(改訂前)尊大不遜系貴族悪役による凌辱ゲーの壊し方 作:全自動髭剃り
Last Hope 奪われた世界と凌辱の唄。
そのゲームは、とある日本のゲーム会社の遺作である。
重厚なストーリーと圧倒的なボリューム、そしてシビアながらも自由度の高いゲームバランスで有名な硬派なアクションRPG。「夢見の大陸シリーズ」を次々に出し続けた会社だ。
色々と大人の事情があり、その会社はLHの発売を最後に空中分解をしてしまった。
俺はそんな夢見の大陸シリーズの大ファンで、同じ世界観で作品と作品が繋がる大作RPGのヘビープレイヤーだった。
売り上げは順調じゃないなんてニュースを聞いた時には、最新作を数本買って友人に勧めたり、ネットで拡散したりと、そんなことを苦にも思わないファンだった。
だからこそ、起死回生の一手として最後に打たれたLHだけはどうしても買うことができなかった。
愛のある成人向けゲームならばまだしも。
どんな形であれ、やはり女の子の悲しい顔を見るのは嫌だし、絶望した顔はもっと嫌だ。
……俺がプレイしたいのは、夢見の大陸シリーズで活躍したあの人たちがいる世界の話の続きであって、凌辱ゲーではないんだ。
登場人物たちが壁を乗り越えながら幸せな結末を希求する、そんな物語が好きだ。
「凌辱ゲーはないない。そんなの受け入れられるかってんだ」
独言る。
なぜか“俺”――ベリアルの部屋で一人になると自由に喋れるようになったので、ベラベラと独り言を楽しんでいる。
言論の自由万歳!!
え? 変人だって?
そんなのは言論の自由がある人の驕りだぞ!
「アズーリがいるってことは、この世界はLH確定なんだけどなぁ」
大百科で調べた限りの知識では、一応LHも夢見の大陸シリーズと世界観を共有しているとのことだ。……開発費の節約のためだったりするらしい。
「せめて違う世界にしてよ。あのキャラたちがいる世界のどこかで淫語を吐きながらの獣姦が行われるとか、嫌悪感半端ねえ」
自分が大ファンだった主人公たちやヒロインたちのことを思い出しながらぼやく。
それに、コストカットのため、アダルトゲームなのに過去作と同じ、プレイヤースキルを大きく試すようなゲームシステムだという。
……売れるわけないじゃん。
「みんな自家発電するために買ってるのに、何時間もかけて練習とかスキル合わせとかするかってんだ」
このゲームにかけた数百時間を回顧する。捧げた時間のほとんどは中毒性の高い対人戦だったが、それでも充実なゲーム体験だった。
……っと、思いを馳せてばかりいても仕方ない。
今大事なのは、目が覚めてもベリアルくんのままなことと、これから先どうやっていくかってこと。
ベリアルくんといえば、原作LHでは必ず死ぬことで有名だ。
大百科事典によると、LHでは全てのエンディングで、主人公が通うことになる士官学院の卒業写真がファイナルカットで入る。
無事卒業するエンドでも、凌辱エンドでも、なんなら主人公が死ぬエンドでも同じらしい。
そしてその写真では、エンディング時点でのクラスメイトの状態はそのまま載る。
戦闘で片腕無くなれば、写真にも同じ姿で載るし、片目を失っても同じ。
監禁されている状態で終われば、縄でぐるぐる巻にされたまま写真に載る。凌辱エンドなら、卒業写真に知らないおじさんがヒロインを襲ったままで載ったり、触手モンスターが登場したりもする。
「……どうやって撮ってるんだよ」
ま、そんなツッコミはさておき、載らない場合もある。それは、死亡した場合。
そして、誰一人このルールからは外れない。
主人公であるウェルターくんですら、死亡エンドでは主人公不在の卒業写真でゲームは終わる。
そして重要なのはこれから。
チュートリアル途中で士官学院を辞めるという選択肢を選んだ時のエンディング以外では、ベリアルくんは卒業写真には載らないという。
「……不運すぎるな、ベリアルくん」
不運なのはベリアルくんに憑依した俺も同じなのだが。
ため息が出そうだが、ぐっと我慢する。
視点を変えよう。
「扱かれる日々とはおさらばだ! 素晴らしいじゃないか」
前世の講義や仕事からは解放される!
多忙な日々とはおさらばである!
前世に対して思うところがないわけではないけど、食えない昨日の残飯より、明日の腹の足しだ。
お金で困ることも……、ベリアルくんのいるナイトフォール家がかなり裕福な伯爵家であることを考えれば、ないと思って良さそうだ。
父親であるルーカスとは不仲な雰囲気があるが……、おこぼれに預かれば十分だろう。
それに!
