ラドリーっていいよね   作:縮退回路

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へへ、暑さでダウンしてたら結構間あいちゃった……


10. イルルのその後(軍貫デッキってなんですか)

 

 

 俺だよ。陽向さんだよ。ドラゴンメイドの布教をしたいって思ってんだ? 

 そりゃあラドリーが使いにくいとかフルスが弱いとか色々言ってっけどさ、けんどもよ、親しけりゃば悪いとこも見えちゃうって言うだろ。あとラドリーはメイトで横にいるからデッキ本体にはおらんの。

 あーそんでな? ドラメ布教の一環として理由つけて上井さんにも握らせとったけんな? 

 

 上井さんだよ。あの人な、俺の召喚術への理解を深めるため(代理研究?)にな、マスターデュエルから移行して物理カード集め&デッキ構築をしてたんだ。

 ほらラドリーに言葉教えようと頑張ってたらいつの間にか上井さんがやってきてたっちゃやろ? あん日さ。

 

 

「なんで……スシなんだ……?」

「くぅ……」

 

 

 いつの間にか上井さんのメインデッキは軍貫(ぐんかん)へと移行してました。

 そう、スシです。軍艦と軍艦巻きの言葉遊びの、スシ。

 

「エルマに寿司でもたかられたんですか?」

「別にそういう訳じゃないスけど……」

「気を付けてくださいね。骨の髄まで文字通りしゃぶり尽くされますよ」

「くぅ!」

 

 骨の髄までを文字通りの意味で解釈したのか、ラドリーがレッサーパンダみたいな威嚇をトールさんへ向かってしている。

 なんだこのかわいい生物。文脈的に敵は上井さんなのにね。

 

「にしても、なんでわざわざ折角の休日に知らん男と歩かにゃならんのですかねー」

 

 あ、今日はトールさんの助力してもらい、ラドリーを連れて表を歩いてます。

 だってトールさんの認識阻害なる魔法でラドリーの尻尾を消してもらわないと散歩の一つさせてあげられないので。

 子供を外に出さない大人にはなりたくないんです俺は。

 

「小林さんはお休みの日にトールとおはようからおやすみまでじゅぶじゅぶの怠惰で甘美な生活を送る予定なのに!」

 

 ……トールさんはだいぶ不満ですが、これも仕方ないんだ……。

 

「ただでさえ悪い虫がついて目を離せないのに、クソがァ……!」

「く、口が悪い……」

「ったく。小林さんが許可すればイルルなんかけちょんけちょんにしてやりますよ」

 

 イルル? って、だれぇ? 

 隣へ目を向けるも、当然ラドリーも知らないらしく首を傾げた。

 遊戯王のカードではないよねぇ。

 

「そうそう。イルルがこれ持ってたんですけど、お前のですよね」

 

 トールさんがドラゴンメイド・ティルルのカードを渡してくれる。

 遊戯王のカードだあ! って、ことは!

 

「暗黒爆乳ロリムカデに奪われたカード!」

「なんですかそれ」

 

 えっと、かいつまんで説明いたしますと……。

 帰り道で襲われまして、そん時に炎属性が欲しいとかで奪われまして。

 あ、そういえばその時に小林さんの名前出したの俺です。

 

「お前の差し金か人間」

「ひぇ」「くぅ!」

 

 ラドリーが凄い頑張って庇ってくれてるけど、これは無理かなぁ。

 だってトールさんガチギレしてるもん。なんかチリチリしてるもん。最強暗黒オーラ出てるもん。

 たぶん攻撃力3500とかあるしフルスへ変身させても無理だ。

 てか極神皇トール的な無理さがある。シュトラールで止めとかないとドラメ達が変身できずで詰むんだよなー。

 

「滅びろ消えろ宇宙のゴミがァ……!」

 

 ま、何もせんと詰んでるんですが。

 ありがとうラドリー。俺も楽しかったよ。

 

 なんだろうねこの満ち足りた気持ち。

 今までの憂鬱とした感じじゃなくてさ、本当にこう、今日も頑張れるかって感じだったの。

 ロリコン趣味オタク趣味っていう、隠せなきゃ即刻銃殺刑みたいな重圧がなくなったからかな。

 当然ながら大っぴらに言って回って良いって訳じゃないしそうするのは当然無理だけど、それでも一部趣味を共有できる理解者が近くいるというのは心地が良い。

 

 妹はSE●A派だったからK●NAMI派の俺とは殺伐とした関係だったよ。

 

 何にせよこれも全てはラドリーのお陰。

 ありがとうラドリー。俺の前にいてくれて。

 

「きゅー!?」

 

 サヨナラ──

 

 

「──ちょーっ!? 何をしてるんだトール!」

 

 

 あ、上井さんちーっす。

 どしたんすかそんなにお買い物袋引っ提げて。

 

「きゅ、急にラフだな陽向さん」

「丁度いい所に来ましたねエルマ。まとめて殺してやる」

「やめろってば!」

 

 口にたい焼き入れながら喋られても助かった気がしないというか。

 なーラドリー。

 

「きゅー」

「なんでそんなに落ち着いてるんだ君達は」

 

 いや、殺されかけるのも慣れてきましたというか。

 これで三度目だし……。

 

