ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
第四十七話 枝分かれする道
朝――いつもの朝だったが、少し違う朝を迎えていた。
士郎が悪魔になったことによって住んでいる世界が変わったというわけでもないわけではないのだ。そして、少なからず変化をもたらしていた。それがこれだ
朝の陽ざしがイイ感じで部屋に差し込んでいた。早朝のベットの両脇には幼馴染のサツキと居候しているアルビスが一つの布団で寝ていた。ここまでこの通りの文面なら、問題ない。だが、彼らが抱き枕にしているのは何なのかというと
「(ん…またこれか)」
いつも通りの違和感と共に、布を隔てたやわらかい感触が、士郎を襲う。二人の柔らかさに脳みそが蕩けそうになる。思わず抱きしめたくなるが、そんなことをしたら大変なことにはわかるので、士郎はそれを抑えるが
「んっ……」
吐息と共に士郎の脚とサツキの脚が絡み合う。二人の肌が触れ合う。士郎の顔が赤くなる。いくら幼馴染でもこうもなると、いやでも感じてしまう。逆にそれが心地よいと思うのだが。そんな中
「あら、朝っぱらから顔を赤くしちゃってどうしたのかしら?」
振り向いていると、そこには、瞳をぱちくりと明けたアルビス
「アルビス――」
「あら、私のことは意識していないのかしら」
すり寄ってくるアルビス。とはいえ、どこか彼女の顔にはほんの少しの嫉妬と熱っぽさsを含んでいるとはいえ、小悪魔的な顔がこちらを見つめていた。そんな中
ガバッ――
「ちょっと、アルビス独り占めしないでよ」
「あら、ごめんなさい」
士郎の首もとからサツキが首を出した。
「おいおい、独り占めってどういうことだよ?」
「あら、言ってなかったっけ?」
「全く覚えがないのだが?」
「なら言っておくけど――」
アルビスは、士郎の頬にやさしく触れる。そしてサツキは身体を密着させ
「士郎は――私たちのものってことよ」
色々と衝撃的なものではあるが、慌てる必要性はもう遅いなと思う士郎は少し心の中で溜息をつきながら少しだけ幸せを感じていた。
日本:中央省庁某省特別会議室
「ということね、ブリーフィングは以上よ」
ラウンズの面々は、学校などが終わったと同時に中央省庁の某省の特別会議室に集まっていた。窓側の奥の席には、リーダーのサファイアさんがいる。
「まさか、ここの下とはな」
「有明の一件で少し危惧していたけど、多少めんどくさいことになったわね」
後ろで手を組みながら言うアルビス。
「防衛省の特務部からの依頼よ、気を引き締めなさい――アルビス」
「わかっているわよ」
「それで、突入場所は?」
「えぇ、防衛省よ」
そういうと、防衛省の地図が出される。
「防衛省なんで?」
「そもそも、あの周辺はというか、空洞が多くてね――市ヶ谷の私の知り合いはね、色々あるってことよ」
「つまり、見えない所ってわけか、この東京も知れば知るほど恐ろしいな」
「まぁ、それが今回のことを招いたんだけどね」
「了解、それで突入は今からか?」
「まだ、上の役人からGOが出ていないわ」
「事態は切迫しているというのにな――」
「ま、そういうことでね――っていうことで、少しほかのところから入ってもらうわ」
「どこから?」
「ここよ――」
そういうと、サファイアが指さしたのは、全く関係ない国立国会図書館だった。
「国会図書館?」
「えぇ、ここの8F一般公開していない特殊区画から入り込むわ」
「まさか、旧陸軍の?」
「そういうことだ、みんないいわね」
『――了解』
面々が返事を返すと同時に、士郎たちは夜の永田町に向かった。
「ここか――」
深夜の永田町はいつにもまして不気味だった。ラウンズの面々といっても、士郎とサツキとアルビスとレイとリアナである。サファイアさんは地上で待機ということになっている。
「――なんか、いやな気配がするにゅ」
「あぁ、それは俺もだ」
レイの言葉に反応する士郎。
「ここだな」
「えぇ、そうなるわね」
目の前には、国立国会図書館。深夜だけあって不気味な様相を呈している。
「さて、ブリーフィング通り、国会図書館の工事現場から入ろう」
全員がうなずくと同時に、裏手の工事現場に入ると
「おいおい、こりゃ――どいうことだよ」
工事現場にあるはずの入り口がなかった。
「情報ミスかしら?」
アルビスがリアナに聞くなか、士郎は違和感を感じる。その違和感を放っているのは、ただの白塗りの壁だ。士郎は、その壁に向かって
「たぶん、こういうことじゃないかな」
士郎は、起源弾を装填したコルトガバメントをかべに向けて撃つ。弾丸が壁にめり込むと共に、バチバチとした火花と共に国立国会図書館の"設計図には存在しない扉"が現れた。
「これは――」
「存在しない扉ということだな――いくぞ」
