(改訂前)尊大不遜系貴族悪役による凌辱ゲーの壊し方 作:全自動髭剃り
ゲームをプレイしていたときの懐かしい感覚と、異世界で生きているという新鮮な感覚。
ナイトフォール領の西、ちょっとした丘陵地帯で魔獣の駆除に勤しむ俺とアメリア。
スライムやゴブリンなどといった王道ファンタジーの魔獣と違って、この世界での魔獣は実在の動物をモチーフにしたものが多い。
例えば、
「やッ!」
俺なんか置き去りにして突撃していったアメリアが切り掛かっているのは、盆栽にそのまま足をつけて、色を水溜りに浮かぶガソリンみたいな七色にしたような魔獣。
モチーフは言わずもがな、松だ。
ブニョブニョした外皮を直剣で切りつけると、容赦無く粘性の高い体液がプシャプシャと吹き出してくる。匂いはあれだ、栗の花といえば伝わるか。もう少し具体的にいえば、塩素系漂白剤を濁らせた感じの。
まあ、不快感極まりない相手であることだけははっきりしている。正直、最初でこそ喜び勇んで異世界での戦闘に飛び込んだわけだが、正直もうあれの相手は一杯一杯だ。
「何してるの、ベリアル? やる気がないなら、魔石は全部私がもらうよ?」
「ふん」(え? ああ、ごめんごめん)
基礎レベルに関しては順調に伸びているはずだ。
街道に出現する程度の魔物だと、20程度で頭打ちになるだろうけど、それまではお世話になるだろう。
逆にいえば、それ以上を目指すためには近場に遺跡がないかを探さないといけなくなるが。
そのことも含めてアメリアに声をかけてみる。
「おい、少し遠出するからついて来い」(アメリア、ちょっと遠くに出てみるか?)
「遠出? 街道から離れて森のほうに行くということ?」
「そうだ」(そうそう)
剣に付着した見るに堪えない体液を持ってきた紙で拭いながら、アメリアは少しばかり悩ましげに返す。
「私たちだけだと迷子になってしまいませんか?」
「山道なき山奥までは行かん」(山道がある場所くらいまでしか行かないから、大丈夫だよ)
「……まあ、それくらいなら」
というか、迷子になるレベルで山奥に入るほど豪胆ではないのだ。
遺跡と呼ばれるこの世界でのダンジョンは、基本的に塔のような大型建造物で、少し探して見つからなければ、それはもうないといってもいい感じだ。
そして野を越え山を越え……。
海を川を……越えてはないけど、気分はそんな感じ。
それこそ本当にピクニック気分で、晩夏の綺麗な丘陵地帯を歩き回った。
俺が異世界転生モノの主人公だったのなら、ここで襲われている女の子か何かを見つけて助けるなんて小話になるようなイベントも起きただろうけど、残念ながら治安の比較的安定しているナイトフォール領近くでそんなことが起きるはずもなく。
「ふぅ……」
少し歩き疲れた様子のアメリアを見て、ちょっとした渓流のほとりで立ち止まることにした。
時間は昼過ぎで、ちょうど昼にしてもいい頃合いだ。
「昼食にする」(ここでご飯にしよう)
「……いい時間だし、そうしようか」
朝、アズーリにもらった弁当を取り出す。
どういう仕組みかはわからないが、前世でいう保温機能を備えた弁当箱には、保存性のために冷やされたサンドイッチがあった。さすがは魔導技術である。
「いただきます」
「いただきます」(いただきます)
と食べ始める。
……特に広げられるビニールシートもなく、ただただ草むらの上に座っての食事。
ちょっとした椅子でも用意すればよかったなと少し後悔するが、残念ながら公園でもない野っ原にピクニックなんてのは、前世含めても初めての経験だ。
さすがは日本発のRPGゲームが舞台になっていることもあって、食事などは異世界食材を使ってはいるものの、見慣れた料理なのだ。
美味しそうに頬張るアメリアの表情に少しほっこりしながら、俺も新鮮さたっぷりのサンドイッチを味わうことにした。
小川のせせらぎと小鳥たちのさえずりを背景に。
一際綺麗な花がさく野原の近くで。
月並みだが、心休まるひと時というのはこういったことを指し示すんだろうか。
「……美味しいね」
「ああ」(そうだね)
そっけない返事。まあ、”俺”らしいといえばそうだろう。
けど、……心のどこかに何か引っ掛かるような気分になって、
「あの」「おい」(あの)
「「あ」」
アメリアに声をかけようとして、被ってしまった。
対して何か目的を持って話しかけたわけでもなかったので、ここは話を譲るべきかと思っていると、
「さ、先にいいよ」
「ああ」(あ、ああ)
アメリアが話の主導権を渡してきた。
咄嗟に受け取ってしまったバトンだけど、すっかり何のきっかけで話かけたのかすら忘れてしまった。
あの、えーと。……何だっけか……?
