ラドリーっていいよね 作:縮退回路
け、決してVRCだとかELINに沼ってたとかじゃ……!
俺の能力の色々を調べるため、物理カードを使った決闘をしてみようというわけで場所を移したわけですが。
「くぅー?」
目の前に広がりまするはラドリーも首をかしげる謎のフィールド、草原。
植物とか気候だとかそういうの詳しい訳じゃないけど、明らかに日本じゃねぇ雰囲気は分かる。ただガチの自然のみで人工物が一切ないのでお国は分からん。
ジオゲッサーなら絶望して太陽と方角見て祈るレベルなんですが、ここどこです?
「さあ?」
「知らん」
トールさんと上井さん、共に答えはノーと。
一応、我々の知る地球上でよろしいんでしょうか……?
頼む……初のガチ異世界がこんなテキトーであって欲しくない……!
「くぅ? きゅっ!」
「ラドリーかわいいしいっか」
「陽向くんも割と適当だよね」
細かく考えるのが苦手なんですよ先輩。
だから自分の魔法をこれから試すぞって瞬間にすら、両手を広げて草原を走り回るラドリーを見てほっこりしてる。
一応当事者なので色々考えてはみたけど、発想として出せるのはこの草原はフィールド魔法としてカウントされるんかなーって疑問程度。
強い相手だろうと無理やりルールに引きずり込む俺の魔法が俺の認知に関係したとするならさ、こういう地形情報はどうなんだろうって。もし
うーん、もし俺のパッション謎デュエル魔法が細かいところを変に汲み取って作用してフィールド魔法《草原》が適応されてたとしても検証できないなぁ。
だって《草原》の効果は戦士族と獣戦士族のステータスが200上昇するだけだし。
俺はドラゴン族統一のドラゴンメイドで上井さんは裏切りの軍貫デッキ、どちらも関係のない話だ。
《山》や《海》ならどちらかが有利になってしまっただろうけど、検証という意味ではそっちの方がよかった。上井さんは正々堂々とした勝負がしたいってゴネそうだけども。
まぁまぁとにかく通しで
と言う訳でそろそろ。
「やってみっかぁ」
「きゅ!」
「いつでもいいぞ!」
フィールド云々召喚云々、色々それぞれ調べる学ぶにはぶつかってみるのが一番。
ちなみにデッキは持ち歩くようにしてます。なんせファンタジーで治安が悪いので。あ、治安が悪いからデッキを持ち歩くって遊戯王世界の住民っぽくない?
それはさておき上井さんはとっくにデッキを取り出しなぜかあるテーブルに並べ、いつでもやれるぞって状態だ。
一応確認ですけど細かい観測だとか推測だとか、そういうのは翔太さんに全部お任せしてよろしいでしょうか?
「まだ分からない事ばかりなので上手く行くかもわからないですけど」
「僕もいるから大丈夫だよ~」
ありがてぇ!
上井さんの対面に座ってゲームスタートと行きたいが、その前に試したい事がある。
「デッキ出てこい!」
飛んでこーい! 自動で並べ!
……。
「違うな、出てこーい! ゴッドラドリィイイイイイイ!」
「きゅー?」
……。
「はい出てきたー」
「くぅ?」
自発的にでポケットから出てこないマイデッキ。
この前のイルルさん戦のように、デッキが勝手に現れ展開してくれるようなことは無かった。
代わりに訪れたのは冷たい沈黙と乾いた風。違うんですよ聞いてください!
この前はできたんです!
「状況、モチベーションが関係するとか?」
「緊急時だからできたかも知れないねぇ」
翔太さんとルコアさんは真面目に考えてくれてるけど、小林さんは目に見えて「うわぁ」って顔してる。
というか見なかった事にしようとしてる。
助かるけど、助かるんだけど、うん!
「くぅー?」
……ん? あっ? ああ!
そっか、ラドリー出しっぱなしって事は仮想デュエル続行してる状態だ!
