ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
深夜――
「ふーんふふーん」
深夜の風が妙に体に気持ちいい。士郎は、純粋な脚力だけで民家やマンションの屋根の上を飛びうつって移動していた。
彼の手元には、周囲の街のマップが表示されていき、そこに向かってひたすら飛んでいく。点滅した場所のポストへチラシを投函し、そして、再び他の箇所へと移動していく。所謂、ポスティングの仕事だ。
遠くからは、
『ちくしょおおおおおおお!!仕方ないよな!仕方ないもんな!俺、悪魔だもーん!』
と一誠の絶叫が聞こえる。そんな中、士郎に近づいてくるいくつかの人影。全員、髑髏めいた仮面を着用している。
集まってくるので、士郎も足を止める。
「どうだ?」
「ポスティング、特に問題ありません、マスター」
現れたのは、暗殺教団の教主「山の翁」を務めた一人で、「百の貌のハサン」の異名をとる暗殺者だ。
「さすが、言わずと知れたハサン・サッバーハだ、ありがとうな」
「いえいえ、では、あとはお任せしますので、戻りますね」
そういうと、霧のようにその場から消えていく。
「(さてと、あとはやりますか)」
みれば、端末の点はほとんど消えている。
「こんなものか…」
それから、学園に戻ろうとしていると
pppp!!pppp!!pppp!!
士郎の携帯がなった。鳴ったといっても短く鳴った。どうやらメールみたいだ。
「(メール、こんな時間に誰だ?)」
と開いてみると。差出人は、如月サツキと書いている。
「(お、珍しいな――)」
如月サツキとは、士郎の父親の知り合いの子供で、幼馴染だ。一番最後にあったのは五年前で、以降メールなどで連絡している。その彼女からメールが来たのだ。
「(なになに・・・勉強頑張ってね、か、そういや、あいつは元気なのかな―)」
メールを見ながら、物思いに耽る士郎。
ふわ~
夜のそよ風が士郎に吹付け、髪が乱れる。
「(また、会えるか――)」
どこか遠く、しかし近く感じたのであった。
――◆
数日後――
深夜の風が妙に体に気持ちいい。士郎は、純粋な脚力だけで民家やマンションの屋根の上を飛びうつって移動していた。
「(今日も仕事終り、帰るか――)」
人目を気にせず、近くの通りで地面に降りる士郎。流石に学校まで屋根伝いで行くのは色々と販促だろうと想い、自らこうしている中、士郎が行こうとしている方向から、美少女ちゃんがアニメのキャラの格好をしてやってきた。コスプレ美少女が向こうから来る。しかも、なにやら、自信満々に両手を腰に手を当てて胸を反らせている。所謂自慢げなポーズだ。
「(あれは、魔法少女ミルキースパイラルのだよな、さすがに深夜でこれは…変質者、関係者だったら困るものだな)」
とりあえずアニメの名前と多少は知っている士郎。すぐに頭の中であらゆる対応方法を考える。浮かんだのは、"興味本位で話しかける"と"逃げる"だ。とりあえず、変質者だったら困るで、後者をとって逃げようとしたとき
「見つけた☆」
「(一歩遅かった!!)」
捕まるとめんどくさいことになりそうなので、反対方向に逃げようと走り出すと
「おっと、動けないよ」
そこには、紅髪の男性がにこやかに微笑んで士郎の行く道を遮っていた。
「(そこのイケメンどけっぇえええ!!)」
強盗よろしく逃げようとするが――
「待ってよぉ☆!!」
ドサッ!