その……、…………そうだ!
「うまいな、これ」(サンドイッチ美味しいね)
「う、うん。……そうだね」
「いい景色だ」(……、空気もいいし、天気もいいね)
「……」
何だかアメリアと二人きりだという事実に、今更ながら急に意識を始めてしまった。
男と女がちょっとした小川のほとりで、一緒にサンドイッチランチを食べている。
あれ、これってもしかしなくてもデートじゃん。
……って、いかんいかん。そんな下心を持つのは筋違いも甚だしい。これはアメリアの息抜きのためのピクニックで、俺の下心でぶち壊してはいけない。
そう思ってとりあえず俺は取り繕うようにして聞いてみた。
「楽しいか?」(アメリアは、……その、楽しいか?)
「え?」
少しばかり驚いたような表情のアメリア。
……まあ、そういう反応にもなるか。
せっかくのピクニック。結局は魔獣狩の言い訳に過ぎないと言われたら否定できない。
それに、アメリアが楽しめるようなことを俺は何もできなかったし、何を言っているんだという反応も頷ける。
「何でもない。忘れろ」(ごめん、先の話は無かったことにして)
ため息が出そうな気分で、吐き捨てるように言った。
そして、アメリアに渡せば少しは罪償いになるかと思って、野原の花を摘んで……。捨てた。
こんなので機嫌を買えるほど、彼女は安くはない。せめてもう少し誠意があるようなものを――
「――私は」
まっすぐ俺を見つめて、アメリアは言った。
「私は、……嬉しいよ」
「……」(え?)
「こんな景色は初めてだし、綺麗な空気を吸ってとても気分がいいよ」
開けた青空の下で旅装束姿の美少女は、心臓を震わせるような眩しい笑顔で答えた。
その玉の肌に気圧されそうになる。
目眩がしそうなほどの俺に対して、アメリアは問いかけた。
「ベリアルは、何で私を連れて外に出ようと思ったの?」
「何?」(え?)
「前に聞いた質問だけど……、今なら答えられそう?」
蠱惑的な屈託のない笑みを向けられ、一瞬時が止まったかのような錯覚に襲われた。
……、けど、同時に沸々と湧き上がる正体不明な負の感情。
これが劣情なのか、それとも罪悪感なのか。はたまた、ただの勘違いなのかはわからなかったが……。
「お前の、……息抜きのためだ。疲れている姿が見るに堪えなかったゆえな」(アメリアの、……息抜きになればと思って……。毎日忙しそうだったから……)
「……そっかー」
柔らかく笑うと、アメリアは続けた。
「ありがとう。私は十分楽しんでるから、安心して」
「え?」(え?)
