ハイスクールD×D/Re:Zext Night 作:有栖川アリシア
石川県金沢市某所――
日本海に近いこの街に士郎は来ていた。
「・・・・・・」
周りから男性たちの嫉妬の篭った視線。それを気にせず市街地を歩いていく士郎。士郎の隣にいるのは、抜群のプロポーションに綺麗な黒い長い髪のサツキが士郎に寄り添っていた。そして、仲良く指を絡ませながら手を繋いでいた。
そして、今回士郎は、サツキと手を繋ぎながらサツキのお姉さんである十六夜 瞳さんのところに向かっているのだ。繋いでない方の手には、少し大きめのトランクスがあった。
幸か不幸か、士郎の
「そんで、お姉さんって、どんなひと?」
士郎は聞いてみる。
「う~ん、和服が似合う人だね、あと少し厳しいかも」
「へぇ~」
どんな人なのか想像してみる士郎
「あれ?そういえば、士郎あったことあるんじゃないの?」
「ん?俺は面識がないぞ」
「あら、あっちは知ってるみたいだったのに」
「へぇ~」
予想外のことに驚いている士郎
「ねぇ、そういえば、サーゼクスから仕事頼まれていたのよね?」
「あぁ、書類運びだけどな」
「ふ~ん」
それから、金沢の市街地を歩いていく。視線の先には、土塀と石畳の路地が続いていた。
「・・・ここって長町武家屋敷だよな?」
「うん、そうだけど――どうかした?」
「いや、どうかしたってな・・・」
こんな場所に一人暮らしとか、どんだけ稼いでいるのだろうと思う士郎
そうここは、加賀藩時代の上流・中流階級藩士の侍屋敷が軒を連ねている場所で、観光地でもある。そこを悠然と歩いていく彼女。そして、それはあった。
――"十六夜家"
サツキは、訪問を告げるチャイムを鳴らすと
ピンポーン・・・
中に響いたのがわかった。同時に、サツキはカメラの中を覗き込むように見ていると
ギィィィィィ~!!
重厚な木と鋼でできた以下にも武家屋敷の扉が開かれると
ズラァァァァァァッァアァ!!
そこに黒いスーツ姿の男性や女性が道を作るように整列していたのだ。
「ただいま~」
『おかえりなさいませ!!お嬢様!』
思わぬ歓待を受ける士郎
「(とんでもないお屋敷だわ)」
士郎も流石にこのことについては、驚いた。そして、その列の先サツキより、少し瞳をきつくしたような感じの着物をきたまるでお姫様みたいな女性がそこにいた。
「おかえり、サツキ」
「えぇ、ただいま」
「初めまして、丹羽士郎です」
「君が士郎くんか・・・」
少し憂鬱そうな表情を浮かべる彼女に少し戸惑う士郎。
「まぁ、立ち話もなんだ――屋敷に入ってくれ、すまない二人を桐の間に案内してやってくれ、サツキと士郎くんは荷物置いたら私のところに来てくれ」
「わかりしました」
それから、靴を脱ぎスーツ姿の女性が屋敷の中を案内してくれる。
「こちらになります」
案内され、引き戸をあけると6畳ほどの趣ある和室があった。士郎たちはそこに荷物を置くと
「では、案内いたします」
先ほどと同じ人に案内され、大広間に向かった。
「失礼します」
正座して中に入る二人
「来たか・・・中にはいれ」
そこには
中に入って、末席の方に座ると
「まぁ、そんな遠くにいなくていいさ、寄れ」
そう言われ、士郎たちは彼女の近くに寄る
「士郎くん、君は私と会うのは、初めてかな?私の名前は十六夜瞳、サツキの実の姉だ、よろしく」
「丹羽士郎です、よろしくお願いします」
すると、表情を緩め
「最低限の礼儀作法はできているようだな、結構、流石美紅と吉成の子だな」
「なんで、両親を?」
「若かりし頃の繋がりさ――」
再びキセルを加え、蒸す。そして、こちらを見て
「それで、士郎くん風聞によれば魔王様からお手紙でも貰っているんじゃないのか?」
「えぇ・・・」
そういうと
「どうも」
すると内容を読んで手早く必要事項にサインしていく。
「・・・ふむふむ、では、頼むぞ」
再びケースの中に入れ、士郎は
「さてと・・・士郎くん、本当に、君には申し訳ないことをしたね」
「えっ?」
「身内が、いや我々がどうやら君を狂わせてしまったみたいだ」
ちなみに、意味深な瞳さんの言葉だが、その意味を薄々気づいている士郎。
「気にしていませんよ、それに自分でも何かが変わったかなって思ってますから」
「変わったか、そうだな、確かに変わったな」
まるで瞳の奥を覗き込んでくるように見てくる瞳さん。
「君の中にいるわけか――本来ならお役目は私とサツキが全うせねばならなかったのだが、皮肉だな」
