ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第二十四話 部活動対抗大会

駒王学園――

 

カキーン!

晴天の空に金属音に天高く打ち上がるボール。

「オーライ、オーライ」

士郎は飛んできた野球ボールをグローブで軽々しくキャッチする。その所作に無駄はない。

「ナイスキャッチよ、シロウ」

「どうもです」

部長からお褒めの言葉をいただき、若干上機嫌になる。

 

ここは、旧校舎の裏手に草の生えてない少しだけ開けた場所で、今回、士郎達オカルト研究部の面々はそこで球技大会に向けて野球の練習をしていた。

「次はノックよ!さあ、皆!グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」

気合の入っている部長

「部長はこの手のイベントが好きですからね」

準備しながらも、笑いながら士郎に教えてくれる朱乃さん

「わからないでもないですね、お姉さまは負けず嫌いですから」

「そういうことですわ、まぁ、よほどのへまをしなければ私達が負けることはないと思いますけれど」

まぁ、せいぜい当日は加減して動くくらいだ。仮に、この面々が手加減をしなかったらどうなるか――まず最初に、木場の瞬足でほぼアウトにはならないだろう。それに加えて士郎と小猫の馬鹿げた怪力から放たれるボールは色々なものをふきとばすだろう。

つまり、大惨事決定ってことだ。

 

「来週は駒王学園球技大会よ。部活動対抗戦、負けるわけには行かないわ」

活き活きとした表情で言う部長。ライザー戦以来、勝ち負けに対して、以前以上に強い姿勢を見せていた。しかし、

 

「木場!シャキッとしろよ!」

イッセーが木場に向かって声をだしていた。

「……あ、すいません、ボーッとしてました」

下へ落ちたボールを拾うと、木場は作業的な放り方で部長に投げる。部長もため息をつきながらボールをキャッチする。

「祐斗、どうしたの?最近、ボケっとしてて、あなたらしくないわよ?」

「すいません」

素直に謝る木場ではあるが、その異常はイッセーでさえわかっていることだった。

 

 

 

 

昼休み――

 

「木場、いいか?」

「なんだい?」

士郎は、木場を教室まで呼びに行った。

「ちょっといいか?」

「いいよ」

木場をつれ、この校舎の渡り廊下近くの自動販売機の下に向かい。

「好きなもんは何だ?」

「コーヒーかな?」

「ん」

そういうと、ブラックコーヒーを買い士郎は彼に投げ渡す。

「いいのかい?」

「あぁ」

士郎は、ミルクティーを買う。それから、士郎は渡り廊下に出ると、木場もついてくる。士郎は悟られないように人払いの結界を張る。

「士郎君――いいのかい?」

「こっちの方が誰にも邪魔されずに話ができるだろ」

「……全部見破られているわけだね」

「あぁ、木場が聖剣エクスカリバーに並々ならぬ憎悪を抱いているのは嫌でもわかる」

そして、士郎はこういった。

「木場、お前は復讐のために生きているのか――?」

「どうしてそれを!?」

木場の顔に衝撃が走る。

「そうだな、教会関係者のヤバいのを二、三人とらえて吐き出させたら喋ってくれたよ」

「関係者がまだいたってことかい?」

「正確にいうと、当時のお偉いさんだ――とはいえ、罪状つきだったからな、問題ないさ」

「……」

黙り込む木場。同時に、その瞳がさわやかなものから憎しみが込められた瞳に変わる。

「――それで、何が目的だ?」

「僕は、エクスカリバーを許さない」

「言ってくれるな、木場、一応言っておくが、あまり派手には動くなよ?」

「君に言われるなんて、思ってもいなかったよ、君もね」

「あぁ、わかったよ、あぁ、それとそれはおごりな、今度おごれよ?」

「エクスカリバーに関してのすべてが終わったらね」

そういうと、その場から木場は立ち去っていた。

 

 

 

――部活動対抗球技大会の当日

 

