ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
8月11日
兵藤一誠が『魔龍聖』タンニーンに連れ去られアサゼルの修行の一貫としていじめ抜かれてから数日後
ソーナ・シトリーの眷属たちとのレーティングゲームまであと9日というある日。本来ならば、修行を続けるはずなのだが、やることがやることなので、少しアサゼル先生と結託してとあること つまり士郎とのレーティングゲームを行うことになっていた。
グレモリー領丹羽自治区――
教会の中を妖気が満たしていた。本来ならば神の愛に満ちているべき場所が、暗がりよりも尚暗い。原因は教会に集った者たち、存外に集まりが良いことに此度の支配人である丹羽士郎はほくそえんだ。
「礼にかなった挨拶を交わそうと言う御仁は、どうやら一人もおらぬ様子ゆえ、単刀直入に本題に入らせていただく」
士郎の前で話を聞こうとしているのは人間ではなかった。そこにいたのは使い魔にされた動物が4匹・・・全て今回の訓練に参加する者たちのものだ。一つは部長の使い魔、もう一つは木場のもの、朱乃さんと小猫ちゃんのもの
「これより、非公式レーティングゲームを行う、ルールは簡単、参加するリアスグレモリーの眷属の者たちは、私が放つ刺客を打ち破ってくれればいい――それだけだ、しかし」
士郎の言葉が部屋に響く
「3人以上での戦闘行動以外の行動は原則禁止とする、そして、私はここに監督役としての権限を発動し、暫定ルールの設定を宣言する、それは、監督権を一時放棄し代理としてジャンヌ・ダルクに監督者権限を移譲する、そして私も此度の訓練に参加させてもらう――もちろん、君たちの敵役としてだ」
そして、士郎のルール説明が終わる。
「――以上でおわりとする、皆の者、誇りある戦いを」
士郎の演説が終わり、その場から参加者の使い魔が消えた。それを確認する士郎
「さて、ジャンヌ――」
士郎の隣にジャンヌ・ダルクが現れた
『はい、士郎――頼みます』
「あぁ、――神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません」
『では、任せられました』
「あぁ」
言葉を交わし、監督権の移譲を行う。そして、それが合図かのように周りに様々な歴戦の英雄が現れた
「それで、どうする?」
士郎は彼らに問う
『では、私は大橋のところで待機をしよう』
言ったのは赤い衣装の少女剣士
「わかった――任せよう」
『任せよ! 一蹴に伏してくれる』
意気込んでいる少女剣士
「それで他には?」
『では、私はディルムッドと、ランスロット、それにレオを引き連れて行こうと思いますが宜しいでしょうか?』
言ったのは、金髪の女騎士
「了解した――では、場所は任せる」
『承知――では、参るぞ』
『ハッ!』
その場から金髪の女騎士が二人、黒甲冑を身にまとった騎士、右目の下に泣き黒子のある美男子、白銀の甲冑を身に付けた青年がそこから消えた
『では、私は――そうね、柳洞寺辺りにいるわ――小次郎と玉藻前を連れていっていいかしら?』
フードによって顔を隠した女性
「あぁ、構わないぞ――では、玉藻よろしく頼む、小次郎もな」
『こんなの朝ごはん前です』
言ったのは、妖艶な半獣の女性
『やれやれ、血生臭いことよ』
会釈をする紺色の陣羽織に長大な太刀を帯びた耽美な青年
「すまんな――」
そんな中、士郎の後方にアルトリアと違う金髪の赤い瞳の女の子があらわれる
『面白そうだ、我も出よう』
「――わかった」
ためらいもなく言う士郎そして、士郎も教会から出た
一人・・・暗い礼拝堂に残されたのはジャンヌ・ダルクだった
side イッセー&部長
「イッセー、聞いたかしら?」
「えぇ、確かに聞きましたよ――思ったより、なんか怖いっすね」
「あの士郎が直々に申してくるなんて、よほどこれがやりたかったのね・・・」
「それにしても部長――どうしますか?」
「とりあえず、ねぐらになるところを探しましょう――確か、士郎からもらった地図があるでしょ?だして、イッセー」
「ハイっす」
そういうと、地図を取り出すイッセー
「じゃあ、このホテルにでも向かってここを寝座にしましょう」
「そうっすね」
教会の近くの木から飛び降りる、イッセーと部長。もちろん、周りを気にしながら飛び降り歩き始める二人。それから丁度、都市部に入った頃
「イッセー、見えたわ、あそこよ」
目先にあるのは地図のホテル。そして、これから丁度大橋を渡ろうとした頃、当たりに魔力が満ち始める。それを察知するリアス。
「イッセー!」
「はい、ブーステッドギア!」
イッセーがそれを感知し戦闘状態になる。すると、どこからか紅い美しい花びらをのせた風が吹いてきた。
「紅い花びら――」
部長がその一枚の花びらを見てそういった、その直後
『では、戦いを吟じるとしよう』
イッセーと部長の前に、赤い衣装の少女剣士―ネロ・クラウディウスが現れた。
「「――ッ!!」」
その少女剣士の手には、真紅の大剣。いつでも戦闘できるみたいだ。イッセー達から見れば、赤い舞踏服と大剣が印象的な剣士だ。
『龍狩りとは、やや客受けが悪そうだな……しかし、我も全力で参る故に』
ネロの姿が一瞬のうちにイッセーとリアスから消えた。
『遠慮なく参るが良い!!』
ブンッ!
