私は外に出るとようやく一息付けた。
そしてそのまま庭の外へ出て家の塀にもたれかかる。
前の世界でもこの世界でも円香は私の約束ちゃんと守ろうとしてくれてるんだな。
私はうずくまり膝を抱えながら思案します。この島には相変わらず転生者以外の生き物はいないようで私の家から聞こえるみんなの騒ぎ声がここまで響いてくる。
なんだかここだけ取り残された空間みたいだ。ため息をつき、地面にお尻がつくほど気分が落ち込み、とうとう座り込みました。
2年後円香と一緒にいるためにはどうすればいいのか、前の世界では10階までたどり着けば何とかなりそうだった願いは今の世界では未だに手がかりすらつかめていない状況でした。
そんな中でも円香はいろんな人に聞き込みや情報収集などをして手がかりをつかもうとしているのに。
私といえば当日まで魔王なんかが家に来るのは嫌だなって思って何とかして話が流れないか考えていた始末でした。
「人が考えていることが解ればいいのに……」
もっと円香のことをよく知りたい、おんぶにだっこじゃなくて二人で一緒に考えて取り組んでいきたい。そうしないと間に合わなかったときに後悔してしまう。
「しっかりしなきゃ!頑張らないと!」
何時までも反省していても仕方がありません。私は切り替えて勢い良く立ち上がってから元気を出しました。
目下頑張らないといけないのは酔っ払いや病床者であふれた地獄へ戻ることだ。床に転がってる連中のことをいったん忘れ、もう一度気合を入れてから戻ろうとしました。
ぽろん
ん?
なんだか向こうの電柱のところで物が落ちた音がしました。
私は気になってそちらのほうを見てみると……。
そこには落ちたものをびっくりした顔で見ているリゼさんがいました。
「降りしきる雨と薄明かりが織りなす刹那、今だけは空気は静かに共鳴している。幽玄なる風景に、胸が高鳴るのを感じる……そうは思いませんか?リゼ」
私は数少ない知り合いに会ったためとりあえず挨拶をすることにしました。彼女は厨二なので挨拶も厨二にした、夕暮れをバックにかっこいいポーズも決めた。我ながら惚れ惚れする出来だ。
「あう、ティア、こんにちは……」
対するリゼはなんだか様子がおかしい。私の渾身のあいさつが滑っただと……?変なポーズのまま頬が真っ赤になってる気がするがこれは夕焼けのせいだ、そうしよう。
「どうしたんですか?そういえば何か落としましたよ?」
気を紛らわせるため話題を強引に変える。電柱の近くにはほかに人はいない、ということはさっき落ちたコレはリゼのものだし目撃者ももういない。
そう思い私はリゼの代わりに地面に置いたコレを拾ってみたのだが、なんだこれは。
「ティア、それ私から落ちたんだけど、私そんなのしらないわ……」
珍しく狼狽えているリゼを見れたのだが、確かに狼狽えもするか、だって。
私が地面から拾ったのは漢字で出来た『辛い』の文字だったのだから。
自分の体からこんなものが落ちてきたら誰だって狼狽えはする。