現代日本。平成から令和……20年の月日を経て公開された劇場版のSEEDを見て俺は感慨に耽っていた。あの頃のバンクも良かったけどやっぱりSEEDは最高だな! でも思うことはある……准将ことキラ・ヤマトの4年間の苦悩ってホントに地獄だよなって……
「まぁ、俺に如何こう出来る力もないし、C.E.の世界が可笑しいだけなんだよね」
ギルバート・デュランダル議長の言う言葉もまた呪縛であったけど真理でもあったんだよ……あの人のアレは人の心を考えちゃいないから弁護もできん。
ん、信号赤なんだけど。なんかクラクションなってない? あれ、俺の視界がおかしいのか?
衝撃が遅れてやってくる。しっちゃかめっちゃかに掻き回される視界と地面に叩きつけられた感覚。あぁ、これ……車にはねられたのか……
○△○▽○
異世界転生。あんな簡単な人は死ぬとはいえど、記憶を保持して次の生を受けられるのはいいことなのかそれとも地獄なのか。知らん女に抱かれて目がはっきり見えない状態で投げかけられる言葉を聞くと、「コズミック・イラ」だとか「53年」だとか……おい、勘弁してくれよマジで。
よりによってこの魔境に生まれ落ちたのかよ俺は!? 体が反応して泣き出したのを誰かがあやす様に言葉をかけてくれる。
「大丈夫よ、イリア。泣かないでね」
そこから俺の精神は眠るようにして奥まったところへ封印されるように沈む。そして、再び目覚めた時。わたしは14歳になっていた。
いやなんでやねん。既に名前が「イリア・ヤマト」になっていて、弟として「キラ・ヤマト」が……実の母と父はもう、亡くなっているのかもわからない。しかし、どうしてわたしがキラと共に? カガリは既にオーブへ?
この子が准将になるのか……ショタ准将。まぁ、それは将来の話だよね、うん。
「姉さん、どうかしたの?」
「うん、なんでもないよキラ」
苦労するんだろうなぁ、しかし私はどうなるんだ? この子の姉? はぁ、いや頑張るよ……勉強もして、プログラムとか云々もやるしかない、やるっきゃない。
「お姉ちゃん、がんばるね」
「くすぐったいよ、姉さん!」
ヘリオポリス崩壊まであと何年だろ今C.E.67? 四年しかないんですが? ここから入れる保険ってありますか?
それから、仲の良かったアスランと別れて意気消沈するキラにウザられてショックを受けたり、ヘリオポリスの工科カレッジに入学してプログラム方面の勉強しようとゼミで頑張っていた。しかし、戦争の足音はずっと近くに来ていた。
「ええ!? また課題ですか!?」
「いやー、ごめんねイリア君。君優秀だしこれくらいは簡単だろうし、頼むよ」
学長さんの多分、これってOS周りのプログラムじゃないの? 学生にいじらせていいの? そうは思うがまぁ、課題なら仕方がない。
キラが工科カレッジに入学して来るらしく、もう、あと二年しかない……。モビルスーツの作成がヘリオポリスで行われているのは確定に違いない。
「姉さん、この課題のプログラムって?」
「とりあえず、基本構造の改良をお願い」
「あ、うん」
課題と称して渡されたプログラムの改良をもう何度も引き受けて、キラもその優秀な能力を遺憾無く発揮して手伝ってくれている。プログラムを扱うなら私たちヤマト姉弟に頼ればいいなんて言い出したカトウ教授の無茶振りも楽にこなせるようになってきた。
まぁ、原作よりマシになったって。まともにOSを組みきれてないからどのみちザフトにパクられるだろうから骨折り損だし頑張るつもりはないし……。
血のバレンタイン? んなもんどうしろと?
私は民間人だし、別にパトリック・ザラに知り合えたわけでもない。つまり、その事象が起きると伝えても精神異常者扱いされるだけだろうし。
ただ、懸念が一つ。なんかプログラムが、‘一機’分くらい多い気がするんだけど……気のせいだよね? どうしようもないんだよなぁ、マジでだって戦争だし。
「キラ。終わった?」
「うん、終わったよ姉さん」
「もうちょっと、わかりやすくしようよキラ。ルートに行き着くまでちょっと過程が多いし」
「うっ、ごめん」
アスランから聞いた通り。少しこういう横着をする癖を治させないとストライクのOS面がスパゲッティコードみたいにこんがらがせた代物でキラ専用のモビルスーツみたいになってしまったし。
「行き着く先が同じだからって横着は良くないから。今が楽でも、後でしんどいからね」
「分かったよ。次は気をつけるから」
やれやれ。先が思いやられるけどまぁ、ね。手を抜きたいのはわからんでもないし、私も手を抜く時は手を抜くけど、カードの構築一つでバグを吐いて機能しなくなるのはまずいからその辺は手を抜けないんだよ。
「キラ。戦争になったらどうするの?」
「藪から棒に、どうしたんだよ姉さん」
「……ヘリオポリスも安全じゃないかもしれないってコトよ。いざって時は、心構えが大事だからさ」
間抜け面でこちらを見るキラに苦笑しながら、私は課題の続きに取り掛かった。そして、2年の月日もあっという間に尽きてしまった。そして偽りの平和は崩壊するのを黙って迎えるしかなかった。
to be continued .