風の変化を感じ取ったイッセー。そして、予感と共に横を大剣が勢い良く降り下ろされた。
「ッ!!アスカロン!」
『Blade!!』
甲から剣が伸び、それを取るイッセー。
『ほぉ、初手を凌いだか、それに、キリスト教の伝承の聖ジョージのドラゴンを殺したと言われる剣か――面白いな』
そう言いながらも舞踏のような軽やかなステップでイッセーを責めていく、若干イッセーの身体に切り傷が付いていく。それに対しネロはまったく傷はつかない。つまり攻撃が通らない
「ッ!こいつ、木場の剣より――」
『ほれ、よそ見をしている場合があるのかな?余はつまらぬぞ?』
「巫山戯るなぁぁ!ブーステッドギア!!」
『Boost!』
『これは、力が上がっただと?――ならば、聖者の傷よ、涙となれ!
薔薇の花びらの演出と共に 剣を構えネロ自身の攻撃力が上昇した。
「(ッ!重くなった!?)」
突如のことに驚き、少し拳が鈍るイッセー。どこからか、声が聞こえる、それは戦闘中のイッセーにも聞こえず、もちろん部長にも聞こえず、聞こえたのはネロただ一人。そして
『――よかろう!オリンピア・プラウデーレ! 門を開け! 独唱の幕を開けよ!』
瞬間的に、ネロの魔力が底上げされる、それを危機と感じたイッセーと部長
「イッセー!」
「わかってます!」
一気にこちらから畳み掛けるようにネロに向かって攻撃をし始めるイッセー。しかし、イッセーの攻撃は魔力の壁によって阻まれた
『我が才を見よ!万雷の喝采を聞け!インペリウムの誉れをここに!咲き誇る花のごとく……開け! 黄金の劇場よ!!』
そして、周囲を花びらが渦巻いていくと同時に
『――
イッセー達の目の前に大劇場が現れる。
「部長…これは」
「イッセー、私も出るわ――永遠にだって終わりはあるのよ。黄金劇場の出しものは私が終わらせてやるわ」
意気込む部長に、イッセーの士気も高くなる。
「わかりました、たのみます」
二人の目の前にいるのは、皇帝ただ一人、そして劇場がある。
それは、自ら設計し、ローマに建設した劇場「ドムス・アウレア」を、魔力によって再現したもの。固有結界とは似て非なる大魔術。聴衆に自らの公演を強制的に最後まで聞かせるべく、劇場の出入り口を全て封鎖し閉じ込めたというエピソードに由来されたものだ
『行くぞ!』
ネロが一気に走り始める、その姿もまるで芸術品のようだ
「イッセー!」
「ブーステッドギア!」
『Boost!』
イッセーの篭手からドラゴンショットが放たれ、それを体で仰け反らせよけるネロ、よけながらも走りながら二人に接近する。
『ゆくぞ!
シュパパパパァァァァン!
「イッセー!」
攻撃を受け、吹き飛ばされるイッセー。攻撃を受けたイッセーを抱きとめる部長
「あなた!許さないわ」
部長の滅びの魔力が増大する、そして
ズドオォォォオン!
