並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第3話 ダンジョン前広場

小走りで走っていたけれど疲れたのでとぼとぼと私は歩いていた。町はヨーロッパ風のきれいな町並みで道は煉瓦で舗装されていた。幅は5mくらいは有りそうだった。

 家は煉瓦造りの2階建てのものが多かった。そして一階の部分は人が入りやすく商品を陳列しやすかったり、飲食をしやすそうなバルコニーがある建物だった。

 広場やダンジョンが配置されている島の中央は転生者たちがメニューから商店を購入すればそこで好きな商売をすることが可能な商店街として設定されているそうだった。

 本来であればたくさんの人がここを歩いているのだろうが転生した直後の今の商店街には人っ子一人いなくて、それがどこか非日常を感じさせてそれが私の歩調を少しだけ速めた。

 ダンジョンにつく前に疲れてはしょうがないのだけど、早く人のいるところまで行きたい、そうしないと孤独でおかしくなりそうだった。

 10分ほど歩いたのちようやく人の騒がしい声が聞こえてきて私は声の聞こえてきたほうへ走っていった。

 ダンジョンは計10階建てなだけあって少し離れたところからでも先っちょのほうが見えていたのだがダンジョンの広場に出たときはその大きさと周囲の賑やかさに圧倒された。

 ダンジョン前の広場それは賑わっていた。2足歩行する虎もいた。なんなら魔王もいた。6歳くらいの子もいたし1000歳くらいのおじいさんもいた。

 とはいってもそこまで多いわけではない、大多数が普通の人に転生したようだった。

 そういえば私はどうなったのだろうか、前世では身長200cm、体重100kg、体脂肪率1%のフィジカルエリートな男性だったはずだが。

 周りの人たちと比べてみるとおおよそ身長は140~150㎝といったところだろうか、もしくは全員でかいだけかもしれないが。

 きょろきょろと周囲を見渡していたら色物枠みたいなのもたまにいたため自分がどんな容姿になってしまったのか急に気になってきた。

 あまりにも衝撃的なことが起こりすぎていて自分の容姿がどのように変化したのかさっきまで気にならなかったのは少しおかしいだろうか。

 いや隣に熊がいたらそんなこと気にならない、そう自分に言い訳しながら近くにあった噴水の水面をのぞき込んでみた。

 そうすると髪の毛がさらさらと水面に吸い込まれて浸った。どうやら髪の毛が長いらしく肩くらいまであった。

 水面に浸った髪の毛はきらきらと輝いていて金色だった、どうやら金髪になってしまったらしい。

 そして水面の向こうから金髪で青色の瞳をした女の子が驚いてびっくりした様子でこちらのことを見ていた。それって水面に映った自分のことですよね。

 

 自分の容姿を確認した後ダンジョンのそばに生えていた木の下になんとかたどり着いて座り込んだ私は今日これからのことを考えていた。

 正直言って今日はダンジョンに潜りたくはなかった。急に男から女の子になって平気なわけないからだ。

 しかしながら頭の中で熊がよぎった、急に人間から熊になった人もいるんだから女の子になったくらいで文句を言うのはダメな気がしたからだ。

 落ち着いて?素数を数えて!心の中の私がそうささやく。とりあえず数えてみるか1,2,3,4,5……そもそも素数ってなんだっけ。

 思考がまとまらない、とりあえず大きく深呼吸をしてみた。そのあと周囲を見渡した。

 どうやらPTを組もうとしてる人たちがダンジョン前でたむろしているらしい。ここでPTを組むことができれば一人で死ぬかもしれないダンジョンに潜ることだけは回避できそうだった。

 しかしながら一つ問題があった。

 さっき始まったばかりの異世界ダンジョンデスゲーム、果たして戦力として期待できない非力な人間とPTなんか組んでくれる人はいるんでしょうか。

 もし私がPTメンバーを選べるなら熊がいい、強そうだからだ。荷物持ちもできるか怪しい金髪少女はある程度生活基盤を整えてからPTに入れたい。

 そんなことを考えていたがダンジョンの中にさっき見かけた6歳くらいの子がPTを組んではいるところを見かけた。

 やはり日本人、行儀がよく礼儀が正しい日本人に生まれてきてよかった。震災の時も暴動を起こさず並んで配給を受けることができる日本人ならきっと役立たずでも最初くらいはPTに入れてくれるに違いない。少し気分が落ち着いて私は誰かが話しかけてPTに入れてくれるのを待った。

 

 太陽がてっぺんを回り散歩をするにはもってこいな春の陽気な天候の穏やかな昼さがり。

 ダンジョンの入り口近くの木の下にキノコが生えた。しかしよく見たらそれは涙目になりながら誰にも話しかけてもらえずじめじめと陰のオーラを発している金髪の女の子だった。

 日本人はシャイでおとなしいんだから自分から話しかけないと誰も誘ってくれなかったのだ。せめて目立つところにたら熊2号が誘ってくれたかもしれないのに。

 

 そうして私はダンジョンに一人で潜ることになった。

 

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