ラドリーっていいよね 作:縮退回路
この調子で高評価増えてしまえー!
……おや? 嬉しさのあまり縮退回路のようすが……?
というわけでやってきました、翔太くんこと翔太さんのお宅。
翔太さんはこちらの世界に住む魔法使い的な血筋の末裔らしく、小学生ながらに様々な魔法や召喚を知っているらしい。
ラドリーを顕現させちった俺がいうのもなんだけど、こんな非日常が身近にいるのすごいねぇ。一瞬前ならフィクションだったのに。
「本日はよろしくお願いします。陽向誠吾です」
「えっと、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ……?」
「きゅっ!」
「うわほんとにラドリーだ」
俺はロリコン紳士。しかしロリコンとは外部へ説明するさい大まかに伝えやすいがため採用している名であり、子供全般の平穏を願う存在。
いかに相手が年下だろうと子供だろうと、それこそ人間の小学生と判明していようと、相手は一個人である事に間違いないがゆえ対等に接するのみ。
子供がいなければ俺は存在できない。そういう妖怪だと思っていただければと。
「ああ、陽向くんがカンナちゃん相手でもさん付けなのってそういう理由なんだ」
「子供は宝ですから」
若干小林さんに引かれた気もするけど、それでも平気だって今は思う。
なんというか、陰キャ生命体Xの陽向さんも中々肝が据わったものだ。
「トールやイルルを退けられるただの人間なんて陽向さんだけなものだぞ」
そうです?
「ただの人間がドラゴンの行動を制限した上で魔法の効力を押し付けられるなんてありえないですよ。もし向こうの世界で生まれてたら英雄になるか、或いは死刑でしたね」
「きゅ!?」
生まれただけで死罪の可能性!???!?
「だって制御できるか怪しい力を持った人間ですよ。従順なフリして実はなんて考えだしたらキリがないし、存在をなかったことにするのが一番ですよ」
「じょ、上井さん、これマジ……?」
「……まぁ、ありえなくない、とだけ」
生まれ持った潜在能力がすごかっただけで反逆を恐れられてってやべぇな異世界。
「よかったよぉラドリー、俺こっちの生まれで……」
「くぅ……」
「たぶんそのルートだと狂戦士として暴れ回るところだった」
「!?」
だってそうじゃん。だいたいその展開って実は生きてて復讐にって感じになるじゃん。
だいたいブロリーだよ。ロリって付いてるし。
「いらっしゃーい」
そういう雑談はさておき翔太さんのお部屋へ。
まぁ当然ながら表向き小学生してるだけある普通な部屋だ。
なんか超絶グラマス体形お姉さんおるけど。
「お、ルコアさんが普通に服着てる」
「服着れたんですねこの淫獣」
「珍しい」
「君たち僕をなんだと思ってるの……?」
ああ、この人が噂のルコアさん。
多分というか確実にドラゴン関連……なんだよな……?
他の面々と格が違うってのをなんか本能的に感じる。ラドリーも俺の雰囲気を感じ取ったのかビビってる。
小林さんが普通に接してる辺りラフな人なんだろうけど、おかしい。
いつものドラゴン族を感じられない。いや感じられるんだけどさ、どっちかっていうと神属性味が強いっていうか。
「ルコア、この人が噂の」
「うん。やっぱりすごいねぇ」
糸目だったのが開かれ、オッドアイの両目でじっとこちらを見つめてくる。
わりぃ、俺死んだわ。
「陽向くん?」
4度目の死の覚悟。
値踏みに失敗したら我死ゾ。
「ああ、ごめんごめん。……これでどうかな」
「お?」「きゅ?」
なんか俺達をビビらすカリスマオーラが消えた。
「ルコア?」
「あの人たち、というか陽向くんが僕に驚いてたんだよ。そういうの感じ取れても場慣れしてないなら厳しいよねやっぱり」
「……失礼ですけど陽向さん、本当に魔法使いの家系ではないんですよね? 親や親戚とかでそういう話とか」
生まれは田舎なので親戚が集う機会結構あったけど、そこでなんか聞いたとか見たとかってのもない。
もちろん直接の両親がって訳もないし、妹は……ただ頭が良すぎるだけだし?
