ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第二十二話 不死鳥と二龍の宴

サツキから受け取った魔方陣で、士郎は見知らぬ場所へ転移した。

 

士郎の現在の恰好、くたびれたサラリーマンのような格好だ。とはいえ問題ない服装れもある。士郎は、念のために銃火器を懐に仕込んでおく。もちろん、今度は手加減なしの弾倉を詰めたものをだ。そんな中――

「おまえ、士郎か?」

ひっそりとした声で後ろを振り向く。すると、そこにはイッセーがいた。

「イッセー…お前」

「ここに来たってことは――」

「ってことだ、士郎、やるぞ――」

「あぁ」

最小限の言葉を交わし、会場に向けて歩き出す。

 

周りは果てしなく広い廊下、壁には蝋燭らしきものがずらりと奥までかけられている。部長の身内と思わしき紅髪の男性の巨大な肖像画も廊下の壁に掛けられている。二人はガヤガヤと声がする方向へ足を向ける。それとともに現れるのは、黒と赤のシルクハットに、外面が黒、内面が赤のマント、それに黄金縁のモノクルをつけるどこぞの怪盗の姿と重なる。

 

開かれた巨大な扉―モデルはどうでもいいが扉には大きな彫り物がされてあった。中をうかがうと大勢の悪魔たちが広場で楽しげに談笑していた。どうやら、社交界と変わらないみたいだ。士郎は気配遮断のスキルを使い、イッセーと共に悪魔たちをかき分けて見知った顔を探す。それにしても、広い会場だった。探していると、わりかし早く紅が視界に映り込んだ。長い紅髪をアップした女性――。紅いドレスに身を包んでいる

 

 

「部――」

イッセーが叫ぼうとしたところを士郎は、彼の口を強引にふさぐ。

「ちょ、士郎!!今、部長が―」

「わかってる、おとなしくしろ、まだだ――」

士郎は、イッセーを制止する。

 

「さて、常に余裕をもって優雅に―盗みましょうかな、少し荒っぽいですけどね」

士郎はあらかじめ用意しておいた、ワルサーWA2000(AN/PVS04暗視スコープとスペクターIR熱感知スコープを装着)及びキャリコM950、魔術礼装としてトンプソン・コンテンダーと少し改造した機関銃に装填する。これで最終準備完了だ。士郎は、道化師の仮面を付け、主のもとに歩き始めた

 

「えっ!キャッ!」

士郎は部長を抱え、シャンデリアの上に上がる。気づいたときには既にシャンデリアの上――士郎はリアス・グレモリー部長を片手で抱えていた。

 

「迎えにきましたよ―部長」

士郎は小声で部長にそういう

 

 

士郎は、大声でこう言った

「どうも上級悪魔のみなさん!それに部長のお兄様の魔王様!みなさまこんにちわ」

「おい、貴様!なにものだ!」

「貴様、なにものだ?愚問ですね?」

士郎は、その道化師の仮面を投げ捨てる

仮面から現れたのは黒い長い髪

「どうもこんにちわ、駒王学園オカルト研究部所属、丹羽士郎です―今宵は、パーティーにふさわしい最高のエンターテインメントをお送りに来ました」

 

形容しがたい表情でライザーは目元をひきつらせる

「士郎くん、遅いよ」

「遅ぇぞ、士郎」

「……遅いです」

「あらあら、やっときたんですね」

 

「遅いぞ、エンターテイナー」

士郎にだけ聞こえる声でサーゼクスに責められる。

「申し訳ありませんね、魔王様、なにぶん準備に手間取りましてね」

「まぁ、いい、皆さま、これは私が用意した余興ですよ」

「お兄さま」

部長が兄貴をそう呼ぶ

「ドラゴンの力が見たくて、ついグレイフィアに頼んでしまいましてね」

「サ、サーゼクスさま!そ、そのような勝手は!」

中年風の男性悪魔があわてふためく

「いいではないですか。この間の『レーティングゲーム』、実に楽しかった。しかしながら、ゲーム経験もない妹が、フェニックス家の才児であるライザーくんと戦うには少々分が悪かったかなと」

「……サーゼクスさまは、この間の戦いが解せないと?」

「いえいえ、そのようなことは、魔王の私があれこれ言ってしまったら、旧家の顔が立ちますまい。上級悪魔同士の交流は大切なものですからね」

「では、サーゼクス。お主はどうしたいのかな?」

紅髪の中年男性が魔王様に問う

「父上。私は可愛い妹の婚約パーティーは派手にやりたいと思うのですよ。ドラゴン対フェニックス。最高の催しだと想いませんか?伝説の生物同士で会場を盛り上げる。これに勝る演出はないでしょう」