「(あふんっ!)」
一瞬のためらいと一瞬の隙をついたコスプレ美少女がジャンピング抱きつきとともに、士郎の上に馬乗りになる。
地面にうつ伏せで叩きつけられた衝撃で変な声もでる。
「こんにちわ、サーゼクス・ルシファーだ、少し話さないか?あぁ、言い忘れた魔王で、リアスの兄だ」
「はじめまして☆私、魔王セラフォール・レヴィアタンだよ☆『レヴィアたん』って呼んでね?よろしくね☆ソーナちゃんのお姉ちゃんだよ☆」
"おいこら、重要なことはもっと先にいえ、このイケメン!!"と言いたくなるのを抑える士郎。相手は魔王だ。めんどくさいことになったら困る。とはいうものの、コスプレ美少女が可愛いく尚且つ馬乗りになっているという状況はものすごく困る状況でもある。
「(にしても、ちょー軽い人だなぁおい!)」
「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子が?」
「そう、彼が『
そういうなり、自分の顔をマジマジと見てくる
「(珍獣扱いかよ…)」
『(馬乗りになってるんじゃ、役得じゃろ?)』
「(うっさい)」
いきなり介入してきたジルニトラを一喝する形で言う士郎。
「へぇ?可愛い顔してるんだね☆可愛い?☆」
「レヴィアタン、すこし自重しないか?困っているぞ、シロウ君が」
「(もっと早くいえー!)」
はたから見れば、美少女が男の娘を押し倒している光景
「百合百合展開☆?」
「自重せよ!レヴィアタン!」
ものすごい速さのサーゼクスの兄貴からのツッコミ
「えぇ?楽しいよ?☆ねぇ、やろうよ?☆?きらめこうよ?☆」
「お願いだから、きらめこうとしないで色々と滅ぶから」
魔法少女ならぬ、魔王少女、それを必死に止めようとするサーゼクス。それから解放されることなく士郎はサーゼクスの方を向き
「で、あの、魔王さんがお二人もここに?」
「あぁ、ちょいと下見の下見って感じかな。いずれわかるよ」
まだ馬乗りのレヴィアたん
「うん、押し倒しにきたかな?」
「自重せよ!レヴィアタン!」
本日二度目のサーゼクスさんからのお言葉、ありがとうと言いたいところだが、とっとと開放して欲しい士郎。
「とりあえず、話そうか――と言いたいところだけどね」
「そうだね、話したかったみたいだけど、ちょっとって感じかな、きらめくスティックで天使、堕天使抹殺なんだ☆って言いたいところね」
場が戦慄する。そう、敵襲だった
「君ならどうする?シロウ君?」
「方法ですか―――普通に迎え撃ちますよ」
「そうか、では任せよう」
「任されました」
そういって、魔王たちに背を向け、敵の真正面を向く士郎。
『(どうやら、敵は堕天使と悪魔といったとこじゃな)』
「(カラスとコウモリといったところか)」
『(そうじゃな、敵の総数は――っと、中々いるようじゃぞ』
「(だな、ここでドンパチやり合う気は毛頭ない―― 一気にケリをつける、サポート頼むぞジルニトラ)」
『(任された)』
「くれぐれも、無茶はしないでくれよ、妹に怒られるからな」
「えぇ、こちらもです、お兄さん」
後ろから心配してくる魔王。
「(守る―――か、正義の味方を目指すのもいいか――)」
そういうと、士郎の気迫が一気に変わる。その変化に驚く二人。
「ところで御二人とも。一つ確認していいかな」
場違いなほど平然とした声で、士郎が聞いた。
「………いいよ。なんだい」
伏目で士郎を見るレヴィアタン。士郎は前方を見据えたまま、
「ああ、時間を稼ぐのはいいが―――
別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」
現状で一番、トンデモナイ事を口にした。
「シロウ、君は――――」
「―――あぁ、遠慮はいらないがつんと痛い目にあわせてやってくれ、シロウ」
「そうか。ならば、期待に応えるとしよう」
サーゼクスがレヴィアタンの言葉を遮り、士郎に言う。どうやら、お膳立ては済んだ。
「(難しい筈はない。 不可能な事でもない。許可はもらった。もとよりこの身は、ただそれだけに特化すればいい!)」
士郎は想像するのは圧倒的なまでの実力で戦況をひっくり返す文字通りの"切り札"。そして、そのために晴れ渡る蒼穹に熱風吹き抜ける何もない広々とした荒野と大砂漠を想像する。そして、士郎の想像に呼応するように士郎から放たれた魔力の粒子が襲撃してきた堕天使と士郎たちもろとも飲み込む。そして、想像したとおり、目の前に晴れ渡る蒼穹に熱風吹き抜ける何もない広々とした荒野と大砂漠が現れた。近くに現れた馬に乗り込み、士郎は声たかだかに叫んだ。
「肉体は滅び、その魂は英霊として『世界』に召し上げられて、 それでもなお
『然り! 然り! 然り!』
周囲のあちらこちらから、唱和の声が聞こえる。
「これは――こんな規模の力は見たことがないぞ・・・これが龍帝の力・・・!?」
「・・・シロウ君、ここまでの力なんて」
魔王二人は今見ている自身の光景に驚愕していた。そして、士郎の目の先には『
「おぉう、貴様が我を――」
「あぁ、征服王イスカンダル、一時であるが、力を貸してもらうぞ」
「よかろう、存分に戦おうぞ」