いつの間にか、士郎を先頭に図書館の中に入っていった。
誰もいない夜の図書館に足音が響く。そして、一つのエレベーターについた。
「また図にないエレベーターか」
「だな――」
士郎はそのエレベーターのコンソールを見ると、どうやら、カードキー式みたいだ。
「めんどくさい」
そういうと、エレベーターの扉をこじ開け、エレベーターシャフトに入る
「豪快ね」
「どうも、降りるぞ」
そういうと、エレベーターシャフトを飛び下りる士郎。そして、地下8Fに到着した。
「ここが地下8Fか」
「そうね」
本当に真っ暗な部屋の中を歩いていく。幸い、自分たちは夜目が聞くので問題ない。
そんな中――
ヒュールルル・・・
突如ここが地下8階にも関わらず風が吹き抜けた
『――ッ!?』
全員が臨戦態勢になる。
「どういうことだ?」
「さぁな、東京は色々あるらしいということは確かだ」
リアナと言葉を交わし、ドアに向かって進んでいくとそこから風が出ていた。
「ここか――」
「あぁ、みたいだな」
そういって、警戒しながらドアを開ける。すると、そこに線路が現れた。
「地下鉄――」
「みたいだな」
「けど、階層的に見て、本当なら線路は走っていないにゅ」
「いんや、たぶん連絡線か何かだろう」
「連絡線――ッ!?」
魔力の感覚と共に、全員が一斉に武器を構える。見ればそこには、光に当てられ光る透き通った色をした肉体にデスマスクのように白い顔、腕にはなにやら武器――それも剣だとわかる。まるで、人間をそのまま透明にしたような感じだ。こちらに向けられる敵意はどうもいいものではないらしい。全員が戦闘態勢になり
『――■■■■■■!』
聞くに堪えない咆哮。
「いくぞ!!」
士郎が真っ先に飛び出していく、その手にはヘリ用の機関銃があり
「んじゃあ、一泡くらいな!」
容赦なく降り注ぐ通常の弾丸。
『――■■■■■■!』
士郎が見たのは、傷口が修復され何事も無かったかのように動き出すなにか。
「(――再生しただと!?)」
少し驚く士郎。しかし、そんなことを気にしている場合でもなく、
「
「
後方からリアナの騎士がその剣を振るう。そして、アルビスの霊装であるカーテナを強化するための
「そんな、また――!?」
そして、敵が応戦してくるので
「サポートするにゅ!!――
無数の棘が、それを打ち抜くだが、すぐさに再生する。
「――甘いわ!!
ザクンッ!!
黒い刀身の刀で超速の一閃するサツキ。
「(手ごたえがない――!?)」
まるですり抜ける、あるいは水を切ったような感覚に驚くサツキだが、そんな中士郎が何かに気付き
「なら、これだ」
先ほどのコルトガバメントを構え、引き金を引き、眉間にその弾丸を叩き込む
『――■■■■■■!?』
弾丸が貫通すると共に、魔獣が先ほどより大きな咆哮を上げて、霧散する。
「消えた――」
「やったってことだな」
霧散した場所を注視しながら告げる士郎。
「士郎、今のは?」
「起源弾――対魔力属性の魔弾だ」
「要するに相手に、魔力および物理は効かないってことね」
「そうなるな、厄介な相手だな、けど、弾丸を撃ち込んだとき魔力回路が集中的に暴走したのが頭部の紅い所だった、どうやら核となる部分だろう、そこに叩き込めば問題なかろう」
「そう、頭部ね、とはいえ、私とサツキは、そう考えて対魔力装備はあるから問題ないわ」
アルビスがいう。視線をレイとリアナに向けると
「弱点が判明すればこっちにも方法はある、まぁ、任せろ」
「さすがだ、さて、団体さんのお出ましだな」
士郎は、通路の先からあの魔獣を捉える。
「ねぇ、一応あれの名前つけておく?」
「そうだな、以降アレの名前をネームレスと呼ぼう」
「いいわね、なら、
そういって、対魔力用にコーティングしたカーテナで飛び出していくアルビスとサツキ。そして、彼女の間合いに入ると同時に、カーテナによる高速の5連続の突きを繰り出す。後方から物凄い勢いで迫ったサツキが横薙ぎで
「ナイスだ」
その後ろから、士郎はガバメントを構え、トリガーを連続で引き、次々と銃撃していき、焼失させていく士郎。
「加勢する――
「弱点がわかればこっちのものにゅ――」
リアナの騎士の腕が巨大化しネームレスの身体をつぶす。そして、頭部の弱点が現れたところに向かって、レイの棘が突き刺さっていき、焼失していく。
「――なら、でかいの行こうかね、サツキ、アルビス、リアナ、レイ――10秒稼いでくれ」
『了解!!』
そういうと、士郎は強く念じる。念じると共に体の中の回路に魔力が行きわたり始める。
「
4人が士郎の前に出て、次々と敵を圧倒していく。
「憑依経験、共感終了」
しかし、それは命中せず、あと一歩のところまでしか追い詰められていない
「
この状況を確実に打破する弾丸を多量に投影し――
「全員下がれ!!
