異能力x貞操逆転x白一点   作:ヒゲクマ

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これはギャグ小説です


16.「空花乱墜」

 曰く。世には図抜けて淫蕩な男性がいるという

 曰く。その男性は年若くして数多の女性を貶めたという

 曰く。一目見れば抗える女性はいないという

 曰く。曰く。曰く。曰く───────

 

「……ええと」

「世間に最近出回っている根も葉も無い──本来なら、白狼に聞かせたくはない類のものだが」

「んー、まあ、なんだ、その……な、これに踊らされる、何ていえばいんだろうな……」

「これねー、白狼クンのことどっかで見た人らがポツポツ語った話がどんどん連想ゲームと女の性で盛りに盛られて今世の持て余す女性たちを街に駆り立てた」

「まさに大発情時代」

「このクソ(オープン)ども……表現最悪だけどマジだ。どうしたってまあ、映像は残さないとはいえ。前みたいなことちょくちょくしてたもんな、直接は子供限定にしていたにしてもだ」

「むしろ抽象的に表現する年代の発言が各地で集まった結果……という流れ、か」

 

 数日前までの淀んだ気分が蘇ってくる感じだ……由来はまるで違って、湿度と粘性を帯びた。生々しい有機的なものだったが

 まだ幼い年代はどうしても動きが読めないので。ああやって迅速に安全地帯に案内することは稀にあったけど。子供たちがポツポツと語る話が親に伝わり、親から人へと転がって──雪玉みたいに膨れ上がったらしい

 たくましいなあ。世間は。幹部全員が短い間隔で呼ばれて。どういうことかと思ってたら、これかあ

 

「ピュアな子らにしか見えない妖精的扱いだけなら微笑ましかったんだけどねーピュアなままじゃいられないよ彼相手には」

「綾野……やめとけ」

「えー?でもそろそろ白狼クンにも理解させたほうがよくない?女なんてもんは男に出会っちゃうと壊れるって」

「全員が全員そうじゃねえだろ」

「何人か白狼クンが直接助けた子相手に取材でもして語らせれば前後の豹変ぷりがわかりやすいかもねえ」

白狼(ガキ)の前で言うことじゃねえっつってんだよ!世間は男漁りで一般人が溢れて邪魔だってだけ言っとけばよかっただろうが」

 

 明け透けに口を回す綾野さんに噛みついてはいるが、篠崎さんも、まあ多分この世界の女性なら、誰でもわかってる感じなんだろう。無知なボクに対して、どこまで話すかが争点になっているし。そろそろどちらも暖まってきている

 ボスがそろそろ止めるかな、と思ってたら。綾野さんが一息置き……あれ?深見さんも何かしてる?

 

「とりあえずさあ、美少年じゃなくて美少女ならまだマシじゃない?」

「はあ?」

「男と見まごう程に美しい中性的な女の子だったら噂を否定して火に油にもならないってコト!」

「……………………それが狙いか」

「女装の美少人!!()()()()深見ちゃんが何着か見繕ではなく用意があったナイスタイミング!これはもう!やるしかない!!見るしかない!愉しむしかない!!!」

「選り取り見取り」

 

 明らかにたまたまではない量のキャスター付きクローゼットを。数台持ってくる深見さん

 ……会議室の端っこのタンスはなんだろうと、思ってたら。それかあ

 

「ソレなんだと思ったらお前らマジで……」

 

 篠崎さんとほぼ同じ感想を抱いた中。少なくともボクにとっての公開処刑が幕を開けようとしていた

 ……会議室への物品の持ち込みはボスの許可がいる。ボスも楽しみにしていたのかと思うと動揺を隠しきれないが。以前のお出かけで、大して興味もないファッションに気合を入れていたことで、お洒落好きだと思われたのかもしれない

 身から出た錆だけであってほしいかな……

 

「キャハー!白狼ちゃんかーわいいー!」

「ほう……普段は見慣れない色合いも似合うな」

「悪い白狼、姐御ももう鑑賞に入ってて旗色が悪いわ」

「十点」

 

