並行世界のアガスティア   作:羊1世

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第21話 スタンプの紙

 カヌスさんの決意表明が終わった後、私たちは気まずい雰囲気を変えるために話題を変えることにした。

 梅雨の間にしていた暇つぶしの料理のことや未だによくわかってない固有スキルのことなどだ。

 「結局ローブに入れて防御力アップしたとかそのくらいしかしてないのかい?」

 カヌスさんが根掘り葉掘り聞こうとするのだが……世界が変わったとか意味不明なこと言ったらやばいやつ扱いされちゃうよね、こういうのはリゼに取っておこう。

「なーんかティア怪しいのよね、絶対隠してるわ」

 ギクリ、私の横で勘のいい円香が『吐いて楽になりなさい?』とか言いながらわき腹をつんつんとつつく、やめてこしょばいよ。

 身をねじらせながら拷問に耐えていると忘れていたことを思い出した。

「そうだ、カヌスさんこれ見てください。」

 私はメニューからもらったスタンプラリーの紙を彼に渡す。

 カヌスさんはいぶかしげにそれを見る。

 「これは一体?」

「ティアが3層の森で泉の女神さまからもらったよくわかんないカードよね、それ?」

 円香が興味津々でカヌスさんが受け取ったカードを見る。そういえばこれ貰ってから初めて取り出したね。

 

 カヌスさんはもらったカードを裏と表とくるくると見ながら『これがダンジョンから……?』とつぶやいた後、重要な情報を二人に告げた。

「実は最近、ダンジョンの様子が変わってきていると報告を受けるんだ。これまではオオカミやマイコニドしか見かけなかった3層に、他のモンスターがポップしている可能性があるってね」

 円香と私は驚いたが、泉から女神が出てくるのだからそういうこともあるのだろうと納得もあった。

「種類が増えたことでモンスター討伐の難易度が上昇した代わりに、モンスターの出入りができないセーフエリアが出来たとか、入り口のポータルから3層に設置された石碑へ転送できるようになるなど少しうわさが錯綜しててね……もしこれからもダンジョンに挑むつもりがあるなら気を付けたほうがいい」

 私はその発言を受けて少し悩んだけど、答えは最初から決まっていた。

 3層以降への挑戦を諦めることなんて考えられなかった、今はこのよくわからないカードだけが私たちの約束を守れる希望でもあるから。

「私達はそれでも挑戦します」と毅然とした表情で答えた。

 円香は少し驚きながらも同意し、カヌスさんに決意を伝えた。カヌスさんは少し考えて提案をした。

「それなら、行くときは僕たち警邏隊を頼って欲しいな。レイドはしばらくできそうもないから二人だけじゃ危険が大きすぎる。いくら死なないとは言っても気分がいいものでもないしね。それに攻略の助けにもなるはずだ。」

 円香とティアは一瞬顔を見合わせ、そして感謝の意を示した。

 

 「別にいいよ、どうせ調査はしないといけないからね」

 カヌスさんは少し照れながらそう言った。

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