ハイスクールD×D/Re:Zext Night   作:有栖川アリシア

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第四十一話 影と死徒と

協力者の最後の一人、オニキスはその光景を只々、見ているしかなかった

「(――どうして、私の解析眼が効かないのだ)」

10年かけて構成した自慢の者が使えなく戸惑っているオニキス

 

オニキスの視線の先の方向を見ると、少し離れた場所に"影"が立っていた。影・・・そう言うしかない者がいる。全身を覆う鎧は闇よりも暗い黒、長身で肩幅の広いそれは"男"としか判らない。面貌にしても兜に隠れていて見えない。あれが発散しているこれは殺気だ。文字通りの問答無用、純粋な殺意の波動を発しているあれが何なのかを瞬間的にオニキスは理解した。

相変わらず黒騎士はそこにいてこちらに殺気をぶつけてきている。その姿はこれでもかというほどの没個性、全身を包む龍のような鎧は多分鉄製だろう。様式は西洋風にも見えるが鑑定が出来るほど詳しくもない。おそらくどこかしら騎士だとは思うが騎士の誇りとする紋章なども見当たらない。それどころか英霊としての輝きも感じられなかった。叩きつけてくる尋常な殺気と相まって英霊というよりは怨霊の類だといわれた方がしっくりくる。

そんな中、黒騎士は、自分の兜をとった。オニキスはその瞬間、黒く長い髪を見た

「(女――いや、男か)」

顔を見て判別するオニキス

「いや、それにしても、熱い熱い…かえって、風呂でも浴びようかな…)」

オニキスはその言葉の中にあった敵意を感じ取り、光の槍を生成して

 

「い、行け!」

爆発を起こして逃げようとするオニキス

 

ザシュン!シュカカカカカァン!

次の瞬間、オニキスの意識は途切れた

霞みゆく視界のなかで自分の体を見ると、あちこちに剣や矢が突き刺さっていた

 

「ったく、めんどいものだ・・・」

そう呟きながら歩く士郎

スタッ!

不意に、隣にサツキが現れた

「まったく、士郎何やってるの?」

「ん?あぁ、少し郎党をぬっ殺していた」

「ずいぶんとゆっくりとなもんね」

「まぁな」

そんな中

 

「――これは…」

士郎はあらぬ方向から立ち上った魔力の奔流に邪魔された。

「えぇ、なにか、あらぬ実験が行われているわね」

「おそらく死徒実験だろうな、感が正しければ、捕食衝動の押さえ込みに失敗してるな」

「ってことは、外に出たら大惨事ね」

「あぁ、いよい『ラウンズ』らしくなってきたな」

「サファイアたちに伝える?」

「あぁ、念話で頼む」

 

 

そう言いかけた時、

「気づいてないと思った?」

後ろから、レイとアルビスがやってきた

 

「火鉢、それにアルビス!?」

「お待たせ~さっき見つけたけど、入口はこの倉庫群の右端にある赤い倉庫のしただわ」

「よくそこまでわかったな」

「まぁね、使い魔が優秀だから」

そういうと、士郎の隣にエミヤとディルムッド、それにアルトリアが現れた

「――現状を確認しよう、まず、この魔力の流れはご存知のとおり死徒だ、それも吸血衝動のおさえらない、言いたくないが失敗だ。そして地上に出たら大惨事、そして、倉庫郡の一番端の赤いコンテナが入口、それでいいな?」

エミヤが聞いてきた

「あぁ、問題無いエミヤ」

「――看過できぬ悪だな」

「えぇ、そうですねディルムッド」

ディルムッドがいい、それに同感するアルトリア

 

そういうと、一気に走り出す7人

そして、入口となる赤い倉庫の前に到着した

「――ここだな」

「えぇ」

今回の作戦としては、サフィアさんとステリアさん、それにアルビスが外に出てきた死徒を駆逐、そして、士郎、アルビス、サツキ、火鉢、それに士郎の召喚した、エミヤ、ディルムッド、アルトリアがなかで制圧として動くという手筈だ

 

「サツキ、アルビス、念のために渡しておく――皆この杯から飲め、これはその罪が許される様にと多くの人のために流す血、契約の血である」

そういうと、二人の手に魔力の塊を紋章化したものが刻まれる

「これは?」

「魔力ブースターかな?」

「魔力ブースター?何それ?」

「まぁ、魔力の塊だ――何かあったら、使え」

「えぇ、わかったわ――」

そして一気に倉庫の扉を開け放ち、倉庫から続く階段をものすごい速さで駆け下りる士郎

その下で見たのは、あまりにも衝撃的な光景だった

 

生きているものを喰らう死徒たち、それらは周囲の死体を喰らっていた、いや貪り食っていた

 

「やや客受けが悪そうだな、これは――投影・・・開始(トレース・オン)!!」

士郎の手に、隕鉄の鞴の原初の火(アェストゥス・エウトゥス)が現れた。それの銘にはRegnum caelorum et gehennaと刻まれている真紅の大剣だ。

バスッ!

襲いかかってくる死徒を切り裂き

 

「――■■■■――!!」

背後からも問答無用で襲ってくる死徒

振り向いて対抗とする士郎

バシュン!

