「私たちが大変な思いをしたっていうのに……のんきにお茶とはいい身分だね?」
メッセージで双子と円香に分身は消えたことと喫茶店にいることを伝えてしばらくすると双子たちは来店したのだが、開口一番に嫌味を言われてしまった。
私はさっさと謝ろうとしたが一瞬で距離を詰められて両サイドを固められた。こいつら手慣れてやがる……。
「もう一回出せないのあの分身、1度ならず2度も出し抜かれたとなるとこっちも黙ってられないんだけど!」
「嫌に対人慣れしたスキルの使い方だったよね。 一度師事したいくらいだよ!」
二人は思い思いの言葉を私にぶつけながら頬をつついたりわき腹をつついたりしてくる。
聞いてみたら『突いたらティアの中から分身出てくるかな?』って言われた。心太じゃないんだぞ私は。
そうこうしているうちにおじいさんがコーヒーを入れてくれたため興味がそちらに移ったため私は無事解放された。
「おー! 苦い!」
ジェニーはコーヒーが苦手なのか飲むや否や眉をしかめながら感想を言った。
「ミルクでも入れなよ姉さん」
ジェミーがカウンターを乗り出して勝手にミルクポットをとってジェニーに渡す。おじいさんの顔が若干ぴくっと動いた。
「ちょっと!ちゃんとマスターの許可貰ってから物取りなさいよ!」
すかさず円香が双子を注意するが、馬の耳に念仏、あまり響いて無い様だ。
そんな風に騒がしくしていたからだろうか、2階の階段から人が一人おりてきて此方を伺うように見つめているのに気付いた。
「君は広場で楽器を演奏してた子?」
その子には見覚えがあった。広場で西地区には行きたくないと警邏隊に直訴してた子だ。
「君は、たしか前警邏の人たちをもめた時? あの時は見苦しいものをお見せしました」
どうやらあちらも私を認知してたそうだ、あの時の1回きりだったのに、記憶力がいい様だ。
「お二人はここで一緒に住んでいるんですか?」
そんなことより少し気になったことがあったためそちらを先に聞いた。
こんな深夜にお店に入り浸っていたってこともないだろう、しかもパジャマだし。
となるとここで寝泊まりしているのが自然な形だが……。
「そうだよ、マスターの厚意でね。 ポイントを稼ぐすべのない子たちをここで預かってもらってるのさ」
しかし私の質問は意外な人物から返答が返ってきた。
「つまりここも警邏隊の関連施設ってこと?」
会話に割り込んで円香はジェニーに尋ねた。
「いやー、そういう活動をしている人にポイントの支援や周辺に支部を置いて治安をよくしたりはしてるけどそこまで密接な関係じゃないよ?」
「そうそう、このじいさんが子供を保護してたから私たちは少しでも安全に暮らせるようにパトロールとかしてたってわけ」
「隣に子供が大好きなリゼが住み込みで働いてるからあとで見に行こうよ!!」
双子の最後のセリフに円香がぼそっと『逆に危ないんじゃない……』 とつぶやいていたが確かに、双子がうざすぎて町が燃えないか不安だ。
降りてきた子を置いてきぼりでしゃべっていたらいつの間にかおじいさんが上にその子を戻したらしく階段を鳴らしながら降りてきてるところだった。
「夜も遅いし、また今度きてゆっくりしていきなさい」
コーヒーのお礼を言って店を出る際におじいさんにそう言われて見送られた。
今度は一人で来て落ち着いてコーヒーを楽しみたい、そう思った。