機動戦士ガンダムSEED レディ・アヴァロン   作:鳥頭

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週末と言ったな、あれは嘘だ。短くて内容短いくてすまそ


Phase6 欲望の坩堝はダイジェスト

 ベッドに横たわり、点滴を繋がれて眠る自分の姉の姿をガラス越しに見つめるのはキラだった。

 

『キラ、お前はコーディネイターだろう! 俺たちと共に来るべきなんだ!』

『そうじゃないんだアスランッ……僕は、あの船を守りたいんだ。友達や仲間が乗ってる、姉さんが守るって決めたあの船を!』

『っ……そうか、やっぱりイリア姉さんがあの機体を動かしていたんだな……』

 

 無理やりジンのカメラを取り付けられ、異形のようになってしまったイージスを見て最初はキラもギョッとしたが。イリアの仕業であるとアスランに言われるとどことなく同情してしまう。

 

『そうか、それならキラ……イリア姉さんにも伝えてくれ。‘次に会うときは俺はあなたたちを討つ’って。排除すべき敵として』

『それなら僕は、みんなを守るために君と戦うよ、アスランっ!』

 

 こうして、学友で親友だった彼との決別を決意したのは先ほど。揺るがないのかとマリューに問われ、すぐにぐらついたが。

 

『僕たちがやってるのは戦争なんでしょう? なら、守る為に撃つしかないんですっ!』

 

 そう宣い、内心ではとても葛藤を抱えていたのは確かである。そして、件のイリアがなぜ治療を受けているのかと言うと、身体に掛かった負担に加えて過労を引き起こしているだろう、と言うのが船医を請け負ってくれた医者の診察だった。

 

「姉さん……」

「よっ、ここにいたか」

「フラガ大尉、何か用ですか?」

「坊主にちょっとした用事を頼みたいと思ってな。あと、ここはしばらく封鎖するから寄るんじゃないぞ?」

「封鎖って?!」

 

 ドアが開き、現れたのはフラガ大尉。この治療室を封鎖する通達を受け、目を丸くする。その理由を聞いて、だ。

 

「アルテミスの方から臨検官が来ることになってな、嬢ちゃんが健常で意識があれば撃退できるだろうが……意識を失ってる今、好きにされそうなのはまずいだろ?」

「臨検官……? 好きにされるってどう言うっ!」

「地球軍って言っても一枚板じゃない。アルテミスはウチとは違う管轄でな……坊主と嬢ちゃんの機体のOSをロックしといて欲しいんだ」

 

 その話を聞き、キラは反発を飲み込んだ。そして、無言で頷いて見せる。

 

「悲しいが、一部の奴らはコーディネイターに対しては人権を守るのか怪しいところもあってな……査収なんてふざけた事をやりかねない。だから、しばらく封鎖するのは許してくれ」

「は、はい。わかりました」

「大丈夫だ。医者のおっちゃんと看護師の姉ちゃんを付けるから万が一に体調が悪化しても保証するから」

「わかってます。とにかく、やってきます!」

 

 その言葉を聞いたキラは不服そうな顔をしつつも、慌ただしく動く艦内の気配を察知してすぐに行動に移した。

 

「おう、頼んだぞ。しっかし、あの嬢ちゃんは一体。何者なんだ?」

 

 シルヴァのデータベースに残っていた戦闘データを確認したフラガ大尉はあんなデータを叩き出したイリア・ヤマトの凄まじさと、同時に危うさを感じていたのである。

 

「宇宙空間での戦闘適性、俺以上だろあれ……なぁ、お前さん。一体どう言う処置されたらあーなるのかねぇ」

 

 縦横無尽に宇宙(ソラ)を翔び、鮮やかな機動で一度の被弾もなく3機のモビルスーツを翻弄して見せた……遠隔武装しか無い機体で、だ。

 蹴りなどの殴打で距離を取り、バズーカを浴びせ。視界を奪っては奇襲を何度も仕掛ける粘着質な戦闘はアーマー乗りの彼から見れば対モビルスーツにおいては最も有効な戦術だと理解している。

 

「俺もアーマー乗りだけど、嬢ちゃんなら1対5のキルレシオ無視してモビルスーツ落とせそうだよなぁ……自身が危うくなるぜ全く、とんでもないな」

 