サーゼクスが士郎へ視線を向ける

「ドラゴン使いくん。お許しはでたよ。ライザー、リアスと私の前でその力を見せてくれるかな」

「いいでしょう。サーゼクスさまに頼まれたのなら断る訳もない。このライザー身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

どうやら、ライザーもやる気だ。万事順調だ。

「ドラゴン使いくん、君が勝った場合の代価は何がいい?」

「サーゼクス様!?」

「なんということを!?」

周りの人間が避難の声を上げる

「悪魔なのですから、何かをさせる以上は、こちらも相応のものを払わねばならないでしょう。さぁ、キミ。なんでもあげるよ。爵位かい?それとも絶世の美女かな?」

魔王様は士郎に問う。

「では、リアスグレモリー様をいただくとしましょう」

「わかった。君が勝ったら、リアスを連れていけばいい」

このやりとりによって、士郎とライザーの決闘がこの会場で執り行われることとなった

「ありがとうございます!」

会場の奥に消えていく魔王様を、士郎は頭を深く下げて見送る。そして――

 

「では、今宵は、この不詳ドラゴン使いが皆様に最高エンターテイメントをお送りしましょう――そして、この私を補佐してくれる方を紹介しましょう」

そういうと、会場の電燈が消え――

バッ!!

「はっ、おせぇよ――」

明かりが一ヵ所点き、照らされたところに、兵藤一誠がいた。

「――ッ!?」

形容しがたい表情でライザーは目元を引きつらせる。

「今宵は――滅神龍皇と二天龍の一角、赤龍帝とフェニックスによるエンターテイメントをお楽しみください」

 

 

そして、会場の中央に急遽作られた空間。その周囲を会場にいる悪魔たちが好奇の視線で見守ってきている。部員メンバーも部長と共に関係者席に座っていた。部長の隣には魔王様もいる。逆にフェニックス家の方にはライザーの妹も列席した

 

士郎&イッセーとライザーは中央で対峙している。ライザーの表情から察するに余裕のようだ

 

「開始してください!」

バトルを取り仕切る男性悪魔が戦いの開始を告げる。どうやらバトル開始みたいだ

炎の翼を生やすライザー、士郎とイッセーを指していう

「お前の能力は全て割れてる!想像を具現化する程度の能力!ただ、自分に害の無い程度のな!――それと、そっちは、自分の能力を倍にしていく神器(セイクリッド・ギア)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。で倍増した力を仲間や武器に譲渡する、新しい能力も発言したそうだな」

「相手に面が割れているってわけか――」

「使い方がちがくね――まぁ、後だ」

そういうと、士郎は、部長の方へ満面の笑みを浮かべる

「部長、すぐにケリを付けますよ」

「……シロウ?」

訝しげな表情の部長

「すぐにとは大きく出たなーならば、俺はお前を15秒で片付けよう!以前のようにはいかないぞ!リアスの『兵士』共!」

「部長、この場所での『プロモーション』をすることを許してください」

イッセーの声に部長が頷く。

同時に、士郎は戦闘機械となる。

「『プロモーション!!』『女王(クイーン)』!!」

イッセーの全身からのあふれるような力を感じる士郎。そして、士郎は、無表情でポケットから先程の少し改造を施した機関銃を取り出し

ズガガガガガガガ!

ためらわずにその照準をライザーに向け、トリガーを引くと、機関銃が火を吹く、弾丸がライザーの体に全段命中する

 

「グハッ!」

ライザーの口からまた血が吐き出される

「そんな!馬鹿な!?」

驚するライザー

「おやおや、種明かしですよ―弾丸を触れずに見てみればわかりますよ」

「十字架!十字架だと!?」

弾丸に刻まれたのは十字架―そう、悪魔の苦手なものの十字架を"起源弾"に刻んだ弾丸、悪魔には効果覿面だ。予測不能かつ致命的な罠をおくこのやり口は「悪辣」と評されており、今回はこれを機関銃に改造したため撃ててるフェニックスの場合、不死鳥の回復が魔術での干渉となったため即座に真価を発揮した。

 

