異能力x貞操逆転x白一点   作:ヒゲクマ

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2.「黒薔薇団・電脳掌握」

黒薔薇団。

この世界に異能者のみで構成された秘密結社である。構成員は500人前後。

国内に10箇所、海外に5箇所の拠点が存在する。

表向きには存在を秘匿しているが、裏社会や異能者コミュニティでは広く知られている。

また、政府の特殊機関や公認の異能者中心の組織「白騎士団」などの組織にもその存在を知られており、常に監視・対策の対象となっている。

 

活動内容は

政府や大企業、他の異能者組織の情報を収集・操作し、影響力を拡大などのスパイ活動

迫害されることも珍しくはない異能者たちを保護し、能力を最大限に引き出すための訓練を行う。

違法なビジネスや資金洗浄を通じて巨額の資金を調達し、組織の運営と活動資金に充てる。

必要に応じて武力を行使し、敵対する組織や政府に対するテロ行為を行う。

etc...

 

その掲げる目標は「異能者が正当な地位を得て支配する世界」を実現すること。

 

異能者の解放...異能者が迫害されず、能力を正当に評価される社会の構築。

権力の掌握...政府や大企業に対する影響力を強化し、異能者が支配的な立場に立つ。

科学技術の発展...異能と科学技術を融合させ、さらなる力を追求する。

敵対組織の殲滅...白騎士団やその他の敵対勢力を打倒し、異能者の敵を排除する。

 

……とにかく早い話が「悪の組織」なのである。

某Xなメンのミュータントみたいな思想で以って行動するガチガチの悪党である。

そんな組織のボスに拾われてしまったので、ボクこと白狼……コードネーム「ラインヴァイス」は出会いから半年経ってもまだこの組織に身を置いて、気付けば組織の中枢を担うエリート異能者──不本意ながら幹部にまでなっていた。

 

「……はぁ」

 

さっきの交差点から離れ、人気の無い廃工場……に偽装された入り口の近くで影から這い出る。

黒薔薇団の本拠地は首都の地下にある秘密基地である。

研究所、訓練場、居住区、指揮センター、医療施設などなど……が、高度な監視システムと異能者で布かれた防衛ラインによって護られている。

隠ぺいの出来る異能者が複数人で秘匿しているからなのか、今のところバレてはいないらしい。

 

灯台下暗し?まさか政府のおひざ元で堂々と活動しているわけがないという慢心もあるのだろうか

ともかく、そこに戻る入り口の一つにやってきた。

 

錆び切った鉄の扉、その横のレンガを数度ノック。

「……我々は死なず。忘れず。血は血で贖う」

物騒な合言葉を唱える。ボクは別にどちらからも迫害されたわけじゃないからそう感じるのだろう。

 

鉄の扉がブレるのを確認して。そのまま()()()()()

 

「むぎゅ」

 

ボクの口から間抜けな声が出た。扉の先でいきなり頬をロボットアームで挟まれたから。

 

『いひひ。お使いご苦労さんラインヴァイスぅ』

 

搭載されたスピーカーから声がする。この行動も慣れないが、よくやられる。

 

「……どうも、サイバークイーン。ボスに言いますね」

 

『ただのスキンシップじゃん。直じゃないしこれくらいセクハラじゃないでしょ?あと名前で呼んで?お姉さんコードネームよりそっちがいいなあ』

 

異能でアームからすり抜け憮然と伝えても飄々とした調子の声が続く。同じ幹部でボクよりもずっと年上なのに、なんで毎回この人はこんなことばかりするのだろう。

 

「……やめろと言われたら一回でやめるものですよ、綾野 楓(あやの かえで)さん」

 

『フルネームはやめてぇ?』

 

「黒薔薇団」にボク含め四人だけの「幹部」……コードネーム「サイバークイーン」綾野 楓の軽薄な笑い声が響いた。

 

「さてさて、じゃあ私も白狼クンのお使いの〆について行ってあげようねぇ」

 

その後天井から出てきた楓……黒髪をポニーテールに纏め、知的で落ち着いた雰囲気──あくまで雰囲気だけ──の美人と共に廊下を渡る。

最新のシステムで守られた此処のメインエンジニアとして同行すると毎回言うが、別に彼女が同行しなくてもいいことくらいはとっくにわかっている。

 

楓の異能は「電脳掌握」。あらゆる電子機器を自在に操り、支配し、組み上げられる現代社会に対して絶対的な異能である。

彼女にかかればハッキングもクラッキングも息をするより簡単だし、実際これまでも様々な口座からちょろまかしたり、国家機密なんてものを容易く吸い上げていたものだ。

 

黒薔薇団で用いるシステムも全て楓製だし、構成員個人個人へのアクセスレベルの設定も済ませているのだから、結局これはボクとのコミュニケーション目当てに行っているだけなのだ。

 

「……別に一人でいけますよ。綾野さんは組織の中核で多忙でしょう」

「そうだね。でも男の子とお話以上に優先することじゃないからねぇ……ああつれないっそれがイイっ」

 

 

歩きながら当然のようにスススと距離を詰める楓に、ボクは同じくすすすと距離を離す。

ボスや他の幹部(二人)の前で抱き着いた時のことを覚えていないんだろうか。

ホントにシステム面で完全にこの人に依存してるんだからもっと自分から死にかける危険を冒そうとしないでほしい。

 

「……あのSAV(ステルスエアヴィークル)はかなり使えましたよ。道中揺れないし最後まで見つかってなかったし、とても快適でした」

「でしょう?ボスと幹部専用特に白狼クンを乗せることを念頭に制御システムも設計も現行技術の十年は先を行った代物だよ。運転手もそれ用の訓練と白狼クン相手にも腰砕けにならない最高難度の試験を突破した淑女のみで構成された選りすぐりだものぉ」

 

袖にされてもそれに悦ぶ楓にドン引きつつ、とりあえず飴も忘れないでおく……力説する内容はほんと気持ち悪いが。

十年先を行く技術の無駄遣いである。

 

「……ところで回収した構成員からの欠員は?」

「それは大丈夫。再起不能の負傷者もいないし全員最悪でも軽傷で即復帰可能、盗撮的な異能も検査したけど問題なし(オールグリーン)。直接白狼クンにお礼したいってスケベどもへ仕置きするくらいでぇ」

 

折角無事なんだからそれは止めてほしい……

とにかく欠員や情報を抜かれる異能を仕込まれていないのなら安心だ。

いくら悪の組織の構成員とはいえ、彼女らは基本的に社会から迫害を受けた側であることが多い。

元犯罪者からのスカウトも多いけど、それでも無事に黒薔薇団(自分の家)に帰すことが出来たのは喜ばしい。

 

「ハァ……末端の使い走り(モブ)の安否にホッとする男の子尊いぃ……うッ♡」

 

……勝手にこっちの表情を覗き込んで短い水音と痙攣を見せている天才(変態)から全力で意識を反らして、ボクは一先ず部下たちの無事を喜んだ。




天才と変態は紙一重。
残念ながら楓は主人公以外には普通にマッドで冷徹で計算高いので恐れられています
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