しかし、その死徒は何かに打ち抜かれたように吹き飛ばされる

 

「――士郎、サポートするわ」

後ろには、機関銃をもった火鉢、機関銃からは少し白い煙が立ち上っていた

「――悪くない。むしろ良い」

後ろを振り向きながら言う士郎

そういうと、再び原初の火(アェストゥス・エウトゥス)を握り締め駆け出す士郎

ズシャ!バシャ!ドサッ!

嵐のような士郎の剣戟で次々と死徒が行動不能となっていく

「有象無象が、よく湧くものだ」

苦虫を噛み潰すようにいう。士郎は原初の火(アェストゥス・エウトゥス)をうえに放り投げた。

落ちる寸前、金色の粒子となって消えていく真紅の大剣

先は見えないがかなり広い空間だということはわかる

「手早く片付けよう・・・投影・・・開始(トレース・オン)

そう言うと、士郎は少し目を瞑り、精神をそれに集中させた。それと同時に、陰陽二振りの短剣があらわれた

士郎が口ずさんだのは、投影魔術型固有結界

 

「――I am the bone of my sword.」

詠唱中にも関わらず、死徒は問答無用で襲いかかってくる

 

「Steel is my body, and fire is my blood.」

襲いかかる死徒を問答無用で干将・莫耶で切り裂いていく

 

「I have created over a thousand blades.」

まるで黒と白の嵐のように周りの死徒を吹き飛ばしていく士郎

 

「Unknown to Death.Nor known to Life.」

口ずさむたびに、士郎の剣戟の速度は増していく

 

「Have withstood pain to create many weapons.」

そして、その後ろでは機関銃が火を吹く音や、死徒が切られている音がする

 

「Yet, those hands will never hold anything.」

その詠唱を聞いた、3人は士郎の近く、それも士郎の背中を合わせるように互いの背中を合わせる

 

 

 

 

 

 

「――So as I pray, unlimited blade works.」

士郎の呪文が完成する。そして、炎が迸り、世界を塗り替えていく。・・・それはいたるところで炎の上がる死の世界・・・天には無骨な歯車が回り、大地は不毛な砂に覆われた荒野。そして見渡す限りに突き立つ、墓標のような剣の群・・・命の影すら見えない、死の匂いに満たされた世界がそこに現れた。

 

「――茶番はここまでだ」

士郎の低い声が世界に響いた

「決着をつけるとしよう」

そういうと、士郎の上空に数個の剣が投影される

 

 

「行け!」

始めに数本の剣が死徒に襲いかかる。

「終わりだ!無限の剣舞(アンリミテッドブレイドダンス)

そして、士郎の上の空間を埋め尽くすほどの大量の剣が相手に一斉に降り注ぎ、死徒をメッタ刺しにした。

 

「――予想が外れたな。もう少し手こずるかと思ったのだな」

そう呟く士郎

周囲は血液の濃厚な匂いが充満していた

 

「ずいぶんと大きく出たものね」

静かな声でいうサツキ

「魔術協会に探知されないの?」

アルビスが心配しているのは封印指定のことだろう。封印指定とは、魔術師を「貴重品」として優遇、「保護」という名目の下で一生涯幽閉し、その能力が維持された状態で保存する。要するに、協会自身が封印するということ。言ってしまえば、ホルマリン漬けの標本にして飾るのと変わらないのである。

そして、魔術協会とは、国籍・ジャンルを問わず魔術師たちによって作られた自衛・管理団体。魔術を管理し、隠匿し、その発展を使命とする。(無論、名目上ではある)外敵(教会、自分たち以外の魔術団体、禁忌に触れる人間を罰する怪異)に対抗するための武力と、魔術の更なる発展(衰退ともいう)のための研究機関を持ち、魔術犯罪の防止法律を敷く。一般社会で魔術がらみの事件を起こしたものは処刑されるが、「正義」「道徳」ではなく、「神秘の漏洩」を防ぐことがその最大の目的とする組織のことだ。

 

「まぁ、大丈夫だろ、閉鎖的な空間だし、気づかれないように最小魔力で行使したからな」

「士郎がいいならいいんだけどね」

「――あとは、この死体の隠蔽工作だな・・・」

「任せていいかしら?」

「まぁ、いいだろう」

 

「――」

何を行ったのか、まぁ、あくまでもわからない言葉を放った士郎、その直後、死徒たちが砂のように地面に吸い込まれていった。

士郎は、高速神言を使ったのだ。神代(神が治めていた神話時代)の言葉。魔術を発動するとき一言で大魔術を発動させる、高速詠唱の最上位スキルで、呪文・魔術回路の接続を必要としない。区分としては一小節に該当するが、発動速度は一工程と同等かそれ以上。しかも威力は五小節以上の大魔術に相当する。呪文自体が「神言」である為、詠唱の長さと威力が比例するという法則は適用外。故に本来ならばせめて凛のように相応の触媒を用意しておかねば実現不可能な、「大魔術をただの一言で発動させる」という行為を可能とするわけである。現代人の舌では発音不能、耳にはもはや言語として聞き取れないのだ。

 

「隠蔽工作終了」

再三確認する士郎たち

そして、完全に証拠隠滅を確認すると

「さて、帰るか・・・」

そう言うと、出口の方向に歩いていく士郎。そして、外に出ると月の光が士朗達を照らしていた。

 

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