並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第33話 フリマ

環が急に家から飛び出してしまった。

 私は追いかけようとしたが机に突っ伏して顔だけ持ち上げていたため初動が遅れてしまった。

 家からでて道を見渡してみてもどこにも環の姿は見えなかった。どどどどどうしよう?

 早く環の家に行って何か話さないと。しかしそこでふと思った、環の家何処か知らない。

 メニューにもフレンド機能やメッセージ機能なんてない。この広い島の中で連絡を取る方法なんて待ち合わせを予めして直接話すか、相手の住んでる家を訪問するくらいしかないのではないか?

 「環……どこ行っちゃったんですか?」

 環を追いかけることに失敗した私は明日何喰わない顔で環が私の家に来てくれることに期待することしかできなかったのだ。

 私はモヤモヤと不安な気持ちを押さえながら夜ベットで浅い眠りについた。

 

 次の日の朝いつもならすでに環が来ていてもおかしくない時間になってもドアがたたく音は聞こえなかった。

 「環、来ませんね」「めぇ」

 仕方がないのでわたあめをなでて、毛がめちゃめちゃになってブラッシングして、またなでて、ブラッシングしてを繰り返している。

 早くしないとわたあめのふわふわな体毛がストレートになってしまう。名前が変わってしまうだろう。

 何回目のため息をついただろうか?いつまでたっても環は来ない、いい加減現実を見るべきなのだろう。

 私は環の機嫌を損ねてしまったらしい。まさか足手まといの私がPTから追放されることは想定していたが、空気が読めなさ過ぎて追放されることは想定していなかった。

 対して役に立ってないやつが勝手に拗ねた挙句話しててもつまらないとかPT組む意味ないもんな?なんてこった。

 せめて謝りたい、あわよくばもう一度PTを組みなおしたい、でも環が行きそうな場所なんて心当たりないし……ダンジョン前の木の下で待ち伏せてもいいけどそれでもし他のPTを組んだ環を見てしまったら泣いてしまう。できればダンジョン以外の場所でエンカウントしたい……。

 「そうえば東にフリマがあるって言ってましたね……」

 もしかしたらいるかもしれない、そうだフリーマーケットにマーケットに行こう。

 

 すこし島の地形について説明しよう。まず島の中央にダンジョンとその建造物の塔が経っていてそれをぐるりと囲んだ形で広場が形成されている。

 ここには噴水や、原っぱ、スキルを試し打ちするためのいろいろな道具などが並んでいる。最初のころはよくここでダンジョンの情報を売り買いしたり、また臨時でPTを組んだり自分たちのPTに足りない職を募集したり、またいらなくなったアイテムなどを売ったりしていた人たちや自分たちで自作した遊具で遊ぶ人たちでごった返していた。

 しかしこの島に召喚されて2週間以上もたつとそろそろダンジョン前の広場ではそういったことをするのが手狭になってきてスキルの試し打ちや戦闘の練習が出来なくなってきてしまっていた。

 なのでちょっと前に主に広場でたむろしていた転生者たちで話あって次のように取り決めをしたのだった。

 まずダンジョン前の広場ではダンジョン攻略に関したことを主にすること。上で述べた範囲なら、ダンジョンの攻略情報の売買やPTの募集、スキルの訓練などだろう。

 そしてダンジョンの東と西が家や商店が何もないただの空き地があるためそこで遊んだり物の売り買いなどをしようということにしたのだ。

 そして西が遊び場、東がマーケットに割り当てられることになったのだった。

 ちなみに北は大きな城があって、南には神殿がありそこ以外には商店が立ち並んでいるため候補には上がらなかった。

 まあ商店はだれもポイントがなくて買えてないので現状ただのシャッター街なんですけどね。

 「思ったより広いけど人を探せないほどじゃないかな……」

 学校の校庭くらいの広さだろうか?そもそもこの島がそんなにでかいわけでもないし、そもそも四六時中売り買いするほど経済が活性化してるわけでもない、たった4千人、いやもう3800人くらいしかいないのだから。

 スーパー前の公園でたまーにやってるよくわからないフリマだよこれ……。昔のアニメの謎の人形とか売られちゃってるよこれ……。

 「おじょうちゃん、うちの商品見てかないかい?」

 おじさんに呼びかけられてついつい見てしまう、いかん、環を探さないとなのに逃れられない!

 そこにあったのはス〇ラシューターだった。

 「すごい、これはいくらなんですか?」

 私は目を輝かせておじさんに値段を尋ねてしまう、こんなのほしいに決まってるじゃないか!

 「スライムの核100個だね」

 聞いたことない値段が出てきてしまった。え?なんだって?

 「俺らはポイントくらいしか共通の通貨がないじゃないか、でもポイントそのものは交換できない。そうなるとドロップアイテムを交換したほうが楽じゃないかってことさ。」

 おじさんが答えてくれた。確かにそうかもしれない……。

 私はアイテムボックスの中身を確認してみる。そこにはアイテムはたくさんあれどモンスターのドロップアイテムは一個もなかった。

 無念、一文無しだ。そうだよ、ここには環を探しに来たんだった、こんなもの見てる場合じゃない!見てる場合じゃないんだぁ。

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