並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第59話 1日目③

 前方から大きく草木が動く音が聞こえた、これは結構わかりやすいな。目を向けると20m先にオオカミのようなものが見える。

 私はブリーティングで習ったことを思い出した。確かオオカミは距離をつめようとしたら20mなんて1、2秒くらいで詰めてきてしまうらしい。

 とはいえそれはトップスピードの話だが、ここまで近づかれたってことはつまり索敵失敗ってことだろう。私は踵を返して全速力で部隊に戻る。

 「オオカミがでたぞー!」

 これでオオカミが出てこなかったらオオカミ少女の爆誕だけど、しっかりとオオカミは私に向かって走って追いかけてくる。

 「ティア!どきなさい!」

 遠くから聞きなれた声が聞こえてくる。環達遠距離火力が魔法を打ちたいのだろうけど私が射線上にいて邪魔で撃てないようだ。

 結局オオカミに追いつかれはしなかったけれど遠距離攻撃をする余裕はなく、私と入れ替わるように前に出てきた前衛火力の面々がオオカミを切り伏せて2度目の戦闘も終わった。

 「どうやったらもっと先のオオカミを見つけることができるんですか?」

 担当の2時間が終わったが結局私は遠くから敵を見つけることはできなかった。

 なのでメアリーさんに聞いてみることにした、コツとかなんか急にできるようになったりするようなすごい情報ください。

 「やっぱりスキルを取ってしまうのが一番じゃないの?まあ最低でもレベル2は取らないと意味ないけどね。」

 やはりそううまい話はないようだった。話に上がった索敵のスキルを取るほかないようだ。

 索敵のスキルはレベル1ごとに自分の周りを常時10m把握できるようになるスキルだ。他のスキルと同じで7が上限で70mまで索敵できるようになる。

 ただ索敵はレベル2になると任意のタイミングで一時的に索敵の範囲を2倍にすることができるようになる。

 この効果は60秒に一度使えて、レベルが2から7に増えるごとに10秒づつ増えていきレベル7になると69秒間持続することが可能なのでスキルを発動し続けるMPがあれば索敵の範囲を70mの2倍140mまで増やすことが可能になるのだが、レベル1では自分の周り10mを索敵してくれるだけのしょっぱいスキルだ。

 索敵班くらいこれを取れよと私も若干思ったのだが攻撃スキルがないとそもそも狩りができない現状で攻撃スキルの取得を優先してしまったら索敵のスキルを取る余裕がなかったのだ。

 幸いにも今回のレイドに応募する条件には記載されていなかったので取らなかったのだが、薄暗い森の中を本隊から少し離れて索敵するのは心細く後悔し始めた。

 装備の強化じゃなくてスキルの取得にすればよかった……。

 後悔先に立たず、今更取ろうと思ってもメニューには5万程度しかポイントは余ってはいない。

 ため息をつきながら私と入れ替わりで索敵に出て行ったロンナとディーの索敵の仕方を見ていたがやはり苦戦しているようでうまくオオカミを見つけらず、追いかけまわされている。

 あ、追いつかれてロンナがオオカミにお尻をかまれてしまった。普段のダルそうな雰囲気から一転お尻を押さえて全力疾走しているさまは見ていると気まずい気持ちになってしまうため目をそらしてあげた。

「あーあお尻かまれちゃってるわ、もっと早めに見つけないと危ないわね」

 せっかく目をそらしてあげたのにメアリーさんが無慈悲な実況をしてしまい意味がなくなってしまった、南無。

 

 

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