 トップバッターは細部にレースが施され、通気性特化のやたらに一枚が薄いものを何枚か重ねたもの。

 露出していないのに肩や腹部──鼠径部を念入りに見せようとするような──、最初からトバしたチョイスだった

 

「ムッッッ!!!!そのポーズいいよ!内気な子が初めてのデートで冒険しすぎた感じが最高!!」

「レースどころじゃねえだろこれ、こんなん着こなす女がどこにいるんだよ」

「ふぅむ……なるほどな」

「姐御がその道の重鎮みたいな反応してるんだがぁ……」

 

 出してないのに見える鎖骨や、鼠径部を手で押さえる形になっていると。好き勝手コメントが飛んでくる。深見さんは十点の札を上げて瞬きをしないので、非常に怖い

 

「うお……コルセットそんな締めなくてもラインが完璧だ」

「起伏無いのに何でそんな似合うんだ……脳が混乱してきたぞ」

「線の出る服も以前着こなしていた。驚きは少ないが」

「十点」

 

 次点は、モノトーンのリブニットタイトワンピース──ご丁寧にノースリーブだし、全身ぴっちり吸い付く中、太もも部分をわざわざ開けて露出している。誰が着るんだ?こんなの

 篠崎さんまでどんどん鑑賞に切り替えていっている。ボクの顔面は熱された鉄になってやしないだろうか

 

「おぉぉ…………!!!遊びなれた小学生!それでいてアルビノの神秘性も向上!最強!」

「こんなガキ歩いてたら普通に心配になるわ、絶対クズの餌食になんだろ……」

「これは……出来れば外行きではやめてほしいな……白狼が好きであっても」

「女装がそもそも本人的にイヤそうだがなぁ……全部妙に趣味全開のせいだろうが」

「十点」

 

 次は、なんだろうこれは……韓流アイドルのダンス衣装?フェイクレザーのワンショルダーで。RPGの戦士がつけてるような、肩から指先まで覆う籠手みたいなアームウォーマー、紐無しのキャミソールにスカルスカート……は遠慮したので。前の開いたハーフスカートから、レザーショートパンツが見える原宿系パンクと言うべきか

 ボクも子供がこれ着て遊んでたらちょっと、いや大分イヤだな……似合うとしても。嫌な背伸びの仕方だと感じてしまうだろう。実際深見さんと綾野さん(よからぬひとたち)からは大好評だ

 

 四着目、五着目と次々と流されていく。

 これは判断力の低下を狙っての計画的犯行だ。実際途中から、スカートの解禁を許してしまった

 こういう時、綾野さんと深見さんの連携力がおかしくなるのは前々からだが。本腰入れてこられると、事前準備で潰せなければ完全に掌握されてしまう

 

「お、これはラインヴァイス初稿のやつ……だけど細部が違うね、女性的になったというか」

「あの時はここ全体うるさくて辟易したぜ。都心の地下で選挙じみたことして衣装で政治すんなと何度思ったか。しかも男の衣装でよ」

「あの時の同志たちの意気は目を見張るものがあってね……」

「十点」

 

 最後にお出しされた、ボクの衣装の初期案から手を加えた──誰だろう?──、上からウエストニッパーコルセットを巻き、下をショートパンツスカート──真ん中を縫っているわけじゃなくて、ボタン留めにしているところが欲望を感じる──に変更したものは。流石に何着も吟味してきた四人も落ち着いて評価していた

 

 結局、近い内に一番現実的な異性装──に見えるもの──。それを採用するか、な流れになったが。ここまでの流れは綾野さんと深見さんの暴走であるとしても。妙にすんなりと決まったり、篠崎さんとボスも大して二人に苦言を呈してなかったのを見るに

 衣装変更自体は既に決まってて、あのリデザインされたものが、周到にあったのもそういうことなんだろうな、今にして思えば。

 

 初衣装お披露目時、無駄に構成員全員がスケジュール調整をして。日を分けての公開になり

 見せるたびに数日間地下が揺れたのは……まあうん、お気に召したようで、なによりです




幹部は全員変なところで仲が良いのでしょう
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