『なっ!ドムス・アウレアが!』
巨大化した滅びの魔力の塊は劇場の3分の2を削った。それとともに、固有結界が消滅する
「イッセーを傷つけた罰、万死に値するわ、くらいなさい!」
ものすごい速さとともに部長から3発の滅びの魔力の塊が放たれる
霊体化している彼らにとっては天敵にも等しい、それが、ネロの背後に当たり、
ズドオォォォン!
ものすごい音で爆発した
「――部長?」
先ほどの攻撃の音で傷ついたイッセーが目を覚ました
「イッセー、目を覚ましたのね」
少し頬に涙を浮かべる部長
「倒したんですか?」
「えぇ、倒したわ」
二人の視線がネロがいたところに向けられる、そこからは砂埃が舞っており、視界が悪かったが
その瞬間、両手をかかげ回転すると共に周囲に 薔薇の花びらを巻き散らした。
『ケホ、ケホ』
咳き込む声が聞こえる
「――そんな、まさか!?」
部長には手ごたえがあった
砂埃の中から、ぼろぼろの状態のネロが現れた
『まぁ、驚くな、士郎の主よ、そして、赤龍帝の宿主、忠義……大儀である』
そういうネロ
『第一、奏者の言うとおり容赦ない輩じゃな―― 一度やられたものの
「そんな…なんで……!?」
驚いた顔を浮かべるネロ
『落ち着け、士郎の主よ、
部長に対してネロが言う
「それだけって…おもいっきり、反則級じゃないの」
『反則とはなんじゃ、それをいうならそちもではないか、固有結界を壊すとはどういう仕掛けなのじゃか…まったく』
少し毒づくネロ
『まぁ、よい、この橋を通るが良い、リアス殿それと兵藤一誠よ――』
そういうネロ
「いいんですか?」
イッセーが言うと
『あぁ、よい』
受け答えするネロ。時は既に人間界時間11:00を回っていた
side 小猫&朱乃
「――まったく、士郎君も大胆ですわね」
「えぇ、士郎先輩はどこかおかしいです」
毒舌を相変わらず遺憾無く発揮する小猫ちゃん。それから、なにやら地図にマークを付けていく朱乃さん
「先輩、どうですか?」
それをのぞき込んでくる小猫
「えぇ、この川なんですけどね…」
朱乃さんが自分の荷物から取り出したのはいくつかの試験管・・・入っているのは透明な液体、水のようだ。
中の水が漏れないように、栓で密閉してある試験管には、α、βの書かれたラベルが振ってある
どうやらこれが、さきほどやってた"水汲み"の成果らしい。
朱乃さんはそれを確認すると、どこからか取り出した旅行カバンの中から試薬の入った薬瓶に鉱石、更には乳鉢やスポイトなど色々な器具を取り出して並べていく。
学校の理科室にでもありそうな器具だ。
「これは?」
どうやら興味を惹いたらしい小猫が聞く
「錬金術ですわ」
「錬金術ですか」
小猫の見ている前で朱乃はリュックサックの中から取り出した試験管を順番にチューブラックに並べていく。
「念のために確認しておきますけど、確かに地図に書いた場所を間違えていませんね?」
「はい、問題ありません」
朱乃さんは小猫から投げ渡された地図を開く、川に沿ってアルファベットが振ってあり、それが試験管と符合する事を考え
れば、小猫が川にいたのはこれを回収するためだったのだろう。
チェックを終えた朱乃さんはスポイドで試薬を取る。
その姿は、やはり科学の実験のようだ。
「これは、何をしているのですか?」
「ん?術式残留物の名残を調べているんですわ。錬金術の基礎といって・・・あらあら!!」
一本目の試験管に試薬を入れた瞬間の変化は劇的だった。
無色透明だった水が、一瞬で赤錆色ににごったのだ。
ウェイバーの言葉を借りれば、術式残留物という奴の濃度が高かったのだろう。
「これは、川の近くで魔術を使っている人間がいるという事なのですか?」
「ええ、そうですわ。河の上流のどこかで魔術を使っている奴がいるんですわね」
この変化は朱乃さんにとっても驚きだったらしい。
それだけ水の中に残留している、魔術の残留物の濃度が濃かったという事だ。
「これを逆にたどれば、その場所を掴む手がかりになるかもしれないな」
