開いた。

 

「アレキサンド!!貴様の圧政もここで終わりだ!!」

『ウオオオオオオオ!!!』

「何っ!?あればペテルギウス?!皆の者!奴等を捕らえよ!!……なっ、メイドは?!兵士はどこじゃ!!??」

 

そこへペテルギウスを始めとした沢山の兵士達が大広間へなだれ込み、アレキサンドは先程まで近くにいたはずのメイドや兵士がいなくなっていることに気が付いて慌てた様子を見せていた。

 

「こ、これは……!?」

「姫、こちらへ……ここは危のうございます」

「あっ……」

 

その様子に気が付き驚くラピスを、アルタイルは彼女を外へと連れ出し、メイド達もまた兵士達に警護されながら外へと脱出した。

 

「アレキサンド王!!お覚悟ッッ!!」

「ペテルギウスぅぅぅぅ!!!」

 

そうして悪王アレキサンドは他国の王族等が見ている前で、自らが陥れたペテルギウスの手によって暗殺され、ここにアレキサンド王の圧政は終焉を迎えた。

 

「━━━ということなのです。なので今頃王は……」

「そうなのね……ですが、これはきっと神がお与えになった、お父様への罰なのですね……」

「姫………いや、ラピス。これでもう私達の仲を拒む者は誰もいません。私と結婚しましょう」

「えぇ、喜んで……っ!」

 

アルタイルは計画を全てラピスに話し、それから結婚を申し込んだ。それを聞いたラピスは自らの父の死を悟りながらも、以前から思うところがあった為それを受け止め、アルタイルからの結婚の申し込みを受け入れた。

そうして2人は互いを見つめ合い再び口付けをした。メイド達はその様子を見て涙を流しながら喜んだ。

このリリー王国もアレキサンド王の死と共に新たな転機が訪れ、ラピスとアルタイルも人生の新たな1歩を踏み出した。

 

その後、ペテルギウスがリリー王国の新たな国王となり、ラピスとアルタイルも仲睦まじく末永く幸せに暮らしましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん。寝ちゃってたんだ……?」

 

しずくは知らぬ間に寝落ちしていたが、目を開けて突っ伏していた上半身起こし、その体を伸ばしながらうなり声を上げた。

 

それからしずくは机の上に置いていた黒いケースに目を向け、それを手に取って蓋を開けた。

 

その中には以前輝林からもらった誕生日プレゼントであるネックレスが入っていた。

それを見たしずくは輝林からネックレスをもらった日のことを思い出して、自然と笑みが溢れた。

 

 

━━━おやすみ、輝くん。

 

 

そのネックレスを見ながら輝林のことを想い、そしてそれをまたケースに直してからベッドで眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━虹ヶ咲学園分校。

 

━━━━━屋上。

 

 

「はぁ……」

 

輝林はお茶を飲みながら屋上にあるベンチでため息をついた。

その理由は練習が上手くいかないからではなく、大和をはじめとした面々からあの時(・・・)に告白しなかったことを詰められて疲れていたからだ。

あの時……しずくと2人で買い出しに行った時、部員のみんなは輝林が告白をする絶好のチャンスだと思っていて、輝林がそれを決行することを期待していた。しかし蓋を開けてみれば輝林は告白はせず、誕生日プレゼントを渡しただけであった。そのことに当然そう思っていたみんなは納得するわけがなく、軽く大騒ぎになっていた。

 

「…………こっちの気も知らないで」

 

輝林は見上げた先に広がる青空に消えて行くような言葉をため息混じりで呟いた。

 

「お、やっぱりここにいた」

「白部先輩……!?」

「隣、失礼するで」

 

そんな輝林のいる屋上に輝林を探している様子を見せた利明が訪れ、そのまま空いている輝林の隣に腰掛けた。輝林は体勢を直して隣に座った利明を驚いた表情で見つめた。

 

「ど、どうしたんですか?」

「ん?いやぁ、輝林ちゃんと話したいなって思ってな」

「話……?」

 

利明は優しい笑みを浮かべながら静かに頷くと、物思いにふける様に空を見上げた。

それから僅かに沈黙の時間が続き、優しく髪を撫でる様に吹く風の音のみが2人っきりの屋上に響いた。

そして輝林がその空気に少し緊張し出した時、利明はその閉じていた口を開いた。

 

「……輝林ちゃんがしずくちゃんに告白しなかった理由、なんとなくわかるで」

「え……?」

 

「実はな、ウチにも中学の時に仲の良かった女の子がおったんや」

 

「は、はぁ……(白部先輩なら何人もいそうな気もするけど……)」

 

「ほんでその子のことが好きやってな……中学3年の夏休みの前に一緒に出かけた時に、告白したんや」

 

「…………」

 

輝林はゆっくりと話す利明の言葉を聞き、その内容を話してくれている理由を察した。それは仲の良い女の子への告白……自分としずくとの件と似たものを感じたからだ。

 

「でも正直怖かった。もしかしたらその子との関係が変わってしまうかもせーへんっていうことに……まぁ、フラれてしもうたんやけどな」

 

「え……?」

 

輝林は正直驚いた。利明の性格ならばその告白は成功したのだろうと思っていたからだ。そんな輝林のリアクションを見てどこか悲しそうな笑みを浮かべた。

 

「はは……意外やったか?ほんでその子に言われたんが━━━」

 

 

『ごめん……利明くんのこと全然"そんな風"には見てないし、正直そんな風に見られてるってことが迷惑やし……ちょっとキモいわ』

 

 

「━━━やってさ。笑うよな……そう思ってたんは自分だけやったし、そんな気は向こうにはなかったんや」

 

「でも、だからってそんな言い方……」

 

