並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第40話 寡黙な職人

「私のほうも似たような情報だったわ、その代わり情報料は高かったけどね。」

 私達はあらかじめ決めていた待ち合わせ場所の広場の噴水で落ち合った後フリーマーケットを冷やかしついでにお互いが調べた情報について共有していた。

 「半日調べて似たような情報が集まったってことは騙されて間違った情報を渡されたってことはなさそうですね。」

 もちろん二人して集めた情報が間違っているってこともあるかもしれないけど、その場合は多分ほとんどの転生者が間違った情報を頼りにしていることになりそうだ。

 「ねえティア、あのアクセサリーすごいわよ」

 環が指さした先を見てみると細工が施された首飾りだった、これって金ぴかだから金細工ってやつなのだろうか?

 「これって金細工なんですか?」

 フリマの主に聞くとゆっくりと頷かれた、やはり職人だけあって寡黙らしいね、そんな人が作ったのだからべらぼうに高そうである。

 「エターナルだと金メッキのほうが難しい、電気メッキ法くらいしか俺は知らんから電気が使えないなら出来ねえ。」

 お前普通にしゃべるんかい、金メッキができないから金の見た目をしているならもうそれは金細工なのだといいたいらしい。

 「ちなみにお幾らほどで?」

 職人は目が飛び出るほど大量のポイントを告げてきた、ちなみに半分は材料費らしい、半額でもこんだけするの?

 「ほんとはもう少し安くできるはずなんだが……削った部分が今はまだ再利用できねえ、高い金出して溶鉱炉?みたいなアイテムを買わないといけねえんだけどよ手が出せねえわ」

 どうやら金細工はとても大変らしい、よく見たらチェーンの部分はメニューで購入した奴だ、全部金細工で作ると値段がやばいことになりそうだね。

 「でもなんでこんなことしてるんですか?失礼だとは思いますけどダンジョンに潜ったほうが稼げるんじゃないですか?」

 私の不躾な質問に職人は大らかに答えてくれる、だれだよ最初に寡黙な奴だって言った奴は。

 「暇な日はダンジョンに潜って稼いでるさ、それに前世からやってたってこともあるかもしれねえけど、やってねえと落ち着かないしな。

 それに細工も攻略に無駄ってわけじゃない、高度な細工を施されたアクセサリーには相応の効果が宿るらしいぜ。」

 「見てみな」っていって職人が件の金細工をこちらに手渡してくる。じゅ、じゅ、十万の金細工が手元に……私の手汗で価値が下がらないか心配だ。

 金細工をクリックして状態を確認してみる、なんてこった、このアクセサリーつけるだけで魔法のステータスがメニューで買った物の3倍以上伸びる高性能品だ。

 「ひいぃ、おかえしします。」

 ガタガタ震えながら細工を職人に返す。落として汚れたら体でなんて返せないほどの借金を背負ってしまう、一刻も早く返したかった。

 ガハハハッって笑いながら職人が受け取った。ふう奴隷落ちだけはまのがれたようだった。

 「すごいわね、アクセは全身で一か所しかつけられないからそんなに効果の高いものならどれだけ高くても売れるんでしょうね。」

 「まあな、でも同じ10万ちかくかけるならスキルならレベル2から3にできるしお勧めはしないぜ。」

 確かに破格の性能ではあるのだろうが所詮ちょっとステータスが伸びるだけだし10万はよほどポイントが余っている人じゃないと手が出せないんだろうな。

 その後他のアクセも物色してみたがスキルを伸ばすほうにポイントを使おうという結論に至りいろいろ親切に教えてくれた親方の店を後にすることにした。

 

 

 

 

 

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