並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第30話 ご飯

 大きな桃をメニューにぶっこんで私たちは3階の入り口に帰っていった。

 「なんか聞いてた話と全然違うわね、しかもモンスターの数も少なかったし」

 円香がPTを先導しながら雑談をする、前だったら考えられない状況だった。

 いくら入り口付近といえどこんなに敵と遭遇しないんだったら普段のポイント稼ぎにも困りそうなもんだけど……。

 

 帰路は特に特筆すべきこともなくそのまま2階へと繋がる階段のある広場までついた。

「1番のり~」

 円香が広場につくやいなや走って日当たりのいいところを占拠する。

 私も走って円香を追ったがふと後ろからリゼが笑ったような気がしたので慌ててゆっくりと歩いて円香に近づいて行った。

 「ほかの人たちまだみたいですね、先にご飯にしますか?」

 私が提案したら円香が『みんなが来てから一緒に食べましょ』と言ったのでとりあえずレジャーシートを敷いたり飲み物の準備をしたりなどして時間をつぶして皆を待った。

 

 その後魔王達とカヌスさん達の順番に戻ってきて全員揃ったのでとりあえずご飯にすることにした。

「おいおいー折角揃うまで待っててくれたんだからさー、離れて食べることないんじゃないかな~」

「そんなに離れて食べたいんだったら僕たちがそっち行っちゃうぞ!」

 魔王たち3人組が離れた位置で食事をとろうとすると双子が此方のほうに来いと誘ってしまった。

 全員いやそうな顔をしているが……むしろ双子を持ってってもらえるなら心休まる食事をとれるかもしれない、まだ何もされていないけど何かされるかもしれないしね。

 「じゃあ、私たちも別スペースで食べますけど……」

 円香が余計なことを言ってしまった。この双子そんなことを許すわけもなく……。

 「じゃあそっちに姉さん、向こうが僕だ!」

 双子たちは何としても阻止したいようなのであきらめて全員が一か所に集まって食事をとる羽目になった。

 

「僕たちはさ、悲しいんだよ!なんの因果か知らないけど一緒の島に転生してしまった僕ら、この縁を大事にしたい……そうは思わないかな!?」

 双子の兄ジェミーはせっかく広げたご飯を食べもせずレジャーシートの中央でこぶしを振り上げ熱弁している。

 こんな熱血キャラなんだ……私はジェミーには目もくれずご飯を食べる。この唐揚げ美味しいな?

 双子の熱弁を無視しながら、食事を楽しもうとする私たち。しかし、どげんかせんといかん!ジェニーも中央に立ってしまい、双子の騒がしさがどうしても気になる。

 

「ティア、唐揚げ美味しい?うまく作れたと思うんだけど?」

 リゼが私に唐揚げの感想を求める、今日の食事は双子の提案で手料理の持ち寄りとなった。

 なんだかんだで魔王すら作ってくるのだからあの双子は恐ろしい、何とかして親睦を深めようとしているのだけはわかるけど。

 私が『おいしいですよ』と言おうとしたがジェミーの声がかぶさる。

「ティア!僕たちの話もちゃんと聞いてくれよ!」

「これは私達だけの話じゃない!島全体、いや地球全体の危機なんだよ!」

 私地球から転生したので関係ありませーん。

 「いい加減にしてほしいわね」

 円香がため息をつきながら立ち上がった。

 「せっかくの休憩時間なんだから、少しは静かにしてくれない?」

 とうとう怒らせたら怖い代表円香まで中央のリングへと乗り出してしまった。

 双子は一瞬黙ったが、円香を抱えて高い高いをしながら再び話し始める。

 私はまた唐揚げを食べようとしたが、ない……周りを見渡すとカズが全部食べてしまったのを目撃した。

 「カズ、ティアの唐揚げを全部食べたでしょ?」

 私が恨めしい目でそちらを見ているとリゼが詰め寄ってしまった、またけんかの火種を与えてしまったと後悔したがカズは悪びれた様子もなく笑いながら答えた。

「だって美味しかったからさ」

 こうも屈託なく言われると流石のリゼも面食らったらしくそれ以上は追及しなかった。

 一瞬しん……と静かになったが沈黙を許さない奴らが円香をキャッチボールのように扱いだして悲鳴を上げさせて静寂を破った。

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