「ありがとうな……でもな、それからその子は他の男と付き合うたわ。聞いた話によるとずっと好きやったんやと。そいつは自分とも仲良かったから、きっと近付く理由が欲しかったんやろな」

 

「…………」

 

輝林は思ったより重い話に言葉を失った。

それと同時に利明のことがわからなくもなっていた。何故この人は失敗談を話しているんだろうと。

そんなことを考えていると利明は立ち上がって輝林に背を向けて話を続けた。

 

「ごめんな、こんな話して。でもなウチが伝えたいのはな……輝林ちゃんは違うやろ?ってこと。

自分らの仲は自分とあの子みたいに薄っぺらいもんじゃない。小さい頃からずっと築かれた、めっちゃ親密な関係やと思う」

 

「っ……!」

 

「……やろ?でもその分、関係が変わってしまうかもせーへんっていう怖さは自分の時よりも大きいと思う。だから出来んかったんやろ?」

 

「まぁ……はい……」

 

図星だった。まんまその通り、輝林はしずくとの関係が悪い方向に変わってしまうことを恐れていた。だからこそあの日告白することができなかった。

 

「こうなってしもうたけど、ウチは告白して良かったと思ってるんや。それに後悔もしてない」

 

「え、なんで……ですか……?」

 

「結果的にその子の本性がわかったわけやし、いつかその関係は崩れてたと思うんや。それに引っかかってた気持ちも晴れてスッキリしたし!ブイブイ」

 

輝林は先程とは違って明るい笑顔で右手でピースをしてこちらを見てきた利明に驚いた表情を向けた。そんな輝林を見た利明は真っ直ぐと見つめ返し、輝林も自然とその目を見つめてしまった。

 

「白部先輩……?」

 

「……輝林ちゃん、後悔したままでええんか?」

 

「っ……!」

 

「このまま後悔を残して……しずくちゃんが他の男に盗られてもええんか?」

 

「嫌です!絶対に!……あ」

 

輝林の返答は早かった。きっと利明の言葉に反射的に本音を出したのだろう。輝林自身もそのことに驚き、咄嗟に片手で自分の口に触れた。

 

「……なら後は頑張り。応援しとるで」

 

そう言うと利明は優しく輝林の肩に手を当てて屋上の出口に向かって歩いて行った。

 

「っ……白部先輩!」

 

「……ん?」

 

輝林はそんな利明を呼び止めて、何かを決意した様に頷いて利明のことを見つめた。

利明は優しい笑みを輝林に向かって浮かべながら、何も言わずに輝林の言葉を待った。

 

「僕は━━━」

 

 

━━━僕はしずちゃんのことが好きだ。

しずちゃんはどうかはわからない。でも、だからって後悔はしたくない。

でも、このまま伝えずに後悔するか、伝えて後悔するかとしたら…………

 

 

「━━━しずくにこの想いを伝えます……!後悔、したくないから!」

 

「……よう言った。応援しとるで」

 

「はい……!ありがとうございます!」

 

輝林の言葉を聞き届けた利明は、それから何も言わずに静かに扉を開けて屋上を去っていった。

そんな利明に対して輝林は頭を下げ続け、扉が閉まる音がするまでその頭を上げなかった。

 

 

 

 

「………聞いてたんやな、左京」

 

利明が階段を降りている途中で踊り場横の壁にもたれている左京に気付いて、声が響かない様に話しながらその元へと向かった。

 

「お前ら呼びに行ったら懐かしい(・・・・)話してたからな」

 

「………ただ、輝林ちゃんには後悔して欲しくなかっただけやよ」

 

「………ほんまにごめん」

 

「ええよ別に。もう(・・)気にしてへんし」

 

 

━━━そう、悪いのはあの女や。

 

あの女が好きだったのは左京やった。

 

地元が近く、一緒の演劇教室に通っていたウチと左京は仲が良くてライバルやった。

そんな関係を知ったあの女は自分に近づいたんやろう。

 

その後、左京と付き合ったことを知った自分はあいつを怒鳴ってしまった。でもそれはただあの女とのことを左京にぶつけただけやった。

 

でもそのことがあった次の日、左京はウチん()に来てあの女と別れたことを伝えに来た。

どうやら自分の言ったことを気にしてあの女に聞いたらそれが真実とわかって別れ話をしたらしい。

それから左京は謀らずも自分を傷付けてしまったこと、自分は左京に八つ当たりしたことを謝った。

 

でも、こいつまだ気にしてそうやな。ウチはほんまにもう気にしてへんのに。

 

ま、あの女のことは許してへんけどな!ハハハッ!

 

「……気にしてたら輝林ちゃんに左京のこと教えてるし、そもそも色んな人にそのことを既に言いふらしてるやろ?」

 

「……それもそうやな。利明ならやりかねん」

 

 

━━━そう、利明は怖いやつや。

 

利明は俺からの話を聞いた後、その人あたりの良い性格で得た人脈を使ってあの女のことを広めて、あの女の居場所を失わせた。

 

あいつがその気なら、この高校で俺の立場を失くすこともできるだろう。

 

「ま、自分らが後押しできるのはここまで。あとは輝林ちゃんに任せようや」

 

「やな。大和達には俺から言っとくわ」

 

「あぁ……頼んどくわ」

 

そうして言葉を交わした親友2人は静かに部室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━数週間後。

 

いよいよ合同演劇会の本番が1週間前が迫っていて各々の練習にもより熱が入っていた。

しずくと輝林も毎日輝林の家でダンスの練習も欠かさず、始めた時よりもさらに上達していっていた。

 

「━━━うん、いい感じだね!」

「そうだね!しずちゃんのおかげだよ、ありがとう」

「うん……!どういたしまして」

 