軽い筋トレとストレッチをし、体をほぐす士郎。小猫は下に敷いたビニールシートの上で競技のルールブックで最終チェックしていた。木場は相変わらず動かない。

 

部長は、部活動対抗戦の種目を確認し今帰ってきた。その顔には不敵な笑が浮かべられていた。

「ふふふ、勝ったわよ、この勝負」

「部長、それで種目は?」

「ドッジボールよ」

聞いたと同時に、士郎とイッセーは嫌な予感しかしなかった。

 

「皆!これ巻いてチーム一丸になろうぜ!」

イッセーが取り出したのは『オカルト研究部』と書かれたイッセーお手製のハチマキだ。士郎から見てもなかなかの出来栄えだ。

「あら、準備がいいのね」

最初に手にとったのは部長

「うん、イッセーって意外に器用ね。うまくできてるわ」

「へへへ、実はこっそり練習してました」

「……予想外の出来栄え」

「いや、さすがだな」

士郎も褒める。そして、それを手にとって額に巻きつける

『オカルト研究部の皆さんと野球部のみなさんはグラウンドへお集まりください』

アナウンスで呼び出されるのであった。

 

 

「狙え!兵藤と丹羽を狙うんだ!」

「うおおおぉぉぉぉっ!てめぇら、ふざけるなぁぁぁぁ!」

「はぁ、嫉妬って怖いものだね」

隣で涙ながら叫ぶイッセー。その一方で士郎は呆れた表情をしながらため息をつくように言う。無理もない飛んでくるのはボールと書いて嫉妬と読む憤怒、妬みその他諸々の怨念が含まれた豪速球ものだ。

ちなみに、他のオカルト研究部にボールは当たる気配が一切ない。

 

単純な話だ、この手のことは考えるまでもなく分かる。

彼ら的に、士郎とイッセー"以外"の部員に当てるわけにはいかないらしい。

部長と朱乃さん――学園の二大お姉さま、そもそも当てる理由がない。

アーシア――二年生ナンバーワンの癒やし系天然美少女、これも当てれば処刑物

小猫ちゃん――学園のマスコット、問答無用で当ててはならない

木場――あてたら女子から恨まれる、そしてそのままDEAD END

 

残ったのは士郎とイッセーだけ。まさに、究極の消去法だ

士郎は最低限の動きだけでそのボールを避けていく。

 

そして、ギャラリーの全校生徒から

「イッセーと士郎を殺せェェェ!」

「アーシアちゃぁぁぁぁん!ブルマ最高ォォォ!士郎にイッセー!死ねぇぇ!」

「お願い!兵藤を倒して!リアスお姉さまのために!朱乃お姉さまのために!」

「アーシアさんを正常な世界へ取り戻すんだ!」

「殺せぇぇ!死ねぇぇぇ!ロリコンは俺だけでいいんだぁぁ!」

ギャラリーからの死ね死ねコール、随分と悪い意味で気に入られてるイッセーと士郎、全員目が殺意に満ちていて、おぞましい光景だった。しかし、そんなことを気にする士郎ではない。平然とした表情でボールを避けていく。

 

「(まぁ、無視されるよりマシか・・・)」

ビュッーン!

そんな中、イッセーの方にボールが飛んで行き、それがイッセーの下腹部へクリーンヒットした。

ドゴォッ!

「――っ!!」

快音から見て、どうやら直撃したらしい。股間を押さえつけてその場に倒れ込むイッセー。ものすごく痛そうだ。

 

士郎は、駆け寄ってイッセーを抱きかかえる

「た、玉が、俺の・・・・・・」

「おい!イッセーしっかりしろ!玉・・・だと・・・!?まさか!?」

「そのとおりですわ、違うボールが大変なことになっているようですわね」

解説者のように解説する朱乃さん

「――こりゃやべぇぜ、アーシア、大事なところがやられた、物陰で回復を頼む」

「大事なところ?よくわかりませんが、わかりました」

「小猫、人のいないところまで連れていってやってくれ」

「・・・・・・了解」

小猫がイッセーを体育館の裏へ引きずっていく、その隣ではアーシアが励ましながらついて行っていた

 