ラドリーを召喚してるってことはだもんな。だから上井さんと決闘する為に呼べなかったのかぁ。
「じゃあラドリー、また後でな」
「くぅ!」
心の内で降参を念じると、どや顔で敬礼したラドリーが光に包まれ消えていく。
「元太が消えるアレみたいだね」
「ぶっ」
ちょっ、小林さん変なこと言わんでくださいよ。
ああ、消えちゃった……。
──それはさておき気を取り直して上井さんの対面へ座り、でも恥ずかしいので叫びはせず手動でデッキセット。胸ポケットからティルルを取り出し混ぜてシャッフル。
ショットガンシャッフルじゃないからカードを傷めないぜ。
場所は草原ど真ん中、基本の8000LPでルールはいつもの通り。
「そして負けたら死あるのみですね」
トールさん!?
「決闘ならば仕方あるまいな」
上井さん!?
「どうでもいい。さっさと始めろ」
ダレーッ!?
なんかいつの間にか目つきの悪い黒スーツなお兄さん追加されてるけど、誰なのー!?
こわいよぉ!
「僕が呼んだんだよ。暇そうだったし」
「ふん」
ルコアさんの知り合いって事はドラゴンだろうなぁ。
感じるぞ、闇の気配。感じるぞ、ドラゴン族の気。
「は、始めましょうか」
「だな。コイントス!」
こいーん。ぺんぺん。
俺が先行、後攻に上井さんだ。
「では行きますよ、ドロー!」
5枚ドロー。
《ドラゴンメイド・ラドリー》
《ドラゴンメイド・パルラ》
《ドラゴンメイド・エルデ》
そして《ドラゴンメイドのお見送り》が二枚。
なんか普通にいい手札だ!
今回使用いたしますデッキはドラゴンメイドのストラクチャー3つを消費して構成される、ドラメシンプルとなっております。
本当は名推理とか未来融合とかの添え物も混ぜておきたかったけど、パーツが届かなかった。ぴえん。
アルバスの落胤? あいつら入れ始めるとデッキがドラゴンメイドじゃなくなるというか、ドラゴンメイドで勝ったって気じゃなくなるから……。
「まずラドリーを召喚! 召喚時の効果によりデッキトップ3枚を墓地へ!」
「ふふ、陽向さんこれを見ろ!」
俺の隣へ光に包まれながらラドリーが現れ、いつものくるっと回ってきゅを披露した所で上井さんが止めた。
ま、まさか!
「《灰流うらら》だ!」
「なにィ!?」
モンスター効果でデッキへ触れた時、その効果を無効化してしまう恐ろしい存在。灰流うらら。
現代遊戯王において《増殖するG》と並び驚異の採用率を誇るやべーやつだ。
いても全然おかしくないんだけど、まさか上井さんがもうその存在を認知しデッキへ組み込んでいるとは!
「むぅー!」
隣でラドリーがおどおどしてる。かわいい。
俺には見えていないが、目線からして周囲を灰流うららが漂っているらしい。
ぐぎぎ、うららを見てみたいような、怖いからやめておきたいような……。
あの足に踏まれたいような……。おみあしに挟まれたいような……。
「《増殖するG》が寿司に群がったら衛生的によくないからな。バイトとして雇ったのだ」
「害虫駆除業者扱いなんだ……」
メタ的に間違ってはないけど。
「だがこの手札にとってラドリーはあくまで先鋒、そして囮。速攻魔法発動、《ドラゴンメイドのお見送り》!」
自分フィールドのドラゴンメイドモンスター、ラドリーを対象として発動。
手札から名前の違うドラゴンメイド、《ドラゴンメイド・パルラ》を守備表示で特殊召喚!
