異能力x貞操逆転x白一点   作:ヒゲクマ

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初投稿です
この世界での男女比も多分偏っているとは思いますが、そこらへんあんま触れないので「貞操逆転してて男性が貴重」程度に思っておいてください


1.「白一点」

 ある日突然、目が覚めたと思ったら雨の中一人、路地裏で立ちすくんでいた。

 視界があまりにも低くて、汚れた手を見れば。肌の色はチョークのように白い。水たまりを覗けば、あどけない顔立ちに、ルビーのような眼をした少年が覗き返していた。

 

 動揺し声も出ない自分は、ただ影の中、雨に打たれ手を眺めていた。

 

 ふと自分に当たる雨が無くなる感覚に見上げれば。長い濡れ羽色の髪の美女が、影よりも黒い傘を差してくれていた。

 

「──君、幼い男子が一人でこんなところにいてはいけないよ」

 

 切れ長の目に自信と威厳が感じられる笑み。それがボス、黒薔薇 椿(くろばら つばき)との出会いだった

 

 

 

 

「ラインヴァイス様、到着いたしました」

 

 プライバシーガラスで覆われた車内、緊張気味の部下の声に眼を開ける

 ……半年経っても、このやたら気障ったらしいコードネームには慣れない

 

「……はい」

 

 目を開けても口を真一文字にしていたからか、部下の緊張感が増していたことに気づき、口を開ける。

 変声期前の声色(ボーイソプラノ)が自分の口から聞こえるのも、未だに慣れない。

 ……一言喋る毎に、部下が頬を赤らめて息荒げて肩を震わせて……その、きつい

 

「ぉふっ……御休みのところ申し訳ございません。“白騎士”に出てこられては我々の異能(のうりょく)ではやはり」

 

 それもここに来る前から聞いていた。

「異能者」……この世界に存在する、平たく言えば魔法とか、超能力みたいな力を行使できる存在のことだ。

 いつから異能力がこの世界で明るみになったかは知らないが、とにかくそういう能力があって。あるからにはそんな異能が問題となったり、異能で問題を起こす輩が絶えない。

 

 ……残念ながら自分が属するのは後者なので、治安目的で向かっているわけではない。

 むしろ治安している側の、妨害及び組織の構成員(したっぱ)の回収をしに行くわけだ

 

「……聞いてます。相手があの三人(ネームド)じゃ無いならすぐ終わるかと。帰りの異能はすぐ使えるようにしてください、ここまででので」

 

 返事の代わりに痙攣する部下(気持ち悪い運転手)を何とかスルーして。空中車両(エアヴィークル)の底に()()()()()()()()()()()()()

 この世界でのボク……ボスに白狼(しろかみ)と名付けられた少年の持つ異能は「白影」

 

 影を自在に変形させ、こうしてすり抜けたり、纏って色々できたりとすごく便利な異能力だ

 

 

「さて……」

 車両から抜けて落下先を見る。

 都市の交差点の中、サングラスと黒スーツ姿の集団(うちのにんげん)と、白スーツ姿の集団(あっちのひとたち)、そして白騎士(あっちの主力)が一人。

 黒側が手から炎を出したり、地面を変形させたりしてるけど……あっちの主力の異能だろう()()()でかき消されている。

 かき消され、白側からのネット弾や異能で押されているのが見えた

 

「……あの三人ほどじゃないけど、彼女たちだけじゃ無理か」

 呟きと同時に着地。伸ばした影をクッションにすればこれくらいは余裕だ。

 

「むっ!!ふおおお!!!」

 相手の白騎士が姿を見るや否や声を荒げる。

 …………これが新手に動揺したとかだったら。よかったんだけどねえ

 

「ラインヴァイスたん!私の婿(アルビノショタ)ぁ!」

 

「ぅわ…………」

 でしょうね。ボクも幹部だから、何度か向こうの実力者と交戦してるわけで

 この人も見覚えがある。多分一目ぼれした、とか言ってた人だな

 

 その、この人が殊更に特殊性癖(へんたい)というわけではない……念のため。

 この世界はもう一つ、ボクの知る常識とは違うものがある。

 それは「女性側の多くが性に対して積極的」で「男女比が偏って」いる「貞操逆転」の世界であること。

 

 前の世界的には……「女性が少ない世界で見た。アルビノの少女に興奮している男性」という感じだろうか。

 ……ごめん、やっぱり変態でいい。

 

「……さっさと帰りたいな」

 そんな変態相手にしたくないので。影を黒側にだけ素早く広げ、落とす。

 黒スーツの女性たちを全員回収したところで、飛びかかってきた白騎士(やばいやつ)を躱し、指を鳴らす。もしもの時の後詰めに向けた合図だ

 

 ぐべっと淑女にあるまじき悲鳴が聞こえたが、その前に淑女にあるまじき行い(涎垂らしてダイブ)をしてたので知ったことではない。

 交戦しろって指示じゃないし、そんなことしてたらあの三人の白騎士(ネームド)がやって来るだろうし

 

「……では」

 後詰めが引いたことを確認し、自分も影に飛びこみ、撤収する。

 …………白スーツ側の何人かが連続撮影してたスマホを破壊するのも忘れずに

 

 影の上から幾人かの悲惨な悲鳴を聞きながら、ボクは顔を顰め帰路についた

 この世界、やっぱり慣れないなあ……慣れたくないなあ




ショタコンモブ白騎士はもう出ません
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