そして、士郎はハーフラインの上に立ちボールを持ちながら、こう言った。

 

「てめぇら、小便は済ませたか?神様へお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする準備はOK?」

すまし顔でボールを指の上で高速で回転させる士郎。

「はぁ?どういうことだ?巫山戯てるのか?あんまり舐めてっど!吹っ飛ばすぞ!」

「大いに結構、だが・・・・・・・その言葉を聞くのはなぁ―――」

士郎はドッジボールを空中に放り投げて、キャッチしたと同時にそら思いっきり力を込めて野球部員に投げるいや、叩き込むと。

ドガァァァァッ!

野球部の部員が後方に数メートル吹き飛ばされる。その威力は野球部のフェンスまで届くほどだった。フェンスには野球部の部員が叩きつけられた跡が残る。

 

 

「―――お前らじゃないのか?」

 

その直後――イッセーと小猫、それにアーシアには

ズバァァッン!ドガシャァァン!

「「「「「「qwせdrftgyふじこlp!」」」」」」

ものすごい何かがぶつかる音と何かから逃げ惑う屈強な野球部員の断末魔のような悲鳴が聞こえた。

 

「さぁ、スタンドプレイの開始だ!」

それから、野球部の死に物狂いの抵抗が続く。士郎は野球部の全弾を一旦上空に弾き飛ばしたと同時に、それが落ちてきて、ちょうど士郎が受け取ってまだ力学的力が温存されている状況でそれをカウンターとして打ち放つと丸で弾丸のようにボールは鮮やかに野球部員をなぎ倒していく。そして、数分もかかわらず

 

『オ、オカルトけ、研究部の勝利です』

若干、声がおかしい吉報のアナウンスが校庭に響いた。そして、校庭には野球部の残骸が倒れ込んでいた。

 

 

――放課後

 

パンッ!

外はすっかり雨模様、雨音に混じって響く変わった音

この音はイッセーのではない、部長に叩かれた木場祐斗のものだった

 

今日の球技大会は士郎たちの優勝だった、チーム一丸で勝利を勝ち取ったものの木場だけは非協力的だった

こんな状態だったら、部長が怒らなかったら士郎とイッセーが切れてたと思う

 

「どう?少しは目覚めたかしら?」

かなり怒っている部長

頬を叩かれても木場は無表情だった――いつもニコニコ顔の爽やかイケメンの変貌ぶりにさすがの士郎も対応に困る

 

「木場、おまえマジで変だぞ」

「キミには関係ないよ」

イッセーは問うが、木場は作り笑顔で返す

「俺だって心配しちまうよ」

イッセーの言葉に木場は苦笑する。こんな時に相変わらず木場に向けて言葉を紡ぐイッセー

これじゃ二人の立場が逆だ、本来ならイッセーが無茶をいって、木場が落ち着かせるはずだ

 

「仲間か」

表情を陰らせる木場

「そう、仲間だ」

「キミは熱いね。・・・・・・イッセー君、僕はね、ここのところ、基本的なことを思い出していたんだよ」

木場が勝手に話し出すが、士郎は、それに口を挟んだ

「木場――何のために戦ってるかズバリ当てよう」

士郎は木場に一本の剣を向けていった

「復讐のため、聖剣エクスカリバー――その破壊だろ?」

「―――っ!」

木場の強い決意を秘めた表情に、士郎は木場の胸倉を掴み木場だけに聞こえるような小言でこういう

「――さっき、アサシンが聖剣使いが此処に派遣されるという情報を手に入れた、けりつけて来い」

 

そして、士郎は周りに聞こえるようにこういう

「少し!頭冷やしてこい!」

士郎は木場を投げ捨てるように地面に投げつけた。そして、部員達に背を向け、その場を後にした

 

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