「あの川に、最初からそういうものが混じっていると、知っていたのですかか?」
「まさか、でもせっかく街のど真ん中に川のある地形なんですわ。まずは自ら調べるのが当然でしょう?」
小猫は素直に感心していた。
朱乃さんはもくもくと作業を続ける。
試験管の中の水は、順番にその濁りを増していった。
試薬を垂らしている朱乃も呆れている。
「先輩、やはりこれは?」
「えぇ、異常どころじゃないですわね」
単調な朱乃さんの検査は続いていく。
試験管の水は、上流に向かって検査していくのに、比例するかのごとく、その濁りを増していった。
朱乃さんの手に持っている試験管など、すでに墨汁のような色になっている。
しかし、その次の試験管に試薬を垂らすと、今度は色が変化せず、透明なままだった。
朱乃が試験管を振っても色が変わる様子はない。
それを確認した朱乃は、チェックを入れた地図を開く。
「小猫ちゃん、こことここの間に何かありましたか?排水溝とか用水路の注ぎ口とか?」
「えぇ、ひときわ馬鹿でかいのが一つありました、それに橋も」
「それですわね。そいつを遡って行った先に、多分魔術師のクラスの敵の工房がありますわね」
「・・・・・・」
「では、居場所がわかったのならこれから殴りこみに行きましょう」
「いえ、敵は魔術師クラスですわ相手のテリトリーにのこのこ入っていってどうするのですか?」
「大丈夫でしょう、魔術師クラスといってもランクは私たちよりしたでしょう。遠距離魔術に秀でてますから近接で攻めれば問題ないかと」
「そうですわね!これで何の問題もないですわね、では参りましょうか」
「いつになくやる気ですね先輩」
朱乃さんはすでに巫女服姿になっていた。
いつでも来いと言う感じだ。
「当然ですわ、せっかくのご招待ですものお招きに預からなければ。それが心意気というものですわ」
そこから立ち上がり手早く荷物を片付け、歩き始めた
それから歩くこと数十分問題の川岸地点に出た、現在二人がいるのは川沿いの川岸のところ
あたりは暗く、一般人じゃ見えないそれ――二人の視線の先には獣耳の少女とフードをかぶった女性
『あらあら、これはこれは、一匹目からカモね』
『えぇ、ご主人様が言ってた、妖ちゃんと雷の巫女さんですね』
『んじゃあ、玉藻前どうする?』
『私は左を―華麗に片付けるといたしましょう』
『では、私は右に魔女の指先、とくと味わってもらうわ』
二人が身構えると同時に玉藻前とメディアが攻撃を仕掛けてきた
『炎天よ、奔れ!』
小猫の足元から炎を立ち昇らせる玉藻前
「っ!!」
間一髪それを避ける小猫
『避けてばかりでは私に勝てませんよ?あぁ、そうでした一回目でしたね』
少しイヤミ的なことを言われる小猫
「ッ!!」
着地した反動で地面を蹴り一気に玉藻前に向かって殴りかかるがそれを軽々とよけられる
『気密よ、集え!』
小猫をつむじ風が襲う、その直後、風を断ち切って攻撃をかけてくる
『ありゃ、呪相・密天が効きませんか――不利ですね~けど』
瞬間的に、小猫の前から玉藻前の姿が消える
『行っきますよー!えい!やぁ!それ!』
小猫の背中に3連続で打撃が打ち込まれる
「――!」
それに驚いている小猫、それもそうだ、自分が得意とするショートレンジで攻撃されたからだ。しかし、それに負けじとカウンターで
『きゃ!』
玉藻前の腹部に見事なまでのカウンターアッパーが決まり、吹き飛ばされる玉藻前、しかし、空中で体制を変え何事も無かったかのように着地する
『まったく痛いじゃないですか、そう言う人にはお仕置きです』
鏡の形をしたなにかを取り出し何かを唱え始める、それは、丹波の国氷上郡の氷香戸辺の子に神が降りて詠んだとされる神託等に登場する、美具久留御魂大神の御神体たる出雲の神宝
『出雲に神在り 審美確かに 魂に息吹を 山河水天に天照す 是自在にして禊の証 名を玉藻鎮石 神宝宇迦之鏡也 なんちゃって☆』
玉藻前が使ったのは水天日光天照八野鎮石――その効果は魔力の外部供給だ
『いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花……