再び
「王とはッ――誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!」
士郎は高らかにその砂漠で吠える
「すべての勇者の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが、王。故に王は孤高にあらず。その偉志は、すべての臣民の志の総算たるが故である!」
『然り! 然り! 然り!』
いままでより、大きな声で唱和の声を繰り返す
「行くぞ!」
俺は、一本の剣を掲げ、軍勢に一斉号令をかける俺、それは剣―名前を
名前の通り、勝利を約束された剣
それを堕天使の軍勢に向けて
「蹂躙せよ!」
一斉号令と共に士郎は走り出した
『おぉぉぉおおおおぉぉぉぉおぉ!』
「ハァァ!」
「
膨大な熱量が悪魔に対しての初撃を加える―それと共に、圧倒的物量差で、堕天使を蹂躙し始めた
「ゆけぇぇぇ!こちらが蹂躙しろぉぉぉ!」
「駆けろぉぉぉ!」
「奪いつくせぇぇ!」
堕天使たちも叫ぶようにこちらに向かってくるが、堕天使もいくら、あんな力だとしても、所詮堕天使、圧倒的物量の前にはなすすべがない。それもそのはずだ、割合的に言うと、今の堕天使の数=蟻一匹とたとえると
こちらは、象10頭ほど、その中には半神もいるわけで
「
士郎が再び剣を掲げ
「
叫び声とともに、星のひかりが周囲に満ち、爆発と爆風が当たりを蹂躙した。煙がやみ、かつての砂漠が残った
「この剣は幾多の城壁を破った竜の息吹――堕天使の手に負えるモノではない」
そういい終わると大規模魔術が解けた
だが――そこには残党もいた
「(二回戦―ちっとは、厳しいかな)」
ゆっくりと立ち上がる、悪魔になって数日この状況は少し、いやかなりひどい
「(残しちまった、俺が悪いな――きっちりと最後までやらなきゃ)」
重い体を引きずりながら立ち上がりたいが、立ち上がれない
ひとりの堕天使が士郎に向けてこういった
「なんだ、もう力尽きたか、ヘッ、拍子抜けだぜ、そんなら、俺にとっとと殺られちまいなぁ!」
堕天使の一人が、光の槍を放ってきた
「(こんなところで、くたばるわけにはいかないんだよォおおおおおお!」
途中から心の声が出ていた。そして、士郎のオーラがまるで龍のように姿を現す。同時に
『見せてやれ!!相棒!!これが、力というものを!!』
相棒の声と共に、士郎の胸元の宝玉が光り輝く。
「
堕天使の槍を防ぎ、士郎は言葉を紡ぐ
「―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ
―――心技、泰山ニ至リ
―――心技、黄河ヲ渡ル
―――唯名、別天ニ納メ
―――両雄、共ニ命ヲ別ツ」
士郎は、足に力を溜めこみ
「――――ついて来れるか」
士郎は思いっきり、堕天使に向かって駆け出す。そして想像する、それは現物オリジナルに劣る投影品、それは古代中国・呉の刀匠干将と妻の莫耶、及び二人が作った夫婦剣だ。正義を追い求めて裏切られた弓兵を象徴する宝具。黒い方が陽剣・干将、白い方が陰剣・莫耶。互いに引き合う性質を持つ夫婦剣。
「ふん!せい!せやっ!」
多方向から堕天使に切り込む、乱れたリズムで打ち込んでいく
そのたびに、光の槍とクロスして火花を散らす、そして、次々とその残党を消滅させていく
「はぁぁ!」
「悪魔の成りたてがぁぁ!」
「剣をとるのは、必殺を誓った時のみだ!」
そういうと、俺は構える
「鶴翼、欠落ヲ不ラズ」
干将・莫耶を投げつける。
「甘いんだよぉ!」
ガードされることを予見していたようにもうひとつの「干将・莫耶」を投影して連続で斬撃を繰り出す
士郎は、そこから一気に距離をあけ
「これで
約4キロの距離を、1秒足らずで到達する速度の槍が堕天使に向かい、それが堕天使に突き刺さり、跡形もなく吹き飛ばした。
どうやら、これで、残党の一掃は終わったようだ。
「ふぅ・・・」
戦闘が終わり、士郎は、少しため息を付く
ゆっくりと、士郎はその場に膝を付く
「(ってぇ、やりすぎたかな・・・)」
士郎はゆっくりとその場で目を閉じる
「おい!大丈夫か!」
「大丈夫!?」
慌てて士郎のところに駆け寄る、サーゼクスとレヴィアタン
「おい!」
士郎はサーゼクスに抱えられる
サーゼクスから見ると俺はぐったりとしている、どうやら、余りにも大きすぎる魔術を行使ししたために体が追いつかなかったみたいだ、けど、ここで倒れるわけにはいかないのでゆっくり俺は立ち上がる、めまいもする、頭も痛い
「大丈夫っす・・・たぶん」
士郎は、近くに倒れてた自転車、それをゆっくりと押し上げる
ゆっくりと、俺は歩き出す
「無理しちゃダメだよ!?シロウたん!」
「うん、わかってます、魔王様」
「シロウたん?送っていこうか?」
「いや、迷惑かけると思うんでいいんです」
「なら、せめてリアスちゃんに連絡ぐらいは!?」
「いや、心配かけるんでいいです」
士郎は、おぼつかない足で歩き始める、周りは深夜、学校につくまで倒れることはできない
「(俺は……弱いのか…クッソ)」
士郎は、心の中でどこかしか思うことがあった