LHは夢見の大陸シリーズとゲームシステム含めて同じ世界観だという。
「せっかくのゲームの世界! 楽しんだもの勝ちだよね!」
そうと決まれば早速行動だ!
そう思って立ち上がった俺だったが、
コンコン。
とドアが叩かれ、それに対して、
「入れ」(どうぞー)
と、いつも通り俺の言論の自由は奪われ、“俺”の言葉が出る。
うーん、このコミュニケーション問題、どうやら他人がいる時のみ発動するみたいだ。
そう考察していると、ゆっくりとドアが開き、
「アメリア……、クレイトン……ひっ、う……っ、です。ひっく。……申しつけられた、通り……うぅ、身を清めて……、まいりました…………」
そこには、特徴的なオッドアイから大粒の涙を流しながら泣きじゃくるお風呂上がりでポカポカの黒猫系美少女、アメリアさんが立っていた。
まいりました。
俺が言いたかった。
†
私、アメリア・クレイトンは商家の娘です。
母さんが一代で築き上げた商会、クレイトン商会はオルディア共和国でも五本指に入る大きさで、新興の商会としてはありえないような規模のものでした。
父は母さんがまだただの旅商人だった頃に、馬車を引く馭者として母さんに雇われた人。
クレイトン商会が大きくなり、父の馭者の仕事がなくなった頃に二人が結婚し、私を含めた数人の子を産みました。
兄弟たちを含めて、私たちは何も不自由のない生活を送ることができました。
お家にはお手伝いさんがいて、私たちはそれぞれの個室を持っています。
綺麗な服を着て、美味しいものもお腹いっぱい食べることができました。
多分、街にいる子どもたちにはすごく羨ましがられたと思います。服が一着しかなくて、小さくても毎日ボロボロに着続けている子どもや、年に一度も肉を食べることができない子どももいる中で、私たちは毎食デザートにまでありつけたのだから。
私たちは育ててくれたお手伝いさんにも恵まれました。
自分たちにも子どもがいるのに、私たちも分け隔てなく愛してくれたんです。
競馬場、賭博場に出かけては帰ってこない父親の代わりに、仕事でもないのに国のことや魔法のこと、剣術のことなど色々と教えていただきました。
カレン――そのお手伝いさんの娘が時たま家に遊びに来てくれるのが、何よりの楽しみでした。カレンとはいずれ一緒に学校に通おうと約束していて、一緒に勉強や鍛錬などをしている仲です。
ルシフェル士官学院。
共和国最大の学舎で、大陸でも最も歴史のある学校の一つ。
入学試験の厳しさも有名で、私とカレンはそのために一生懸命頑張っていました。
そんな日々。
それがある日、崩れました。
「アメリア、お前の婚約結んだからな」
父は酒精で真っ赤になっている顔で、千鳥足のまま帰宅し、私にそう言い放ちました。
「こんやく……ですか?」
聞き返した私に対して、父は机を激しく叩きながら怒鳴る。
「いちいち聞き返すなァ!! お前の結婚相手は、ナイトフォールのところのガキだ!!」
そう吐き捨てると、父が部屋に戻ってしまいました。
呆気に取られていると、何事かと一緒に勉強に来ていたカレンが様子を尋ねに来ました。
事情を話すと、カレンはカラッとした笑顔で、
「ナイトフォール家つったら伯爵家じゃん! 玉の輿を狙っちゃえよ!」
と答えました。
いつもポジティブに考える彼女の態度を見習いたいなと思ってしまいました。
「けどよ」
真剣な顔でカレンが続けました。
「そのナイトフォールのところのヤツがアメリアを傷つけるようなヤツだったら、オレがぶちのめしに行ってやるよ!」
女の子でも惚れてしまいそうな男勝りで素敵な笑顔でした。
だけど……。
私の婚約相手。
ベリアル・ナイトフォールはその悪評が巷に轟くほどの悪人だったのです。
†
言われた通りナイトフォール家の浴場をお借りして、身を清めてきました。
カレンに、もしかしたら一緒の学校へ通う約束が守れないかもしれないと謝罪して、私はナイトフォール家が出した迎えの馬車に乗りました。
カレンにはベリアルのことは結局伝えずに。
だって伝えたら、……彼女のことだからナイトフォール家に押し入りかねませんから。
たどり着いたナイトフォール家で用意された服に着替えて、応接室に案内されたのでした。
そこで初めて会う自身の婚約者は、まるで羽虫を見るような目で私を見たのでした。
罵倒に限りを尽くし、私の身を清めるように命令するベリアルに、私が逆らえるはずもありません。この婚約が破談になれば、たった一代でできたクレイトン商会にとっての損失は想像もつきません。
ここまで育ててきてくれた母さんに迷惑だけはかけたくありません。
もしかして噂と違って私の婚約者が優しい方だったら……、と何度も祈っていた願いが叶えられませんでした。
そうして身を清め終え覚悟を決めた私は、ベリアルの部屋の前まで歩いてきたのですが、ノックの前に部屋の中からわずかに溢れる声に耳を傾けてしまいました。
「凌辱…………うけいれられるか…………」
穏やかじゃない言葉に、心がギュッとされたような感覚になってしまいます。
私はこれから、会って間もない悪逆非道の婚約者に凌辱されるのですね……。
彼は自身の怒張を、小柄な私が受け入れられるか疑問を持っているようでした。
「……アズーリ……は、……確定…………」
アズーリさんは、……確か先ほど部屋にいらしたメイドさんの名前。
私の振袖の着付けを手伝っていただいた方です。
……彼女もすでにベリアルの毒牙にかかっていると思って良さそうですね。もしかしたら彼女とともにベリアルを満足させられるのかもしれません……。
「違う……穴……淫語を吐きながら獣姦……嫌悪感……」
――ひっ!?
