「おお……!おぉお…………!!」
「っ!……!ひっく……!ッ!」
絶賛正義の味方二人に、泣きながら合掌されているボクは。別に神聖な存在でもない一般悪役幹部
最近、一般人の間で実しやかに語られる都市伝説「都合良すぎ男子」を鎮静化するべく。衣装が女装要素も含んだものになった、誠に遺憾である。
感涙に咽ぶ、ブレイジングハートとアクアガーディアン
まだ交戦前──構成員を回収しにきただけだが──にも関わらず。無防備にボクに拝み倒しているのは何故か
スカートのせいである。一見フロントボタンのついたキュロットパンツに見えるそれは、ボタン留めで左右に分けられるのでそう見えるだけの、本質はスカート。
どうしてもスカートそのままは嫌だった、ボクの最後の抵抗としての選択肢だったが……これ、ボタンが思ったよりも緩めなのである
恐らく用足しの際に外れにくいと支障があるからだろうが、そこそこ一気に足を開いたりすると。バツンと開く
……お察しの通り、登場時にボクは盛大にこの二名の前で
『あっ……!ゃだ!』と思わず言って、急いで閉じたことも良くなかった。慣れたくない履物に戸惑い、羞恥に頬を一気に赤らめ、仏頂面を崩してしまった
「素晴らしい……これ以上の御業は存在し得ないだろう……我が脳髄と魂は救いを得た……これが衆生救済か」
「ぁりがとうございます……!ありがどうございまず!!!ぅ゙あ゙あ゙ぁ゙あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙……!」
ご覧の有様である。乙女なのに男泣きをするブレイジングハートに、静かに清らかに涙の線を描くアクアガーディアン。男のパンツ見てこうなっているのがもう最悪
『何か全然動いてないけど大丈夫?ご神体になっちゃった?』
「……見てましたよね」
『私だけに見せてくれてたら最高だったね。この配置だと見えなくてそろそろ狂いそうだよ』
「……とりあえず、今のうちに構成員は送るので」
『おっけー。そっちも適当にあしらってー、一応ドローンとフラッシュブレード後詰めにしてるから要るなら出してね』
「ふぅ──ところで現人神、彼女に会ったそうだね」
「……セイクリッドライトのことですか?」
「勿論。優等生から困ったちゃんに一気に転換してしまった彼女さ」
現人神ではない。この人本当に素のテンションからして奇人なので、シームレスに平静になるし平然と話しかけてくるな……ブレイジングハートの方は跪き敬虔に祈りを捧げ……るふりをして、ローアングルで覗こうとしている?風に見えただけ、勘違い。理由はないけどスカートは抑えておく。
「美少人絡みでなければ以前と変わらないのだがね。最近少し、いや、流れを見ても読めないほどふさぎ込む時間が増えてね。キミに言うべきことでもないのかもしれないが──勘は伝えるべきだというのでねえ」
「……勘」
「そうとも。あれで本当に反省していれば。そして、していなくても三度目の顔合わせは遠くはないと思うよ。異端だけは推し量るのも危険と言わざるを得ない。既に前科アリともなれば猶更ねえ、身内ではあるが、極上を無暗に穢すとなると……フッ。これくらいにしておこうか」
アレ絡みで忠告を送ってくるのは相当だが、
とにかく、同格でも思うところあるのだろう。境界線を跨いでる相手に対する心遣いを想えば。目の前の変態……奇特な人は、仏心を持ちつつ見極める姿勢のようだ
「とりあえず、個人的には素晴らしいものを見せてくれたので適当に打ち合って終わりたいところだね。帰って色々捗りたい気分でもあるし。まあ、このまま望むのなら踊り明かして発散も吝かではない。奥ゆかしい相方は、いまだに信仰の世界に浸りつつ煩悩界に堕ちているし」
「……」
「ンンッ良い圧だ……のぼせた脳髄から腹部へ火が灯ると言うべき扇情さは都市伝説も宜なるかな、相反する気質どちらも非常に猛っているよ……」
やっぱりこの人と会話すると良くないな。有益な情報も投げかけてはくれるのだが……その代価か知らないが、こう表現の一つ一つがセクシャルに振っていることと、結局頭が回る相手なので主導権があちらにある
「ふぉぉ……!ふおぉ…………!ムオォオオホォーーーーッッッ!!!!」
「えっ」
「ムッ?……見たことの無い状態だ」
アクアガーディアンへの対応に顔を顰めていると。さっきまで敬虔に
……スポ根漫画とか、ギャグ漫画でしか見ないと思った目に「メラメラ燃えた炎」が纏わりついている、あれって現実だとこんなに怖いのか
「も、もう……!僕はもう!!無理、ムリ!むぅりいいぃいぃいい!!!!!」
「!?ちょ……っとっ!!」
「おお……!なんという
「いいよね!?イイんだよね!!?!?こんなの、こんなのもう成立でしょ!?これで駄目は嘘だよ!!!」
「
一人称被りの女子高校生が燃え盛り、ボクに飛びかかる。鋭化した異能なので燃えはしないだろうが、熱いしそもそも異常に興奮した人に抱き着かれたくもなかった。が、前者の心配は斜め上に突き進んだ
「!?」
「ムゥッッッ!!!これはまさか……更に
アクアガーディアンの実況──鋭化?性的興奮で?
そんな驚きは、ボクを抱き込んで燃え盛る炎が、熱すら感じずにボクの衣装
「恐らく一瞬の邂逅の発展を望んだのか。よく見えなかったもどかしさと悦ばしさ、いや……彼女の性格上、諸々すっ飛ばして
「肌!!!二の腕!!おみ足!!!お、おお、おおおおお!!!お股ァアアァアアァ!!!!!!わきィィイィ!!!!ワァキイィイィイイ!!!!!!!ぷ!に!あ!しィ!!!」
「屈折しきった性欲が!王道の異能が!高次元で直結!!“燃焼対象の指定”の鋭化が『さらに鋭化』したッッッ!今のキミはこれまでの処女ではない!
そもそも性欲で能力が進化する説だけは本当にやめて、世界に絶望しか残らない
「まぁた、こいつらは──よぉ!!」
「うなじィッッ!!???」
「うちももッッ!?」
そんなどうしようもない世界に一筋の閃光が奔り、ボクに集る
見たい部位を吐きながら飛ぶ変態達から遮るように、ボクの前に降り立つ
「フラッシュブレード!」
「マぁジで毎度毎度アタシは風紀警察かぁ!?どいつもこいつもメス猿じゃねえんだぞ!!」
「グッ!!今回ばかりは被虐心を上回るほどに悔しい!!気持ちがいい!!だが!口惜しいィ!」
「
「ペロペロォー!!!」
「てめえもライターが火力ミスってんじゃねえぞオラァ!!!」
「オヘソっ!!!!」
「──残念。おあずけだね」
もうどっちが公的機関かわからない。篠崎さんとこの二人の善悪は確実に本来の逆だろう、逆で本当に救われている
テンションが異端みたいになって身体部位だけを叫ぶ
「……マジでアタシ疲れてきたぞ」
篠崎さん……貴女もいつか救われてほしいと思うが、無力なボクには何もできない
こっちの幹部にもあっちの幹部にもそれぞれ好きな男性の部位があります