「メイド衆の中でも便利屋な事でご存じ、パルラかもん!」
「にゃっほーラドっちー」「きゅっ!」
おお、等身大パルラだ。しかもちゃんと喋ってる。
ラドリーとハイタッチすると、お見送りの効果が適応されラドリーは手元に戻ってきた。
《ドラゴンメイドのお見送り》とはモンスターの入れ替えをするものである。
速攻魔法なので伏せておけば相手ターンでも妨害をいなす目的で使えるし、特殊召喚をするのでドラゴンメイドの召喚時効果も問題なく使える。相手ターンにもできるということは──等々様々なルートがあり、シンプルながら中々強力。
今回の場合は贅沢な使い方と思うだろうか? しかし贅沢でも展開し続けなければ活路がない。故に仕方あるまし。
召喚時にデッキから好きなドラゴンメイドカードを墓地に送れるというパルラの効果を使い、デッキから《ドラゴンメイドのお召し替え》を墓地へ。
続けて墓地にある《ドラゴンメイドのお召し替え》の効果を発動!
フィールドにあるドラゴンメイドモンスターを選んで手札へ戻すと同時、自身もまた手札へ帰ってくることができる!
「──んえ? ちょっ、早っ、にょわああああ出番がぁぁー……っ!」
自分の言葉で説明すると分かりにくいけど、パルラをコストで手札へ戻しつつお召し替えも手札へ戻るだけ。
なんかパルラが不満の籠った叫びと共に帰ってきた。ごめんネ。
「む。ラドリーよりもパルラを止めるべきだったか……」
「そういう悔しさがデュエルの醍醐味ですよ。では《ドラゴンメイドのお召し替え》を発動!」
《ドラゴンメイドのお召し替え》とはドラゴン族用の融合カードだ。
ドラゴン族の融合モンスターを召喚できるというだけの縛りなのでメインテーマのカード以外でも使えるが、名前に融合やフュージョン等と入っておらず墓地からの回収はドラゴンメイドが必要と、あくまでドラゴンメイドをメインとした状況で使ってくれという調整になっている。
先程使った回収が(2)、融合が(1)の効果となっているが実はこのカード、メインの融合効果であるその(1)にターンでの制限がない。きっと名前やドラゴンメイド指名をつけなければとんでもなく暴れ散らかしただろう。頭良い人は暴れさせるんだろうけど。
「《ドラゴンメイド・パルラ》と《ドラゴンメイド・エルデ》を墓地へ送り、《ドラゴンメイド・シュトラール》を特殊召喚!」
頭上が光り輝いたかと思うと、すらりとしたシルエットが美しいドラゴンが現れる。
ドラゴンメイド達の長、シュトラール。一番の頭というだけあり、攻撃力は3500もある。
その攻撃能力もさることながら《神の宣告》と同格の妨害能力を持ち合わせるテーマの要だ。
「お待たせいたしました」
「いざって時には頼むぜシュトラール」
残りの手札、二枚目の《ドラゴンメイドのお見送り》をセットしてターンエンド。
手札に一枚もカードがないので完全なブラフだが、それでもシュトラールの弱点を突かれるよりかはいい。
「私のターンだな、ドロー!」
後攻の上井さんがドローして、手札は5枚。灰流うらら一枚分のアドバンテージは稼げているものの、どうだ。
「
「んえ? あそっか」
《ドラゴンメイド・シュトラール》の効果を発動!
(1)の効果により、スタンバイフェイズに自分の手札か墓地からドラゴンメイドモンスターを一体特殊召喚できる!
「甦れ! 無窮の歴史ラドリーよ!」
我ながら滅茶苦茶な口上と共に、墓地から《ドラゴンメイド・ラドリー》が復活!
相手ターンだろうと、特殊召喚なので召喚時効果が使えるぜ!
「デッキトップ3枚を墓地へ!」
「ふふ、陽向さんこれを見ろ!」
俺の隣へ光に包まれながらラドリーが現れ、いつものくるっと回ってきゅを披露した所で上井さんが止めた。
ま、まさか! デジャブって知ってるぅ!
「《
「なにィ!?」
本日二度目の灰流うららにより、再び行動を封じられるラドリー。
流石にシュトラールで止める程でもないのでスルー。隣でシュトラールもドラゴンの顔ながらあーあって顔してる。
かわいそうだがラドリー、お前はそこで灰流うららと運命を共にするのだ……。
「きゅーーっ!?」