2人は納得のいく出来のダンスが出来て互いにそれを喜んだ。

 

「あ、そういえばもう合宿の準備はした?」

「うん、バッチリ」

 

2人は休憩しながらもうすぐ始まる合宿について話題を変えた。

本番の1週間前から合同演劇会の会場に江東区大文化ホールを押さえていて、リハーサルや準備などをより長く確実に行う為に本校分校の演劇部はその前日から合宿することになっていた。

就寝等は各々の学校で行う予定だが、練習等は合同で行うことになっており、密かに2人はそのことに対して高揚感を感じていた。その理由は言わずもがな、互いとより長い時間を共に過ごせるからである。

 

「『宝石と星が輝く夜に』は良い感じとして、百合ヶ咲(そっち)の劇はどう?」

本校(こっち)のも良い感じだよ。輝くんの方は?」

「勿論、分校(こっち)も順調!しずちゃんの演技を見るの楽しみだよ」

「ふふっ……私も、輝くんの演技楽しみにしてるね!」

 

2人が主演を務める両校合作の『宝石と星が輝く夜に』はオリジナル作品ということもあってほぼ完璧に近い出来だった。

しずく達の本校演劇部はグリム童話の『白雪(しらゆき)紅薔薇(べにばら)』と、オリジナル歌劇『幕末怪異討伐〜乙女(うたひめ)達の戦い〜』をすることになっていて、輝林達分校演劇部は有名な短編小説である『走れメロス』とオリジナル演劇『成敗〜殿の秘密の仕事〜』をすることになっている。2人はお互いの自信がありそうな言葉から、お互いの演目や演技の出来を早く確かめたくてワクワクしていた。

 

「そういえば、しずちゃん聞きたいことあるって言ってなかったっけ?」

「あ、そうそう!ここなんだけど……」

 

輝林が練習の前にしずくが何か聞きたがっていたことを思い出してそれを問うと、しずくは離れたところにある鞄から台本を取り出して輝林の横に戻って来た。

輝林はしずくの付箋やメモ書きがぎっしりな台本を見て関心しながら、しずくが聞きたいと言っていたことを頷きながら聞いていた。

 

━━しかし、その心は穏やかではなかった。

 

汗の匂いというものは人によって感じ方が違う。

夏場、電車で隣に座って来た人が汗をかいていた場合、それを臭いと感じる人が多いだろう。しかし昨今の技術の進歩からその汗の匂いを花などの香りに変えてしまうことも可能なのである。

 

しかし、前述で隣に座った人というのを"小太りのおっさん"とは言っていないことにお気付きだろうか?

 

なのでもう一度問おう。

 

隣に座って来た"意識している相手"ならどう感じるだろうか?良い匂い、もしくは妙に魅力的な匂いだと感じる人が多いのではないだろうか?

それは前述した技術の進歩、もしくは香水などの理由があるかもしれない。しかし、その相手が"意識している相手"である場合、それはフェロモン的な何かである可能性もあるのだ。

 

つまり輝林もそれと同じことを今感じているのである。

 

 

━━━どうしよう……めっちゃ良い匂いがして集中できない……!ダメだダメだ!集中、集中……!

 

 

輝林は嵐のように荒れ狂う理性を抑えながら、真剣に演技のことで質問しているしずくの話を聞き、それに答えていた。

 

━━時を戻そう。

前述で語らせていただいた"匂い"について感じるのは男性だけだと言い切れるだろうか?

そう、しずくも同じようなことを感じていた。

 

真剣(?)に自分の話を聞いて答えてくれている汗が滴っている輝林の横顔に、しずくは胸が締め付けられる思いを感じていて、そんな彼の顔に視線を向ける度に意識してしまっていた。

 

 

━━━ダメダメ……!ちゃんと集中して聞かないと!うぅ……わかってるのに意識しちゃうよ〜!

 

 

2人が似たようなことを感じながら、そのいつまでも過ごしていたいような時間は、無情にもあっという間に過ぎ去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━数日後。

 

━━━━━ 江東区大文化ホール。

 

 

『おぉ〜!』

「こりゃあ立派な舞台だな……」

「こんな大きなステージに立てるんだ……!」

 

今日はついにホール貸し出しの初日。ホールに入ると、その広さやステージの大きさを見た演劇部の生徒達は思い思いの声を上げた。

 

「はーい!みんなちゅうもーく!」

 

皆のざわざわとした雰囲気が治らなかったが、管理人の方に挨拶を終えてホールに入って来た陽向がパンパンと手を鳴らして声を張り上げると、皆が静かになり陽向と明良の方を向いた。

 

「これより虹ヶ咲学園本校分校演劇部の合同練習をはじめます!」

 

明良の宣言に部員の皆は拍手をして、中には口笛を鳴らす人もいた。それから陽向は拍手が鳴り止むのを待って言葉を続けた。

 

「じゃあまずはこのホールや控え室などに使う部屋の清掃をして、その後に備品を運び入れます!」

「力仕事や重たいものを運ぶのはうちら男達に任せてください!」

「ってことなので、本校のみんなは掃き掃除や拭き掃除、あとは簡単な備品の運び入れをしましょう!何か質問は?」

 

陽向と明良が皆を見回すと、誰も手を挙げる人はおらず首を横に振るば人ばかりで質問は無さそうだった。

 

「じゃあ、早速始めましょう!頑張るぞ〜!」

『おー!』

 

そして皆の掛け声と共に合同練習が幕を開けた。

 

 

 

 

 

━━━数時間後。

 

午前中の数時間で掃除は終わり、ホールや控え室等にどんどんと備品や、制作していた舞台装置なのが運び入れられていた。

 