 自嘲の笑みを浮かべつつ、ニヒルに笑いながら彼は去っていく。その後、アークエンジェルはユーラシア連邦軍に占拠されることになったが。数時間ほど、病室のある区域は入れないようにロックされた。

 

 ────

 

 目を覚ましたら、病室だった。点滴を受けていたけど気にせずそれを引き抜きながら起き上がり、看護師さんにその暴挙を諌められるが。

 

「目を覚ましたのはわかります、だけど安静にしてくれないと困ります!」

「そうも言ってられないのよ。先生、ありがと」

「待ってくれ、治療はまだ終わっていないんだよ!?」

「過労なら少し寝たら治ったよ、自分の体くらいは自分で分かりますから……それに、ここで落ち落ちしてられないんです。この要塞、攻められるんで」

「どう言うことっ!?」

 

 そう言った途端に振動。爆発音は聞こえないが、要塞が揺れていることに変わりはない。

 

「こう言うことです。なので、失礼しますね」

 

 とりあえず患者衣のまま部屋を飛び出すと、医療区画がロックされている。どう言う事かと思って他の部屋にあったターミナルから状況を掴もうとアクセスするがロックされており……まずいな、占拠されてるのか。

 アルテミスに着いて、そこから占拠される流れだったが。まぁ、とりあえず……ユーラシア連邦のアルテミスがここで落とされるはずだ。

 

「とりあえず格納庫に行くしかないな。ちぃ、無駄にデカい乳が邪魔で仕方ないな」

 

 ダクトを通って潜入任務みたいにと思ったけど、できないから仕方ない。区画のロックをハッキングして解除、ドアを開けたら知らない連合の兵士がいた。

 

「何者だ!? いきなりこの区画のロックが解除がされて……」

「チェストーッ!!」

「なっがはっ!?」

「どすこいっ!」

「ぐえっ、このいきなり何を」

「友軍じゃなさそうなのでつい。失礼します」

 

 鳩尾に掌底を叩き込んで意識を刈り取るとそのまま、他の兵士も蹴り倒したり投げたりして壁に叩きつけて意識を奪い制圧していく。撃たれても、避ければ問題なし! 

 数分もすれば意識を取り戻すくらいのダメージだから放置しても別にいいだろう。

 

「と言うわけで、ユーラシアの士官を後であの救命ポッドに詰めて放り出した方がいいかもしれませんよ」

『もう、貴様のやらかすことについては驚いてやらん。ストライクが内部に侵入したモビルスーツの迎撃に出ているが、貴様は有事に備えて待機してくれ』

「了解です、ナタル少尉」

 

 シルヴァのコックピットに乗り込んで艦橋に報告を入れるが、待機を命じられる。まぁ、病人であることに違いはないけどさ。ちなみに、キラは見事にニコルの駆るブリッツを退けて着艦したとのことで、よかったよかった。

 

「ふぅ、私がいなくてもどうにかできるのは……キラのレベルが高いから、なのかな。よきよき」

 

 そう思いながら、ついでに仕上げておきたかったプログラムも組み込んでいく。それは、ナチュラルでもシルヴァを運用できるサブOSの構築だ。

 

「私だけが使えるのではなく、フラガ大尉も使えるようにするプランは用意しておくに越したことはないしなぁ、なんて」

 

 私の反応速度に追従できるシルヴァのポテンシャルから見て、結局はこの子がどれだけのじゃじゃ馬なのかはよくわかる。乗りこなすのも相当苦労しそうだなぁとは思ってはいるが……過労があったとはいえ、私をダウンさせたのはすごいぞ貴様。

 

「発生したGのことも考えると、もうちょっとスラスター出力にリミッターを課して……よし、この数値なら安定して運用できるかな?」

「こらっ、小娘ぇぇ! 病人が何してやがる!」

「げっ、マードック軍曹っ」

「げ、とはなんだげ、とは! 早く降りて休め! お前ら、ストライクが着艦する。早くノーマルスーツ着てこい!」

 

 マードック軍曹の怒号も聞こえたし、流石に観念して私はシルヴァを降りると衣服を着替えに共用スペースに走る。患者衣ってダサいからあんまり人に見られたくないからね。

 でも、この後に直面する問題の方が大きいよなぁ……とりあえず、補給は受けれなかったが、水不足については考えがないわけではないと言うわけで。後具申しなくてはいけないだろう。

 そんな事を考えながら、私は艦内を走り抜けるのだった。

 

 to be continued .

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