「ん? どういうことだ?」

「イルルに襲われたからって小林さんの名前出したんですよこいつ。殺していいですかいいですねさようなら」

「陽向さんそれは最低だと思うぞ。決闘する者なら最期まで戦え」

 

 いやね、俺もどうかと思ってます。

 でも、あの子に本当の殺意がなかったといいますか。

 虚勢ばかりで何か事情がありそうだったといいますか。

 だから小林さんへ任せたらあの子のためになりそうだったといいますか。

 

「──ちょっと何してんのさトール」

「小林さん!」

 

 お、今度は小林さんの登場だ。

 疲れてるから今日は一日のんびりしてるって話じゃ。

 

「陽向くんが殺されてないかと思ってね」

「くぅ! く、きゅー!」

 

 ラドリーがトールさんと共に駆け寄り、猛抗議してる。

 雇い主に抗議するのは正しい事だけどさ、絵面が可愛すぎるから困るんだよね。

 だってレッサーパンダの威嚇だよ。あのラドリーが。

 

「だって小林さん、かくかくしかじかなんですよ」

「へぇ」

 

 大人数だしどこか入ろうかってんで辿り着いたのは喫茶点。

 え、なに店名がザナドゥって。ドラゴンスレイヤーじゃん……。

 

「でだ陽向くん」

「はい」

「イルルはもう大丈夫だよ」

「そっか」

「よかったね」

「ちょっとー。なに通じ合ってるんですかふたりでー」

 

 うん。よかった。

 俺はロリコン紳士。大いなる光の戦士。

 俺のセンサーはあの子をロリと判断しているため、泣いている所は見たくなかったのだ。

 というか、あのまま勢いで撃破しなくてよかった。直感って大事。

 

「一応イルルは私と同い年ですよ」

「らしいよ」

「え゛!?」

 

 当たり前のように膝へ乗っているラドリーを目を合わせてぱちくり。

 トールさんは普通に女性と言える外見なのに、あの爆乳ロリことイルルさんが同い年……? 

 まぁいいか……。精神年齢のが大事だし……。

 

「ドラゴンの年齢なんて人間はあまり気にしなくていいぞ」

「ですです。小林さんと私の(ラヴ)のように!」

「きゅー?」

 

 そういえばラドリーって何歳なんだろ。

 召喚時の年齢か、それとも設定上の年齢か。

 ドラゴンの寿命とか流石に知らないからなー。

 

「ほらラドリー。パフェきたぞ、こぼさないようになー」

「きゅーっ」

 

 食べてる姿もかわいいなぁ。いっぱいお食べ。

 子供は好きにお食べ……。

 

「まぁ陽向くんが私にイルルの矛先を向けたのは色々思うところあるけど」

「グルルル」

「なんとかなったしいいかな。あー、ヤバい時はトールが助けてくれるって信じてたよ」

「小林さーん♡」

「おーよしよし」

 

 助かったー……。

 と同時に、俺は何を見せられてるんだろう。

 別にキマシタワー的な趣味はないから目の前でいちゃつかれても困るんですが。

 

「……陽向さんが言えた事ではないと思うぞ」

「なにか」

 

 膝に乗ったラドリーが時々パフェをおすそ分けしてくれるので食べたり、ほっぺたについたのを拭いてあげたり。

 これはいちゃつくとは違うというか、ロリ相手に俺は手を出す気はない。

 ただロリを愛で、愛し、その成長を見守り、邪魔するものは排除する。それが我々の使命。

 

「ふむ。使命か。使命は大事だな。正義かどうかは不明だが」

「正義ですよこれが」

 

 大人の事情に子供を巻き込まない。それが鉄則。

 例えばカンナさんがそういったゴタゴタに巻き込まれても俺は本気で当たりますよ。

 やれることは限られるというか、リアル遊戯王の力を頑張って振るう他できないんですが。

 

「頼りになるんだかならないんだかな」

「下手すりゃカンナさんより弱いかも知れないのが心残りっすねぇ」

 

 イルルさんは敵意こそあれど、かなり弱体化してたみたいだから撃退できたし。

 

「ただの人間がイルルを退けられただけでもかなりだぞ」

 

 そうなん? 

 うーん、イルルさんがどれほど強いのかは分からないから何とも言えない。

 やったのもラドリーが攻撃防いだり、ティルルが持ってかれただけだし。

 

「この幼竜が、イルルの攻撃を……?」

「くゅう!」

 

 むふーとしたどや顔。かわいいねぇ。

 

「見た目に寄らないなぁ」

「──あ、そうそう。翔太くんにその子のこと聞くんでしょ?」

 

 トールさんといちゃついてた小林先輩が帰ってきた。

 

「なんかルコアさん帰ってきたからいつでもいいよって。折角だしこの後いこうか?」

 

 おお、そいつぁ助かります。

 でもいいんですか先輩、疲れてるだろうに。

 

「いいのいいの。それに……」

 

 小林先輩の目がじっと俺の胸ポケットへ向けられる。

 そこには先程トールさんから受け取ったティルルがいるわけだけども、あの、まさか。

 

「別に他のメイドも見てみたいとかそういう下心はないんだけどね」

「小林さん! このパーフェクトメイド・トールがいるのに!?」

「鏡見直せコスプレ野郎」

 

 他のドラゴンメイド達が顕現できるかは分からないけど、できるならお礼に誰か出してもいいやも知れんのう。

 

 

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