玉藻前の両手にあった猛毒が気化する。
「グハッ!」
それが小猫に向けて思いっきり叩きつけられた
その毒々しさ故、地面に臥す小猫
「――ま、まだ・・・」
小猫自身もこうは言うものの、その体は毒によってボロボロだ。かろうじて生きているくらいだ
しかし、後ろから何かによって手刀が当てられ、視界が暗くなった
『――ふふ……出直していらっしゃいな』
玉藻前のその言葉が小猫の中に残った
「――あなたは、メディア」
そう、今朱乃の前に立っているのはギリシャ神話に登場する裏切りの魔女メディア、神代の魔術師であり、その腕前は現在の魔法使いをも凌ぐとされる。
『えぇ、そうよ、それがどうかしたかしら?』
「なぜ、あなたが・・・?」
『まぁ、訓練だからかしらね?――あぁ、それと、あなたに渡すものがあるわ』
「渡すもの・・・?」
『えぇ、士郎からよ――牡籥かけ闔す総光の門―――七惑七星が招きたる、由来艸阜の勢―――廉貞零零、急ぎて律令の如く成せ――― 千歳の儔、雷切』
そう言うとメディアはどこからか現れた一本の日本刀を朱乃に手渡す。それは立花道雪が雷を斬ったと伝えられる日本刀。デザインは一見、シンプルな日本刀のそれだが、刀身の根本の部分が折れ曲がった形状をしている。電撃を放つ刀として、遠近両用に使える刀だ。また電撃を広範囲に拡散、放電させることによって複数の敵を殲滅、敵の攻撃を防御することも可能な事から汎用性の高さがうかがえる刀だ
「これは・・・雷切――」
『えぇ、士郎曰くレプリカのようなものだが使えばわかるさ、だって』
「士郎くんが――」
試しに朱乃が魔力を流してみると、その刀が何かに反応するように脈動した
確かにこの刀は生きている――朱乃にはそう感じた
『というわけで――精一杯足掻きなさい』
メディアの周りにあらわれた魔力球体から、紫色をしたレーザーのような光線が朱乃に向かって容赦なく放たれる
「――
そのあまりの早さに驚く朱乃
『私の高速神言は剣士の刃にさえ先んじる。そんなナマクラで挑もうと思ったのが間違いよ?』
「ナマクラでは……ないのですわ」
そういうと、その言葉に反応するかのように雷切が雷鳴音をあげた
「五雷神君奉勅―――我が剣に歳星の気を宿さん!」
使い方を教えてもらった朱乃はそれを振り上げ、ものすごい速さで振り下ろす。それと共に雷鳴がメディアを襲う
刀を振るう姿はとても、その姿は初心者とは思えない
『――あらあら、熱くなったら意味がないわよ――』
しかし軽々と魔術障壁でメディアは防いだ。彼女自身のスキルとして、神代(神が治めていた神話時代)の言葉を用いるスキルを行使した。それは魔術を発動するとき一言で大魔術を発動させる、高速詠唱の最上位スキル。呪文・魔術回路の接続を必要としない。区分としては一小節に該当するが、発動速度は一工程と同等かそれ以上。しかも威力は五小節以上の大魔術に相当する。呪文自体が「神言」である為、詠唱の長さと威力が比例するという法則は適用外なのだからだ。
その時、ふと朱乃の視界に何かが入った。
「ッ!」
突如、メディアと朱乃の間に何が入ってきて朱乃の刀を弾いた
『ッ!』
瞬間的に、朱乃がそれが赤い髪をしていることが分かる
朱乃とメディアの間に入ったのは―狐のお面をつけた半袖のコートに紅いTシャツにホットパンツの女性、腰には二本の刀どちらも一発でそれが危険なものだとわかる。見れば、メディアと玉藻前は後方に下がって乱入者を見据えている。
「――あなたは?何者ですか?」
朱乃がそういうと
「答える義理はない、強いて言うなら参加者だ」
声からして士郎ではないことは明確だとわかる、それに魔力の質も違う。それから何かを察したかのようにメディアが後ろに下がる。
「メディアさん・・・?」
『面白そうだわ、そこのあなた、なんと呼べばいいのかしら?』
「そうだな、
そういうと、朱乃の前から彼女が消えた
スタッ!チッン!
刀が引き抜かれる音と共に反射的に後ろに刀を回してその抜刀攻撃を防ぐ
ガキッン!