「これはどこですか〜?」

「あ〜それは舞台袖に!」

「は〜い!」

 

ホールには備品を置くところを管理している明良の声や、それを運ぶ男子達の声が響いていた。

 

「そろそろお昼ご飯にしましょ〜!」

「は〜い!今運んでるのを置いたら昼にするぞ〜!」

『はい!』

 

入り口から陽向が大声で伝えると明良も皆に伝えて、現在運んでいる備品を置き終わった部員達は安堵の声を漏らした。

そして皆揃ってホールからお昼ご飯が用意されている大会議室へと向かった。

 

 

「はーい!みんなの分あるからね〜!」

「あ、薔薇ヶ咲の皆さんもお疲れ様です!おにぎりを作ったので皆さんもどうぞ!」

『あ、あれは……!?』

 

そしてホールにいた男子達は向かった会議室での光景を見て驚きを隠せなかった。

何故ならそこでおにぎりを配っていたのは………

 

「あれは!?見る人を笑顔にするみんなの太陽宮下愛!?」

「そ、それにあれは!?見る人を包み込むような包容力を持つ上原歩夢!?」

 

「飲み物もあるわよ〜!」

「お好きなものをおっしゃってください」

 

「あれは!?圧倒的なパフォーマンス力を持つ鐘嵐珠!?」

「さらにあれは!?百合ヶ咲の生徒会長で巷では虹ヶ咲の大和撫子と呼ばれている三船栞子!?」

 

「色んな味を作ってますから、好きなものを選んでくださいね!」

「かすみんが作ったおにぎり、食べてくださいね〜!」

 

「それにあれは!?百合ヶ咲の前生徒会長中川菜々で、大好きを届けるスクールアイドル優木せつ菜!?」

「それに!みんなを魅了するスクールアイドル、かすかすこと中須かすみ!?」

「かすかすじゃないです!かすみんです!」

「ほ、本物だ〜〜!!」

 

「み、みんな喜んでくれてる……璃奈ちゃんボード『びっくり』」

「でも私はちょっとその気持ちわかるな〜!私だってトキメいちゃうもん!」

「ははは……」

 

「あれは!?璃奈ちゃんボードで可愛く表情を表すサイバー系スクールアイドルの天王寺璃奈!?」

「それにまさか!?虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の裏の立役者高咲侑!?」

「それにあそこには、演技派スクールアイドルで百合ヶ咲演劇部のエース桜坂しずくもいる!」

 

「ま、まさか………」

 

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会がここにいる!!!!!??????』

 

男子達はそもそも女子達と学校が違う為、普段会うことができない有名人、スクールアイドル同好会の面々がこの場所にいることに驚きの声を上げた。

 

「はいはい。とりあえずみんなおにぎり頂こうな〜。折角作ってくれたんだから早めに食べないと失礼だぞ〜」

『た、確かに!!』

 

明良に言われて、興奮していた男子達も我先にとスクールアイドルが握ってくれたおにぎりを取りって美味しそうに頬張った。

それを女子達や一部の男子達は少し呆れた様子で見物しながらおにぎりを食べていた。

 

「今回、スクールアイドル同好会の皆さんが何かお手伝いしたいって言ってくれたんだ」

「うんうん。ほんとに助かるよ」

「いえ!当然のことです!」

「折角学園のために頑張ってくださるんですから、何かしたいと思ってましたから」

 

ドヤ顔で明良がそう言うと、陽向も腕を組んで頷いて、せつ菜や栞子も笑顔でそれに答えて、皆有り難みを感じながらそのおにぎりを食べていた。

 

「はい、輝くんもどうぞ」

「ありがとう、しずく」

 

輝林が特売セールの奥様方の様な状態になっているおにぎり置き場という名の戦場に遅れを取ってどうしたものかと困っていることに気付いたしずくは、おにぎりや飲み物を手に取ってそんな輝林に手渡した。輝林は笑顔でそれを受け取り、そのおにぎりを食べるとさらに笑顔を浮かべた。

 

「美味しい?」

「……うん!美味しいよ!しかも僕が好きな梅干しだし!」

「ふふっ、良かった」

 

「しずくやるねぇ……」

「おにぎりとひかしずでお腹いっぱいだよ〜」

「言えてる」

 

輝林の好きな具材である梅干しのおにぎりを渡し、沢山人がいる中でアピールをしているしずくを尊み、そして感心しながら女子部員達はその2人を眺めていた。

 

「えっと、紅葉くん……だったよね!はい、お手拭きもどうぞ!」

「あ、ありがとうございます!高咲先輩!」

「あ、私の名前知ってくれてるんだ?!」

 

そしてそんな2人を見てお手拭きを持ってきた侑は、輝林が自分の名前を知っていることに少し驚いた表情を見せた。

 

「勿論ですよ!有名人ですし、しずくからもよく話を聞いてますから!」

「っ……!」

「へぇ〜、そうなんだ〜。私も紅葉くんの話をよく聞いてるから会いたかったんだ〜!しずくちゃんから」

「ゆ、侑先輩……!」

 

しずくは2人が自分伝手でお互いの話を聞いていることを話すと、しずくは頬を赤くして少し怒ったように声を上げた。

 

「僕も一度高咲先輩にお会いしたかったんです!いつもしずくをありがとうございます」

「え!?う、ううん!私の方こそ、しずくちゃんにいつも助かってるから!」

 

輝林が軽く頭を下げると侑もそれに照れた表情を見せ、それから会話を弾ませるのを見たしずくは内心嫉妬しながら2人の会話を聞いていた。

 

「侑ちゃん、何話してるの?」

「あっ、歩夢!今ね、紅葉くんとしずくちゃんのこと話してるんだ〜!」

「へ、へぇ〜………」

 

 

━━━歩夢さん……!今なら先輩の気持ちがわかります!

