ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
『ライザー・フェニックスさまの『戦車』一名、リタイヤ、リアス・グレモリー様の『兵士』、『騎士』、『女王』、『戦車』、リタイア』
最悪の知らせが、校内アナウンスから流れた
「―そんな、馬鹿な…」
士郎は、あまりの事実に言葉を失った
「丹羽士郎――」
士郎は足を止める。振り向くと、そこにはレイヴェルがいた。
「どうした、レイヴェル?」
「お兄様がね、あなたのところのお姫様と一騎打ちするんですって。ほら」
天高く指す、視線をを向ければ、新校舎の屋上に炎の翼を羽ばたかせる人影と黒い翼を羽ばたかせている人影があった
「――舐めるな、あの体育館のボルトの数くらいならわかる。」
「ホント?」
「フッ……君達は優秀だ。だから私を試しているようにしか聞こえないのだが?」
「気にさわったのならごめんなさい。」
『士郎さん!聞こえてますか、士郎さん!」
レイヴェルと言葉を交わしていると、通信機器からアーシアの声が飛び込んできた
「どうしたアーシア、もしかして、部長のことか?」
『はい。いま、私と部長さんは学校の屋上に居るんです、相手のライザーさんに一騎打ちの申し出をいただきまして、部長さんが応じたんです!おかげで何事も無く校舎まで入ってこられたんですけど…』
「大体わかった、今ちょっと取り込み中だから切るぞ」
『えっ?』
そういうと、アーシアの通信を切る。すると、なぜか不思議そうな表情でこちらをレイヴェルが見てくる。
「いいのですか?」
「問題ない、どうせライザーもこちらが意外に善戦するから、感情が高揚したのだろう」
「――ッ!?」
まるで分っていたかのように言われたレイヴェルは、純粋に士郎の言動に驚いた。
「そうですわね、『
「まぁ、そうだな――とはいえ、一回、ひっくり返っているだろ?」
「それは、そうですが、まぁ、まどろっこしいことはなしにしましょう」
ライザーの眷属が指をパチンと鳴らす。現れたのは、さっき木場が取り逃がしたカーラマインとシーリスと、ニィリィだ
ワイルドな出で立ちの背中に剣を背負ったお姉さん、獣耳を頭部に生やした女の子二人と、先程の甲冑を装備した女性
「4体一、圧倒的ですわ」
ゴォォォォォォォォオン!
士郎が剣を構えると同時に、周りに膨大な威圧感や魔力が暴れだす
「――白兵戦なら勝機があると?」
「えぇ、なら賭けます?」
「そうだな、では、君の敗北に賭けよう」
そういうと士郎は駆け出す。同時にニィ、リィも士郎の視界から消える。
「――ッ!」
「「やぁッ!」」
士郎と獣娘二人組とシーリスの攻撃が重なる。
「――!」
攻撃を見切り、ニィリィを強化された足による回し蹴りで、一旦吹き飛ばし、シーリスの剣戟を弾く士郎。
「おそい!!」
木場の遥か9倍はある剣戟をでシーリスを圧倒していく士郎。
「ニィリィ!確実に片付けなさい!」
「「にゃ!」」
レイヴェルの指示で加速しだす二人。それに向かって士郎は右拳に思いっきり力を溜め込み、一気にそれをニィリィにぶちかます
「吹っ飛べぇぇぇぇ!」
バスッン!
体術と怪力がぶつかり合う。とはいえ、相手は修行によって手に入れた体術だ。それに体躯差もあるが、士郎が今行使しているのは、ヘラクレスの怪力だ。結果的に、士郎が押し勝つ。しかし
「こんなことはしたくないのだが…ごめん!」
ドゴッ!
カーラマインが突如蹴りを入れてきた
「――っ!」
突如の蹴りに受け身が取れず、そのまま、コンビネーションで一気にニィリィがローキックを入れてくる。同時に
ドォォォォォン!
