並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第17話 赤髪の少女

「わーい、昨日から何も食べてなかったの、ありがとう。」

 私はメニューから椅子を取り出すと目の前の私よりちょっと小さい少女はどさっと椅子に座って私がさっき取り出したご飯をさっさと食べ始めた。

 目の前の少女はいったい何者なんだろうか?私より身長が低いとなるとポイントを稼ぐのも一苦労しそうなものだが……。

 さらに昨日から何も食べていないと来るとすでにポイントがなくなってしまっている可能性もあるのでは……、なんとかわいそうな。

 私は瞬時に思考を切り替えた。能天気暇を持て余しすぎた休日のボケボケスタイルから一転、不憫な子を見守る優雅な大人スタイルに思考チェンジだ。

 さて目の前の少女に目を向けよう。ショートボブな髪を一生懸命に揺らしてご飯に手を伸ばしている。

 ところで実は今日のご飯特別性なのだ。メニューに日替わり定食という500ポイントで購入できるご飯があるのは皆さんご存じだろう。

 しかしながら、ご飯の内容までは選ぶことができないのだ。

 なので春の陽気な日差しの中、外でのんびりサンドイッチでも食べようっていう気分の時にキムチ鍋が出てきてしまうかもしれない。

 確かにキムチ鍋はおいしいかもしれないが外で優雅に食すものではないのだ、なので今回の昼ご飯自分で自作することにした。

 メニューにはもちろんお肉や卵、その他調味料などにポイントが設定されていて今回はパンや具材などを購入してきてサンドイッチや目玉焼きのトーストなどを作ってみたのだった。

 そこに紅茶、まさしく優雅ですね。今私はまさに優雅なレディ……。レディはご飯を献上してしまっても紅茶さえあれば優雅ですわよ、私はズズズと紅茶を飲んだ。上品で芳醇な香りと豊かな塩味が私の口の中で広がって……うーんしょっぱい!!砂糖と塩間違えた!思わず吹き出しそうになったが私はこらえた。鼻歌のお姉さんから鼻から吹き出しのお姉さんになってしまう。保て優雅さを。

 目の前の少女がきらきらした目でラ〇ュタパンを食べようとしている。それに目をつけるとはお目が高い。だが待ってほしい。目玉焼きは塩をかけて味を調節したはずだった。しかし今砂糖の代わりに手元にあったのが塩ってことは……?

 「この目玉焼き甘くない?味付けって塩コショウとかじゃないの普通。」

 少女が思ってたのと違うって顔をしてケチをつけてきた。私の地域では甘い目玉焼きが主流だったんだよ?

 「この味の良さがわからないなんて、おこちゃまね……」

 そう言いながら私は紅茶を飲んだ。しょっぺええええええええええ。塩入れすぎた。

 しかしながら私が紅茶のしょっぱさに耐え忍ぶ姿が相手にはご飯にケチをつけられて気を悪くしたエレガントに映ったのだろう。

 その後は特に文句もつけずサンドイッチを完食してくれた。さすがにツナサンドやBLTサンドはミスってなかったようだ。

 しかしよほどお腹がすいていたのだろうか、自分の作った料理にこうもがっついて食べられると少しうれしい気持ちになった。

 口周りを服の袖で拭いながら少女が「ごちそうさまでした。」と伝えてきた。

 私はそれに「お粗末様でした。」と答えた。

 すると少女が紅茶をじっと見ている、どうやら喉が渇いたようだ。今できる女を演じている私は紅茶を優雅に注ぎ少女に渡してあげた。机にこぼれた紅茶をふき取る姿もまた優雅だった。

 「ありがとう、飲み物までいただいちゃって、ところで自己紹介がまだだったわね。」

 一息つこうと紅茶を飲んだ少女がブッーっと紅茶を吐き出した。おっと危ない。

 優雅に立ち上がる私。こちらを咎めるような厳しい目つきで見てくる少女。

 「布巾をとってきます……」

 私は彼女を怒らせないように、震えるようにそっと言った。

 「あんたやっぱり塩と砂糖間違えてるじゃない!!!!!!!!」

 一度騙されていた少女は激おこだった。

 賄賂だ。わいろを渡してなかったことにしなくては。

 「ば、ばんごはん!ばんごはんもありますよ!?」

 「あんたこれ以上私になにをくわせるつもりなの!?」

 買収失敗。このままでは鼻歌ドジっ子お姉さんとしてデビューしてしまう。待ってくれ塩と砂糖にラベルを張ってなかった神が悪いんだ。

 

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