諭すような口調の言葉に、意表をつかれてしまった。
……アメリアにいい息抜きをさせてあげられるか心配だったのが、見抜かれたような言葉。
言葉では伝わっているはずもないのに、彼女はそんな言葉を投げかけてくれたのだ。
……、敵わないなぁ。
俺は少し彼女の決意を甘くみていたようだ。
アメリアが何を思ってもう一度俺の婚約者になってくれたのか、それはまだよくわかっていないけど……、さすがは俺の婚約者様だ。
どこか心の満たされたような感覚に身を任せてほっとしていると、
「けど、これで満足ってわけじゃないから!」
アメリアは悪戯っぽい表情で俺のひたいに指を差しながら続けた。
「今日はまだまだ私の息抜きを手伝ってくれるよね? 刺激的な冒険を期待してるわよ、私の婚約者様」
一面に咲く白い花の中、一際目立つ桃色の花を摘んでアメリアに手渡しながら、俺は答えた。
「任せておけ。この俺を誰だと思っている?」(満足させられるかはわからないけど、精一杯頑張るよ!)
†
不思議な声に誘われるようにしてたどり着いた朽ちた馬車の前。
そこで俺たちはとある騒動の扉を開くこととなった。
†
――見つけてくれて、感謝いたしますわ。
†
所々に人が通った痕跡があるものの、土道にはすでに雑草が散るようにして生えている。
「こんなものが……」
そんな声をあげてしまうアメリアの前にあったのは、支柱となる木材が朽ち始めていて、辛うじて風化せずに残った布がこびりついている、そんなオブジェだ。
軸と車輪がついているので、それはおそらく馬車の残骸であることは間違いないと思われた。
当然馬はもういない。どこかに逃げたのか、馬の死骸もない。その代わりと言えるのかはわからないが、
「白骨化した遺体……」
吹き曝しの客車には、ところどころ割れている白い骨が転がっていた。
文字通り髑髏となった頭蓋骨が転がっており、これが人間の遺体であることを証明している。
白骨だったために生理的嫌悪感が酷いものではなかった。もしも生きていた時代を彷彿させるような腐乱死体だったのなら、こんな冷静な反応は難しかっただろう。
それはアメリアも同じようで、二人一緒にその馬車跡に近づいてみる。
「……山で遭難して、亡くなってしまったとか……?」
「10分も歩けば街道に出るような場所で遭難はありえないだろう」
「確かに……」
注意深く下手に触れてしまわないようにして観察する。
……白骨の隣には鈍く光る手錠のようなものが落ちており、また、よくよくみると赤色の宝石の埋め込まれた髪飾りのようなものも確認できた。
「女の人……、なのかな?」
「おそらくそうだろうな」
「どれほどの期間が経てばこのような姿になってしまうかはわからないけど、……亡くなってからかなり時間が経ってそうね」
「……数年ほどは見つからずに放置されていたはずだ」
数年も放置されていなければ、馬車がこんな朽ち方はしないだろう……。
つまりは、数年以上失踪した人がいるということだ。
もしかしたら彼女の消息を探し続けている遺族がいてもおかしくはないだろう。
「騎士団に伝えるべきだろう」
「そうね。帰りに支部の方に寄りましょ」
「ハンターギルドとさほど離れてもいないだろうしな」
素人たる俺らが何かできるわけでもない。
偶然見つけた遺体の身元を探すなんて、どう頑張ったってできないだろう。
遺体に対して軽く黙祷を捧げる。
†
――わたくしのことはいいですから、あの子を。
†
「……しかし、時間が経ったからといって、骨が割れることがあるのか?」
割れている……いや、折れている? 上腕骨を見ながら疑問を口にしてみた。
もちろんアメリアは知っているとは思っての質問ではないので、返答を求めているわけではないが。
「……何かに襲われて命を落としたとか?」
「そう推測できるな」
という浅瀬のような推理をすることくらいしかできないでいたのだが、
