先日は素晴らしいひと時を過ごせた。
「お姉さんたち数時間ぶっ続けで頑張ったんだよねぇ」
「……そうですか」
「あ~めっちゃ癒やされたどこかの男の子がさ~、余剰分をまわしてさぁ。美しい循環を作ってくれたら世界は平和になるのにあ」
……こうして今、執拗にウザ絡みしてくる綾野さんが。お出かけ中もボスには見えないようにボクに対して電光板やモニターでアピールしていたので、幹部総出で気をまわしていてくれたことに気づけたことは事実、いつもよりも押せ押せで来られても強く出られない。
綾野さんのことなので、ボスの気遣いとか配慮にボクがそれを後から知って後ろめたくなる事を予想しての……ということでは恐らく無い。単純に、この人はボスばかりが
「……じゃあ、その恩義はどのような形でお返しすれば?」
「ちょっとその台詞エッチすぎるからもっかい言ってもらえる?」
「ではそれがお返しということで」
「ジョークだってぇ。そうだね……一時間くらい弟になってみない?」
「おとうと」
「イエスイエス。結局のところ全女性共通の願望なんだよ自分にかわいい弟がいるのって」
弟という単語に、白騎士団の
「そう……私に似てとっても頭が良くてこの世で一番可愛いんだ素直で私の後を頑張ってついてくるの楓姉さんいや楓ねえ?いやいやあえて姉さんとかお姉ちゃんとかもいいねでもお年頃だしなんでか姉呼びは恥ずかしいからここはあえて普段は楓さんなんて他人行儀でだけど心の中の素直な部分では昔みたいにべったりしたいなって思っててふとした時に楓ねえって言いかけて恥ずかしがったりもいいねうんそれがいいそれで私も辛抱たまらなくなってそんなに無理して他人行儀ならお姉ちゃんじゃなくて私もただの女になって白狼クンと他人でしか出来ないことを姉弟でおっぱじめさながら純文学のように密やかな関係性というものにお互いの興奮は更に高まり深みそう禁忌という深みにね……そしてあくるひ私たちの愛が目出度く身を結び月の満ちのように膨らむそれを愛おしく感じていく日々は突然終わりを告げ」
……通りかかった篠崎さんと深見さん二人が現実に引き戻すまで綾野さんの
「弟ぉ?んー……あんま考えたことないな。どっちかってーと妹とかのが、一緒に走れたりして楽しいと思うし。家に帰って身内の男がいるってのは悪かないが、そいつに集る奴らに絡まられるのも、追い払わなきゃならんのもめんどくさいし。白狼が弟ってのも、正直お前大人しすぎて手も掛からんし、想像したこともない。今の弟分みたいな感じでアタシには十分だ。姐御との買いモンについては気にすんな。アタシらもボランティアでやったみたいなもんだし。実際あんくらいしないと安心できやしないだろ?」
「スゥ──血縁があるとむしろ面倒──スフゥ──昨今は
篠崎さんは波長が合わないが、やはりボスの次に信頼できる人としての解答をしてくれて、深見さんはダイレクトに
三者三様の性癖というか、性欲度での対応の違い。他人事でさえあれば興味深いけど、当事者なのでたまったものではない
「じゃ幹部一同でのおしゃべり会はじめますかぁ」
「こんくらい緩い方が気も楽でいいぜ」
綾野さんを落ち着けた後、折角そろった幹部で細やかな雑談でもして、それで手打ちという流れになった。
基本的に綾野さんと篠崎さんが発言し、それに対しボクと深見さんが相槌や疑問を投げかける形だが、話題が尽きることは無かった
「……でまあ一応端末は破壊したけど抜かりないモブもいてねー、あわや情報が洩れるとこだったのよね。私の異能にビビっときた眼鏡もついでに干渉しといて正解だったわ」
「相変わらず異能に関しちゃアタシより大雑把だなこのパソコン女は……」
「電波的なもので感知できるのでこれでいいんですう。どっかの
「そういうことにしといてやるが。オマエ、マジで一回白狼にガチで詫びて姐御に処されたほうがいいぞ」
「……まだ漏洩してませんから大丈夫ですよ」
「はあ~~~~ほんと白狼クン優しいぃ~。大丈夫これからもお姉さんがキミの写真も映像もNGにしてあげるからねぇ」
「白狼、わかってると思うがコイツ大抵計算と打算だからな?損切は早いところでしろよ」
「スゥ────」
「深見ぃ!!いつまで
「……すみません篠崎さん、いつも」
「お前が被害者なのに謝られると困るんだが、もっとあれだ。堂々と糾弾してやれ」
「ねえねえ襲われたのに逆に謝っちゃう無知な男の子って良すぎない?自分が可愛いって無自覚で驕ってるところもなくて女の人がいきなり怖くなった理由が自分にあるって思っちゃって自然と」
「お前はもう黙れ子供の前で言っていいことだけ喋れボケナ「スゥ」……スどもがオルァ!!!」
「「ぎゃんっ」」
……ほんとこの人挟まないと同じ空間にとどまれないな。
あと。篠崎さんの放つ異能の速度を乗せたツッコミに、悲鳴だけで済む二人も相変わらず耐久力がおかしなことになってる。ボクはもう何か言えるわけもなく、聞き役に徹するほかなかった。