 

━━━しずくちゃん……!そうだよね!

 

 

仲良く話している2人を見て引きつった笑顔を浮かべる歩夢と、先程から嫉妬心を抱いているしずくはお互いに目を合わせ、それはまるで心の中で硬い握手を交わしている様だった。

 

「それにしずくも言ってましたを『今の自分があるのは侑先輩のおかげ』だって!僕もそう思ってて、本当にありがとうございます!」

「え!?いやぁ〜照れるなぁ〜」

「何の話をしてるんですか?!」

「ちょっ……!」

「せ、せつ菜先輩……!」

「あっ……」

 

そして空気を読まず突撃するせつ菜を止めようとした愛やかすみも不可抗力で輝林達の近くに出てしまい、それに気付いた輝林の顔を見て苦い表情を浮かべた。

 

「あなたが紅葉さんですね!はじめまして!話はしずくさんから聞いてます!」

 

そんな周りの心配はどこ吹く風という様に輝林に元気よく話しかけるせつ菜に同好会の面々は諦めの表情を見せ、しずくもまた微妙な面持ちでせつ菜を見つめていた。

 

「ちっ……!」

「桜坂さんという可愛い幼馴染もいるのに……」

「ずりぃよな〜」

「やっぱり"持つもの"が違うんだろうなぁ……羨ましいぜ……!」

 

言うまでもないが、男子達はそんなしずくを幼馴染に持ちながら、今も同好会の他の女子達に囲まれる輝林を嫉妬の眼差しで見つめていた。

 

「…………」

 

「輝くん……?」

 

そしてしずくが輝林の反応が気になり目を向けると、彼は珍しく言葉を失い固まっていたので不思議そうな表情を浮かべて見つめた。

 

「………だ」

 

「だ……?」

 

そしてそんな輝林が口を開くと、皆はその言葉が気になり耳を傾けた。

 

 

 

 

「優木せつ菜さんだ!!!僕、あなたの大ファンなんです!!!!」

 

「え?え?」

 

いつになく興奮した様子を見せる輝林に、目の前にしたせつ菜を始め周りで見ていた皆は驚いた表情で彼を見つめていた。

 

「あの、中学生の時に1年生のせつ菜さんのゲリラライブを見て、すごく衝撃を受けたんです!」

「え、そんなに前の!?ありがとうございますっ!」

「はい!力強くて、心に直接響かせるような歌声!そう、あれはまるで……ヒーローショーを見る子供の様に熱く興奮させるパフォーマンス!本っっ当に衝撃でした!」

「うんうん!わかる!せつ菜ちゃんのパフォーマンス良いよね!」

「ですよね!!流石高咲先輩!」

「あ、あはは〜……なんだか照れますね……」

 

興奮して語る輝林に侑は共感し、せつ菜は面と向かって大好きなところを語られて嬉しい反面、照れくさいところもあり頬を赤らめた。

 

「へぇ〜なんだか意外だねぇ」

「で、でも色んなファンの人がいるってことだよね!」

「ぐぬぬ……流石せつ菜先輩と言うべきか……」

 

愛と歩夢はあまりスクールアイドルに興味が無さそうな輝林がファンであることの意外さに喜び、かすみはこんなところにもせつ菜のファンがいたのかと悔しがっていた。

 

「っ……!?何やら寒気が……」

 

そんな中、侑は背後から強く感じるプレッシャーに寒気を感じて恐る恐るその方向を向いた。

 

「り、璃奈ちゃんボード『ブルブル』」

 

そして璃奈は侑よりも先にそのプレッシャーを感じて、璃奈ちゃんボードを出しながら慄いた。

 

「………………………………」

 

━━そのプレッシャーの主はしずくだった。

 

しずくは輝林がせつ菜に興奮しているのを見て、黒い笑顔を浮かべながらその2人を見つめていたのだ。そんなしずくからは黒いオーラが出ている様に見えて、同好会のメンバー始めその部屋にいた皆がそんなしずくを恐れていた。

勿論せつ菜もそれを感じていて、輝林の話に相槌を打ったりしながら冷や汗をかきながら、輝林が離れることを望んでいた。

 

「ひ、輝林さん……そろそろ……」

「え?いててててて!!!し、しずく!?」

「……輝くん。こっち」

「えっ!?ちょ、ちょっと……!?み、みなさん!これからよろしくお願いしま〜す!」

 

せつ菜がそのことを促そうとすると、それよりも先にしずくが動いていた。いつの間にか輝林の横に移動していたしずくは、遺言を残した輝林の耳を掴んでそのままの勢いで引っ張りながら出口に向かった。

 

『助かった……』

 

しずくが輝林を連れて会議室を出ていくと皆安堵した表情を浮かべ、そして安堵の声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

━━━大ホール。

 

「痛い痛い!し、しずく……しずちゃん離してよ〜?!」

 

しずくはホールまで輝林を引っ張って来ると、痛がる輝林の耳から手を離してそのまま座席の方に歩いて行った。輝林は掴まれていた耳に痛がりながら手を当てていて、その目には少し涙が浮かんでいた。

その間、しずくはひと言も発さなかった。

 

 

━━━輝くんのバカ。

 

 

「し、しずちゃん……?」

「ふん!」

「お、怒ってる……?」

「ふん!」

「しずちゃ〜ん……」

 

輝林は怒りながら席についたしずくの後ろから左右に動いてしずくの顔を見て話しかけたが、激おこぷんぷん丸なしずくはそんな輝林に顔を合わせず彼のいない方向に顔を向け続けていた。

