「パワーゲインは悪くない、これなら……!」
『シルヴァ、応答しろ! 誰が乗っている?!』
「あ、すみません! ナタル少尉でしたっけ?!」
『その声はイリア・ヤマトか?! どうやってそれを動かして……いや、それはいい。迎撃に出てくれるのはいいが無理はするなよ?! 戦死されたらストライクのパイロットに申し訳が立たん!』
「了解! あまりご心配ならさらず、そちらの守備をお願いします!」
カタパルトに移動させ、脚部を固定する。電圧安定、全システムオンライン。オールグリーン……!
「シルヴァ、発進どうぞ!」
「シルヴァガンダムッ! イリア・ヤマト行きます!」
アークエンジェルから飛び出して、コロニーの無重力部に出る。ソードストライクが交戦中。ミゲルだな、あのジンに乗ってるのは。近くにはGAT-X303‘イージス’の姿が見える。
腰にバズーカをマウントして、グランドスラムを掴み。折りたたんでいた刀身を展開する……重心の扱いが難しいなこれぇ!? 無重力だから当然だろぅえっ!?
思わずグランドスラムを取り落とす。けたたましい警報が鳴るのですぐに回避運動っ、イージスに撃たれたぁ!? いや当たり前だな、これは!
『他にも新型がいたのか!』
「そう言うことよ! いきなり喧嘩売るのはザフトのやり方っ?!」
左腕の腕部装甲を展開して、グレネードランチャーを撃ち込み。すかさず頭部バルカンで誘爆させて煙幕の代わりに使う。
メインカメラとセンサーを騙してそのまま吶喊っ! コックピット付近に蹴りを叩き込む!
あまり意味ないけど、少なくとも振動はパイロットには衝撃がいくんだよなぁ!
『ぐ、がぁ!? くそっ!』
「援護の邪魔するなってお話だよ! そのまま落ちてろっ!」
撃たれたビーム弾を最小限の動きで回避しつつ潜り込み、イージスのメインカメラにバルカンを顔面に撃ち込む! 全部がフェイズシフト装甲で守られてるわけじゃない。そのメインカメラと頭部のセンサーをズタボロにしてそのまま腹を蹴り付けて叩き落とす。右腕部装甲に装備されていたアンカー射出して、イージスのビームライフルに絡めて引き寄せつつ、そのままジン目掛けて投げ飛ばす。
『なんだ、まるで撃つ先を読む様に動くこいつは一体っ!?』
「あんたの動き、わかりやすいんだよっ!」
イージスを蹴り付けて高度を上げて、そのままバズーカを構えてロックオン。ミゲルには悪いが、どのみち退場するんだ! ジンが慌てて飛来するビームライフルを回避して、こちらにモノアイを向けてくる。
『姉さんっ!? なんでっ!』
「今は言ってる場合じゃないっ、キラその肩のブーメラン投げなさい! そのまま、落ちろぉ!」
『くそっ! ここから、出て行ってくれぇ!』
ストライクの投げたビームブーメラン、‘マイダスメッサー’に合わせてバズーカを撃ち込む。弾頭は回避運動を行って隙だらけになったジンの右肩を吹き飛ばし、ビーム砲を破壊する。
右肩から先がなくなったジンはそのまま墜落していく。武器の類は持ち合わせていな……
『くそぉぉぉっ!』
ジンが燃料かなんかに引火して爆発していった……まぁ、そこは仕方ない。運命だしね。
『ミゲルぅぅぅぅぅ!!』
アスランの声が響くけど、そんなことに構ってられないんだよなぁっ! くそっ、あっちこっちでミサイルが誘爆してコロニーがもう保たないっ!
「ちっ……母艦が危ない、キラっ!」
『う、うん!』
僚機をアークエンジェルに落とされて浮き足たつジンを確認した私はシルヴァを翻し、アンカーをグランドスラムに撃ち込んで牽引。そのまま振り回す!
「落ちろよ、カトンボが!」
『オロールっ!? なっなんだ……ぐぁぁぁっ!?』
振り回したアンカーに絡めたグランドスラムがジンの足を引き裂くように切りつけてアンカーを巻き取り。それを手元に回収しながら切り掛かる。が、その間に入る様に……
『させるか、好きな様にやられてばかりでぇ!』
「ちっ、イージス……邪魔するな、アスラン!」
『なぜ俺の名前をしって……っ!?』
グランドスラムを押し込み、イージスを盾ごと叩き落とすけど。間に合わないっ!
「くそっ! キラ、こっちに!」
『だめだ、やめろぉぉぉぉっ!!』
バルカンで向かってくるミサイルを2発迎撃しつつ、グランドスラムで斬って捨てつつ後退。残りの2発はコロニーのシャフトに直撃っ……くそっ!
