「それにはダンジョンのモンスターのリポップの説明からしたほうがよさそうだね。」
カヌスさんは目を閉じお茶を一気に飲み干す、彼の喉がこの説明の嵐に耐えられるか見ものだ。
「簡潔に言うとモンスターはダンジョン内で人が通った後にランダムでポップするらしいんだ。そこでイクリプスの連中は考えた。もし同じ場所をぐるぐると回ればその分だけオオカミを増やせるんじゃないかってね」
そこまで言われてハッとする。確かにあの日私たちの進行方向からはオオカミが20、30ときたが通ってきた後の道からは大した数は来てなかったはずだった。
「2日目に通常より速い速度で行軍を続けた結果前方に怪しい人影が見えたって報告もあってね、探知スキルを持ってるメアリーに頼んで前方を索敵してもらった結果複数の集団が意図的にモンスターを増やしている現場を発見できたんだ」
咳払いをしてカヌスさんは説明を続ける。
「それで他のレイドPTにも頼んで一度足を止めて周囲のオオカミの数を調べてみたところ10匹やそこらの集団しか見つからなかったため、総合的に判断してレイドPTの前方向にいる集団がオオカミを増やしてこちらにぶつけているという推測をすることになったんだ」
「ただそこでこちらのほうが人数が上だからそのまま討伐すればいいという案が出て、意見が分かれてしまってね。僕は関係ない人達を巻き込むわけにもいかないし安全策として一度レイドPTを返して2日後に来る警邏隊の本体と合流したのち彼らと決着をつけるつもりだったんだけど……」
カヌスさんは深いため息と何度目になるかわからない謝罪をしながら続ける。
「結果はご存じの通り、第2PTの面々は指示を守らずに暴走、第2PTを妨害していた集団のほとんどは倒したらしいけどこっちも全滅して誰も戻れず、何とか入り口まで戻ろうとしてた第2PTに対して生き残りが奇襲をかけて壊滅、僕らが不甲斐ないばかりに君たちには本当に迷惑をかけたね」
カヌスさんの説明を聞き終わると、円香はすぐに私の頭を抱き寄せて怒りを滲ませた声でカヌスさんに言った。
「カヌスさん、それはあまりにも酷いよ!ティアがどれだけ辛かったか、あなたはわかってるの?ティアはこの一件で深く傷ついてるんだよ!」
円香は私をを抱きしめ『ボケまくって何でもかんでも忘れちゃってるのよ!?』あ?なんか言ったか?しかしカヌスさんもその言葉を受けて顔を曇らせ、再度頭を下げた。文句が言いづらい状況だ。
「本当に申し訳ない。僕たちのせいで君たちがこんな目に遭ってしまったこと、心から謝罪するよ。今後はこのようなことが二度と起こらないよう、全力を尽くすつもりだ。」
円香はカヌスさんの謝罪を受け止めつつも、まだ収まらない怒りを滲ませて言った。
「その言葉忘れないでください。ティアや他の皆が安心できるようにしてください!」
カヌスさんは深くうなずき、円香の言葉を真摯に受け止めた。
ところで当の本人は置いてきぼりなんですけどね。イイハナシダナー?