輝林はそんなしずくの様子を見て気まずそうな表情を浮かべてどうしようかと困惑していた。

 

 

━━━流石に怒りすぎたかな?でも、輝くんが悪いんだから!あんなにせつ菜さんにデレデレして……!まぁ、理由は大体わかるけど………

 

 

しずくは横目でオロオロしている輝林を見ながら、輝林と一緒に初めてせつ菜のゲリラライブを目撃した"あの日"のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

━━━━━2年前。

 

その日、中学3年生だったしずくと輝林は受験勉強の息抜きも兼ねてお台場のショッピングモールに買い物に来ていた。

お互いにひと通り買いたいものも買えたので帰ろうと外に出ると、何やら人が集まっていてその光景を不思議そうに眺めていた。

すると、その人達が見つめる階段に挟まれたステージに人影が現れ、それを見た人達は口々に歓声を上げ始めた。

 

「せつ菜だ……!!」

「優木せつ菜だ……!!」

「噂は本当だったのね!!」

 

「優木……?」

「せつ菜……?」

 

聞いたことのない名前に首を傾げる2人だったが、その瞬間…………

 

『走り出した!思いは強くするよ

悩んだら 君の手を握ろう……』

 

大きく息を吸った優木せつ菜と呼ばれたその人物が歌い始め、周りにいた人達の歓声がさらに大きくなった。

それの歌声に2人の先程までの困惑はまるで吹き飛ばされたかのように聞き入っていた。その間、歌声に圧倒されて言葉を発することはできなかった。スタンドマイクを握り締め、気持ち良く、そして力強く歌うせつ菜に一瞬で魅了されたのだ。

輝林は胸の奥から熱いものが湧き上がってくるのを感じて、服の胸の部分を鷲掴みにしていたが、その目、顔はステージで歌い踊るせつ菜から目を離すことはなかった。

しずくはそんな輝林が目に入り、その目を見て嫉妬心を抱いていた。これ程までに輝林を魅了する"優木せつ菜"という人物に。

 

そして曲はついに終盤へ。

間奏でギターソロのイントロが響く中、せつ菜はマイクスタンドをギターに見立ててエアギターを披露し、観客のボルテージは最高潮になり、そしてラスサビに入った時にマイクスタンドからマイクを取って空になったスタンドを倒して、今までよりもさらに力の入った歌声を披露した。

 

『Oh,Yeah〜〜〜〜〜〜〜ooh〜〜〜〜〜!!!』

 

「「っ………!!!!!」」

 

そしてラスサビの終盤でのせつ菜の力強く、魂に響くようなシャウトに2人の体が反応して震え、身体中の毛が逆立った感覚を覚えた。

曲が終わると、観客達は大きな歓声と拍手を送り、せつ菜は息を切らして出し切ったと言わんばかりの笑顔で前を見つめていた。

輝林としずくも唖然としながら拍手を送っていた。

 

「ありがとうございました!優木せつ菜でした!!」

 

せつ菜はそう言い残して歓声や拍手を背にマイクスタンドを持ち上げてステージを去ると、観客達は思い思いに感激の言葉を発しながらその場を去っていった。

しかし、輝林やしずくはその場を動けなかった。

 

「凄かったね………!」

「……………………」

「輝くん……?輝くん!!」

「はっ!?息をするのを忘れてた……本当に、凄かった………!」

 

輝林はしずくの呼び掛けでひと息ついてから、スマホを取り出して『優木せつ菜』と検索をかけた。

 

「優木せつ菜……ゲリラライブを中心に行い、どこの高校所属なのか、何年生なのか不明なスクールアイドル」

「スクールアイドルって、確か高校生を中心に流行ってる部活動……みたいなのよね?」

「うん。でも学校も年齢も不明だなんて……すごく……かっこいい!」

「かっこいい……のかな?」

「かっこいいよ!なんだかヒーローみたいじゃない?!」

「そ、そうだね……」

「スクールアイドルは知ってたけど、生で初めて見た!すっごいなぁ……!!」

 

輝林はせつ菜のことを調べてさらに興奮した様で、目をキラキラさせて先程までライブが行われていたステージを見つめていた。

そんな輝林を見たしずくは、その嫉妬心をさらに強くしていた。

 

 

 

「また1人、救ってしまったみたいですね……!」

 

そんな声は誰にも届くことはなく空気に溶け込んでいき、2人はそんなことを言っていたことを知ることはなかった。

 

 

 

 

 

━━━あの時、輝くんを私が見たことないぐらいに魅了したせつ菜さん。正直羨ましかった。

だから私もスクールアイドルになれば、輝くんは私のことをこんな風に夢中にできるのかな?って思った。

そしてその後、私は"優木せつ菜"が虹ヶ咲学園の生徒であるという噂を聞いて、入学してからせつ菜さんを探した。入部した演劇部の先輩に聞いてもわからなかったし、先生にも知ってる人はいなくて、諦めかけていた時にかすみさんに出会った。

それからはかすみさんと2人で探したけど見つからなくて、メンバーを集めて何故か(・・・)なかったスクールアイドル同好会を立ち上げようとした。

 

そしたら…………

 

「あなた達ですね!スクールアイドル同好会を立ち上げようとしている方達は?!」

 

……せつ菜さんが現れた。これには私達もびっくりした。あんなに探して見つからなかったせつ菜さんがまさかこんな形で、それも向こうから来て見つかるだなんて思いもしなかったもん。

そんなせつ菜さん、そしてスクールアイドルをするために留学してきたエマさんと同じ3年生の彼方さんを加えた5人でスクールアイドル同好会を結成した。

 