刀と刀がぶつかる音がする。しかし、反射的に朱乃も魔力を刀に流し込むと、刀から雷鳴が発せられる、しかし
「多ければというものではないのだよ」
先ほどの抜刀攻撃に使われた刀が鞘に収められ―代わりのもう一本の刀が抜かれた。
それは、三尺を越える大太刀だ。
「牡籥かけ闔す総光の門―――七惑七星が招きたる、由来艸阜の勢―――廉貞零零、急ぎて律令の如く成せ――― 千歳の儔、火車切広光!」
龍のごとく炎が刃をかけ走る。そして、所有者の荒々しい魔力を表すかのように燃え上がる。それに危機を感じた朱乃が距離を取り、雷切に魔力を流し込むと自身の雷鳴も輝きを増す
ゴオォォォォン!バリバリバリ!
炎と雷がぶつかりあう。それが合図となったのか二人の動きが早いものとなった。
シュタッタタ!
常人から見れば、それは高速の斬り合い。その手の人が見れば、尋常ならざる斬り合いだ
カキッン!カキッン!
二人の剣戟がぶつかり合う
それと同時に炎と雷もぶつかり合う。それと同時に瞬間的にぶつかり二人の距離が開いた。そして、そろえて口を開いた。
「五雷神君奉勅――― 五雷神君の天心下り、十五雷の正法を生ず 邪怪禁呪、悪業を成す精魅―――天地万物の理をもちて微塵と成す!」
「護身破敵とともに、禍災を除かむることを請う―――神隠す十拳の如く火産霊び、火車来々、焔羅に送られん 」
二人の魔力がものすごい速さで加速していくと同時に、朱乃の刀は豪雷に
そして、走り出して空に飛び出すように飛び上がる
「十五雷正法、十二散―――禁!!」
「喰らえッ!火天墜衝ッ!」
朱乃は飛び上がって攻撃を仕掛けてくる
ズドォォババババ!
雷と焔がぶつかりあう
「――まぁ、このようなものか・・・」
なにかに毒づいたようにいう
「ッ!」
その言葉に
「――ッ!」
蛇に睨まれたように動けなくなり
「――まぁ、あれだ、当たったのが不運だったな」
朱乃の後ろに回り込み、刀の峰で気絶させられる朱乃であった
『あら、あなた、結局倒しちゃったの?』
「問題無いでしょ?」
『えぇ、問題無いわ、けど』
「けど?」
『あまり、やりすぎないことね』
「りょーかい」
side ゼノヴィア&小猫
「それで、木場――どうするんだ?」
「うん、ゼノヴィアの言うとおりだね」
代わり映えのないプレハブの並ぶ倉庫街。まばらな街灯が照らすそこは大型車両の運行も考慮された4車線のアスファルト。人払いの結界を敷くまでもなく人通りは絶え、無人の空間は神秘の秘匿を信条とする魔術師、悪魔にとっても、下手な邪魔の入らない戦いが出来るためとっても好都合な場所。強化された視界で周りをみてもそこに敵はいない。
「ゼノヴィア、この近くに何がある?」
「――あぁ、少し遠いが、城がある、そこに向かうのが妥当かと思われる」
「たしかに、そうだね、橋ではイッセーくんが戦っていたし、川沿いでは大魔術の行使――さしずめ姫島先輩のものだろう」
「残るは、私たちだけか・・・?」
「そうなるね――アーシアちゃんは回復用員だから参加しないし、ギャスパーくんもべつの訓練中だからね」
「そうか・・・ここからすぐだ、一気に行こう」
二人の姿が倉庫街から消えた。
そこから、二人は冬木市市街に抜け、西方向に30キロ、重層の幻覚と魔術結界に守られたあやしい城に向かった。
城――
「さてと、父上どうしましょうかね?」
「全力で来るなら、こちらも全力で対応するのが手でしょう――私は木場と対峙します、貴方はゼノヴィアという剣士を」
「あのデュランダル使いか、わかったよ父上、
「えぇ、構いません」
アルトリアは自分の子供と言葉を交わす。
「父上、外はどうする?ルールがあるとはいえ、邪魔されると面倒なことになるぞ?」
「問題ありません、そこに関してはガウェインとランスロットに任せてあります」
「準備万端、親父殿らしいな」
そういうと、ドアの門が叩かれる。ゆっくりと立ち上がる20歳にも満たぬ少女。
「頼みますよ、モードレッド」
「あぁ、任せてくれよ父上」
そういって、扉が開け放たれる。そこには、聖魔剣とデュランダルを構えた木場とゼノヴィアだった。
木場・ゼノヴィアside
木場とゼノヴィアは城の目の前まで来ていた。目の前には重厚な扉。そして、誰かがいる痕跡、ここはやはり理にかなってチャイムを鳴らすべきだろう。二人は顔を見合わせた。そして、意を決したかのように扉のチャイムを鳴らし、中に入っていく。
「よくぞ参られた、グレモリーの騎士よ」
「あなたは、ブリテン王アーサー・ペンドラゴン」
敬意をもってそういう木場。そして、城の中の水道の水滴が落ちた瞬間――
バッ!!