今回は確実に相手を葬ることを第一としてるから、そのためなら徹底して手段を問わない。士郎のライザーを見る目は機械そのものだ。

「輝きやがれぇぇぇぇぇ!!オーバーブーストトォッ!!」

『Welsh Dragon over booster!!』

会場全体をあかい光が覆う。

 

そして、士郎が再びポケットから取り出したのは一つのツボだった。

沸き立て、我が血潮(Fevor,mei,sanguis)

呪文と共に、壷から銀の金属的な光沢を持つ液体が出てきた、その招待は水銀だ。

「たかが水銀が!」

血を吐きながらもライザーが攻撃してくるが、壷から流れ出した10リットルほどのそれが形を変え、球状になって士郎の足元に転がる。

 

自立防御(Automatoportum defensio)自動索敵(Automatoportum quaerere)指定攻撃(Dilectus incursio)

士郎呪文に呼応するように水銀の表面がざわざわと波立つ

 

「礼装、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドログラム)!!」

 

銀の液体・・・水銀が不規則に形を変える。魔術師でも稀有な二重属性、風と水の属性を持っている。両方に共通する流体操作を得意とし、それを突き詰めて完成させたのがこの礼装だ。

 

(Scalp)!!」

呪文と共に水銀は鞭の形をとり、刃となった先端は数ミクロンの薄いカッターに形を変えて

 

「そんなものが効く――」

ライザーの腹部にそれが何本も突き刺さり、ライザーの口から血が吐き出される。それもそうだ、水銀の中に少し聖水を混ぜてたのだ。準備に抜かりはないとはまさにこのこと

 

「イカレてる――その目、機械みたいだな。怖いな。初めて俺はお前に心底畏怖した!!」

ライザーの両翼がいっそう大きく燃え上がる

「俺は全力でお前を倒すっ!」

ライザーが殴りかかるが

「忘れてんじゃねぇよ!!」

「なっ!!」

龍の鎧を纏ったイッセーが飛び出して、手のひらから生み出された魔力が巨大な帯となってライザーに襲い掛かる。

「デカいッ!?」

避けるライザーだが――

 

ズガガガガ!再び、先程の機関銃が火を吹き、ライザーを打ち抜く――

 

「ガハッ!このやろォォォ!」

奴の表情は真剣そのものだ。そして、ライザーは服から体までボロボロで、どうやら、先程の弾丸が聞いたらしく炎の両翼もさきほどよりもかなり小さくなっていた。

「イカレてるか――大いに結構、婚約の阻止を、絶対を以って成し遂げる。僕がこの場所で流す血を、最後の流血にしてみせる。そのために、たとえこの世全ての悪を担うことになろうとも――構わないさ。それで部長を救えるなら、僕は喜んで引き受ける」

 

「巫山戯るなぁぁぁ!」

襟元を強くつかまれ、ライザーが士郎の首を締め上げる、そのまま宙に浮く士郎

「『兵士』の力でよくやったと褒めてあげよう。本当によくやったよ。正直ここまでやれるとは思わなかった。ドラゴン使いの力、この身で十分に体験できた。だがな、そろそろ眠ってもらおうかな。少し意識がなくなるだけだ。起きた頃には無事式も終わっている。おまえもこれ以上心身ともに苦しむのは嫌だろう。俺もサドじゃないんでね、一気に決めさせてもらうよ」

ライザーの勝利を確信する表情

 

「言ってないかもしれないが、貴様を吹き飛ばすために、俺は手段は厭わない」

「ハァッ?」

士郎は苦しい表情を見せずそういう

 

ライザーは相変わらず首を強く締め上げる。

ライザーは士郎に固執するあまり、自分の頭上のモノともう一人を気づいていない。

 

「火を消すなら――水だよな!」

イッセーが、聖水が入った小瓶を一気にライザーだけに振りかけ――

「ブーステッド・ギア!ギフト!!」

『Trasfer!!』

「しまっー!!」

ライザーが士郎とイッセーの責めに気付いた時には、もう遅かった。そして、士郎はあらかじめ用意していたのを一工程(シングルアクション)で起動させる。と言っても破裂させるだけだが

水球爆発(aqua Polo FRAGOR)

 

ジュワァァァッ!

