ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第三十六話 疎外の中で

「冗談じゃないわ、確かに悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会談がこの街で執り行われるとはいえ、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて・・・!」

リアス部長は怒りでぶるぶると体を震わせていた。無理もない、こんなことをさせられてて怒らないわけがない。確かに、部長は下僕の眷属悪魔を大切に可愛がるタイプの上級悪魔だ。自分の所有物を他人に触れられたり、傷つけられたりするのを酷く嫌う。とはいえ、なぜだか知らないが、士郎を除いてだ。しかし、今回の事態はお茶目じゃすまない。部長が言うとおり確かに営業妨害だからだ。先日のコカビエル事件で悪魔、天使、堕天使の三すくみ関係に影響を及ぼした結果、一度トップ同士が集まって今後の関係について話し合われることになっていた。そんな矢先、突然堕天使の総督であるアサゼルが会談前にこちら側に接触してきた。それも契約相手としてだ。

「(とはいえ、アサゼルが何かを見に来たっていう点は、間違いなさそうだな)」

士郎はアサゼルの行動を推測する。

「(コカビエルの無断行動の一件から、自分の目で何かを確かめに来たというところだろう)」

顎に手を当てながら考えていると

「しかも、私のかわいいイッセーと士郎に手を出そうなんて、万死に値するわ!アサゼルの狙いは何なの!?」

「大方狙いはイッセーの赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)だろう、堕天使総督のアサゼルは神器に造詣が深いと聞きますから」

「確かに、士郎の言うとおりね、けど、大丈夫よ、イッセー、私がイッセーを絶対に守ってあげるわ」

イッセーの頭を撫でる部長。それにほんの少しだけ苛立ちを覚えるがそんなものはすぐ消える。

「しかし、会談前とはいえ、部長あちらがこの程度の接触、つまり、大きな行動にはでてないとすればすぐさま戦闘は起きないんじゃないかと思うのだが、どうおもう?私見として今回は動かなくていいと思うのだが?」

「そうね、相手が堕天使総督である以上、今回は、あまり動かないことにしましょう、けど、なぜ・・・?」

と部長は士郎に問うと士郎の直感が来訪者を告げる。そして

 

「(おいおい、渦中にあんたが来ていいのかよ――BOSS)」

魔法陣が展開され、中から声が聞こえた。

「アサゼルは昔から、ああいう男だよ、リアス」

突然この場の誰でもない声が聞こえる。全員が声がした下方向へ視線を移してみると、そこには紅髪の男性がにこやかに微笑んでいた。それから、彼が部屋に現れる。

その瞬間、士郎を含めた朱乃さんたちがその場で跪き、一誠とアーシアだけが対応に困っていた。新顔のゼノヴィアも理解できていなかった。

「お、お、お、お兄様」

驚愕の声を出す部長、無理もない、悪魔業界現魔王の『サーゼクスルシファー』さまがそこにいたのだから

「先日のコカピエルのようなことはしないよ、アサゼルは。今回みたいな悪戯はするだろうけどね。しかし、総督どのは予定よりも早い来日だな」

その後ろには、銀髪メイドのグレイフィアさんもいた。どうやら、彼の言葉から推察するに会談関係だろうと推察する。

 

「くつろいでくれたまえ、今日はプレイベートで来ている」

士郎たちにかしこまらなくていいと促すサーゼクス。それに従い立ち上がる全員

「やあ、我が妹よ。しかし、この部屋は殺風景だ。年頃の娘達が集まるにしても魔方陣だらけというのはどうだろうか」

部屋を見渡しながら苦笑いする魔王サーゼクス。士郎もそれにつられて見るが、確かに殺風景ではある。と同時に露骨すぎるというところもあるが

 

「お兄さま、どうして、ここへ?」

「(確かに、堕天使総督のアサゼルはわかるとして、なぜ、現魔王がここに?)」

と考えてみる士郎。すると、唐突に気づいたかのように一枚の士郎にとっては関係ない紙を取り出した。

「部長、たぶんこれじゃないですかね?」

「士郎これは?」

士郎に聞きながら二つ折りのその紙を開く部長。すると

 

「授業参観・・・・・・」

ペキッ・・・

部長の顔が一瞬凍り付く。それを見ていて笑いを禁じ得ない士郎。

「そのとおりだ、授業参観が近いのだろう?わたしも参加しようと思っていてね。ぜひとも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

いわゆる授業参観をしに来ましたということだが、どうやらほかの狙いがあるとしか思えない士郎。

「グ、グレイフィアね?お兄さまに伝えたのは」

冷や汗を垂らしているリアスに聞かれてグレイフィアさんは頷く

「はい、学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている私のもとへと届きます。むろん、サーゼクスさまの『女王』でもありますので主へ報告も致します」

「そういうことだ、報告を受けた私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい。父上もちゃんとお越しになられる。それに、」

さらっと重要なことを言う中、サーゼクスは士郎の方を見て

「しかも、こちらには優秀な人材がいるのでな・・・」

「どういう意味ですか?」

「簡単な話だよ――私が戦場に行く手間が省ける」

「はいはい、そうですか」

そんな感じで流す士郎

「しかし、お兄様は魔王なのですよ?仕事ほっぽり出してくるなんて!魔王がいち悪魔を特別視されてはいけませんわ!」

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ、リアス。実は三すくみの会談をこの学園で執り行おうと思っていてね。会場の下見に来たのだよ」

「(そういうことね)」

予想が当たってたことに少し嬉しい士郎。それから

 

「ここでですか?確かに、いい場所とは言えませんが、いいんじゃないんですか?」

士郎以外の部員、もちろん部長も含め驚いていた。

「あぁ、この学園とはどうやら何かしらの縁があるみたいでね。私の妹に、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、魔王セラフォール・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇の襲来――これは偶然では片付けられない事象だ。様々な力がうねりとなっているのだろ。そのうねりを加速的に増しているのが兵藤一誠くんと赤龍帝、それに約束された勝利の剣(エクスカリバー)の使い手、そして、そのほかにも沢山の異名を持つ――滅神龍皇と丹羽士郎だとは思うのだが」

「どうも、にしても、士郎君、少しいいかな?」

「ん、なんですか?」

「少しお仕事の話だ」

「わかりました」

「グレイフィア、少しリアス達と居てくれ」

「わかりました」

そういうと、士郎はサーゼクスに連れられ、学校の人気のつかない場所に向かった。

 

 

学園某所――

 

「――ということだ・・・」

と士郎はサーゼクスから仕事の話について聞いていた。

「シンガポール派遣ねぇ・・・随分とまぁ、別にいいですけど・・・あいつらは来るのか?アルビスは忙しいのではないのか?」

「そこは問題ない、外交担当のセラフォールが英国と契約を交わして、アルビスは任務時に英国職務が激務であろうとくることになっている。もちろん、こちらも相当な対価を払っているのだがね」

「それで、チケットは?」

「自分の足で行きたまえ」

「はいはい」

「んじゃあ、ホテルの宿泊チケットと集合場所へのチケットだ」

そういうとその部屋を去っていくサーゼクス

 

「シンガポールねぇ・・・」

そう思っている士郎であった。

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