並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第10話 明日のために

軽くシャワーを浴びて汚れを落とした後、風呂にお湯を張りながらシャワーも使用できる仕様であることに気づいた私はお湯を張って湯舟にもつかることにした。

 そして湯船につかりようやく落ち着くことができた。帰り道は早く汚れを落としたい、休みたい、こんな長い道のりを歩かせる神への恨みでいっぱいでとてもほかのことを考える余裕なんてなかったのだ。

 湯舟はそこまで大きくなかったが頑張れば足を伸ばせるくらいの広さはあった。

 うーん、だがしかしこれは一体……。

 自分の体を目の当たりにしてそして違和感をあまり感じないことに違和感を感じた。

 前世では男だったはず...はず?もうそこから曖昧だった。

 アイスが食べられなかったことしか思い出せない。お風呂上りにアイスが食べたい……。

 考えても無駄そうだった、記憶を無理に遡ろうとすると頭がぼーっとしてくる。

 もしかしたら頭にアルミホイルではなくタオルを巻いているからかもしれないが、思考がジャミングされているかもしれない。

 思考ハックに対してとても無防備だ!ほかのことを考えてみよう。自分のことがだめなら、今度は境遇について。

 神は確か私たちは転生したといっていたはずだ。けれど最初から気になっていたことがある。

 チェーン店でご飯を食べていたところから死ぬってどういう状況だろうか。

 まさかアイスが食べられなかったショック死ではあるまいし、パスタに毒が盛られていて毒殺されたわけでもないだろう。

 そうすると考えられるのは店に車が突っ込んできたとか、店の天井にあった何かが頭の上に落ちてきて運悪く死んでしまったとかだろうか。

 最悪自分だけならそういうこともあるのだろうが、それが日本全国で4000件も1日で起きるのだろうか。

 もし私たちが死ぬタイミングでこの島に呼び寄せたのだったら、もしくは過去から今日まで4000人が死ぬまでこつこつ転生者候補を集めて待っていたことになる。

 だとしたら神はよっぽど暇なのだろうしそこまで暇なのなら、もっとうまくできたと思うのだ。

 ある程度のサポートは完備しているくせにスキルをとってからのサポートはほとんどない。

 たくさん人をとって研修を2日くらいやってそのまま実践投入して使えるのが何人か残ったら万々歳みたいな、まるでブラック企業のようなことをするなら1万でも2万人でも集めればいいだろうし……。

 駄目だ、自分が置かれた境遇に関しても情報が少なすぎて神が何を考えているかなんてわかるわけもなかった。

 自分自身のことはだめ、今現在の状況もだめ、そうなってくると考えることは明日どうやって1階でポイントを稼ぐかしかないか。

 「スライムをどうやって倒そうかな」

 湯舟に口をつけてぶくぶく泡立てながら私はスライムの倒し方を考えてみた。

 あの3人組は蹴りを入れればスライムを倒せたのだが、今の私の弱弱しい蹴りではスライムが倒しきれる可能性は五分五分くらいだろう。

 もしも倒せなかった場合今度は足にスライムがへばりつく可能性がある。

 そして片足のバランスを奪われた私は転倒して足からうにょうにょとスライムが……。

 考えるだけで寒気がする。転倒した際に頭をぶつけなければ死にはしないだろうどまた逃げ帰る羽目になる、これは却下だ。

 と、なるとだ。もう1つ考えていた方法をとるしかないのだろうなっと、私はメニューの購入できるアイテム一覧を眺めながら思った。

 

 

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