とてつもない言葉に、思わず声が上がってしまいましたが……、どうやらベリアルに気づかれた様子はありません。
ほっとするとともに、とてつもない恐怖感が脳髄から全身に伝染するように。
違う、穴……!?
淫語を吐きながら…………じゅ、獣姦!?!?
か、彼は私に……一体何を…………!
今まで恵まれすぎた境遇にいた自分に、ついに清算の日がやってきたと思いました。何不自由もない生活を過ごしたバチが当たったのだと……そう思ったのですが……。
あまりじゃないですか!?
私が何をしたというのですか……!!
自然と涙が溢れ出してしまいました。
私は今から想像もつかないような酷いことをされるのですね……。
「みんなで……数時間かけて……」
――ひぃっ!?
ベリアルの部屋から聞こえた言葉に、思わず自分の体を隠すように抱きしめました。
大人数で私を長時間……。
想像するだけでも身の毛がよだち、震える足が私をその場に立たせることも難しくさせてしまいました。
「どうやって……撮るか…………」
その上ベリアルはその様子をレンズに収めるつもりです……。
…………もはや羞恥心と恐怖と悲しみでぐちゃぐちゃな気分。
「不運………………、……扱かれる日々…………」
『不運な小娘め。これから扱かれる日々も知らずに』
と、言ったところでしょうか……。
私はおそらくこれから毎日、ありえないほどの凌辱をこの身に受け、徹底的に尊厳を踏み躙られるのでしょう……。
(カレン……)
とめどなく流れる涙と、途切れない嗚咽の中、彼女の名前を思い出してしまいました。
でも……。
彼女に迷惑をかけられません……。
「せっかく……、楽しんだものがち……」
との声が聞こえてきました。
ええ。
あなたにとってはそうでしょう。
でも私は、絶対に――!
絶対に、あなたになど屈しません!
私は今にも逃げ出したい欲望をなんとか押し留めて、鬼畜のいる部屋の扉をノックしました。
†
何故か大号泣しながら悲壮感溢れる顔で俺の部屋に来たアメリアを追い返す。
まあ、「貴様のような愚鈍な下等生物が俺の部屋に踏み入れることは許さん。理解したなら二度と近づくな」などとこの口はペラペラ喋ってくれたので、少しは俺の言いたいことを伝えてはくれたのは僥倖ではあった。
おかげでアメリアもシクシク泣きながら「この部屋ではなくもっと酷い場所で致すのですね」などと訳のわからないことを言いながら出ていってくれたのだ。
そして、机の前に座る。やたらとふかふかな椅子である。
俺は原作LHについて知っている内容を、今のうちにと思って紙に書き残すことにする。時間が経てば忘れていきそうなのでね。
たとえば、ベリアルについて。
彼は確かLHでは悪役であり、どのルートでも死ぬのが確定している。時たま動画で「死亡確定系男子」とコメントが流れるのはそのせいでもあり、その死因については……なんだっけか……。
ゲーム本編をプレイしたことがないので、大百科で流し読みした程度の死因の列挙じゃ記憶にも残らない。
……うーん、原作LHの主人公であるウェルターとの決闘、だけはわかるんだが……。
と、そんなことを書き残そうと思ってノートにペンを走らせてみたが――。
【俺は死ぬ運命に抗う。雑魚との決闘などでは決して負けん】
としか書けなかった。
あ、言論の自由のなさはここでも発揮するのね。
……他人との会話を筆談でしようとした俺の企みはあっさりと砕け散った。
うーん。
試しにアズーリについて書いてみるか。
【この家の奴婢如きに我が運命は握らせん】
ガリガリと書かれた内容のない言葉。
ダメみたいだね。
メイドを奴婢って……。あの人は普通に雇われてる人だぞ。
あまりにも文才あふれるこの腕に辟易としながらも、一応は続きを書いていく。
登場キャラは、主人公であるウェルターを除いてもうほとんど知らないので、それ以外。