フィールド全体を震わせる振動が襲い掛かる。もしやと思い屋上を見ると、そこには、制服が所々破けた部長。それに息も上がっているように見える。
「(嘘だろ――)」
ズグン――
何かが、ゆっくりと壊れていく感覚に苛まされる士郎。そして、シーリスの追加の攻撃により地面にたたきつけられる。
「(こんなところで負けるわけには、この俺は――)」
相手の力を見誤ったというレベルでは、済まされないことだった。
「(負けられないんだ、みんなが倒れたというのに――)」
士郎は、自分の身体を動かそうとするが、意に反して身体が動かない
「(完膚なきまでに叩き伏せると、決めたのに)」
そう思った瞬間、自分の奥底で何かが途切れた。それは鎖のようなものに縛られた何かだ。
何かが突き立てられる感覚と共に視界が暗くなっていく。そして、暗闇の中、ゆっくりと人の顔が浮かび上がる。それは、不気味なほど白い髪に、これまた不気味なほど紅い瞳の女性だ。彼女は、こちらに妖しくほほえみながら顔を近づけてくる。柔らかい手に包まれ、お互いの唇が重なる。
そして、士郎の中で完全に鎖が解き放たれた感覚が襲った。
―――
「反撃しなかっただと――」
違和感を感じたシーリスが、地面に叩き付けられた士郎を見る。なぜなら、その攻撃はトドめを刺したというものではないからだ。そして、駆け寄るとその瞳は、目まぐるしく動いている。それをみて、シーリスは、とっさに士郎に剣を突き立てる。直後、ものすごい恐怖を感じるシーリス。彼女の勘通りそれは起きた。
「ッ!!」
ギュオォオオォオォォンッ!!
直感と共に、後方へ飛び退くシーリス。直後、剣を突き立てた士郎から、膨大なブラックレッドの魔力が噴出したのだ。その禍々しさたるものは、周囲を竦み上がらせるには、十分だ。
「――シーリス、いったい何をしたの!?」
レイヴェルに責められるシーリス。近くのニィ、リィは、完全に恐怖で足がすくみ上っている。
「わ、私は何も――」
赤黒い雲が周囲を覆い始める。同時に、紅い雷も周辺の森に落ち始める。
『グオォォォォォオオオオォォッォッッッッッッ!』
どこからか、龍の咆哮みたいな叫び声が周囲に木霊する
「龍の咆哮!?どういうことですの!!」
周囲の環境の著しい変化にただ見守るしかないレイヴェルたち。そんな中
「あ…あぁ…」
カーラマインとニィとリィの顔が恐怖に歪む。まるで見てはいけないものを見たような表情で今すぐにでもこの場から逃げたいといった表情の彼女らの顔、レイヴェルは意を決してその方向を向いてみると
「ひぃっ!」
思わず声を失った。全身の震えが止まらなくなるレイヴェル。
視線の先、そこには、深紅と漆黒が混ざった魔力の翼に、顔に手を当ててこちらを見ている丹羽士郎の姿がそこにあった。指と指の間からのぞかせるその漆黒の瞳が、恐ろしいくらいに自分たちを恐怖に駆り立てる。超然的とした威圧感を放つ士郎。
士郎の背後に見てはいけない何かを見るレイヴェル達4人。
「い、いやぁああああああ!」
ものすごい声で発狂するカーラマイン。そして、何かが奪われたように瞳から生気を失い倒れるカーラマイン
「っ!」
シーリスが一気に攻撃を仕掛けに来るが、シーリスが士郎に触れもせずにレイヴェルの前で倒れる。その瞳には、生気がなかった
「カーラマイン、シーリス!!」
ドサッ!
何かが奪われたように地面に落ちるユーベルーナ。その瞳には二人同様生気が無い。それと同時に、レイヴェルも生気を失い、倒れ込む。そう、3人とも死人のように生気がないのだ。
見れば、士郎の手には魔力で構成された無機質な槍。
「――死に果てろ」
ドチュ!ドチュ!ドチュ!ドチュ!ドチュ!ドチュ!
直後、起きた光景に口を抑えるアーシア。
『ラ、ライザー様の、『僧侶』、『騎士』二名、『兵士』二名、リタイア』
グレイフィアさんの引きつった声が校内アナウンスから聞こえた。
士郎は、ゆっくりと意識を覚ました
「これは――俺がやったのか」
周囲には、濃密な魔力の残滓。それと血の匂い。どうやら、ここで何かが起きたのは明確だった。
見れば、周囲には血だまりがあちらこちらにある。一瞬、頭に何かが過る。しかし、今はゲームだということを思い出し、士郎は屋上に向かった。