「そういえば、しずくさんはどうしてスクールアイドルをしようと思ったんですか?」

 

「1番は演技の幅を(輝くんを夢中にさせるために)広げたいってことですが………」

 

「ですが………?」

 

「………優木せつ菜先輩。あなたを超えるスクールアイドルになりたいからです!」

 

「おぉ?!いいですね!望むところです!!」

 

私は静かにそんな闘志を持ってスクールアイドルになった。

 

 

 

 

 

 

「しずちゃん……?」

 

━━━━そして時は戻って現在。

輝林はいつまでもご機嫌斜めなしずくを見て、まるで犬のような目でしずくを見つめていた。

 

「………………」

 

そして一向に機嫌を直さず返事すらしてくれないしずくを見て、輝林は機嫌が治るのをしばらく待つことに決めてその隣の席に座った。

それから2人に会話はなく、なんとも言えない空気がホールに漂っていた。

 

 

━━━そういえば、私がスクールアイドルになったことを言った時………

 

 

『え!?しずくスクールアイドルになったの?!』

 

『うん。演技の幅を広げたくて』

 

『へぇ〜!しずくがスクールアイドルか〜!』

 

『……輝くんは、応援してくれる?』

 

『勿論だよ!あっ、ということは僕がしずくのファン第1号だね!』

 

『えっ……?』

 

『ん?何か変かな……?』

 

『う、ううん全然!嬉しいよ!』

 

『良かった〜!』

 

 

って言ってたっけ……

 

 

そのことを思い出したしずくが隣に座っていた輝林に顔を向けると、輝林はパァッと笑顔になり、しずくはそんな輝林を見て思わず笑みを溢してしまった。

 

「あ、笑った!」

「……まだ怒ってるからね?」

「うっ……ごめんなさい……」

 

一旦笑顔になった輝林だったが、しずくのひと言でまたしゅんとした表情を浮かべた。

 

「ねぇ、1つ聞いても良い?」

「うん……?」

 

そんな輝林にしずくはある質問を投げかけた。

 

 

 

「私とせつ菜さん、どっちの方が良いの?あ、スクールアイドルとして」

 

「え?そんなのしずちゃんに決まってるじゃん」

 

「っ………!!??」

 

その質問に思いもよらないスピードで即答され、しずくは顔を真っ赤に染めてしまった。

 

「当たり前じゃん!だって僕はしずちゃんのファン第1号だからね!」

 

 

━━━な〜んだ……嫉妬して損しちゃった。それに輝くん、あのこと覚えてたんだ。

 

 

しずくはその輝林の言葉を聞いて安心して、深呼吸をしてからまた笑顔になった。それを見た輝林も嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

「……わかった。今回だけは許してあげる」

 

「……!ありがとう!」

 

「……ばーか」

 

「いきなり罵倒!?」

 

「ふふふっ……」

 

少し重たい空気が漂っていたホールに微かな笑い声が響いた。すると輝林は何かを思いついたように席を立ち上がった。

 

「ねぇ、しずちゃん」

 

「ん、なに?」

 

「……踊らない?ステージで」

 

「踊る……?もしかして練習したいの?」

 

「ん〜そんなとこ。とりあえず行こっ!」

 

「えっ……!?ちょっと……!」

 

輝林はしずくの返答を待つことなくその手を優しく引っ張ってステージに向かった。

 

 

「じゃあ、行くよ!」

 

「う、うん……」

 

ステージの中央に立った2人は、劇の立ち位置と同じようにお互い向かい合って手を握った。

 

「…………」

 

 

━━━集中してる……この輝くんは役になり切る輝くんだ。

 

 

しずくは目の前で目を瞑ってひと言も発さない輝林を見て息を呑んだ。

 

「"ラピス姫"、私と踊っていただけますか?」

 

「…………えぇ、喜んで」

 

そして2人は『宝石と星が輝く夜に』の舞踏会で踊るシーンのように踊り始めた。

流石に何回も練習を重ねていたからかその動きは完璧だった。それに輝林は役に入った時こそ演技に磨きがより一層かかるため、しずくもそのことに感心しながら踊っていた。

 

2人だけの時間、2人っきりのステージ、2人っきりのホール。それを2人は心地よく思っていた。

2人を邪魔をする者もおらず、音さえも2人の床を蹴る音や息遣いのみがそのホールに微かに響いていた。

 

ひと通り踊り終わると、2人は手を上下に合わせながら見つめあった。

 

「ふぅ………どうだった?」

 

「完璧だよ……びっくりしちゃった」

 

「それは良かった。これもしずちゃんが練習に付き合ってくれたおかげだよ」

 

「輝くんも完璧にアルタイルになってたから、私もラピスの役に入れて良い踊りが出来たと思う」

 

「ありがとう」

 

「それで、その……手、いつまで握ってるの?」

 

2人はそれからお互いの踊りや演技について褒めあったが、しずくは輝林が一向に手を離そうとしないことに頬を赤くしながら目を左右に移動させていて、困惑しているのは明らかだった。

 

「…………ねぇ、しずちゃん」

 

「ど、どうしたの……?」

 

するとそんな困惑するしずくの名前を輝林が呼ぶと、しずくは何かあるのかとその目を見つめた。輝林はそんなしずくの目をジッと真剣な目で見つめていて、しずくもそんな輝林の目に思わず吸い寄せられるように見つめた。

 

 

「僕はね……僕は、しずちゃんとこうやって一緒の劇で演じれることが嬉しいんだ。ずっと夢だったから」

 

「うん、それは私もだよ。でもどうしたの急に?」

 

「だからね、僕は絶対にこの演劇会を成功させたい……いや、成功させる」

 

「うん、私も一緒の気持ちだよ」

 

「ありがとうしずちゃん。だからね……だから……」

 

「ん?」

 

 

━━━ しずちゃん……この演劇会が終わったら、伝えたいことがあるんだって、そう伝えるんだ!