原作LHが継承しているはずの、夢見の大陸シリーズのバトルシステムだ。いちいち夢見の大陸シリーズのバトルシステムと呼ぶのも面倒なので、ゲームルールとでもしよう。
LHのゲームルールは少しだけ独特だ。
まず、レベルは2種類ある。基礎レベルと技量レベル。前者はステータスを主に支配し、後者はアクションの攻撃速度や回避無敵時間、攻撃モーションを決める。
どちらも鍛えなければならず、そのレベル上げの方法は前者が魔獣退治、後者が対人戦とそれぞれ違うのだ。
【弛まず素質を鍛え、それを発揮する技量を身につけ、進み続ける意思をもってして、初めて最強となる】
……なんか心技体みたいな書き方になった。
いや、間違ってないけどね。
ゲームシステムに心はあまり……、と思ったけど、モンスター狩りや対人で長時間のレベリングって一応心の部分か。……いやどっちだろう。
ま、それは置いておこう。
【ライバルを作れ
そして勝て】
うーん。
シンプルだなぁ。
……掻い摘めばそうだけど。
ま、いいや。
そして大事なのは魔法! とはいえ、すぐに使えるようにはならないので、重要度は2番だ。
魔法はこの世界の世界観に大きく影響を与えている。
そもそも魔法を使える人が限られていて、魔法の習得方法がたったの二つしかないのだ。
第一、きっかけもなく勝手に習得する。
第二、魔法書を理解する。
前者については発現の条件がよくわかっておらず、後者については魔法書が極めて難解であり、理解するためには子供の頃から高度な教育を受けていなければならない。……そしてそんな余裕があるのは貴族の子供のみ。
以上からして、魔法を使えるのは貴族か、メインキャラたり得る人たちである。
例えば”俺”の兄であるダリウス・ナイトフォールなんかは魔法を使用できる……と”俺”の知識にはある。
さすがは伯爵家の長男、学校を通う前にすでに習得している。
【魔法は選ばれたものの特権である】
お、そうそう。
俺が言いたいことをちゃんと書いてくれた。
……もうちょい詳細に書いてくれれば嬉しいけどね。
ま、以上のように魔法は使えても基本一人一個か多くて二個、それ以上は学者レベルの頭脳か、周回中の主人公くらいしかありえない。
その上、習得可能なのは、一属性のみ。
発現したそれか、最も読みやすいと感じた魔法書のそれのみ。
と、ここまで説明すると、魔法弱くね? となるかもしれないが、残念ながら違う。
魔法がなければ成り立たない。
そう言えるほどには、このゲームにおける魔法が重要だ。
【魔法は全て】
そうそう。
攻撃にバフを乗せるのも、遠距離に攻撃するのも、回復するのも、全て魔法だ。
例えばアナスタシア。夢見の大陸シリーズのヒロインである彼女は、炎の魔法を使う。握った剣に炎を纏わせ、吹き荒れる炎の波動を放ち、その余波の炎で体の傷を治す。そして所々痛々しく切れていた場所の傷が治り、透け透けになった服がゲフンゲフン、ってなわけだ。
通常攻撃のバフ、魔法攻撃に、回復まで全てして、初めて魔法。
魔法とはその人が思い描く最高の自分なのだ。
【――トレース、オ◯!!】
ちっがーう!!
危ないからやめなさい!!
話を戻すと、魔法とは発現、習得した時点で完成されているのだ。
そしてその威力は戦局を覆すもの。とはいえ基礎レベルには依存するが。
そんな魔法の習得が、学校に通う貴族のとりあえずの目標である。
☆ステータス☆
【名前】ベリアル・ナイトフォール
【基礎レベル】1
【技量レベル】1
【魔法属性】不明
【魔法詳細】未習得
【名前】アメリア・クレイトン
【基礎レベル】1
【技量レベル】1
【魔法属性】不明
【魔法詳細】不明
一話目でヒロインギャン泣きさせる主人公がいるらしい
ベリアルくんに難易度設定をしてあげてください!
-
イージー(爽快感溢れる無双ゲー)
-
ノーマル(王道ファンタジー)
-
ハード(1ライフで死にゲー)
-
ナイトメア(未知の領域)