「話してみろ。嘘ならその時は覚悟しろよ」
魔王が言葉を投げかけると、桃たまはさらに口元をゆるめた。
「おぬし等セーフティーエリアにいきたいにゃろ?実はこの森にゃセーフティーエリア以外燃えるんだにゃ!」
桃たまが言い終わる前に、リゼがこぶしを振り上げた。
「いい加減にしろ!」
瞬間、魔法の炎がリゼの拳から放たれ、桃たまはそれを華麗によけた結果泉にファイアーボールが落ちた。
そして次の瞬間泉から銀のファイアーボール?や金のファイアーボール?が大量に噴出して森の木々に燃え広がり始めた。
「呑み込みが早いにゃ! そう全部燃やせば残った場所がセーフティエリアってわけにゃ!」
「これはマズい!セーフティエリアに急げ!」
カヌスさんがいち早く正気を戻って指示を出し、戸惑いつつも私たちは湖から逃げ始めた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
リゼが走りながら絶叫に近い声で謝罪を続ける。
「てめーらが落としたのはギンタマか?!キンタマか?!いやちげーな!タマとったるぞ!?」
後ろのほうで明らかにやーさんになった女神がいた気がしたが私たちは振り返る余裕などなかったのでした。
しかし森を走り続けて30分は立っただろうか、一向に燃えてない場所までたどり着かない、あまりにも燃え広がるスピード早くないだろうか?
「なんでファイアーボールがこんなに燃え広がるんですか!」
私は息も絶え絶えな状態だがこの状況にそれでも文句をつけずにはいられなかった。
独り言のつもりだったがジェニーが律儀に空を飛んで偵察をして私の疑問に答えてくれた。
「どうやら泉のほうから定期的にファイアーボール出てるらしいね。かなり切れてるわ女神」
そんな馬鹿なことあるのだろうか?
しかし論より証拠、話している最中にファイアーボールが此方に降り注いできた、これもうメテオだよ!
しかもどうやっても直撃コース、命の覚悟をして近くにいた円香とお互いに身体を抱きしめあったが、なんとカヌスさんがジャンプして一刀両断して私たちは事なきを得た。
「素敵!」「いよ!大将!エターナル1!」
ほんとだよ!今だけはあの双子に完全に同意した。
しかし周りに着弾したファイアーボールの破片が木々に当たり私と円香のほうに倒れてきた。
「ぎゃあ!」
命の危険再び!目を閉じてできるだけ痛くないことを祈ったがしかしいくら待っても木が倒れてくる気配がないので恐る恐る目を開けたらそこには魔王が木を何とか受け止めている光景が映った。
「早く動けよちびっこ!死ぬぞ!」
魔王が苦しそうに叫ぶ、私もできれば動いてあげたいのだが抱き合った腕が思い通りに動かないしそのせいで立ち上がれないので、ずるずるとしか動けない。
動けないと顔を横に振ると『ッチ』と舌打ちをしながら魔王が木の重さに耐えられないようで木がゆっくりとこちらのほうに下がってくる。
このままじゃ3人とも下敷きだよ!と思っていたが後ろから全力疾走してきたリゼが木を吹っ飛ばして明後日のほうに飛んで行った。
「ごめんなさいティア!円香!大丈夫?ケガしてない?」
リゼが私たちに捲し立てるようにケガの有無を聞きながら体をペタペタ触って触診をしてくる。
「それと……あなたも大丈夫?」
魔王のほうに振り返りはしなかったがリゼは魔王の容態も訪ねた。
こっちにきてリゼの触診を苦笑しながら見てた魔王は一瞬はきょとんとしてたが『平気だぜ』と軽く返し『ちび達も歩けるか?おぶってくぞ』と気を使ってくれたのでこちらも『大丈夫だよ』と返した。
これを機に多少は仲良くなってくれるといいな。
そんなことを考えながら私たちは燃えてない場所を探して森をさまよい続けた。
「はぁ、はぁ! 燃えてない! やった!」
どれだけ経っただろうか、先頭を走っていたカヌスさんが大きな声で待ち望んでいた言葉を叫んだ。
「私たち助かったんですか?」
私はよろよろと最後の力を振り絞るとセーフティエリアと思われる場所に着くや否や地面に転がった。
「みんなはぐれてないか?」
カヌスさんがみんなに声をかけると魔王やリゼも力なく腕を振ってこたえる、なんとか皆たどり着いたようだ。猫?知らない子ですね……。
こうして私たちはようやくセーフティエリアに到着し、何とか一息つくことができた。
なんだかんだでなろうの方の初投稿から1周年が経ちました。
目出度い?のかわかりませんがこの場を借りまして、
この小説をブックマークをしてくださった方々に心より感謝申し上げます。
今後とも本作をよろしくお願いします。