 

勇気を出すんだ僕。勇気を出せ、紅葉輝林!

 

決めただろ?!僕は……僕はしずちゃんに気持ちを絶対に伝えるんだって。

 

 

だから僕は…………

 

 

僕は…………

 

 

僕自身に、誓う(・・)んだ………!!!

 

 

輝林は一瞬目を瞑って何かを決意して、再び目を開けてしずくの目を見つめ直した。

 

そして輝林はしずくの手を優しく包み込むようにぎゅっと握り締めて、しずくはそれに少しびっくりして体をビクッとさせた。

 

 

「僕は、しずちゃんに……」

 

「私に……?」

 

 

輝林は大きく深呼吸をした。

 

 

そして、今まで出せなかった"大きな1歩"を踏み出した。

 

 

「………桜坂しずくに、この演劇会を成功させることができたら、伝えたいことがあります……!

だから、この演劇会が終わったら、必ずそれを聞いてください……!」

 

 

「…………はい」

 

 

しずくはその輝林の真っ直ぐな言葉に反する気持ちは無かったが、その空気、そしていつもとは違うように感じた輝林に圧倒されて返事をした。

 

「ありがとう、しずちゃん」

 

輝林は優しく微笑んでそう言うとしずくの手を離して、そのまましばらくしずくの目を見つめていた。

 

「………輝くん、それって━━━」

 

「━━━あ!ぼ、僕!これから打ち合わせがあるんだった!じゃあ、また後でね〜!」

 

「━━━あっ、行っちゃた……」

 

しずくは何かを言いかけたが、それを言わせないように遮ってすぐにその場を去っていった。

その場に残されたしずくはただ唖然として輝林の背中を見つめるしかなかった。

 

「し〜ずく」

 

「わっ!ぶ、部長!?み、見てたんですか……?」

 

「ごめんね〜!気になって舞台袖から見ちゃってた」

 

そんなしずくの元に現れたのは、いつの間にか舞台袖にいた陽向だった。そんな陽向はとびっきりの笑顔を浮かべていた。

 

「あの……今のことは……」

 

「わかってるよ、内緒にする。約束ね」

 

「ありがとうございます。部長で良かったぁ……」

 

「はははっ!他の人なら広めちゃいそうだからね」

 

「はい………」

 

しずくは心から安堵した声を漏らして、それを見た陽向は苦笑いを浮かべていた。

 

「でも良いところ独り占めしちゃったな〜」

 

「………今のってやっぱり、そういうこと(・・・・・・)なんでしょうか……?」

 

「うん、そうだと思うよ。良かったね!」

 

「うぅ……!!」

 

しずくはなんとなく輝林の伝えたいこと(・・・・・・)がわかっていた。陽向との認識が合っていることを確認すると、先程よりもさらに顔を赤くして、その顔を両手で隠した。

 

それ(・・)を叶えるためにも、成功させないとね。演劇会」

 

「そう、ですよね……!私、頑張ります!」

 

「うん、頑張ろう!」

 

そうしてしずくは陽向と共に演劇会を成功させるという決意を改めて固めるのであった。

 

 

 

 

 

 

「……………言っちゃった」

 

ホールから出た輝林は建物の外で空を見上げながら、誰にも聞こえないようにそう呟いた。

 

「よっ!輝林ちゃん」

 

「………白部先輩。聞いてたんですか?」

 

「まぁな。打ち合わせもあったし様子を見にいったら、ちょうど出くわしてな」

 

「まぁ……はい……」

 

「はははっ!なんやその反応?!」

 

そんな輝林に声をかけた利明は、そのなんとも言えない反応に笑いを堪え切れなかった。そんな笑いを聞きながら顔を真っ赤にした。

 

「でも、白部先輩………僕、決めましたから」

 

「うん、聞いてたで」

 

そして輝林は改めて利明にも言ってその誓いをさらに強く心に決めた。

 

 

「僕……この演劇会を成功させたら………」

 

 

━━━輝林ちゃん、よう決めたな。かっこいいで、ほんまに。

 

 

利明はそんな輝林は目を瞑りながら可愛い後輩の決断に感動していた。

 

 

━━輝林は"たったひとつの思い"を誓った。

 

 

 

「…………しずくに、この想いを伝えます」

 

 

 

 

 

━━━後編に続く。

 

 

〜〜〜〜〜次回予告〜〜〜〜〜

 

 

ついに私に何かを伝えようと決意した輝くん。

私もそれから本番までの練習でそのことが頭から離れなかったけど、絶対そういうことだもんね。

うぅ……考えたらなんだか緊張してきちゃった。

 

でも、今日はついに合同演劇会の本番!

今までの練習や準備を無駄にしないためにも私達は最後のリハーサルに臨んだ……!

 

必ず、この合同演劇会を成功させる……!!

 

 

次回『しずく照らす光』

 

第3話「たったひとつの思い〜後編〜」

 

 

━━━それは、私が望む"たったひとつの思い"。

 





ありがとうございました!
ちょっと演劇のシーンを入れてみました!それに告白宣言!キャー!早く告白しろよ〜!お前はいつも遅いんだよ!
さて、いよいよ次回は本番です!演劇会はどうなるのか!?輝林の告白の行方は!?ひかしず信者の心臓はもつのか!?次回をお楽しみ!

感想や評価、Twitterでの読了報告、フォロー等お待ちしております!
次回の投稿は明日22時を予定してます!
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