ギンッ!!
ゼノヴィアは、後ろにいた騎士の剣とぶつかり合う。
「なっ!?」
「はっ、おせぇぞ!!
開幕すぐに後方に吹き飛ばされる。そして、木場の目の前にもアーサー・ペンドラゴン、いやアルトリアが迫りこむ。
「――我が一撃、受けきれるか!?」
先に動いた、というより飛び出したのはアルトリアだった。溜めに溜めた力が一気に解き放たれ、床を破壊しながら一歩目を踏み出した。後方で破裂する空気の音と共にアルトリアが更なる加速を見せる。自分の後方に圧縮空気を解放することで己の体に更なる加速を上乗せしたのだ。迸った大気の噴流は鎧を捨てた【魔力放出】によってアルトリアの体は超音速の砲弾と化した。
「――ッ!」
展開していた
「私がそう、ぬけぬけと突っ込んでくると思いましたか?」
木場はアルトリアが自分に突っ込んでくると思っていた。そう、先入観によって判断していた、しかし、事実はちがった
「はあぁぁ!」
突如左方向に展開された風王結界が、アルトリアを左に動かし、それの連続が始まった。それは、まるで超音速の弾丸が縦横無尽に襲いかかってくるかの如くアルトリアが動き出した
「――(速い!)」
その行動におどろく木場
「あまい!」
ガキっン!
木場の剣が弾かれる。しかし、素早く体制を立て直す木場。アルトリアが切りかかると同時に木場も切りかかるが、相手は英霊だ。その差は歴然としてる。
「叩ききる!」
ズガァァン!
真上にいきなり飛び上がり、真上から剣を振り下ろす木場だが
ギイッン!
「(なんて重さだ…)」
言葉に出す余裕もない木場
「いくぞ!」
まるで荒々しい嵐のような風が、木場を吹き飛ばし
「くらえっ!」
そこから加速したアルトリアの無数の斬撃が木場に何発も入り
「
問答無用で木場に光の斬撃が当たった。そして、木場はその場に崩れた。
「ほれほれ、剣だけじゃ埒があかねぇぞ!!」
木場の戦いの一方でゼノヴィアは、目の前のモードレッドから一方的に押されていた。無理もない、彼女は今までの騎士の戦い方と違った戦いをしているのだ。ゼノヴィアにとって、これほど厳しい戦いはない。
「――ッ!!デュランダル!!」
ズガァンッ!!
破壊の剣がモードレッドの襲い掛かるが
「あめぇんだよ!!」
デュランダルの剣身が蹴られ、無理やり軌道を反らされるゼノヴィア。そこに間髪入れずにモードレッドの剣が襲い掛かる。
「遅い遅い!!」
木場からもらった取り回しやすい頑丈な剣で対応するが、それでもモードレッドの放つ剣戟に対応できるのがやっとだ。
そして、ゼノヴィアはタイミングを見計らい後方に飛び退く。
「えらく芸達者なやからだ、だが」
「――ッ!?」
一瞬にして、迫りこんでいくモードレッド
「(速い――!)」
あまりもその速さに驚くゼノヴィア。だが、思ったところで変わることもなく
ガスッ!!
腹部にけりを入れられ、後方に吹き飛ばされる。さらに追い打ちをかけるモードレッド。だが
ギィィインッ!!
間一髪デュランダルで防ぎ、体勢を立て直す。
「へぇ、やるじゃねぇか」
距離を取り、再び剣を構えると。空間内に黄金の粒子があふれ出し始める。
「へぇ、父上もやる気か――なら、俺もやるとするかね」
剣をを構えたモードレッドを中心にした一帯が血に染まり、白銀の剣も邪剣へと変貌し始める。そして
「
モードレッドの剣の切っ先から直線状の赤雷を放たれ、それがゼノヴィアを捉えた。