「妹さんの頭がいい?」
翔太さんが聞き返す。
ちょっとした所がヒントになるかも知れないし、しっかり答えていこう。
「詳しい時期は覚えてないけど、中学に上がる直前位から急に覚醒したように頭が良くなったというか……」
なんか色んな方程式解いてたり、発明してたり。
最初の内は俺も兄として威厳を保とうと頑張ってたけどさ、本当に同じ血が流れてるのかってくらいどんどん引き剥がされて行って──あ、なんかごめん、色々思い出してきた。その、暗い方面に。
「くぅ……」
ラドリーが俺の心情を察したのか、悲しそうな顔で抱き着いてきた。
うん。うん。妹がこれなら兄は、とか妹からもこれ知ってるこれなぁにって聞かれたり、ああ……。
「その、なんかごめんなさい……」
挙句に翔太さんへ気を使わせてしまう始末。
申し訳ないねぇ。
とにかく理由は分からないけど急に頭が良くなった確かだし、少なくともその内容に魔法魔術って絡んだのは見たことない。
気になるなら名前教えるから調べてみて。検索すれば出てくるくらいには有名人になってたから。
高校上がってからはぱったりそのへん急にやめてギター一本になったけど。人生エンジョイしてんな俺の妹。
「ルコアはどう思う?」
「あんまり関係ないんじゃないかな? たぶんとっても遠い血筋に混じってて、それが突然変異的に目覚めただけだと思う。珍しいけど、そういうことがないわけじゃなさそうかなぁ」
へー、突然変異。
フィクションであり得ないパワーを持った人物お馴染みの便利設定だ。
待てよやっぱり俺ブロリー枠じゃねぇか。いやフリーザ軍側か? でも最新映画で編入してたしな。
そんな、俺は妹がやばすぎるからてっきりラディッツ枠だと思ったのに。ラディッツも相当に強かったけど例えとしてさ。
「妹さんはこっちの世界に適応して、君はあっちの世界に適応した。それぞれそういう覚醒の仕方をしたんじゃないかな」
納得。
あー、で最近になって魔法に通じるプログラムを覚えたからそれが反応してって流れ。
よかったぁ無作為に力が発動するタイプの覚醒じゃなくて。
もしカードゲームやっただけで何でもかんでも発動するなら今頃俺は生きてない。なぜならデュエマ派の妹に絶対勝てなかったからだ。
俺のグレートメカオーはいつも地獄スクラッパーにより海の藻屑となっていたのだよ。それとボルバル。あとエグゼドライブくんによって。
おっと、陰キャ特有の隙語りをしてしまった。
話を戻そう。
「何も知らなければ魔法は才能があっても扱えないんです。ただ、時折今回のような“偶然”が発生することもありますけど」
翔太さんはそういいつつ、ラドリーを見て羨ましいなぁと呟いた。
お、おでのラドリーは、わ、渡さないんだな……っ!
「しょ、翔太くん、僕じゃダメなのかい……?」
「そういう訳じゃなくて!」
「教育上ダメでしょこの人」「淫魔ですからね」
「ひどい!」
まぁ小学生の教育に悪そうな体つきはしてる。主に性教育的な意味で。
「ただ、偶然にしても召喚はありえないはずなんですけど」
と、トールさんや上井さんも加わっての魔法講座が始まったが専門用語が多く理解を断念。
隣で小林先輩も話半分で良いよって言ってくれてるしラドリーの尻尾をもふりながら話し合う面々の結論を待つ。
その結果はというと……。
「──陽向さんが化け物過ぎる。としか」
「なにそれ」「くぅ?」
聞いた話をまとめると、まず本来召喚の魔法陣を起動するためには熟練魔法使い数人が魔力を注ぐ必要があり、起動後は対象を呼び出す為に供物を捧げる役も必要となるらしい。規模にもよるけど基本がこれで、個人でやるならもっと簡単かつお手頃な召喚になると。
ところが俺は突然変異の化け物魔力オバケだったがゆえ、魔法陣(今回は略式のコード)を単騎で動かしかつ本来なら生け贄使用の方法である魔力オンリー供物でラドリーを呼び出せたんじゃないか、というらしい。
呼び出しではなく使い魔の生成なので供物コストは割高になるはずなのに、喋れないとはいえヒト型で自立してるラドリーを容易に呼び出せるのすごいを越えてドン引きだってさ。
「ルコアは割り込んできたから召喚できましたけど、疲れた様子もなくポンと出せるなんておかしいですよ」
「一般人の私はともかく、エルマが同じコード使っててそういう魔法が動かないって事は本当に陽向くんがやばいんだねぇ」
「ふふーん! えへ」
それぞれの反応をラドリーが誉め言葉として受け取り、どや顔を披露した。
かわいいんだけど、これ俺遠回しに人間扱いされてないよね。
「召喚は分かりましたけど、
「それは……」
翔太さんの目線が俺の胸ポケット、収まったままのティルルへ向く。
「もしかしたら、遊戯王のルールを適応する事で色々できるようになっていたとか」
ふむ?
「ドラゴンの行動を制限させたというのも、陽向さんが遊戯王のルールに則ってでしかカードの効果や攻撃を行えない代わりに相手にもそのターン制を強制させてるのではないでしょうか」
ああ、それならなんか納得するかも。
多分だけど、俺もルールを無視して攻撃力に物言わせたラッシュできないだろうし。
すごいな、無意識にそこまで色々やってたんかおれ。
「検証の為にひとつ、私とデュエルしてみないか?」
上井さんが手を上げた。
「私もひとつデッキを持っているので、折角だし広い所で試そう。もし私の予想が正しければ……」
まぁ、確かにこうして知識ある味方が集っている所で試すのはいいかも。
例えば俺の召喚制限だったりだとか、実は発動しない魔法だとか、そういうのがあって実戦で出会ったらやばいし。命が。
「それでしたらいつもの場所行きますか」
ブォン、とトールさんが目の前にポータル出して来た。
どこにでも行けるドア魔法とか俺が欲しいんだけど。
むしろ遊戯王ルールとかいう制限だらけ魔法いらないんだけど。
ラドリーだけいればいい。
「ほらぐずぐずしてないでいきますよー」
げしっと背中を蹴られ、草原フィールドへ放り込まれた。