士郎の下がれという指示の1秒後に弾丸の雨が一気に降り注がれる。圧倒的な弾丸がネームレスの軍団を一瞬にして打ち抜いた。
パラパラパラ・・・
周囲には着弾の衝撃で、煙が舞っていた。
「圧倒的ね」
「どうも」
周囲のネームレスはすべて焼失した。故に、生体反応はない。
「にしても、恐ろしい生き物だな――」
「いや、あれは人工生物だ、いても不思議じゃない」
「人工生物――ホムンクルスか」
「そうなるな…」
「厄介なものだ――急ごう、たぶんこの東京の地下は何かある」
「同意だな」
そういって、歩いていくと
「ねぇ、この先には、何があるの?」
「さぁな」
サツキが聞くと、レイが地図を取り出すと
「ちなみに、このままいくと」
レイの顔がひきつる――よほど、なにかあるのだろう、しかし、顔を戻し彼女がいった
「―――明治神宮がある」
全員の顔がひきつる、無理もない――明治神宮はこの東京で数少ない神霊レベルの魔術が行使することが出来る場所でもある
「そうなると、何かがあっても間違いじゃないってことね」
サツキが言う。いよいよ、まずい感じにことが回りだす。
「しかも、あそこって東京の真下を通っている
「おいおい、それはシャレにならないな――」
軽く言葉を交わしながら歩いていくと大きな洞穴にでた。
「ここは?」
「ちょうど距離的にみて、明治神宮の真下ね」
「ビンゴってわけか」
と歩いていくと
『少し、待て――士郎』
「ジルニトラ、どうした?」
突如、静止させられる士郎。
『濃密な闇の気配がする――来るぞ』
「…覚悟する」
そういって、士郎はすぐさま干将・莫耶を投影し構える。すると、士郎の頬を何かがかすめた
「(――来たか)」
シュパンッ…ズガァンッ!!
士郎のすぐ後ろで何かが着弾し爆発する。後ろにいたサツキ達は、防御結界を張っていたため無事だ。士郎は視線を飛んできた方に向けるとそこには、人型の何かがうごめいていた。濃密で禍々しい魔力が周囲に満ちていく。そして、驚いたことに敵意を向けられているのは、士郎一人だった。
「俺だけってわけか」
「そうみたいね士郎、任せたわよ」
「えぇ、気をつけなさいね」
眼前の敵から視線を反らさずサツキとアルビスと言葉を交わす士郎。そんな中、ゆっくりと歩みを進め対峙していく。
目の前にいるのは、士郎と容姿が似た"何か"がそこにいた
「(俺を真似たか――)」
"何か"の手には、こちらと同じく干将・莫耶がある。
「(干将・莫耶までもま)」
近づいていくと、相手は、どうやら目を瞑っていたらしく、ゆっくりと目を開けると、
ブワッ!!
士郎は猛烈な禍々しい魔力に充てられるが微動だにしない士郎。そして、"何か"の持つ紅玉の瞳が現れた。開かれたと同時に凄絶な敵意を当てられる士郎。そして、一気に臨戦態勢になる。そして、"何か"が声を発した。
『来たか、"
「喋れるのか貴様――"
『いくらでも呼んでくれて構わない、そうだな、しいていえば私は
「
『名乗る名前もないからな』
そういうと、あちらは、干将・莫耶を構える。ゆっくりと、周囲の時間が停滞していく。同時に、全身の血液が早まっていく。士郎は、戦闘を求める衝動に掛けた手綱をいっぱいに引き絞る。
「(最初から全力で当たらねば、とても敵わないな――)」
士郎は無理もなく構える。そして、洞穴内の水滴が一滴垂れた瞬間。両者同時に地面を蹴った。
ガキッン!ガキッン!
士郎と贋作の剣がぶつかり合う。士郎は、干将・莫耶をそれぞれの手で連続で振るってから最後に同時に斬りつけて攻撃をする。だが、カウンターで相手は干将・莫耶に魔力を流し深紅色の光の帯を引きながら剣戟を繰り出す。だが
「(――
間髪入れずに、舞うように連続で双剣を振るって、最後に小さく飛び上がって剣を振り下ろす。だが
ギィィンッ!!
『おっと、この私は剣しか使えないとは言ってないぞ』
「(干将・莫耶の次は、
『(まさしくあやつはおぬしの影じゃな――)』
とジルニトラが声をかけてくる。
「(だが、勝機はあるさ――)」
士郎は、すぐに長大な太刀を投影しそれを構える。
「――秘剣…燕返し!!」
士郎の振るった剣が、三つの斬撃を生んだ。高速による残像ではない。確かに剣は三本存在する。物理的にありえない現象が士郎の手によって実現する。しかし、
「(見切られたと――だが…!!」
『なっ…!?』
「その心臓、貰い受ける!――
そういうと、真紅の槍が
『すまんな、私には心臓はないのだよ』
「だろうと思ったよ」
そういうと、もう一つの紅い槍が
『そんな…バカな、なぜそれを――!?』
「さぁなんでだろうな――」
紅の槍を