イージスを牽制して距離を取り、グランドスラムを肩にマウントしてバズーカを担ぎ直すと、生き残りのジンを撃つ。避けられたが、そこにソードストライクが切り込み、胴体を真っ二つにされて撃破されていた。
『コロニーが崩壊する! X105、X101はすぐに帰還しろ!』
「帰還したいんですけど、ちょっと無理ですねっ!? スラスター噴射しても耐えれな……きゃぁっ!」
『姉さんっ!? う、うあぁぁぁぁっ!?』
『ストライク、シルヴァっ!? 応答しろ!?』
シルヴァガンダムとストライクガンダムは虚空の宇宙へと放り出されました、とさ。やっべー……私たち、ノーマルスーツ着てないんですけど?
────
『聞こえるか、聞こえるなら応答しろ! X101シルヴァ! 応答しろ!』
「つぅ……生命維持装置の時間と酸素は……あと何分だっ……はっ」
『イリア・ヤマト! 聞こえるか!?』
衝撃のあまりに呆然としてたが、ようやく意識が戻ってきた。そこに、アークエンジェルから通信が入ってきたので繋ぐ。通信をしながら、モニターを見つめたその先には。眼前に広がるのは無惨な姿へと姿を変えた私達のコロニーだ。
「こちらX101。聞こえます、ブリッジ。状況の説明をお願いします!」
『ヘリオポリスは見ての通り……崩壊した。本艦の位置がわかるか? わかるならすぐに帰投しろ』
「了解、帰投します。ストライクは?」
しばし沈黙。既に帰投していると報せを受けて、胸を撫で下ろしたんだけど……ナタルさんが何か言いたそう?
『……貴様の弟は物拾いの癖があるのか?』
「はい?」
『いや、構わない。救命ポッドを拾ってきたのでな……すこし揉めたんだ』
「あー……すみません」
『貴様が謝ることでもない、気にするな』
それを言うなら、誠に遺憾であると言う雰囲気を隠して欲しいんだよねぇ……はぁ。父さんと母さんは無事に避難してくれてることを祈ろう。
帰投しながら今後のことを思う。次に行く先はアルテミスだったけど、無駄な騒ぎになって地球軍はアルテミスを失うんだよね。その後あれこれ勢力を渡って最終的にはファウンデーションに買い取られてたよーな……
通信を切り、独り言が思わず漏れる。あれこれ考えを整理しないと……
「絶対フレイ拾ってるでしょ、キラのやつ……まぁ、それもまた運命だし仕方ない、か。さ、帰還しよう」
――――
「どうして貴方がここにいるの? こここはどこなの? あのモビルスーツは一体なんなの?!」
「えっ、ここは地球軍の船の中でアレは地球軍のモビルスーツで……」
帰投したら既に弟がフレイに言い寄られていた。見た目だけは確かに美少女だけど中身が終盤にならないと改心できないヒロインかつ、クルーゼに殺される哀れな小娘。それがフレイ・アルスターだ。
フィアンセのサイ君を差し置いてキラを籠絡して自分の復讐に利用しようとするそこそこ悪女の素質があるから手に負えんとなりそうな。
まぁ、結局キラの優しさに甘えて惚れ込む身勝手さもあるが部分から見て本当に自分勝手な女だと揶揄されるが、彼女のこれからを考えれば……同情もする。
「あのモビルスーツも地球軍のものなの?」
「う、うん……はっ、姉さん! 説明してくれ!」
『ハッチ開けるからどいてキラ。キチンと説明はするから』
マイクによる音声を響かせながらキラを退かして出ていった私を見てフレイが目を丸くする。
「イリア・ヤマト先輩!?」
「あれ? 私を知ってるの、君」
「工科の主席生徒って御自覚はありますよね?」
……あ、確かにそれなら納得だわ。
「あの、先輩はモビルスーツに乗ってたんですか?」
「ええ、まぁ……とにかく。サイ君の所に行ってきなさい、フレイさん。心配してたわよ?」
「あっ、はい! またお話聞かせてくださいね! いきましょう、キラくん」
「う、うん……うん!? 僕は姉さんに話を聞かないと」
「キラ君、私にこの船で迷子になれって言うの?」
……強いな、この子。キラが一発で尻に敷かれてる。まぁ、助け舟を出す気はないけどね。
「送ってあげなさい、キラ。あとで格納庫にこればいいよ。私はここにしばらくいるから」
「わかったよ。あとで、絶対に話を聞かせて姉さん」
それには笑顔で応えて、見送りつつ。私はマードック軍曹に機体のチェックとかを手伝う胸を伝え、モビルスーツのOS周りの再調整を行うのであった。
to be continued .