この世界での男女比も多分偏っているとは思いますが、そこらへんあんま触れないので「貞操逆転してて男性が貴重」程度に思っておいてください
ある日突然、目が覚めたと思ったら雨の中一人、路地裏で立ちすくんでいた。
視界があまりにも低くて、汚れた手を見れば。肌の色はチョークのように白い。水たまりを覗けば、あどけない顔立ちに、ルビーのような眼をした少年が覗き返していた。
動揺し声も出ない自分は、ただ影の中、雨に打たれ手を眺めていた。
ふと自分に当たる雨が無くなる感覚に見上げれば。長い濡れ羽色の髪の美女が、影よりも黒い傘を差してくれていた。
「──君、幼い男子が一人でこんなところにいてはいけないよ」
切れ長の目に自信と威厳が感じられる笑み。それがボス、
「ラインヴァイス様、到着いたしました」
プライバシーガラスで覆われた車内、緊張気味の部下の声に眼を開ける
……半年経っても、このやたら気障ったらしいコードネームには慣れない
「……はい」
目を開けても口を真一文字にしていたからか、部下の緊張感が増していたことに気づき、口を開ける。
……一言喋る毎に、部下が頬を赤らめて息荒げて肩を震わせて……その、きつい
「ぉふっ……御休みのところ申し訳ございません。“白騎士”に出てこられては我々の
それもここに来る前から聞いていた。
「異能者」……この世界に存在する、平たく言えば魔法とか、超能力みたいな力を行使できる存在のことだ。
いつから異能力がこの世界で明るみになったかは知らないが、とにかくそういう能力があって。あるからにはそんな異能が問題となったり、異能で問題を起こす輩が絶えない。
……残念ながら自分が属するのは後者なので、治安目的で向かっているわけではない。
むしろ治安している側の、妨害及び
「……聞いてます。相手が
この世界でのボク……ボスに
影を自在に変形させ、こうしてすり抜けたり、纏って色々できたりとすごく便利な異能力だ
「さて……」
車両から抜けて落下先を見る。
都市の交差点の中、
黒側が手から炎を出したり、地面を変形させたりしてるけど……あっちの主力の異能だろう
かき消され、白側からのネット弾や異能で押されているのが見えた
「……あの三人ほどじゃないけど、彼女たちだけじゃ無理か」
呟きと同時に着地。伸ばした影をクッションにすればこれくらいは余裕だ。
「むっ!!ふおおお!!!」
相手の白騎士が姿を見るや否や声を荒げる。
…………これが新手に動揺したとかだったら。よかったんだけどねえ
「ラインヴァイスたん!
「ぅわ…………」
でしょうね。ボクも幹部だから、何度か向こうの実力者と交戦してるわけで
この人も見覚えがある。多分一目ぼれした、とか言ってた人だな
その、この人が殊更に
この世界はもう一つ、ボクの知る常識とは違うものがある。
それは「女性側の多くが性に対して積極的」で「男女比が偏って」いる「貞操逆転」の世界であること。
前の世界的には……「女性が少ない世界で見た。アルビノの少女に興奮している男性」という感じだろうか。
……ごめん、やっぱり変態でいい。
「……さっさと帰りたいな」
そんな変態相手にしたくないので。影を黒側にだけ素早く広げ、落とす。
黒スーツの女性たちを全員回収したところで、飛びかかってきた
ぐべっと淑女にあるまじき悲鳴が聞こえたが、その前に
交戦しろって指示じゃないし、そんなことしてたらあの
「……では」
後詰めが引いたことを確認し、自分も影に飛びこみ、撤収する。
…………白スーツ側の何人かが連続撮影してたスマホを破壊するのも忘れずに
影の上から幾人かの悲惨な悲鳴を聞きながら、ボクは顔を顰め帰路についた
この世界、やっぱり慣れないなあ……慣れたくないなあ
ショタコンモブ白騎士はもう出ません