「悪くない推測ですね」
「「え?」」
割り込む声に振り返る。
全く気配を感じられなかった男が、鈍く柔らかい笑顔でこちらを見つけながら、話を続けた。
「いきなり話しかけてすみません。君たちの会話に興味を持ってしまったのです」
何があっても対応できるように、アメリアと男の間に立っておく。変に刺激しないためにも剣に手は伸ばさないが、すぐにでも抜けるように意識をする。
そんな俺の様子を気にもかけず、旅装束に片眼鏡をつけた青年は丁寧にお辞儀をした。
「はじめまして、私は旅する考古学者のエリック・ルクレール。帝国大学のしがない研究員です」
言いつつ青年は首から紐で下げた所属を示すカード状の研究員証を俺たちに見せてきた。
それによれば、隣国の大学の研究員というのは嘘ではないらしい。
……あまりにもいきなり現れたものだから変に警戒してしまったが、どうやら怪しい人ではないようだ。
「俺はベリアル・ナイトフォールだ。覚えておけ、帝国人」(はじめまして、ベリアルです)
「アメリアです」
相も変わらずぶっきらぼうを通り過ぎた荒っぽい言葉遣い。
やはりアメリア以外相手だとこんな感じなのね。
「なんと、ナイトフォールというのはあの伯爵家のナイトフォールですか? 図らずも私は有名人に声をかけてしまっていたのですね」
「余計なトラブルに見舞われたくなければ、相応の礼節でもって俺をもてなせよ、異邦人」(気にしないでください)
「王国の貴族制には疎いですが、弁えているつもりですよ」
脅すかのような言葉をさらりと躱わすエリック。
一応共和国になってからもこの国では貴族制度が残ってはいるが、王国時代に比べればはるかに緩いものになっている。
というか、初対面の人相手にどうしてこうも上から目線で行きたがるのか、“俺”は。
青年――エリックは馬車の方に歩み寄る。
しゃがんで車輪の方を観察しながら、エリックは語った。
「懐かしいですね。伝統的な王国式の車輪。今でこそ魔導革命によって精密な車輪は当たり前になっていますが、私が少年の頃は王国製の馬車に乗っているというだけでステータスでした」
十数年前の革命以前のオルディア王国。王国製のアンティークは精巧で値段が高くつく、なんて話をゲームのどこかで聞いたことがあるくらいには有名な話だったはずだ。
「こんなにも生きのいい“遺跡”は残念ながら専門外ですが、私の知る限り、このような骨折痕は外的要因によるものの可能性が高そうと考えられますね」
「……外的要因?」
専門外と言いながらも、エリックが饒舌に続けた。
「本来人間の骨ってそうそう簡単に折れません。たとえそれが死体であろうとも、ですね。こんな野晒しの状態であれば、大型の肉食獣や、死肉を漁る魔獣などが齧って折れるなんてことは起きないわけではないのですが、……歯型と思われる跡はないですね」
馬車にさらに近づき、遺体に手を伸ばすエリック。
だが、その骨に触れる前に何か思い直したのか、伸ばした手を引っ込めた。
「ふふっ。……これほどに遺体の保存状態がいいとは、まさに奇跡ですね」
意味深な口ぶりで語るエリックだったが、それきりで馬車跡には興味を失ったかのように、
「では、私はこの先の本業の遺跡見学に向かいます。また何かの縁で会うことがあれば、その時はよろしくお願いします」
そう言い放つと、軽い足取りでこの場を去っていった。
†
「お久しぶりじゃない! 君が来てくれるとは思わなかったわ。ハンターギルドとして歓迎しなくちゃ」
エプロンを身につけた桃色の髪の男は、両手を胸の前で組みながらその喜びを表現していた。
「焔の聖女、レイラ・クリスティーン。ようこそハンターギルドラバル支局へ!」
対して、焔の聖女と呼ばれた少女は、燃える木炭のように赤い髪の下の顔を恥ずかしそうに俯かせた。
「その呼び名はやめろつってんだろ?」
「あら、嫌だった?」
「むず痒いんだよ」