「お役目、ですか」
真剣な表情の士郎。
「それで・・・士郎くん――何か言いたいことがあるみたいだな」
「
「――彼女も動き始めたか、後ろ盾は揃ったというわけか」
「・・・後ろ盾?」
「なんでもないさ」
そういうと話を打ち切る瞳さん
「士郎くん、存分にやって構わない、それとサツキ、母さんは私の仲間が確保に向かった六地蔵には絶対に近づけないよ」
「なんなら、こっちに連れてくればいいじゃない」
「ん~そうしたいのは山々だが、ほら、色々あるし」
「そうね・・・士郎、宛はないの?」
「いくら俺でもあっちに転送させるのはとんでもないことになりかねない」
そう軽く言葉を交わすと
「妹を頼む――なかなか、可愛いからな」
しれっとそんなことを言うもんだから、サツキと士郎の顔が赤くなるのであった。
「(さてと・・・)」
士郎は通信機器で専用回線で通信を繋げた。
「どうも、お疲れ様ですサファイアさん」
『あら、士郎――どうかしたのかしら?』
「えぇ、こっち側の許可が出ました――動けます」
『そう早いわね、あとは、三課のヴォンとエルとアルビスの主導の元、レイとリアナを動かすわ』
「えぇ、お願いします、こっちは十六夜幻十郎の殺害に専念します」
『首尾よくね』
「了解」
そう言うと、電話を切るのであった。
夜――
夜半の月が見える。手元には、いくつかの羊羹と湯呑に入れられた緑茶。
「・・・」
羊羹を一口食べ、緑茶をすする。これが落ち着く。
「(落ち着くな・・・これが)」
和室の窓からは月が見える。そんな中
シュイィィン・・・パァァンッ
「…となり、良いか?」
「あぁ、いいぞ」
隣に現れたのは人型のジルニトラであった。
「どうした?」
「少し、お主と話したいという者がおってな?」
「俺にか?」
「そうじゃ、連れてきて良いか?」
「あぁ、構わない」
そういうと、士郎の中に戻るジルニトラ。そして、数秒もかかわらず縁側のすぐ近くの所に魔力が粒子となって固まっていく。そして、それが形を持って現れる。士郎はそれに絶句した。
「初めまして、私の宿主さん」
真っ白い綺麗な髪に、頬には紅の入れ墨、そして不健康とは思えない白い肌。来ている服もまさに白色だ。サツキと一緒の瞳がこちらを見つめていた。
「やっぱり、カッコよくてかわいいわね」
「ありがとう、座りな」
「えぇ」
そういうと、隣に座ってくる。すると肩と肩が触れ合う。
「さぁ、私は何だと思う?」
「お役目って瞳さんが言っていたから、そうだな――鬼とか?」
「あら正解、すごいわね、あなた」
「どうも」
「ちなみにいうと、神器の力の権化でまぁ、この血筋持つちからの権化よ」
「鬼そのものだ」
「いいのよ、それで」
「けど、俺が鬼だと呼びにくいんだよな、オニーなんて」
「…バカにしている?」
「いんや、そんなつもりはないよ、というか、鬼より名前があったほうがいいだろ?」
「まぁ、それは否定しないけどね――けどあなたはどんな名前を付けてくれるのかしら?」
「そうだな、
「しろか、ねぇ、いい名前ね」
身を預けてくるしろか。
「多分、これから付き合い長くなると思うけどよろしくね、あなた」
「あなた、か、よろしくなしろか」
軽く彼女の頭を撫でてやると、いい笑顔をする彼女であった。それから、士郎は、緑茶を飲み干し――立ち上がって気づかれないように玄関に向かって廊下を歩いていると
「驚いたよ、君には」
廊下の先には瞳さんが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
「それは、どうも」
「先ほどの彼女が?」
「えぇ、そうです、名前はしろか――俺の新しい家族ですよ」
「ふふっ、そうか――期待しているよ、士郎君」
「ありがとうございます」
そういうと、士郎は瞳さんの横を抜け玄関に向かった。
玄関――
士郎は靴を履いて、出ようとしたとき
「――バレないと思った」
凛とした声、振り返ってみると
「サツキ」
そこには二人がいた。
「士郎の事だからね、止めるつもりはないさ、ただ」
瞳さんがそう少し躊躇ったところに
「ちゃんと、生きて帰ってきなさい、待ってるから」
サツキが真剣な瞳でこっちを見てくる。
「あぁ、必ず、生きて帰ってくる」
士郎もしっかりとした瞳で答える
「士郎くん、思う存分、やってこい」
「はい」
士郎は返事とともに、月と星の輝く夜空に翔び出していった。