水が熱で蒸発する音を最大にしたような音が会場に響く。ライザーの炎の翼がぐにゃぐにゃとうねり始め、形状を維持できなくなっている、そして、奴の体から煙が立ち上る

 

士郎はゆっくりと距離を取る

「うがぁぁぁぁぁあああああああああああ!」

のた打ち回るライザー、無理もない、あの水球の水全てが聖水だったのだから、効果は恐ろしいほど覿面だ

「とりあえず、小猫は言っていた、打撃は体の中心線を狙って的確かつ抉り込むように、朱乃さんはいった、意識を集中させて魔力の波動を感じればいいと」

イッセーがそういう。そして、士郎の周りに水銀と風が渦巻く

「ま、待て!わかっているのか!?この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!?お前のような何も知らない小僧悪魔がどうこうするようなことじゃないんだ!」

「知らねぇな、第一難しいことなんかわかるか、でもな、お前に負けて気絶した時、うっすらとだけ覚えていることがあるんだよ――部長は泣いていた、それだけだ、それだけでな」

士郎はそれを思いっきり構える

「それだけで!俺は貴様を屠る理由は!十分すぎるんだよぉぉぉぉ!」

ドガッ!

そして、イッセーライザーの腹部をを思いっきり殴る

 

そして、

ズガガガガガッガガガガガ!

殴られたことで上に吹き飛ばされ、そのまま落ちてくるライザーに容赦なく機関銃を打ち込み

指定攻撃(Dilectus incursio)

月霊髄液(ヴォールメン・ハイドログラム)が落ちてくるライザーを串刺しにした

 

「こ、こんなことで、俺が・・・・・・」

虫の息の状態のライザー。士郎はそのライザーに言葉を告げた

「俺はあの時、あんたにボコボコにされちまった、けど今は違う、あんたにやられた悔しさ、怖さ、自分への不甲斐なさが俺を次の領域に至らせてくれた、その点に関してはお礼を言おう――」

その言葉をつぶやく士郎。

 

 

ライザーを一瞥し、部長の下へ足を進める二人。間に飛び込んでくる人影がひとつ。ライザーの妹だった。無言で睨んでくる。何かを訴えようとしてくる。イッセーが前に出るが

「――君の言いたいことは、わかる、だが、文句があるなら、いつでも俺のところに来い、相手になろうレイヴェル・フェニックス」

状況を察したのか、後退りしながら道を開ける彼女。

 

二人は、部長の前に立つ。笑いながらイッセーは言う

「部長、帰りましょう」

「……イッセー、士郎」

士郎は隣のダンディなお方、部長のお父様に深く頭を下げてハッキリと言う

「主リアス・グレモリーさまを返してもらいます。勝手な振る舞いをして大変申し訳ございません。しかし、部長は連れて帰らせていただきます」

部長のお父さんは、ただ静かに目を瞑った。

「さてと、では――感動的に帰りましょうかね…異界文書(ザ・コード・オブ・アーカシャ)――金羊の皮(アルゴンコイン)

足元が光だし、士郎のすぐ横に一頭の龍が現れる。

『グオォオオォォォオォォォォンッ!!』

「ドラゴン・・・」

会場の誰かの小さな声が聞こえる

 

イッセーは壁を突き破り、一気にドラゴンの背中に乗る

「部室で待ってる」

イッセーの一言に部員全員が笑顔で手を振ってくれる。ドラゴンは流れ星となって冥界の空へ飛び出した。

 

「さてと、お先に失礼な――」

士郎もその場から消えた。

 

 

 

数日後――

 

Brrr――

「ねぇ、士郎先輩なんでこうなってんですかね?」

「さぁな、部長に聞け」

相変らずの軽トラックに乗っているのは、小猫と士郎だった。なぜ、再びこうなってるのかというと

 

「(相変らずの引っ越し要請とは、恐れ入るぜ――)」

荷台には、アーシアの時とは比にならないほどの荷物の数。目的地は、兵藤家――そして、依頼主は、誰でもなく部長だ。

Brrr~

軽トラを走らせていく士郎。

「相変らず、運転上手いですね」

「まぁな、慣れればってところがあるよ、にしても、驚きだぜ、まさかイッセーと部長が同棲とはな」

「部長曰く、親睦を深めたいらしいです」

「そういうことね、相変らずにぎやかになりそうだな、アイツの家は――」

「ですね、そうだ、士郎先輩、忘れていませんよね?」

「忘れる…あぁ、買い物の約束だろ?」

「覚えているならいいです」

と言葉を交わす二人。

 

そして、士郎と小猫、それに荷物を載せたトラックは兵藤家に到着し、それを搬入する二人であった。

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