おそらく遺伝であろう玉のように明るく白い肌と、線の細さからくる儚げな雰囲気。
それとは相反する気の強さが見える表情と、その柔らかな四肢からは想像も出来ないような背中に担いでいる鋼鉄製のハルバード。
それだけでも絵になりそうな様子だ。
ところどころ傷などで破れている場所などに真紅のプロテクターを貼り付けてあるカソックを揺らしながら、レイラは出されていたコーヒーに手をつける。
「それに、実家の教会継いだつっても、聖女までお袋から継いだわけじゃねえよ」
言いつつ、顔を顰めながらコーヒーをゴクっと飲み干す。
「やっぱり苦いのは苦手かしら?」
「うるせー」
悪戯っぽい笑顔の男を睨みつけると、レイラは続けた。
「わざとブラックにしただろ?」
「あら? ちゃんと角砂糖1個入れたわよ?」
「ちっ、それでこれかよ。こんな苦いだけの飲み物を飲みたがる奴の心情はやっぱ理解できねえ」
そう言うと、レイラは目を瞑って一気に出されたコーヒーを飲み干した。
豪快な飲みぶりに反して、相当喉に応えたのか「うげえ」と少女らしからぬ声を上げる。
「で、わざわざランクBのハンターを、ラバルなんつう貴族領に呼び寄せた理由はなんだ、ギルド支部長殿?」
「そんな、レイラちゃんにわざわざ肩っ苦しい役職名で呼ばれたくないわ。いつものように、ロイドって呼んでちょうだい?」
「……ああ、わかったよロイド。それで、依頼内容は?」
少しばかり周囲の気配を探ったのち、ため息をつく真紅の少女に、ピンク髪の男ロイドは語りかけた。
「実はね、……例の秘密結社が動き始めたらしいの」
「――あぁ?」
†
ナイトフォール領のラバル騎士団支部に馬車の報告をしたのち、俺とアメリアは商店街にある服屋に来ていた。
首都近郊にあるラバルなのだが、残念ながら首都に走る鉄道網から外れて、共和国と帝国を結ぶ大陸横断鉄道のみが一本走っている関係上、比較的に人口が少なめだ。
交通の便の悪さのみならず、首都とは政治的管轄が違うこともあって、魔導革命に進む都心に比べてどうしても予算の都合などから、発展が遅れている田舎というイメージも強い。
そういうこともあって、ショッピングをするなら首都に出かけたほうがいいのだが……。
出かける前にサフィナに頼んでおいた贅沢品の処分。
あれの中には、流石に見るだけで小っ恥ずかしくなるような大袈裟な貴族服たちも入れている。なので、着替えの新調をしないといけないのだ。
「服如きで行く必要もあるまい」(俺の服買うのにわざわざ出かけることもないしな)
「……?」
漏れ出てしまった独り言に、ぴょこんと耳を立てながら反応するアメリア。
「いや、なんでもない」
と、適当に誤魔化して、服屋に吊るされている外套とズボンを数着適当に選んでいく。
正直どの服がどうなのかに継いてはよくわからないので、マネキンが着ているのに似たようなものを感覚で選んでいるだけだ。いちいちアメリアに意見を伺っても面倒臭いと思われるだけだろうし、手短に済ませて勘定場に向かおうとしたところ、
「ちょ、ちょっと!」
と、アメリアに手を握られて静止させられてしまった。
何か用事なのだろうか?
「それを買う気?」
「そうだが?」
「……せめて試着しなさいよ」
そう言うと、アメリアはパッと俺から選んだ服を取り上げると、中から数着選んで俺に返し、残りは吊るしに戻してしまった。
そして試着室を指差して、黙って俺を睨みつけてくる。
……えーと、着てこいってことかな?
商家の娘なだけあってファッションには目がないということなのだろうか?
「あ、ああ……」
アメリアの圧に負けてそのまま試着室に向かい、着替えることにした。
うん、動きやすいしサイズもちょうどいい。
ぱっと見で選べるって結構すごい才能ではないだろうか?
しゃがんだり跳んだり、数回体を動かして見ていると、ガラッと音を立てて試着室のカーテンが開かれた。
「ん?」(うおわっ!?)
「こっち向なさい」
品定めするかのような目でコチラを見つめてくるアメリア。
俺がまだ着替えてたらどうすんねん! ……別に俺はいいけど、君はうら若き少女だろうが、少しは異性に対する恥じらいというかそういうのをだな!
などといきなりの暴挙に驚きながら、心の中で抗議の声を上げていた俺だったが、
「うん、悪くないわ」
アメリアは気にしたと言った様子はなく、俺にもう一着の服を渡してきた。
……えーと、着替えろってことですか?
「何ぼーっとしてるの?」
「俺の裸体に興味があるのか?」(いや、着替えるからカーテンを閉めて欲しいんだけど)
「なっ!?」
顔を真っ赤にしたアメリアは、壊れてしまわないか心配なレベルで力一杯にカーテンを閉めた。
「次変なこと言ったらぶん殴るから!」
カーテン越しに聞こえた言葉は物騒極まりないものだった。
次から次へとアメリアから渡されていく服に着替えながら、半ば着せ替え人形になった気分でアメリアの指示に従い、最終的には彼女の見繕ってくれた数着の服を買うことが決まった。
そう言ったファッションセンスは皆無に等しい俺だったので、素直に嬉しかった。
けど、流石に気恥ずかしいものだからアメリアには少し待ってもらうことにして、下着は自分で選ばせてもらった。パックで入っている数枚の下着を見てまたもや目線を光らせかけていたアメリアだったが、買う予定の他の服の中に紛らせて隠し通すことにした。
俺も男の子だ。お母さんに下着を買ってもらうのですら恥ずかしいのに、仮にも婚約者に選ばせた日には日の下を歩けないからね。
ハンターギルドで、魔獣を倒して手に入れた魔鉱石を換金して貰ったお金で会計をし終え、そろそろ家に戻ろうとしていたところ、アメリアもアメリアで何か買い物があったのか何やら会計をしていた。
女の子は買い物が好きだって話もあるし、何か気に入ったものでもあったのだろう。
そう思って店の玄関口でアメリアのことを待っていると、
「はい」
と、アメリアに化粧箱を渡された。
手のひらにすっぽりおさまるくらいの大きさのものだ。
「これは?」
「プレゼント。開けてみていいよ?」
言われるがまま化粧箱を開けると、そこには紫色に透き通った魔鉱石が飾られたイヤークリップが収まっていた。
「日頃の感謝の印。受け取ってもらえる?」
「いいだろう。だが、感謝とな?」(もちろん。……だけど、俺が感謝されることなんて)
疑問の声を上げる俺。
これまでも、おそらくこれから先も彼女には迷惑をかけていってしまうのではないかと思っていただけに、そんな意外な言葉を飲み込めないでいた。
対して、アメリアは夕陽に照らされた柔らかな黒髪をたなびかせ、優しい笑顔で俺に振り向きながら口を開けた。
「そう。これからもよろしくね、私の婚約者ベリアル」
☆日付☆
大陸暦911年9月19日
☆ステータス☆
【名前】ベリアル・ナイトフォール
【基礎レベル】3
【技量レベル】18
【魔法属性】不明
【魔法詳細】未習得
【名前】アメリア・クレイトン
【基礎レベル】4
【技量レベル】17
【魔法属性】不明
【魔法詳細】不明
【名前】レイラ・クリスティーン
【基礎レベル】?
【技量レベル】?
【魔法属性】不明
【魔法詳細】不明
活動報告にちょっとした短編?みたいなのを投稿しました! よけったら覗きに行ってもらえたら嬉しいです!
ベリアルくんにヒロインが無事できた記念! とりあえず装飾用直剣を使っている武器ですが、ベリアルくんに似合う武器を選んであげてください!
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直剣で十分、奇を衒うな!
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無双ゲー主人公の定番、槍だ!
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雰囲気抜群、死神の鎌!
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魔導技術の結晶、ライフル!
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素手で戦え!